八代市の公費解体の申請は、令和8年9月28日から令和9年3月31日まで、予約制で受け付けています。ただし八代市では、建物の解体費用に関する制度が2つ同時に動いています。被害を受けた建物を対象にした公費解体・自費解体と、老朽化した危険な空き家を対象にした除却補助です。対象も、窓口も、締切も別の制度です。
この2つを取り違えると、どちらも使えないまま時間が過ぎることがあります。この記事では、市が公表している内容をもとに、自分の空き家がどちらに当たるのかを見分けられるように整理します。
八代市の解体費用の制度は、いま2つあるのですか?
2つあります。建物が地震で半壊以上の被害を受けたかどうかで、入口が分かれます。
| 公費解体・自費解体 | 老朽危険空き家等除却促進事業 | |
|---|---|---|
| 対象になる建物 | 全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊の判定を受けた建物等 | 概ね1年以上空き家で、構造や設備が著しく不良、倒壊や外装材の落下のおそれがあるもの |
| 費用 | 公費解体は市が実施/自費解体は費用を償還 | 上限60万円の補助 |
| 受付 | 令和8年9月28日〜令和9年3月31日(予約制) | 二次(随時募集)は令和8年9月末まで |
| 始め方 | Webか電話で予約。自費解体は契約の前に市へ相談 | 事前調査の申込みから |
地震の被害があったかどうかが、最初の分かれ道です。被害を受けていない、古くて危ない空き家は、下の除却補助のほうになります。
り災証明書がないと、公費解体は使えませんか?
使える場合があります。
八代市は、対象になる方を次のように定めています。2つとも満たす必要があります。
- り災証明書で半壊以上(全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊)と判定された住家の所有者。または、被災証明書を取得し、公費解体もしくは自費解体の申請後に行う現地調査の結果、半壊以上と判定された非住家の所有者
- 令和8年7月28日時点において、その家屋等の所有者である方
空き家・店舗・倉庫は「非住家」にあたります。り災証明書ではなく被災証明書を取り、そのうえで市の現地調査を受ける、という順番です。半壊以上と判定されなければ対象になりません。
空き家は、そもそも被害の調査を受けていないことがよくあります。住んでいる人がいないため、申請そのものをしていないからです。
「り災証明書がないから無理だろう」と思って窓口に行かないまま期限が過ぎる、というのがいちばんもったいない形です。判断するのは市です。
2つ目の条件にご注意ください。基準日は令和8年7月28日です。そのあとに名義が変わった建物や、亡くなった方の名義のままになっている建物がどう扱われるかは、市のページには書かれていません。当てはまる場合は、予約の際に市へ確認してください。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
公費解体の申請は、いつから・どうやって行いますか?
申請の受付は、令和8年9月28日(月)から令和9年3月31日(水)までです。予約制で、受付は対面のみです。
市のページ(2026年9月19日更新)に書かれている進め方は、次の3段階です。
| 順番 | すること | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 予約する | Web予約は令和8年9月18日から。電話予約は9月24日(木)開始。相談だけの予約もできます |
| 2 | 書類をそろえる | り災証明書または被災証明書の写しと、申請様式 |
| 3 | 予約日に窓口で申請する | 八代市環境センター(エコエイトやつしろ)管理棟2階(八代市港町299番地)。9:00〜17:00 |
- 予約と問い合わせは公費解体予約・問合せ専用ダイヤル 0965-37-7550(9:00〜17:00)
- 休日の特別開設日は、令和8年10月4日・11日・18日・25日(いずれも日曜)
- 申請様式は市のページからダウンロードできるほか、市役所本庁舎・千丁支所・鏡支所・エコエイトやつしろ管理棟で受け取れます
どの書類が要るか
市は「必要書類チェックリスト」を公表しています。全員に共通するのは、申請書(様式1)・本人確認書類・り災証明書または被災証明書の写し・建物配置図(様式2)・状況写真(様式3)です。
建物の登記事項証明書は「受付時に市で確認できるため、提出は不要」とされています。未登記の建物の固定資産税課税明細・名寄帳も同じ扱いです。
そのうえで、状況によって書類が増えます。
| 状況 | 追加で求められるもの |
|---|---|
| 代理人が窓口に行く | 委任状(様式4)と代理人の本人確認書類 |
| 共有名義 | 共有者全員の同意書(様式5)と本人確認書類 |
| 所有者が亡くなっている | 戸籍謄本等(原本)。詳しくは下の相続の節へ |
| 抵当権などが付いている | 権利者の同意書(様式7)。支払いが終わっていれば抵当権の解除証書でも可 |
| 借家で入居中の方がいる | 居住者の同意書(様式6) |
| 隣地への立ち入りが必要 | 土地使用のご連絡(様式12) |
遠方にお住まいの方は、委任状で代理人に申請を頼めます。受付が対面だけなので、ここが実務上の分かれ目になります。
申請したあとの流れ
事前予約 → 対面申請 → 現地立ち会い(所有者の立ち会いのもと、市が工事の対象範囲を確認)→ 解体実施 → 工事完了、の順です。
解体の前に、水道・電気・ガスなどの停止は申請者が手配します。完了後、市から解体証明書が送られてきます。
解体してもらえる範囲
市のチラシによると、対象は壊れた家屋等の全体で、一部だけの撤去はできません。
- 塀・よう壁・樹木などは原則として対象外(解体工事の支障になる場合は撤去することがあるが、元には戻さない)
- 物置・倉庫、カーポート・車庫は基本的に対象外。家屋の解体工事に支障がある場合は対象となる可能性がある
- 浄化槽・便槽は、家屋と一体的に解体する場合のみ撤去可能
「更地になる」と思い込まないでください。解体のあとに土地を売ることを考えている方は、何が残るのかを現地立ち会いのときに確かめておくと、あとの見積もりが狂いません。

自分で解体してから、あとで払い戻してもらえますか?
自費解体(費用償還)という制度があります。ただし、先に壊してしまう前に市へ相談してください。市は流れの説明に「※必ず事前にご相談下さい」と添えています。
市が示している順番は、市に相談 → 市が被災の程度を確認 → 見積もりをとって契約 → 工事 → 支払い → 予約して対面申請 → 審査・償還額の決定 → 請求書の提出 → 振込です。相談と被災程度の確認が、契約より前に置かれています。
金額については、明確な断りが入っています。
支援の対象となった場合でも、解体・撤去に要した費用のうち、市の基準を超える部分は自己負担となります。
「いくらかかっても後で全部返ってくる」という制度ではありません。
空き家の自費解体は、特に順番を守ってください。
住家のり災証明書には「半壊」などの判定が書かれますが、空き家・店舗などの非住家に出る被災証明書には、被災の程度が記載されていません。市は、半壊以上と確認できないまま解体が行われると費用が償還されなくなることがあるとして、解体の前に必ず相談するよう求めています。相談のあと、市が現地で被災の程度を確認します。
倒壊のおそれがあってすでに解体した方は、解体前の写真を複数枚用意して、早めに市へ相談するよう案内されています。
残しておくべき記録
費用償還の手続きに必要になるため、市は次のものの保管を求めています。
- 解体工事前(4方向から撮影)・工事中・工事後の状況を記録した写真
- 解体工事の契約書・見積書・領収書
- 廃棄物処理の帳票類(計量伝票・マニフェスト伝票など)
遠方にお住まいで現地に行けない場合、この写真が最大の壁になります。解体業者に依頼するとき、写真を撮って送ってもらう約束を先にしておいてください。
老朽危険空き家の補助金は、いくら出ますか?
上限60万円です。計算の順番が決まっています。
“補助対象経費 = 解体・処分の費用(税抜) × 10分の8補助金の額 = 補助対象経費 × 3分の2(1,000円未満は切捨て・上限60万円)“
市が挙げている例で確かめます。
解体工事費 100万円(税抜)の場合
100 × 8/10 = 80 80 × 2/3 = 53.333… → 支給額 53万3千円
100万円の工事に対して53万3千円です。半分強と考えておくと、資金の見通しを誤りません。
対象になる建物の条件
- 概ね1年以上空き家であり、常時無人の状態で管理されないまま放置された住宅・兼用住宅とその付属建物
- 構造や設備が著しく不良で、居住に供することが著しく不適当なもの
- 倒壊や外装材の落下、またはそのおそれがあり、近隣や道路等に影響を及ぼす可能性があるもの
- 共同住宅・長屋は除く(長屋で区分所有されている場合は対象)
「該当するかどうかは、事前調査の申込みをして判定を受ける必要があります。」自己判断では決まりません。
申請できる人
市税を滞納していないことが前提で、次の方です。
- 空き家の所有者本人・相続権利者・管理者
- 空き家が所在する土地の所有者・相続権利者・管理者
「相続権利者」が入っている点が重要です。相続登記が終わっていなくても、入口で弾かれるとは限りません。
補助金の申込みは、いつまでですか?
二次(随時募集)は、令和8年6月1日から令和8年9月末までです。
一次受付(5月15日〜5月29日)は終了しており、そのあとは申込みの順番に受付となっています。
そして、条件が2つ付いています。
- 申込みの順番に受付をします
- 予定戸数に達した場合は、申込みを終了します
締切より先に、枠が埋まれば終わります。
さらに、始まりは解体の申請ではなく事前調査の申込みです。必要な書類は次のとおりです。
- 老朽危険空き家等事前調査申込書(様式第3号)
- 市税納付状況調査承諾書(様式第4号)
- 空き家の所在が把握できる地図
- 空き家の写真(全景)
このあとに現地調査と判定があり、そこで対象と認められて初めて補助の申請に進みます。
今から始めて今年度に間に合うかどうかは、市の住宅課にご確認ください。残り日数と枠の状況は、こちらでは分かりません。
相続が終わっていない空き家は、どうなりますか?
制度によって扱いが違います。
除却補助のほうは、上に書いたとおり相続権利者も申請対象者に含まれています。
被災した建物の公費解体のほうは、相続人全員が関わります。市のチェックリストは、所有者が亡くなっている場合を2つに分けています。
| 相続人が申請する場合 | 相続人が決まっていない場合 | |
|---|---|---|
| 戸籍 | 所有者の戸籍謄本等と、相続人全員との続柄が分かる戸籍謄本等(原本) | 同じ |
| 追加の書類 | 遺産分割協議書の写し | 相続人全員の同意書(様式5) |
| 本人確認 | 相続人全員の本人確認書類 | 同じ |
- 所有者の住所が八代市内だった場合、戸籍は「受付後に市で確認できるため、提出は不要」とされています
- 同意書(様式5)は氏名を自署する書式です。チェックリストが同意者について挙げているのは本人確認書類で、印鑑登録証明書は挙がっていません(2026年9月20日時点)
全員の同意がそろわないとき
ここで止まらないための道が、1つ用意されています。
全員から同意書を取ることが困難と認められる場合、宣誓書(様式第9号)を出せば、同意書の添付を省略できるとされています。宣誓書は、同意書を取れない事情(応答がない、など)と建物の状況を申告し、あとで他の相続人や共有者との間に紛争が起きたら、申請者の責任で解決すると約束する書面です。
便利な抜け道ではありません。責任を申請者が引き受ける仕組みです。連絡がつく相続人がいるのに省くためのものではない、と受け止めてください。
このほか、滅失の登記がすでに行われた場合や、申告書(様式第8号)にもとづいて市長が「建物性がない」と判断した場合も、同意書を省略できるとされています。
それでも、言えることは変わりません。
戸籍を集めて相続人を確定させる作業は、それだけで数か月かかることが珍しくありません。
受付は令和9年3月31日までです。長いように見えますが、名義を調べ始めるところからだと余裕はありません。まず相談だけの予約を入れて、自分の場合にどの書類が要るかを確かめるのが早道です。
公費解体と相続の関係は、公費解体は相続が壁になる|マニュアル第7版の要点に詳しく書いています。
気をつけていただきたいこと
災害のあとには、解体や修理を持ちかける事業者が増えます。八代市も地震の関連情報のなかで「災害後の住宅修理トラブルに注意!」と呼びかけています。
- その場で契約しない。書面を持ち帰って、複数の見積もりと比べる
- 「補助金が必ず出る」と言う相手には注意する。対象かどうかを決めるのは市で、事前調査の判定を経ます
- 解体・撤去に必要な許可・資格を持っているか確認する(除却補助では、建設業の許可書または解体工事業の届出書の写しの提出が求められます)
- 先に壊さない。自費解体は、契約の前に市へ相談するのが前提です
問い合わせ先
| 用件 | 窓口 |
|---|---|
| 公費解体・自費解体の予約と問い合わせ | 専用ダイヤル 0965-37-7550(9:00〜17:00) |
| り災証明 | 市民税課 0965-33-4107 |
| り災証明に係る建物調査 | 資産税課 0965-33-4108 |
| 災害相談窓口 | 0965-33-4452 |
| 老朽危険空き家等除却促進事業 | 住宅課 |
出典(いずれも八代市の公式ページ):令和8年熊本地震で被災した家屋等の解体・撤去について(公費解体)(同ページ掲載のチラシ・必要書類チェックリスト・様式を含む) /令和8年度 老朽危険空き家等除却促進事業 /関連情報の一覧
本稿は2026年9月17日に書き、2026年9月20日に市の新しい公表内容(申請受付の日程・必要書類・様式)に合わせて更新しました。
制度の内容と日程は変わります。申請の前に、必ず市の最新の案内をご確認ください。
よくある質問
り災証明書を取っていない空き家でも、公費解体の対象になりますか。
対象になる場合があります。八代市は、空き家・店舗・倉庫などの非住家について、被災証明書を取得したうえで、公費解体または自費解体の申請後に市が行う現地調査で半壊以上と判定されたものを対象としています。あわせて、令和8年7月28日時点の所有者であることが条件です。判断は市が行いますので、自分で諦めずに専用ダイヤルへご相談ください。
建物の一部だけを壊すのは対象になりますか。
対象外です。八代市の案内チラシには、壊れた家屋等の全体が対象で「一部だけの撤去はできません」と書かれています。塀・よう壁・庭木・物置なども原則として対象外です。母屋だけ残して納屋を壊す、といった分け方をお考えの場合は、事前に市へご確認ください。
先に自分で解体してしまいました。あとから払い戻してもらえますか。
自費解体(費用償還)という制度がありますが、八代市は必ず事前に相談するよう求めています。解体・撤去に要した費用のうち、市の基準を超える部分は自己負担です。また、空き家などの非住家は、被災の程度が半壊以上と確認できないまま解体すると償還されなくなることがあります。すでに解体した方は、解体前の写真を複数枚用意して早めに市へご相談ください。
老朽危険空き家の補助金は、いくら出ますか。
解体と処分に要した費用(税抜)に10分の8を掛けたものが補助対象経費となり、そこに3分の2を掛けた額が補助金です。上限は60万円、1,000円未満は切り捨てです。市の例では、解体工事費100万円(税抜)の場合、100×8/10=80、80×2/3=53.33…となり、支給額は53万3千円になります。
相続の手続きが終わっていない空き家でも、申請できますか。
除却補助では、所有者本人のほかに相続権利者・管理者も申請対象者に挙げられています(市税を滞納していないことが条件)。一方、被災した建物の公費解体では、所有者が亡くなっていて相続人が決まっていない場合、戸籍謄本等に加えて相続人全員の同意書(様式第5号)と本人確認書類が求められます。全員の同意を得るのが難しいと認められる場合は、宣誓書(様式第9号)で同意書の添付を省略できるとされています。
この記事の監修者
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