地中埋設物が出てきたら売主の責任は?調べずに売る前の考え方

山を背にした更地に積み上げられた廃材

更地にして売ろうと整地を頼んだら、業者から「基礎が残っています」と言われた。あるいは、まだ何も出ていないが、昔ここに建物があったのは覚えている。そういう土地の持ち主が、売主としてどこまで責任を負うのかを整理します。

責任は、売る前に知っていたか、契約書に何を書いたかで変わります。調べずに売ることもできます。ただし、心当たりは伝えます。

目次

買主は、掘ってみるまで費用が読めない

地中埋設物とは、土の中に残った古い基礎、がれき、浄化槽、井戸などのことです。昔の建物を壊したときの残りが、そのまま埋まっていることがあります。

買主が嫌がるのは、埋設物そのものより、出てきたあとの負担が決まっていないことです。新築の基礎工事で撤去が要るかもしれない。浄化槽や井戸なら、埋め戻し方の確認や安全な処理が要るかもしれない。

何が埋まっているか分からなければ、調査の費用も、出たあとに誰が持つのかも決まりません。

なお、地中埋設物と土壌汚染は別の話です。ここで扱うのは、がれき・古い基礎・浄化槽のような「物」が埋まっている場合です。

土壌汚染は、人の健康に被害が生じるおそれがあるとして政令で定められた「特定有害物質」で土が汚れている状態で、土壌汚染対策法が扱います(土壌汚染対策法第2条(e-Gov法令検索))。

工場や事業場だった土地など、汚染の心当たりがあるなら、土地のある自治体の環境担当窓口へ。

売る前後で、責任が分かれる場面
知っているか、伝えたか、契約書に書いたか

上物が古いなら、空き家の解体費用は何で決まる?も見てみてください。

売主の責任は、民法のどこで決まるか

引き渡した土地が契約の内容に合わなかったときの責任を、契約不適合責任といいます。

条文内容
562条引き渡された目的物が契約の内容に適合しないとき、買主は修補などの追完を請求できる
566条不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除ができなくなる。売主が引渡しの時に知っていた、または重大な過失で知らなかった場合は別
572条責任を負わない特約をしても、売主が知りながら告げなかった事実は免れない

572条は、こう書いてあります。

売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

——民法第572条(e-Gov法令検索)

ここから言えるのは、知っていることは書面で伝える、の一点です。責任が生じるかは事情で変わるので、個別の判断は弁護士に任せてください。現況渡しの考え方は現況渡しとはにあります。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

調べずに売るなら、心当たりを具体的に伝える

売る前に地中を調べると、費用が先に出ます。調べずに売るなら、伝える中身が勝負になります。

書き出すのは、昔の建物がいつ頃何だったか、解体したのはいつか。解体のとき、基礎を残したのか、がれきを埋めたのか。浄化槽や井戸を使っていたのか、埋め戻したのか。同じ区画で、工事のときに何か出たという話を聞いたか。

「知らない」と「聞いたことがある」は、伝える内容がまるで違います。曖昧な記憶も、曖昧なまま伝えるのが無難です。

記憶だけでなく、手に入る資料で裏付けておくと具体的になります。昔の建物が登記されていれば、閉鎖された登記の記録から、その建物の種類や、いつ建ち、いつ壊されたかが分かります。

登記されていなかった建物や、壊したあとに滅失の登記をしていない建物は、ここからは分かりません。古い住宅地図は図書館などで見られます。国土地理院の過去の空中写真からは、年代ごとの土地の使われ方が分かります。

解体時の契約書・領収書・写真があれば、基礎やがれきを撤去したのか残したのかの根拠になります。

閉鎖された登記の記録は、法務局で閉鎖事項証明書として請求できます。電磁的記録になっているものはオンラインでも請求できます(法務省 オンラインによる登記事項証明書等の交付請求(不動産登記関係))。

コンピュータ化より前の古い登記簿は、登記所ごとに扱いが違うので、管轄の法務局に聞いてください。空中写真は、国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスで、場所と年代を指定して探せます。

分かったことは、売買契約の前に、物件状況報告書(告知書)に書いて買主に渡します。たとえば「過去に建物があり、基礎や浄化槽が地中に残っている可能性がある。調査はしていない」と事実のとおりに書く。

契約書にも、買主がそれを承知で買うことを書き添えます。最終的な文言は、契約を扱う不動産会社か弁護士に確かめてください。

撤去してから売る道は、費用が先に出る

自分で動くなら、撤去してから売る道と、調査してから売る道があります。どちらも費用が先です。

撤去や調査の費用は、土地の条件で大きく変わります。売ると決めていても、売値が費用に届かないことがあります。見積もりを契約する前に、売り方を決めてください。

費用の目安を示した国や自治体の公開資料は、確認できた範囲では見当たりませんでした。見積もりを取るなら、次が入っているかを見てください。

見積もりで見ること理由
調査の方法と範囲(試し掘りの箇所数・深さ)調べていない場所から出たときの扱いが変わる
撤去の範囲と、範囲外から出たときの追加費用掘ってから金額が増えることがある
撤去物の処分費と処分先処分費が別立てのことがある
埋め戻し・整地の費用撤去後の土地の状態が決まる
重機の搬入出、道路使用に関わる費用前面道路が狭いと変わる
撤去を示す書類(写真・報告書)が出るか買主に伝える根拠になる

売り方の違いは買取と仲介の違い、売れない土地の出口全体はいらない土地の処分方法に書いています。

当社が見る点

当社は、地中の調査も撤去もしていない土地の相談を、訳あり物件の買取相談として受けています。土地の履歴の確認は当社でも行うので、相談の時点で資料がそろっていなくても構いません。

試し掘りをしていない土地では、地中に何があるかは誰にも分かりません。そのため当社は、昔どんな建物が建っていたか、解体のときの契約書や写真が残っているかを見て、残っている可能性をどこまで説明できるかで条件を考えます。

調べられる範囲に限りがあるのは、どの土地でも同じです。地中埋設物の例ではありませんが、都市計画も接道も上下水道も資料がそろっていない築60年超の家を、「分かっていない」と書いたうえで現況のまま引き受けた例があります(取り扱い例)。

分からないことを分からないと書いておけば、話は進められます。

  • 昔の建物の有無と時期、解体したときの記憶や記録
  • 浄化槽や井戸など、地中に残っていそうなものの心当たり
  • 接道・権利関係・境界などの土地の条件と、建物や残置物の有無

お引き受けになることもあります。他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。

掘る前の土地を、今のまま渡せるか

撤去工事を頼む前に、現況のまま相談してみる。出てくるかも分からないものに、先に費用を出さずに済む順番です。

地中埋設物がありそうな土地の3つの出口
先に出る費用で、選ぶ道が分かれる

所在地と、昔の建物についての心当たりを教えてください。返事は翌営業日までにお返しします。遠方でも、現地にお越しいただかずに契約から決済まで進められます。

税務や法務の判断は、税理士・司法書士・弁護士にご確認ください。

よくある質問

売った土地から古い基礎が出てきました。撤去は売主ですか。

一律には決まりません。民法562条は、引き渡された目的物が契約の内容に適合しないとき、買主が追完を請求できると定めています。契約書に何を書いたか、売主が知っていたかで変わるため、弁護士にご確認ください。

埋まっているのを知らずに売ったら、どうなりますか。

知らなかった事実の扱いは、契約書の内容と事情で変わります。民法572条は、知りながら告げなかった事実には、責任を負わない特約が効かないと定めています。

買主はいつまで文句を言えますか。

民法566条は、種類や品質の不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、買主は追完請求や代金減額などができなくなると定めています。売主が引渡しの時に知っていた場合や、重大な過失で知らなかった場合は、この限りではありません。

このほか、債権の一般の消滅時効(民法166条:権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年)もかかります。

売る前に、地面を掘って調べておくべきですか。

費用と土地の履歴しだいです。調べずに売るなら、建物が建っていた時期や心当たりを買主に伝えるのが前提になります。調査を頼む前に、一度ご相談ください。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

このような物件のご相談は、訳あり不動産の買取相談のページへ。

「売れない」と言われた不動産を、どうするか

どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。

相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。

片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。

資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。

どこで断られたかを伺うことはしません。断られた理由の方が、判断に必要です。

お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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