相模原市の空き家解体補助金|未接道は老朽度なしで対象

相模原市の空き家解体補助金には、他の市であまり見ない入口があります。接道の要件を満たさない「未接道空家等」なら、建物の傷み具合の点数を満たしていなくても対象になるという定めです。補助額は補助対象経費の2分の1で、上限は50万円(世帯全員が非課税の場合は80万円)です。

そして、事前調査の申込には10月末日という締切があります。この記事では、市が公表している要件(最終更新日 令和8年6月10日)のうち、再建築不可の空き家をお持ちの方と、相続登記がまだの方に関わる部分を中心に整理します。

目次

未接道なら、傷んでいなくても対象になるのですか?

なり得ます。相模原市は、対象になる空き家を「いずれかに該当」の2類型で定めています。

類型定義(市のページから)
老朽空家等住宅地区改良法施行規則に規定する住宅の不良度の測定基準のうち、外観目視により判定できる項目(基礎、柱、外壁等の腐朽、破損、変形が著しく崩壊の危険がある等)の評点の合計が100点以上の空家等
未接道空家等建築基準法に規定する接道の要件を満たさず、かつ、特定行政庁の許可を得ていない敷地に存する空家等

「いずれか」です。両方を満たす必要はありません。

つまり、まだ建っているだけの空き家でも、敷地が接道義務を満たしていなければ入口に立てます。

接道義務=敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していなければならない、という建築基準法の決まりのこと。これを満たさない土地では、建物を壊しても新しく建てられません。俗に「再建築不可」と呼ばれます。

これは、再建築不可の空き家を持っている方にとって意味の大きい定め方です。壊しても建て直せない土地は、解体費を出す動機が生まれにくく、そのまま放置されがちだからです。

ただし、除かれる場合があります。市のページには「2親等以内の親族が所有する土地が隣接して存在し、かつ、当該2親等以内の親族が所有する土地を利用すれば未接道敷地に該当しない土地に存する空家等を除く」とあります。隣が親・子・祖父母・孫・兄弟姉妹の土地で、そこを通れば接道が取れる場合は対象外という意味です。

該当するかどうかを決めるのは市です。事前調査で、市職員が現地で不良度や接道状況等を判定します。自己判断では決まりません。

相模原市の解体補助金の入口
老朽度と未接道の「いずれか」で入口が2つある

相続登記が終わっていなくても申請できますか?

できる建て付けになっています。市が挙げている補助対象者は次の2つです。

  • 補助対象空家等の所有者(共有名義の場合は、除却について全ての所有者から同意書を提出した代表者に限る)
  • 補助対象空家等の所有者の相続人(相続人が複数のときは、除却について全ての相続人から同意書を提出した代表者に限る)

「相続人」が入っているのが要点です。名義が亡くなった方のままでも、相続人が代表者として申請できる形になっています。

この点は自治体によってはっきり分かれます。相続人の申請を認める市もあれば、建物の登記が相続人名義になっていることを要件にしている市もあります。同じ「空き家の解体補助金」という名前でも、入口の高さが違います。

一方で、全員の同意書が要ることは変わりません。相続人が5人いれば5人分です。連絡がつかない相続人がいる場合、ここで止まります。

次の場合は補助対象者になりません。

  • 法人その他の団体(個人所有の空き家であることが必須要件にもあります)
  • 暴力団員等と認められる場合、暴力団経営支配法人等と密接な関係にあると認められる場合
  • 申請者本人だけでなく、申請者が属する世帯の世帯員のいずれかに市税等の滞納がある場合

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

建物側の要件は、どこが他と違いますか?

古さの線が「平成12年5月31日以前」です。

多くの自治体は昭和56年(1981年)5月31日、つまり新耐震基準の前を線にしています。相模原市はそれより19年新しい建物まで対象に含めています。

必須の要件は次のとおりです(市のページより)。

要件補足
平成12年5月31日以前に建築確認済証を取得した空家等確認済証の写しまたは確認台帳記載事項証明書の写しが必要です
共同住宅又は店舗、事務所、倉庫など事業の用に供されていない空家等戸建て住宅が対象です
1年以上居住していない空家等
一定の交通量がある道路や隣家と近接し、かつ、周囲に悪影響を与えるおそれがある空家等
個人が所有している空家等
法に規定する特定空家等に対する勧告を受けていない空家等勧告まで進むと対象外になります
所有権以外の権利が設定されていない空家等抵当権・賃借権などが登記に残っていると外れます
公共事業による移転、建替え等の補償対象となっていない空家等

「所有権以外の権利が設定されていない」は、見落としやすい要件です。住宅ローンを完済していても、抵当権の抹消登記をしていなければ登記簿に残り続けます。何十年も前に返し終えたものがそのまま載っている、というのは珍しくありません。事前調査を申し込む前に、登記事項証明書で確認してください。抹消の手続きは司法書士へご相談ください。

補助金はいくらで、何が対象になりますか?

次の3つのうち、最も低い額です(千円未満は切り捨て)。

  1. 補助対象経費(消費税及び地方消費税の額を除く)× 2分の1
  2. 補助対象空家等の床面積1平方メートル × 国土交通大臣の定める標準除却費(令和8年度:木造36,000円・非木造51,000円)
  3. 上限額50万円(申請者及び世帯員全員が非課税者の場合:上限額80万円)

補助対象経費には、次のものが含まれます。

  • 除却(解体)工事及び当該廃材の処分に係る経費
  • 除却工事に必要な仮設工事に係る経費
  • 除却工事後の敷地の埋め戻し及び整地に係る経費(舗装費用等を除く)
  • 敷地内にある動産の除却及び処分に要する経費

4つ目に注目してください。家の中や敷地に残った家財の処分費が補助対象経費に入っています。塀・門扉・門柱・車庫・カーポート・物置・植栽・庭石などの工作物の除却も対象例に挙げられています。

残置物の処分費を「一般廃棄物の処理費用なので対象外」としている自治体もあります。同じ解体補助金でも、どこまでを費用とみなすかは市ごとに違います。

事前調査の申込は10月末日です

手続きは、解体の申請からではなく事前調査の申込から始まります。期限は2段階です。

すること期限(市のページから)
事前調査の申込除却工事を実施する年度の10月末日まで
交付申請除却工事を実施する年度の11月末日まで
工事の完了交付決定日の属する年度の1月末日まで
実績報告工事完了から30日を経過する日、または2月末日の早いほう

そして、期限とは別に書かれていることがあります。

予算に達し次第、受付を終了します。

10月末日という日付より先に、枠が埋まって終わる可能性があります。

もうひとつ、順番の落とし穴があります。

交付決定より先に工事の契約をすると、対象外になります。市は、補助対象工事としないものとして「補助金の交付を決定する前に、補助対象工事の契約を既に締結している場合」を挙げています。

これは相模原市に限った話ではなく、多くの自治体に共通する形です。業者に急かされても、交付決定通知を受け取る前に契約書に押印しないでください。

事前調査の申込に要るもの

意外に重い書類があります。市が「必ず添付する書類」として挙げているものです。

  • 空家等及び当該敷地の登記事項証明書(申請日前から3カ月以内に発行されたもの)または固定資産税課税明細書の写し
  • 位置図・配置図(建物と道路との関係、門・塀等の工作物の位置を記載)・平面図
  • 着工前の状況が確認できる日付入りの写真
  • 除却工事に係る見積書及び内訳書の写し(解体業者等の押印があるもの)
  • 建築基準法等の規定による確認済証の写しまたは確認台帳記載事項証明書の写し

未接道空家等に該当する可能性がある場合は、さらに隣接する敷地及び未接道敷地が記載された公図等と、隣接する敷地が確認できる日付入りの現況写真が求められます。

見積書が事前調査の段階で必要です。つまり、判定を受ける前に解体業者を探して現地を見てもらう必要があります。10月末日まで日数が少ない場合、ここが最も時間を食います。

補助が使えないとき、壊さずに手放す道があります

要件を読んで、自分の空き家は当てはまらないと感じた方もいると思います。外れる型は、だいたい次のどれかです。

  • 平成12年6月以降の建築確認
  • 抵当権などが登記に残っている
  • 相続人の全員から同意書が取れない
  • 世帯員に市税等の滞納がある
  • 事前調査の申込に間に合わなかった、または予算枠が埋まった

このとき、選択肢は「自費で壊す」だけではありません。とくに未接道・再建築不可の空き家は、壊すと更地の使い道がさらに狭くなります。建て直せない土地だからです。

当社は、建物の状態と築年数を確認し、建築基準法43条2項2号の許可の可否もあわせて調べたうえで、現況のままお引き受けできるかを判断しています。再建築不可であることだけを理由に、査定や取扱いの対象外とすることはしていません。取得後も再建築不可の状態のまま販売することが基本です。調査は当社で行いますので、売主に調べていただくことはありません。片付け・解体・測量も不要です。

ただし、条件によっては成立しません。ご希望の金額との開き、費用のご負担へのご同意、相続人の間の合意など、個別の判断になります。

順番だけ、間違えないでください。先に壊してしまうと、補助金も、建物ごと手放す道も、どちらも消えます。壊すかどうかを決める前に、現況のままで話が進むかを確かめるほうが、戻れる選択肢が多く残ります。

壊す前に確かめる順番
10月末日までに動くときの順番

未接道・再建築不可の土地そのものの扱いについては、カミソリ地とは?再建築不可になる理由と売却の方法と、自治体ごとの補助要件の違いについては空き家の解体補助金は自治体で条件が違う|対象外になる5つの型もあわせてご覧ください。

もうひとつの補助金と、取り違えないために

相模原市には空き家の家財処分に対する別の補助金もありますが、対象は中山間地域(津久井地区・相模湖地区・藤野地区)に限られ、移住者への売却・賃貸に供する物件であることが条件です。

この2つは、同じ空き家で両方は使えません。家財処分等補助金は、交付を受けた日から2年を経過する日までに物件を取り壊した場合、補助金を返還することになっています。解体を前提にしている方は、こちらは選べません。残して使ってもらうのか、壊すのかで入口が分かれます。

確かめる順番

  • 住宅課へ電話する(042-769-9817)。受付中か、予算枠が残っているかを聞く。市も「まずはお電話にてお早めにご相談ください」と案内しています
  • 登記事項証明書を取る。名義と、抵当権などが残っていないかを確かめる
  • 確認済証を探す。平成12年5月31日以前かどうかは、ここで決まります
  • 解体業者に見積書を依頼する。事前調査の申込に押印入りの見積書が要ります
  • 相続人全員の同意が取れるかを先に確かめる。取れないなら、別の道を考えたほうが早いこともあります
  • 壊す前に、建物ごと手放す道があるかを確かめる

解体の補助金の話が出る時期には、訪問営業も増えます。その場で契約せず、書面を持ち帰って複数の見積もりと比べてください。対象かどうかを決めるのは市の事前調査であって、業者ではありません。

出典(相模原市の公式ページ):危険な老朽空き家等除却費補助金について(空き家解体費補助)(最終更新日 令和8年6月10日) /相模原市空き家家財処分等補助金交付事業について(最終更新日 令和8年5月15日)

本稿は2026年9月24日時点の公表内容にもとづきます。金額・期限・要件は変わります。申請の前に、必ず市の最新の案内をご確認ください。相続登記・抵当権の抹消など登記に関わる手続きは司法書士へ、税金の取り扱いは税理士へご確認ください。

よくある質問

相模原市の空き家解体補助金は、いつまでに動けばよいですか。

除却工事を実施する年度の10月末日までに事前調査の申込が必要で、交付申請は11月末日までです。工事は交付決定日の属する年度の1月末日までに完了させる必要があります。あわせて「予算に達し次第、受付を終了します」とされているため、期限より先に締め切られる可能性があります。受付状況は住宅課(042-769-9817)へご確認ください。

そこまで傷んでいない空き家でも対象になりますか。

なる場合があります。相模原市は「老朽空家等」と「未接道空家等」のいずれかに該当すればよい建て付けで、未接道空家等は建築基準法の接道要件を満たさず特定行政庁の許可も得ていない敷地にある空き家と定義されています。つまり未接道であれば、住宅の不良度の評点100点以上という老朽度の基準を満たさなくても対象になり得ます。該当するかは市職員の事前調査で判定されます。

相続登記が終わっていなくても申請できますか。

できる建て付けです。補助対象者に「補助対象空家等の所有者の相続人」が挙げられており、相続人が複数のときは全ての相続人から同意書を提出した代表者に限る、とされています。ただし申請者と同じ世帯の世帯員に市税等の滞納がある場合は対象外です。相続登記そのものの手続きは司法書士へご相談ください。

補助金はいくらもらえますか。

3つの金額のうち最も低い額です。補助対象経費(消費税を除く)の2分の1、床面積1平方メートル×国土交通大臣の定める標準除却費(令和8年度は木造36,000円・非木造51,000円)、上限額50万円の3つで、千円未満は切り捨てです。申請者と世帯員全員が非課税者の場合は上限が80万円になります。

家の中に残った家財の処分費も補助の対象になりますか。

相模原市では、補助対象空家等の存する敷地内にある動産の除却及び処分に要する経費が補助対象経費に含まれています。塀・門扉・車庫・物置・植栽・庭石などの工作物の除却と廃材処分も対象例に挙げられています。残置物の処分費を対象外としている自治体もあるため、この点は市ごとに確認が必要です。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

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