借地権を売るときには地主の承諾が必要で、その際に譲渡承諾料を求められるのが通常です。金額の目安はありますが、法律で決まった額ではありません。そして、切り出す順番を間違えると、まとまるものもまとまらなくなります。この記事では、金額の考え方と進め方を整理します。
相場はあるが、決まりではない
借地権価格の1割前後が目安とされることが多くあります。ただしこれは慣行であり、法律に定めがあるわけではありません。
| 金額に影響するもの |
|---|
| 地域の慣行 |
| 契約の内容(旧法か新法か、譲渡についての条項) |
| 残存期間(長いほど借地権の価値が高い) |
| 地代の水準 |
| 地主との関係、過去の経緯 |
提示された金額が高いと感じても、その場で決めないでください。根拠を確かめ、必要であれば専門家に相談してから返事をするのが確実です。
相続なら、原則として不要
ここは混同されやすい点です。
相続は譲渡ではありません。
民法896条により、借地権はそのまま相続人に引き継がれます。
承諾も承諾料も、原則として不要です。
相続を機に名義書換料を求められることがありますが、支払う義務は原則としてありません。
詳しくは借地権を相続したらにまとめました。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
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切り出す順番

- 契約書を確認する(譲渡についての条項、承諾料の定めがあるか)
- 地主に譲渡の意向を伝える。金額の話は出さない
- 承諾いただけるかを聞き、条件を教えてもらう
- 提示された条件を持ち帰り、確かめてから返事をする
- まとまらなければ、裁判所の許可を検討する
2で金額から入らないでください。
「いくら払えば承諾していただけますか」と聞くと、その瞬間から交渉になります。
まず「承諾いただけるかどうか」だけを聞く。
承諾する意思があるのかを先に確かめるほうが、話が進みます。
まとまらないときの道
第十九条 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
ただし同項後段は、裁判所が「その許可を財産上の給付に係らしめることができる」としています。つまり許可を得る場合でも、金銭の支払いが条件になることがあります。
そして時間も費用もかかり、その後も地主との関係は続きます。最後の手段と考えてください。
承諾なしで売ってはいけません
地主の承諾なく譲渡すると、契約解除を求められるおそれがあります。建物を建てて住んでいる場合、その根拠を失うことになります。
必ず承諾を得るか、裁判所の許可を得てから進めてください。
まとめて考えるという道
承諾料を払って第三者に売るほかに、地主と一緒に考える道もあります。
- 地主に借地権を買い取ってもらう……承諾の話が要らなくなります
- 地主から底地を買って、所有権にまとめてから売る……総額が最も大きくなりやすい
- 底地と借地権を同時に売りに出す……双方の取り分を先に決めておきます
当社では、地主の方との条件の取りまとめから関わることがあります。実際に、借地権と底地を一つにまとめたうえで売却に至った案件もあります。ご本人に交渉していただく必要はありません。
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よくある質問
譲渡承諾料の相場はいくらですか。
借地権価格の1割前後が目安とされることが多いですが、法律で決まった額ではありません。地域の慣行、契約の内容、残存期間、地主との関係によって変わります。提示された金額が高いと感じても、根拠を確かめたうえで話し合うことになります。
承諾料を払わずに売ることはできますか。
地主の承諾なく譲渡すると、契約解除を求められるおそれがあります。承諾が得られない場合は、借地借家法19条により裁判所に地主の承諾に代わる許可を求める道があります。ただし裁判所は財産上の給付を命じることができるとされており、結果として金銭の支払いが生じることがあります。
相続の場合も承諾料が要りますか。
相続は譲渡ではないため、原則として承諾も承諾料も不要です。民法896条により、借地権はそのまま相続人に引き継がれます。相続を機に名義書換料を求められることがありますが、支払う義務は原則としてありません。
地主にどう切り出せばいいですか。
金額の話から入らないことです。まず「借地権を手放すことを考えている」と伝え、承諾いただけるかを聞くだけにとどめてください。最初に金額を出すと交渉になり、その後の関係も難しくなります。
地主が高額を要求してきました。
その場で決めず、持ち帰ってください。慣行の水準を確かめ、必要であれば不動産会社や弁護士に相談してください。裁判所の許可という道もありますが、時間も費用もかかり、その後も地主との関係は続きます。まずは話し合いです。
この記事の監修者
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