空き家の処分費用は何で決まる?解体費・追加費用と、壊さず手放す道

ひび割れた外壁と崩れた屋根

空き家の解体費用は、建物の構造と床面積だけでは決まりません。重機が入れるか、家財が残っているか、石綿(アスベスト)が使われているかで、同じ広さの家でも総額は大きく変わります。この記事では、解体費用を押し上げる要因と、見積もりに入りにくい追加費用、持ち主に回ってくる届出と登記、そして解体せずに手放す道を順に整理します。

金額の目安は、地域や時期、建物ごとの差が大きく、一律の数字は出せません。ここでは見積もりのどこを見れば、あとから増えるかどうかが分かるかに絞って書きます。

目次

解体費用は「建物」「立地」「中身」の3つで決まる

解体の見積もりは、建物を壊して運び出す費用だけでできているわけではありません。大きく分けると、建物そのもの、敷地とその周り、家の中と地面の下、の3つが積み上がって総額になります。

分類金額を左右するもの増えやすい方向
建物構造(木造・鉄骨・鉄筋コンクリート)、床面積、階数木造より鉄骨・RC。床面積が広いほど
立地前面道路の幅、重機やトラックが入れるか、隣家との距離道が狭く手作業が増えるほど。運搬の回数が増えるほど
中身残っている家財、石綿を含む建材、地中の埋設物、付帯物片付けていない家ほど。古い建物ほど

坪単価で示される「解体費用の相場」は、たいてい1行目の建物の部分だけを指しています。実際に請求の差がつくのは、2行目と3行目です。

相場の数字と自分の見積もりが大きく違っても、すぐに高すぎると決めないでください。
道が狭くて重機が入らない家は、建物を手作業で解体して小さなトラックで何度も運ぶことになり、その分だけ手間が増えます。地方の空き家や古い住宅地では珍しくありません。

見積もりに入りにくい追加費用

あとから金額が増えるのは、たいてい次のどれかです。最初の見積もりに含まれているか、別途扱いになっているかを、項目ごとに確かめてください。

項目なぜ後から増えやすいか見積もりで確かめること
残っている家財解体業者は家財の処分を別料金にすることが多い「残置物撤去」が含まれるか、量の前提は何か
石綿(アスベスト)事前調査で見つかると、除去作業が別に要る事前調査の費用と、見つかった場合の扱い
地中の埋設物古い基礎・浄化槽・瓦などは掘るまで見えない出てきた場合の単価、追加の連絡方法
付帯物ブロック塀・庭木・物置・カーポートは建物と別勘定どこまでを撤去範囲にしているか
隣家への配慮養生や近隣対応が厚くなると費用に乗る養生の範囲、隣地との境界の扱い

家財の処分は、解体と別の業者に頼むか、解体業者にまとめて頼むかで総額が変わります。仏壇や思い出の品をどうするかも含めて、残置物の処分費用の記事で順番を整理しています。

境界があいまいな土地では、ブロック塀がどちらのものか分からず、撤去範囲が決められないこともあります。塀を壊したあとで隣の人と揉めると工事が止まるので、境界が確定していない土地は先に話を整理しておく必要があります。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

解体の前後で、持ち主の側に回ってくる手続き

工事そのものは業者が行いますが、法律上は発注者、つまり空き家の持ち主に課されている手続きがあります。

手続き対象期限根拠
石綿の事前調査の結果の説明を受け、調査費用を負担するすべての解体工事工事の前大気汚染防止法 第18条の15
分別解体等の計画などを都道府県知事に届け出る解体部分の床面積の合計が80㎡以上着工の7日前まで建設リサイクル法 第10条・同施行令 第2条
建物の滅失の登記を申請する登記されている建物滅失の日から1か月以内不動産登記法 第57条

石綿については、元請業者が解体工事の前に調査をして、その結果を書面で発注者に説明しなければなりません。あわせて、発注者は調査に要する費用を適正に負担し、調査に協力しなければならないと定められています(大気汚染防止法第18条の15第2項)。床面積の合計が80㎡以上の建物を解体する場合は、調査結果を都道府県知事に報告する義務も元請業者にあります(大気汚染防止法施行規則 第16条の11)。

建設リサイクル法の届出は、届け出る義務があるのが業者ではなく発注者です。実際には委任状を出して業者に代行してもらうことが多いものの、出したかどうかは確かめておいたほうが安心です。

解体の前後で持ち主に回ってくるもの
工事は業者でも、名義人が動く場面が残る

滅失の登記は、自分で法務局に申請するか、土地家屋調査士に頼みます。建物が未登記のままだった場合は滅失の登記はありませんが、固定資産税の課税を止めるために市町村への届出が要るのが一般的です。窓口と書式は自治体ごとに異なるので、資産税の担当課で確かめてください。

壊したあとにも続く費用

見落とされやすいのが、解体が終わったあとのお金です。

固定資産税は、その年の1月1日の状態で課税されます(地方税法 第359条)。人が住むための家が建っている土地は住宅用地の特例で課税標準が軽くなっており、200㎡以下の部分は6分の1、それを超える部分は3分の1とされています(同法第349条の3の2)。建物を壊すと、次の1月1日からこの特例が外れます。

「更地にすると固定資産税が6倍になる」と言われることがありますが、実際の上がり方は負担調整などがあるため土地ごとに違います。また、解体後の増加分を一定期間減免する条例を設けている市町村もあります。詳しくは解体後の固定資産税の記事で整理しています。

このほか、更地には草刈りや見回りが続きます。売れるまでの期間が長くなるほど、解体費用とは別に持ち出しが積み上がっていきます。

時期出ていくお金誰が負担するか
着工前〜工事中解体工事の代金、石綿の調査・除去、家財の処分発注者(持ち主)
取り壊し後すぐ滅失の登記(専門家に頼めばその報酬)登記名義人
次の1月1日以降住宅用地の特例が外れた固定資産税・都市計画税1月1日時点の所有者
売れるまで草刈り・管理・見回り所有者

補助金で解体費用の一部が戻ることはあります。ただし多くの自治体で、交付決定の前に契約・着工すると対象外になり、対象になる建物の条件も自治体ごとに違います。使えるかどうかの見分け方は空き家の解体補助金の条件、受付が終わっていたときは補助金の受付終了の記事を見てください。

見積もりを取るときに確かめること

解体の見積もりは、1社だけで決めずに複数社から取って比べるのが基本です。業者を探す手間を省きたい場合は、解体業者の一括見積もりサービスを使う方法もあります。比べるときは総額ではなく、次の点を横に並べて見てください。

  • 家財の処分が含まれているか、含まれる量の前提は何か
  • 石綿の事前調査の費用と、見つかったときの除去の扱い
  • 地中から物が出てきたときの追加の条件
  • ブロック塀・庭木・物置など、撤去範囲がどこまでか
  • 建設リサイクル法の届出と滅失の登記を、誰がいつ行うか

総額が安く見える見積もりほど、これらが「別途」になっていることがあります。項目が少ない見積もりは、安いのではなく書かれていないだけの可能性があります。

解体する前に、壊すと困る土地か確かめる

費用より先に確かめてほしいのが、その土地が壊したあとに建て直せるかです。

再建築不可の土地は、建物を取り壊すと新しく建てられません。いまの家が残っていれば「古家付き」として住む人や直して使う人が買い手になり得ますが、更地にすると使い道がほとんど無い土地になります。市街化調整区域でも、建て直しに許可が要り、許可が取れるかは土地の経緯で変わります。

  • 再建築不可の土地で、売る前に家を解体する
  • 市街化調整区域で、建て直しの許可が取れるか確かめずに解体する
  • 買い手が決まっていないのに、「更地のほうが売れる」と言われて先に解体する

解体して更地にしても、それで買い手が付くとは限りません。地方では、更地の土地そのものに需要が無いことも多く、解体費用を立て替えたまま土地だけが残ることがあります。相続土地国庫帰属制度を使うために解体を考えている場合も、建物があると使えない制度なので、解体費用と負担金を合わせて比べてから決めてください。

空き家の処分費用は、手放し方ごとに出方が違う

「処分費用」と言っても、解体費だけを指すわけではありません。家の中の物の片付け、解体後の登記、翌年からの税まで含めて、手放し方ごとに並べると次のとおりです。

手放し方先に出ていくお金注意したいこと
解体して更地で手放す解体費、家財の処分、滅失登記の報酬翌年の1月1日から住宅用地の特例が外れます
古家付きのまま売りに出す解体費は原則かかりません家財が残っていると、撤去を誰がするかを買主と決める必要があります
現況のまま買取に出す売主が解体や片付けを済ませることは前提にしませんお引き受けできるかは物件ごとの判断です
相続土地国庫帰属制度を使う解体費、審査手数料、承認後の負担金建物がある土地は申請できないため、先に解体が必要です

家財が残っている場合の費用は、残置物の処分費用の記事で相場の見方を整理しています。国庫帰属を選ぶ前に比べることは、国庫帰属は空き家があると使えないの記事にあります。

解体費用を出さずに手放す道

道ごとに、お金が「売れる前に出ていくか」で比べると、判断しやすくなります。

お金が先に出るか出ないか
売れる前に誰が立て替えるかで、道を分ける
道解体費用向いている状況
解体してから売る売主が先に払う更地なら確実に買い手が付く立地で、費用を立て替えられる
古家付きのまま売りに出す原則かからない時間をかけてもよく、建物を直して使う買い手が見込める
現況のまま買い取りに出す売主は払わない費用をかけずに早く終わらせたい、遠方で管理が続かない

ごえん株式会社は、訳あり不動産を自社で買い取る会社です。空き家は解体も片付けもせず、現況のままご相談いただけます。建物の状態と築年数を確認し、必要な調査は当社で行うので、売主の側で業者を探したり役所を回ったりする必要はありません。

再建築不可や市街化調整区域であることだけを理由に、査定や取り扱いの対象外にすることもありません。お引き受けできるかは物件ごとの個別の判断で、条件によっては成立しないこともあります。

解体費用を調べている段階は、まだ道を選べる段階です。
見積もりを取るのと並行して、壊さずに手放した場合と比べるだけで、立て替えずに済む道が見えることがあります。

相続した家をどう片付けるかを含めて考えたい場合は相続した空き家の売却、遠方で現地に行けない場合は遠方の実家の売却の記事も参考にしてください。売却したときの税金は、空き家の3000万円特別控除が使えるかで手残りが変わります。控除の要件と税額は、税理士か税務署にご確認ください。

よくある質問

空き家の解体費用は、坪単価で計算できますか。

建物本体の取り壊し費は構造と床面積でおおよその見当が付きますが、それだけでは総額になりません。重機が入れない立地、残っている家財、石綿(アスベスト)の除去、ブロック塀や庭木、地中から出てくる物などは別に積み上がります。総額は現地を見た見積もりで確かめるしかありません。

アスベストの調査費用は誰が払いますか。

大気汚染防止法は、解体工事の前に元請業者が石綿の有無を調べ、結果を書面で発注者に説明するよう定めています。そのうえで、発注者は調査に要する費用を適正に負担し、調査に協力しなければならないとされています(第18条の15第2項)。空き家の解体では、発注者は通常その家の持ち主です。

解体したあと、何か手続きは必要ですか。

登記されている建物を取り壊したときは、滅失の日から1か月以内に建物の滅失の登記を申請しなければなりません(不動産登記法第57条)。また、床面積の合計が80㎡以上の解体工事では、着工の7日前までに発注者が都道府県知事へ届け出る決まりがあります(建設リサイクル法第10条)。

解体しないと空き家は売れませんか。

解体しないと売れないとは限りません。古家付きのまま売りに出す方法や、現況のまま買い取りに出す方法があります。再建築不可の土地や市街化調整区域では、壊すとかえって建て直せなくなることもあるため、解体を決める前に確かめてください。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

このような物件のご相談は、空き家の買取相談のページへ。

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お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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