境界が確定していなくても、土地は売れます。確定測量は法律上の義務ではなく、契約でどう定めるかの問題です。ただし「やらなくていい」と「やらないほうがいい」は別なので、この記事では測量の段階と費用の考え方、やらずに売る場合の条件を整理します。
測量には3つの段階がある

| 内容 | 隣地の立会い | 期間の傾向 | |
|---|---|---|---|
| ① 現況測量 | いま塀や杭がある位置を測る | 不要 | 短い |
| ② 境界確定測量(民民) | 隣地の所有者に立ち会ってもらい、署名押印を得る | 必要 | 隣地の数と関係による |
| ③ 官民を含む確定測量 | 道路や水路など、行政が管理する土地との境界も確定させる | 必要+役所の手続き | 数か月かかることも |
①は「測っただけ」で、境界を確定させる効力はありません。
図面はできますが、隣地の同意を得ていないため、後から食い違いが出ることがあります。
どこまで必要かは、買主が何をしたいかで決まります。
どこまで必要かは、買主が決める
- 買主が住宅ローンを使う → 金融機関が求めることが多い
- 買主が土地を分けて使う予定 → 分筆には確定測量が前提になります
- 買主が現況のまま引き受ける → 省略できることが多い
つまり、売主が先に決めることではありません。確定測量を済ませてから売り出しても、その費用が価格に上乗せできるとは限らない。買主が決まってから、必要に応じてやるほうが無駄になりません。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
費用は一律には示せません
面積、形、隣接する土地の数、官民境界の有無で大きく変わります。次の事情があると、期間も費用も膨らみます。
- 隣地の数が多い(角地、旗竿地、私道に面している)
- 境界標が無い(境界標がない土地)
- 隣地の所有者と連絡が取れない
- 隣地が相続未了で、相続人が確定していない
- 公図と現況が大きく食い違っている(地図混乱地域)
まず土地家屋調査士に現地を見てもらい、見積もりを取ってください。面積だけで出された概算はあてになりません。
隣地が立会いに応じないとき
民民の確定測量は、相手の協力が前提です。応じてもらえなければ確定できません。
その場合、法務局に筆界特定を申請する方法があります。
第百三十一条 土地の所有権登記名義人等は、筆界特定登記官に対し、当該土地とこれに隣接する他の土地との筆界について、筆界特定の申請をすることができる。
裁判ではないので相手を訴える形にはなりません。ただし時間がかかります。確定させずに売る道と比べて判断してください。
隣の所有者が誰か分からない、亡くなっている、相続人が多くて署名が集まらないという場合の進め方は、隣地の所有者が不明で境界確定できない土地の売却で別にまとめています。
測量せずに売る場合の条件
契約書で境界の扱いを明記しておけば問題ありません。
- 「境界未確定のまま現況で引き渡す」と明記する
- 公簿売買(登記簿の面積で取引し、実測との差は精算しない)とするか、実測売買にするかを決める
- 買主に現況を見てもらったうえで契約する
ひとつだけ、免れないものがあります。
隣地と境界について争いがあることを知っていながら告げなかった場合は、
民法572条により責任を免れられません。
「以前、隣の人と揉めたことがある」——それは伝えたうえで売ってください。
進め方の順番
- 公図と登記事項証明書を取る(地番、面積、隣接する土地を把握する)
- 現地で境界標を探す(コンクリート杭、金属標、刻印。写真を撮っておく)
- 隣地との間に過去のやり取りがあったかを思い出す
- 測量せずに買い取れる先があるかを先に確かめる
- 必要になってから、土地家屋調査士に見積もりを取る
4を先にやってください。測量してから売るか、しないで売るかは、比べる材料が無いと決められません。
当社は境界が確定していない土地も現況のまま扱っています。測量を売主様に先にご負担いただく必要はありません。ただし隣地と争いがある場合や、地図混乱地域に当たる場合はお引き受けできないことがあります。まず所在地と地番をお知らせください。
境界まわりの全体像は未登記・私道・境界の買取相談にまとめています。
よくある質問
境界が確定していないと売れませんか。
売れます。確定測量は法律上の義務ではなく、契約でどう定めるかの問題です。買主が住宅ローンを使う場合や、土地を分けて使う予定がある場合は求められることが多い一方、現況のまま引き受ける買主であれば省略できます。
測量にはどんな種類がありますか。
大きく3段階あります。現況測量は、いま塀や杭がある位置を測るだけで隣地の立会いが要りません。境界確定測量(民民)は隣地の所有者に立ち会ってもらい署名押印を得るもの。さらに道路や水路など行政が管理する土地との境界も確定させるのが官民を含む確定測量です。下に行くほど費用も期間もかかります。
費用はどれくらいかかりますか。
土地の面積、形、隣接する土地の数、官民境界の有無で大きく変わるため、一律の金額は示せません。隣地が多い、境界標が無い、隣地の所有者と連絡が取れないといった事情があると、期間も費用も膨らみます。まず土地家屋調査士に現地を見てもらったうえで見積もりを取ってください。
隣地の人が立会いに応じてくれません。
民民の確定測量は相手の協力が前提なので、応じてもらえなければ確定できません。この場合、法務局に筆界特定を申請して筆界の位置を特定してもらう方法があります(不動産登記法131条)。ただし時間がかかるため、確定させずに売る道と比べて判断してください。
測量せずに売ると、後で責任を問われませんか。
契約書で境界の扱いを明記していれば問題ありません。「境界未確定のまま現況で引き渡す」「実測売買ではなく公簿売買とする」といった形にします。ただし、隣地と境界について争いがあることを知っていながら告げなければ、民法572条により責任を免れられません。
この記事の監修者
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