私道でつまずくのは、通行と掘削の2つです。この2つは別のもので、通行だけ承諾されていても掘削ができないことがあります。そして買主が最も気にするのは掘削のほうです。この記事では、それぞれ何のための承諾なのか、どう取り付けるのか、取れないときにどうするかを整理します。
通行と掘削は、別のもの

| 何の約束か | 無いとどうなるか | |
|---|---|---|
| 通行の承諾 | 歩いてよい、車で通ってよい | 出入りに支障が出る |
| 掘削の承諾 | 水道管・ガス管のために掘ってよい | 建て替えも設備の更新もできない |
掘削承諾が無いと、家が建て替えられません。
水道管やガス管が私道の下を通っているためです。
老朽化した管を替えることも、新しく引き込むこともできない。
だから金融機関も融資を出しにくく、買主が最も気にする点になります。
持分があっても、掘削は別
「私道の持分を持っているから大丈夫」と考えている方が多いのですが、掘削については他の共有者の同意を求められるのが一般的です。共有物の管理や変更にあたるためです。
持分の有無と、掘削できるかどうかは別に確かめてください。私道の持分がそもそも無い場合は私道の持分がない土地の売却もご覧ください。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
承諾は、書面にする
口約束では、所有者が変わったときに引き継がれません。私道の所有者が亡くなって相続が起きれば、また一から話をすることになります。
書面に入れておく条項です。
- 通行と掘削の両方について承諾すること(片方だけにしない)
- 承諾の対象(誰が、どの範囲を、何のために)
- 所有者が変わっても効力が及ぶこと(承継の条項)
- 無償であること(後から金銭を求められないように)
- 日付と署名押印
承継の条項がいちばん大事です。これが無いと、買主が引き継げません。
承諾が取れないとき
私道の所有者が複数いて、一人でも欠けると進まないことがあります。相続で所有者が増えているケースも多いので、まず現状を確認してください。
- 私道部分の登記事項証明書を取る(現在の所有者と人数を確認)
- 相続で増えている場合は、誰が相続人かを調べる
- 連絡が取れる人から順に当たる
- 所在が分からない人がいる場合は、不在者財産管理人の選任という方法がある
- それでも難しければ、現況のまま引き受ける買主を探す
近隣との関係が理由で承諾が取れない場合、その事情も含めて買主に伝える必要があります。黙って売ると、民法572条により責任を問われることになります。
承諾なしで売る場合
売買自体はできます。ただし次のことが起きます。
- 買主が住宅ローンを使えないことが多い(現金で買える人に限られます)
- 建て替えの見込みが立たないぶん、価格が下がります
- 買主が後から近隣と交渉することになり、敬遠されます
承諾の取得を停止条件とする契約にする方法もあります。承諾が取れなければ契約が効力を生じない形にしておけば、双方が動きやすくなります。
進め方の順番
- 前面の道が公道か私道かを市区町村の道路担当課で確認する
- 私道なら、登記で所有者と人数を確認する
- 過去の承諾書が無いか探す(購入時の書類に綴じ込まれていることがあります)
- 無ければ、通行と掘削の両方について書面で取り付ける
- 取れない場合は、現況のまま引き受けられる先を探す
3を先に探してください。土地を買ったときに承諾書を取っていて、そのまま忘れているケースがよくあります。
当社は私道に面した物件も現況のまま扱っています。承諾を先に取り付けていただく必要はありません。ただし掘削承諾の見込みによってお引き受けできないことがあります。まず所在地と、前面道路の状況をお知らせください。
接道そのものが足りない場合は再建築不可物件の買取相談、境界が絡む場合は未登記・私道・境界の買取相談もご覧ください。
よくある質問
通行承諾と掘削承諾は何が違いますか。
通行承諾はその私道を歩いたり車で通ったりしてよいという約束、掘削承諾は水道管やガス管を通すために私道を掘ってよいという約束です。別のものなので、通行だけ承諾されていても掘削ができないことがあります。買主が最も気にするのは掘削のほうです。
なぜ掘削承諾がそれほど重要なのですか。
水道管やガス管が私道の下を通っている場合、老朽化した管の更新も、新しく引き込むことも、私道を掘らなければできないためです。建て替えの際にも必要になります。承諾が得られなければ、建物を建て替えられず、設備も更新できません。
私道の持分があれば承諾は要りませんか。
持分があれば通行は当然にできますが、掘削については他の共有者の同意が必要になるのが一般的です。共有物の管理や変更にあたるためです。持分があるから大丈夫と考えず、実際に掘削できるかを確かめてください。
私道の所有者が複数いて、一人だけ承諾してくれません。
掘削は全員の承諾を求められることが多いため、一人でも欠けると進まないことがあります。相続で所有者が増えているケースも多く、まず登記事項証明書で現在の所有者を確認してください。所在が分からない場合は、不在者財産管理人の選任という方法もあります。
承諾が取れないまま売ることはできますか。
売買自体はできますが、買主が住宅ローンを使えないことが多く、買い手が大きく限られます。現況のまま引き受ける買主を探すか、承諾の取得を条件とした契約にするかになります。承諾が取れない理由が近隣との関係にある場合、それを伝えたうえで売ることが必要です。
この記事の監修者
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