抵当権が付いたまま相続した家|まず団信を確かめる

抵当権が付いた家を相続したとき、最初にやることは団体信用生命保険の確認です。借金を引き継いだと思い込んで動き出す前に、ここを確かめてください。住宅ローンなら、亡くなった時点で残債が消えていることがあります。この記事では、団信がある場合とない場合で何が変わるか、売って返す道、相続放棄を判断する材料を整理します。

目次

まず、団信を確かめる

住宅ローンの多くは団体信用生命保険(団信)とセットになっています。借りた人が亡くなったとき、保険金でローンが完済される仕組みです。

団信が効いていれば、残債はもうありません。
残っているのは登記簿上の抵当権だけなので、抹消の手続きをすれば終わりです。
これを知らずに相続放棄を検討したり、慌てて売ろうとしたりする方がいます。

確かめ方はひとつです。借入先の金融機関に連絡してください。死亡の事実を伝えれば、団信の有無と残債の状況を教えてもらえます。

返済用の口座を止める前に確認してください。
口座を凍結したり解約したりすると、団信の請求手続きが複雑になることがあります。

団信の有無で相続後の扱いがどう分かれるかを示した図解
抵当権は消えない。まず何を確かめるか

団信が無い・対象外だったとき

事業用のローンや古い借入では、団信が付いていないことがあります。その場合、債務も相続の対象になります。

第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

——民法第896条(e-Gov法令検索)

債務は法定相続分に応じて、当然に分かれます。ここで誤解が起きやすい点があります。

  • 遺産分割で「長男が全部払う」と決めても、金融機関には主張できません
  • 他の相続人も、法定相続分に応じて債務を負ったままです
  • 一人にまとめるには、金融機関の承諾を得た免責的債務引受という手続きが要ります

相続人の間の取り決めと、債権者との関係は別だと覚えておいてください。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

抵当権は、返さないと消えない

抵当権は、担保している債務が完済されて初めて抹消できます。登記簿に残ったままでは、買主に引き渡せません。

売って返す場合の流れはこうなります。

やること
1金融機関に残債の額と、売却の意向を伝える
2売却価格の見込みを立て、残債を返しきれるかを確かめる
3返しきれるなら、決済と同時に完済し、抵当権を抹消して引き渡す
4返しきれないなら、金融機関と協議して抵当権を外してもらう(任意売却)

4に進む場合、早い段階で相談してください。滞納が続いてから動くと、選べる手が減ります。

古い抵当権が残っているだけのこともある

登記簿に抵当権が載っていても、すでに完済されていて抹消の手続きだけが残っているというケースもよくあります。とくに何十年も前の借入では珍しくありません。

貸主が既に亡くなっていたり、会社が無くなっていたりして手続きが進まない場合の扱いは、休眠抵当権の抹消にまとめています。残債があるのか、登記だけが残っているのかを、まず切り分けてください。

根抵当権が付いている場合は、完済しても自動では消えません。根抵当権が付いた不動産の売却をご覧ください。

相続放棄を考える前に

「借金があるなら放棄したほうがいい」と考える前に、次を確かめてください。

  • 団信で残債が消えていないか(消えていれば放棄する理由がなくなります)
  • 残債の額と、不動産の価値(売って返せるなら放棄は不要です)
  • 他にどんな財産があるか(放棄すると預貯金も一緒に放棄することになります)
  • 期限(原則として相続を知ってから3か月)

放棄しても、次の管理者に引き継ぐまで管理の責任が残る場合があります。詳しくは相続放棄と空き家の管理義務に書きました。

進め方の順番

  1. 登記事項証明書を取り、抵当権の内容を確認する(債権者・債権額・設定日)
  2. 借入先の金融機関に連絡する。団信の有無と現在の残債を聞く
  3. 団信で完済されていれば → 抵当権抹消の手続きだけ
  4. 残債があれば → 不動産の価値と比べる
  5. 売って返す方針なら、金融機関に売却の意向を先に伝える

2がすべての起点です。ここを飛ばして判断すると、必要のない相続放棄をしてしまうことがあります。

当社は残債やローンが絡む物件も扱っています。残債を先に整理してから持ってきていただく必要はありません。ただし売却価格が残債を下回る場合は金融機関の同意が要るため、状況によってお引き受けできないことがあります。まず所在地と、分かる範囲の残債の状況をお知らせください。

よくある質問

抵当権が付いた家を相続したら、借金も引き継ぎますか。

原則として引き継ぎます。民法896条により、相続人は被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するためです。ただし住宅ローンの場合、団体信用生命保険に加入していれば亡くなった時点で残債が保険金で完済されていることがあります。まずそこを確かめてください。

団体信用生命保険に入っていたかどうかは、どう調べますか。

借入先の金融機関に連絡するのが確実です。死亡の事実を伝えれば、団信の有無と残債の状況を教えてもらえます。契約時の書類が残っていれば、金銭消費貸借契約書や団信の申込書で確認できることもあります。返済用の口座を止める前に確かめてください。

遺産分割で「長男が全部払う」と決めれば、他の相続人は関係なくなりますか。

相続人の間ではその取り決めが有効ですが、債権者である金融機関には主張できません。金融機関の同意がない限り、他の相続人も法定相続分に応じて債務を負ったままです。免責的債務引受という手続きを、金融機関の承諾を得て行う必要があります。

売った代金で残債を返しきれない場合はどうなりますか。

抵当権は残債が完済されないと抹消されないため、そのままでは引き渡せません。不足分を他の資金で補うか、金融機関と協議して抵当権を外してもらう任意売却の形を取ることになります。早い段階で金融機関に相談してください。

相続放棄したほうがいいですか。

残債と不動産の価値を比べてから判断してください。放棄すると預貯金など他の財産も一緒に放棄することになり、原則として3か月の期限もあります。また放棄しても、次の管理者に引き継ぐまで管理の責任が残る場合があります。金額を確かめずに決めないでください。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家ごみ屋敷再建築不可市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

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お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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