秋田の空き家が解体できない理由と、費用をかけない出口

雪に埋もれた山あいの建物と門扉

秋田の空き家は、解体費を先に払えないという理由で止まっているケースが多くあります。この記事では、解体を前提にせずに手放す方法と、県内でも自治体ごとに解体補助金の条件が大きく違う実態を、公表資料をもとに整理します。

先に結論をお伝えします。解体は、手放すための必須条件ではありません。建物が建ったままの現況で引き受けられる場合があり、その場合は解体費・片付け費を売主様が先に出す必要がなくなります。

目次

秋田の空き家で「解体できない」が起きやすい理由

秋田で空き家が動かなくなるのは、持ち主の判断が遅いからではありません。建物の作りと、雪と、住んでいる人の距離という3つの条件が重なるためです。

まず建物です。令和5年住宅・土地統計調査(2023年10月1日現在)の秋田県分では、居住世帯のある住宅に占める木造率が 88.8%で全国第1位、一戸建率も 79.4%で全国第1位、持ち家住宅率も 77.1%で全国第1位 でした。

つまり秋田は、木造の持ち家の戸建がほぼすべて、という県です。木造の戸建は、人が住まなくなると傷みが早く進みます。

そこに雪が乗ります。国土交通省の指定状況では、秋田県は全県が豪雪地帯に指定されており、25市町村すべてが対象です。さらにそのうち 13市町村(8市3町2村)が特別豪雪地帯に指定されています。

豪雪地帯=積雪の度合いなどを勘案し、政令で定める基準に従って国が指定した地域のこと。特別豪雪地帯は、そのなかでもとくに積雪が多く、住民の生活に支障が生じる程度が著しい地域を指します。

住んでいれば雪下ろしをします。空き家になると誰もしません。雪の重みは屋根から下屋・物置・カーポートへと順に効いてきて、数シーズンで傾きや抜けが出ます。傷みが進むほど解体費は上がり、買い手はさらに減ります。

最後に距離です。同じ調査では、秋田県の高齢単身世帯のうち 子の居住地が1時間以上の場所にある世帯が28.8%、高齢者のいる夫婦のみの世帯では 38.6% でした。

家を引き継ぐ側が県外にいる、という状態がすでに数字として出ています。雪の季節に様子を見に行くことも、業者と現地で立ち会うことも簡単ではありません。遠方の実家をお持ちの方が動けなくなるのは、この距離が理由です。

なお秋田県の空き家は69,500戸、空き家率は15.8%で、5年前より8,700戸(14.3%)増えています。総住宅数そのものは減っているなかで、空き家だけが増え続けている状態です。

雪に埋もれた門扉と伸び放題の庭
雪が乗り続けると、屋根より先に下屋や物置が傾きます

解体の補助金は、同じ県内でも条件がそろっていない

「解体には補助金が出るらしい」と聞いて調べ始めた方が、そこで止まってしまうことがよくあります。理由は単純で、空き家の解体補助は県の制度ではなく、市町村ごとの制度だからです。

同じ秋田県内でも、補助率も上限額も要件も別物です。2026年8月時点の各市の公表資料を並べてみます。

補助率と上限主な条件
秋田市対象経費の2分の1・上限50万円特定空家等または不良住宅。1年以上使用されていない個人所有のもの。先に「補助対象空き家」の認定申請が必要
横手市対象経費の30%以内・上限15万円特定空家等で、市の助言又は指導を受けていること。市内に営業所のある解体業者の工事に限る
大仙市危険空き家は5分の4・上限200万円/築40年以上の老朽空き家は2分の1・上限30万円区分によって上限が大きく変わる。老朽空き家は昭和57年以降の建築だと上限が下がる
秋田県内3市の解体補助金の条件の違い
同じ県内でも、補助率・上限・使える業者の条件がそろっていません

上限額だけを見ても15万円から200万円まで開きます。しかも金額以外の条件が効きます。

横手市は施工業者を市内に営業所がある事業者に限定しています。大仙市は同じ市の中でも、危険と判断された空き家か、築40年以上の老朽空き家かで上限が6倍以上変わります。鹿角市には「危険老朽空き家除却費補助金」があり、市の実態調査で倒壊のおそれの危険度・緊急度が高いと判断された空き家が対象とされています。

予算と期間の枠があります。
秋田市の老朽危険空き家解体撤去補助金は、2026年5月21日時点で認定申請が予算上限に達し、受付を終了していました。横手市の空家等除却費補助事業も申請期間が5月から10月までと区切られています。「今年は間に合わなかった」ということが実際に起こります。

もう一点、見落とされがちなことがあります。補助金の多くは工事が終わってから支払われるため、解体費はいったん全額を自分で用意することになります。上限50万円の補助が使えても、200万円の工事なら150万円は先に出す必要があります。

「解体費が出せない」という状態は、補助金があっても解消しないことがあるのです。

解体を先にした場合に止まりやすい5か所
順番に見ていくと、どこで止まるかが分かります

当社は全国からご相談を受けているため、こうした市町村ごとの運用の違いを横に並べて見ることができます。ひとつの市の制度だけを見て「補助が出るなら解体しよう」と決めると、隣の市とまったく条件が違うことに後から気づく、ということが起こります。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

「更地にして国に引き取ってもらう」で詰まるところ

相続土地国庫帰属制度を検討される方も増えました。相続や遺贈で取得した土地を、国に引き取ってもらえる制度です。

ただし、この制度には申請の段階で直ちに却下される要件があり、その先頭が「建物がある土地」です(法務省)。空き家が建っている限り、そもそも申請ができません。

  • 建物がある土地(解体して更地にすることが前提になる)
  • 抵当権や地上権などが設定されている土地
  • 他人の利用が予定されている土地(道路・墓地・水路など)
  • 土壌汚染がある土地
  • 境界が明らかでない土地、所有権に争いがある土地

さらに審査手数料が土地一筆当たり14,000円かかり、却下や不承認になっても返還されません。承認された場合は、国が管理する費用の一部として負担金の納付も必要です。

つまりこの制度は、解体費を払い、境界を確定させ、そのうえで手数料と負担金を払って引き取ってもらう仕組みです。売れない土地の処分の選択肢としては有効ですが、費用をかけずに手放したい方の答えにはなりにくい、というのが実際のところです。

当社への相談は、秋田県からがいちばん多い

当社に寄せられるご相談を所在地別に見ると、秋田県は最も多い地域のひとつです。北海道・新潟県・山口県・福岡県といった、同じように雪や過疎の影響を受ける地域が並びます。

これは営業活動の結果ではありません。木造の持ち家戸建が多く、雪で傷みやすく、引き継ぐ側が離れて暮らしている——という条件が重なった地域から、自然にご相談が集まった結果です。

ご相談の内容にも、はっきりした傾向があります。

「高く売りたい」より「これ以上お金をかけたくない」
「0円でもいいので手放したい」「解体費がかかるので、むしろ引き取ってほしい」——このかたちのご相談が最も多く、解体費用に触れるものが目立ちます。

価格の話をする前に、持ち続けるコストと、先に費用を出さずに済むかどうかを確認したい。それが実際の売主様の関心です。

一方で、当社がすべてを買い取れるわけではありません。物件の状態、権利関係、隣地との関係によっては引き受けられない場合があり、個別の判断になります。

実際に扱った物件から

秋田県北部の市で、木造の戸建を複数引き受けています。共通していたのは次のような状態でした。

  • 築40年を超える木造の平屋または2階建て
  • 冬の間に下屋や物置が雪で傾き、一部が抜けていた
  • 家財がそのまま残っていて、片付けの見積りだけで数十万円と言われていた
  • 相続人が県外に住んでいて、現地に通えない状態が数年続いていた

いずれも、解体・片付け・測量を売主様に先にお願いする形は取っていません。現況のまま買い取り、取得後に当社の負担で家財の処分と建物の判断をしています。

買った後に自社で片付ける前提で価格を見ているため、片付いていないこと自体が断る理由にはなりません。「この状態では恥ずかしくて相談できない」と言われることがありますが、その状態のままで結構です。

個別の案件が特定できる形での紹介は控えています。所在地の詳細・築年数の正確な数字・取引金額はお出ししていません。

仲介で断られる理由と、現況のまま引き取る場合の違い

「地元の不動産会社に、買い手がいないと言われた」というご相談も多く届きます。ただしそれは、物件に価値がないという意味とは限りません。

仲介は買い手を探して待つ仕組みです。買い手の母数が小さい地域では、待っても現れないことがあります。加えて、雪で傾いた建物・家財が残った家・境界が不明な土地は、一般の買い手にとって判断が難しく、扱いを避けられがちです。

買取は、業者自身が買主になります。成立の仕方が違うため、仲介で預かってもらえなかった物件でも話が進む場合があります。

仲介で売る現況のまま引き取る
解体求められることが多い不要(費用の先出しなし)
家財の片付け売主が行うのが一般的残したままで可
測量・境界の確定求められることが多い状況に応じて当社が対応
買い手が現れるまで期間の見通しが立たない買主が決まっている
途中で発生する費用解体費・処分費などを先に負担売主の先出しは想定していない

再建築不可の土地、市街化調整区域の土地、相続した空き家、共有持分だけを持っている状態、農地や山林が付いている場合も、同じ考え方で見ています。

手残りで比べる

判断のときは、価格そのものではなく最後に手元に残る額で比べてください。仮に解体費が180万円かかり、補助の上限が50万円だった場合を並べます。

解体してから売る現況のまま引き取ってもらう
先に出す費用解体費180万円(補助は工事後に交付)なし
戻ってくる補助上限50万円(要件を満たし、枠がある場合)
更地にした後の税住宅用地の特例が外れ、固定資産税の課税標準が上がる引き渡し後は所有者ではなくなる
手放せる時期認定・申請・工事で1年を超えることがある状況が整えば数か月

住宅用地の特例について住宅が建っている土地は、固定資産税の課税標準が200平方メートル以下の部分で6分の1、それを超える部分で3分の1に軽減されています(地方税法)。更地にするとこの軽減が外れるため、解体後に税負担が上がることがあります。解体を検討する際は、この点も一緒に確認してください。

雪の季節は工事が止まります。「今年中に片づけよう」と思って動き始めても、着工が翌春になり、その間の管理と税負担が続く、という形になりがちです。時間も費用のうちだと考えて比べてください。

具体的な税額や相続の手続きについては、税理士・司法書士にもご確認ください。当社では提携する専門家と連携して進めます。

物件の所在地と、分かる範囲の状況をお知らせいただければ、引き受けられるかどうかをお答えします。鍵がなくても、何年も見ていない状態でも、権利関係が整理できていなくても構いません。まずはご相談ください。

よくある質問

秋田の空き家は、解体してからでないと売れませんか。

解体を前提にする必要はありません。当社は建物が残ったままの現況で引き受けることを基本にしており、解体費を売主様に先にご負担いただく形は取っていません。ただし物件の状態や権利関係によっては引き受けられない場合もあり、個別の判断になります。

解体費の補助金は、秋田県内ならどこでも同じですか。

同じではありません。補助は市町村ごとの制度で、補助率も上限額も要件も異なります。2026年8月時点の公表資料では、上限額が15万円の市もあれば、区分によっては200万円の市もあります。申請できる期間や、使える解体業者を市内に限る条件を設けている市町村もあるため、必ず所在地の市町村にご確認ください。

雪で建物が傾いています。この状態でも相談できますか。

ご相談いただけます。傾き・屋根の抜け・家財の残置は、当社が普段から扱っている状態です。倒壊のおそれがある場合は現地の安全を先に確認する必要がありますので、状況が分かる写真があればお送りください。危険な状態での立ち入りはご遠慮ください。

相続した実家が秋田にあり、私は県外に住んでいます。帰らずに進められますか。

遠方にお住まいのままで進められる場合が多くあります。現地調査・家財の確認・解体の見積りのために何度も帰省していただく形は取っていません。書類のやり取りと決済は郵送や司法書士の立ち会いで完結させることができます。

解体して更地にすれば、国に引き取ってもらえますか。

相続土地国庫帰属制度は、建物がある土地は申請の段階で却下されるため、更地にすることが前提になります。加えて審査手数料が土地一筆当たり14,000円かかり、却下や不承認でも返還されません。承認された場合は別途負担金の納付も必要です。解体費まで含めると総額が大きくなるため、更地にする前に他の出口と比べることをおすすめします。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

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片付け・解体・測量の費用を、先にご負担いただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。

お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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