農振除外ができない農地は売れる?青地のまま手放す方法

シュロと雑木が茂る庭

農振除外ができない農地は売れるのか。結論から言うと、宅地に変えて売る道は閉じていても、青地のまま農業をする人に渡す道、国に帰属させる道、農地バンクに貸す道は残っています。除外を何年も待つより、青地のまま動かすほうが早いことが少なくありません。

この記事では、青地と白地の見分け方、除外が通らない典型、青地のまま渡せる相手、除外を待つか現況で手放すかの判断を整理します。農地の売却の基本は農地の売却に、市街化調整区域との重なりは市街化調整区域の農地を相続したときに書いています。

目次

青地と白地を、課税明細と農業委員会で確かめる

農業振興地域の整備に関する法律(農振法)に基づき、市町村は農業振興地域の中に「農用地区域」を定めます。この区域内の農地が通称青地で、農業に使う土地として集団的に守られています。区域の外にある農振地域内の農地が白地です。

農振除外=農用地区域から土地を外してもらう手続き。市町村が農業振興地域整備計画を変更する形で行われ、農振法13条2項の要件をすべて満たす場合に限られます。
農地転用=農地を宅地・駐車場などに変えること。農地法4条・5条の許可が要り、青地は原則として許可されません(農地法5条2項1号イ)。

自分の農地が青地かどうかは、次の順で確かめます。

確かめる場所分かること費用
固定資産税の課税明細書登記地目と現況地目、評価額。青地かどうかは直接書かれていない無料(手元にある)
市町村の農政の窓口・農業委員会地番を伝えると農用地区域の内外が分かる。地図で確認できる無料
都市計画の窓口市街化区域・市街化調整区域のどちらか無料

青地であること自体は課税明細書には出ません。地番を持って市町村に聞くのが確実で、電話で答えてくれる自治体もあります。同時に、市街化調整区域かどうかも聞いておくと、使える手続きが一度に絞れます。

除外が通らない典型

農振除外が通らないのは、担当者の裁量ではなく、法律が除外できる場合を限定しているためです。農振法13条2項は、次のすべてを満たす場合に限って除外できると定めています(農業振興地域の整備に関する法律13条)。

農振除外が通るために越えなければならない6つの要件を示した図解
一つでも欠けると除外できない。多くの土地は最初の壁で止まる
要件(農振法13条2項)実際に止まりやすい理由
1号 農用地区域以外の土地で代えることが困難「その土地でなければならない理由」を求められる。売りたいだけでは通らない
2号 地域計画の達成に支障がない地域で決めた農地利用の計画に入っている土地は外しにくい
3号 農地の集団化・農作業の効率化に支障がない田んぼが並ぶ真ん中の一筆は、周りの営農に影響する
4号 担い手への農地の集積に支障がない農地バンクなどで集約が進んでいる区域は外しにくい
5号 農業用排水施設などの機能に支障がない用水路・排水路の上流下流に影響する土地
6号 土地改良事業の完了から8年を経過圃場整備をした区域は、工事完了の翌年度から8年間は外せない(同法施行令9条)

「除外の申出をすれば、いずれ通る」ものではありません。1号の「その土地でなければならない理由」は、売却や相続税の支払いといった所有者側の事情では満たせないのが通常です。集団的な農地の中にある一筆は、何度申し出ても結論は同じになりやすい土地です。

申出で実際に見られる点

審査の物差しは自治体が公表していることがあります。例えば岩手県北上市の案内では、1号要件について次のような点を確認するとしています(北上市「農振除外の申出にあたって」)。

見られる点中身
規模の妥当性除外理由となる事業や居住の目的からみて、必要最小限の面積か
具体性除外後すぐに農地以外に使う事業計画があるか
緊急性不要不急の用途でないか。農地を売却したい、管理面から手放したいといった除外目的は不可と明記されている
代替地の検討自己・親族の所有地や、農用地区域外(白地)の土地を検討し、選べなかった明確な理由があるか

同じ案内では、4号要件について申出地に利用権や抵当権が設定されていないか、さらに転用許可や開発許可の見込みがあるかも事前に確認するよう求めています。つまり除外は、「次に何を建てるか」が決まっている人のための手続きで、売るために外すという順番は想定されていません。

申出の受付時期や結論までの期間は自治体ごとに異なります。北上市の案内では、受付期間の締切から除外の完了まで概ね6か月程度としています。年に数回の受付に間に合わなければ次の回を待つことになり、県との協議を経て結論が出るまで、年単位でかかることがあります。

令和7年4月からは、県の同意の判断も厳しくなった

農振法は令和6年に改正され(令和6年法律第62号)、令和7年4月1日から施行されています(和歌山県 農業振興地域の整備に関する法律の改正について)。除外に関わる変更は次のとおりです。

改正前令和7年4月1日以降(農振法13条5項・6項)
市町村が除外の計画変更をするとき、都道府県知事に協議し同意を得る同意の条件として、13条2項の6要件に加えて「都道府県面積目標の達成に支障を及ぼすおそれがない」ことが明記された
—集団的な農用地であることなどから面積目標に影響するおそれがあるとき、県は市町村に、影響を緩和する措置を書いた書面の提出を求める

都道府県は、農用地区域内の農地をどれだけ確保するかの面積目標を定めることになりました。市町村が除外してよいと判断しても、県の面積目標の点で止まり得るということです。改正前に「隣の土地は通った」という話があっても、いまの基準で同じ結論になるとは限りません。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

青地のまま売れる相手

除外を待たずに動かす道です。青地は「農地でなくなる」ことができないだけで、「農地として渡す」ことはできます。

渡す相手手続き先に出す費用現実味
近隣の農家・農業法人農地法3条の許可原則なし耕作している人が隣にいれば最も早い
農地バンク(農地中間管理機構)への貸付け機構との契約原則なし借り手が付く条件の農地なら。所有は続く
国(相続土地国庫帰属制度)法務局へ申請手数料1筆14,000円+負担金農用地区域内は負担金が面積で算定され高額になりやすい
農業委員会のあっせん届出や相談のときにあっせんを希望原則なし近隣の農家などに借り手・買い手がいれば。内容は自治体によって異なる

3条の許可は、買う側が農地の全部を効率的に利用し、農作業に常時従事する見込みがあることなどが条件です(農地法3条2項)。令和5年4月1日に下限面積の要件が廃止され、小さな農地でも許可の対象になりました(前橋市 農地法の下限面積廃止について)。

国庫帰属の負担金は、青地だと大きくなる

農用地区域内の農地は「国が農地として管理する土地」として、面積に応じた負担金になります(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令5条)。

  • 500平方メートル:723,000円
  • 1,000平方メートル:1,128,000円
  • 2,000平方メートル:1,868,000円
  • 農用地区域外の農地:原則20万円

相続した農地に限られ、境界が明らかでない土地は申請できません。制度の全体は相続土地国庫帰属制度に整理しています。

青地かどうか分からない段階でも、所在地と地番をお知らせください。農地として使われている田畑そのものは当社では取得できませんが、現況が農地でなくなっている土地などは、物件ごとに確認します。

除外を待つか、現況で手放すか

「除外が通れば宅地として高く売れるはず」という期待は分かります。ただ、その間に出ていくものと、通る見込みを冷静に並べる必要があります。

農振除外を待つ場合と青地のまま手放す場合を、期間・費用・確実性で比べた図解
待つ間も固定資産税と管理は続く。通る見込みが薄いなら、青地のまま動かす
比べる点除外を待つ青地のまま手放す
期間受付から結論まで年単位。通らないこともある相手が決まれば数か月
待つ間の負担固定資産税・草刈り・意向調査への対応が続く決済まで
通ったあとさらに転用許可(4条・5条)が要る不要
価格の考え方宅地の価格に近づく可能性農地の価格。宅地とは別物
向いている土地集落や道路に接し、周りが既に宅地化している白地寄りの土地集団的な農地の中、圃場整備済み、担い手が集約中の土地
  • 市町村に地番を伝え、青地かどうかと、直近の除外の申出で似た位置の土地が通ったかを聞く
  • 土地改良事業(圃場整備)の完了年度を聞く。8年以内なら申出は通らない
  • 耕作していないなら、農業委員会の意向調査に答えて、貸す意思か手放す意思を示しておく

耕作していない青地は、放置すると農業委員会の利用意向調査の対象になり、勧告まで進むと固定資産税の課税強化があります。耕作放棄地の扱いは耕作放棄地を相続したときの記事で、相続の届出は農地の売却で扱っています。

  • 除外が通るまで何もしない — 通らない土地に年単位の固定資産税と管理を払い続けることになります
  • 除外なしで盛土や資材置場にする — 無許可転用として原状回復を命じられることがあります
  • 宅地の相場で青地の値段を考える — 買い手が農業者に限られる以上、価格の物差しが違います

相談先へ行く前に、青地かどうかを手元で確かめる

農振除外が通らないときも、次の点を手元で確かめておくと、相談先で話が早く進みます。

  • 区域。 農用地区域の内外、市街化調整区域かどうか
  • 現況。 耕作の有無、雑木の状態、水路と農道が使えるか
  • 周辺。 隣接する農地の耕作者、担い手の有無
  • 権利関係。 相続登記の状況、共有か、農地の届出が出ているか

青地で先に決まるのは、価格ではなく「誰に渡せるか」です。区域と周辺の耕作者が分かれば、3条許可で渡せる相手の見当が付きます。区域は市町村の農政窓口や農業委員会で確認できます。ただし、許可や区域の制限で成立しないこともあります。

農地の税務は税理士へ、登記は司法書士へご確認ください。所在地と地番、課税明細書があれば、青地かどうかの確認が進めやすくなります。農地(田・畑)を農地のまま取得することはできませんが、非農地証明が取れる土地や市街化区域内の農地は対応できる場合があります(物件ごとに確認します)。手放し方は農地の手放し方・相談先にまとめています。

よくある質問

農振除外とは何ですか。青地・白地とはどう違いますか。

農業振興地域の中で、特に農業に使うと市町村が定めた区域が農用地区域で、通称「青地」です。農用地区域から外してもらう手続きが農振除外で、外れた土地や、もともと農用地区域に入っていない農振地域内の農地を「白地」と呼びます。青地は原則として転用の許可が下りないため、宅地などに変えて売るには先に除外が要ります。

農振除外はなぜ通らないのですか。

農業振興地域の整備に関する法律13条2項が、除外できる場合を限定しているためです。他に代わる土地がないこと、地域計画の達成に支障がないこと、農地の集団化や農作業の効率化に支障がないこと、担い手への集積に支障がないこと、農業用の施設の機能に支障がないこと、土地改良事業の完了から8年を経ていることのすべてを満たす必要があります。集団的な農地の真ん中にある土地は、最初の要件で止まります。

農地を売りたいという理由で農振除外を申し出られますか。

売却や管理の負担を理由にした除外は、通らないのが通常です。除外は、除外後すぐに農地以外に使う具体的な事業計画があり、農用地区域外の土地では代えられない場合の手続きです。自治体によっては、農地を売却したい、管理面から手放したいといった除外目的は不可と案内しています。また令和7年4月1日施行の改正で、都道府県が除外に同意する条件に、都道府県の農用地の面積目標の達成に支障がないことが加わりました。

青地のままでも売れるのですか。

農地のまま、農業をする人や農業法人に売ることはできます。農地法3条の許可が要り、買う側が農地の全部を効率的に利用し農作業に常時従事する見込みがあることが条件です。令和5年4月に下限面積の要件が廃止されたため、小さな農地でも許可の対象になります。ただし買い手が農業者に限られるため、価格は宅地の感覚とは大きく違います。

相続土地国庫帰属制度で青地を引き取ってもらえますか。

相続した農地なら申請できますが、農用地区域内の農地は負担金が面積で算定されます。例えば1,000平方メートルで1,128,000円、2,000平方メートルで1,868,000円が目安です。農用地区域外の農地なら原則20万円です。境界が明らかでない土地は申請できず、審査手数料1筆14,000円は不承認でも戻りません。

青地の農地を現況のまま引き受けてもらえますか。

農地のままでは取得できません。ただし、農業委員会の非農地証明が取れる土地や、市街化区域内の農地(転用の届出で済むもの)は、対応できる場合があります。扱えるかは物件ごとに確認します。農用地区域内の農地は、農地以外にするための許可は原則としてすることができないとされています(農地法5条2項、例外あり)。手放し方としては、農業委員会への相談、農地バンク、相続土地国庫帰属制度などがあります。詳しくは「農地の手放し方・相談先」のページをご覧ください。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

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現地に行ったことがなくても、地番か所在地が分かれば当社で調べます。

お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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