借地権を地主に買い取ってもらうには?応じてもらう順番と、断られたときの道

地代を払い続けている借地の家を、もう使わない。地主に買ってもらえないか、と考える方は多いのですが、地主に買い取る義務はなく、応じるかどうかは地主次第です。借地権の売り先は、地主・第三者(買取業者など)・底地とまとめての3つあります。

借地権とは、他人の土地を借りて、その上に建物を持つ権利のことです。多くは賃借権で、借りている側(借地権者)が自由に売れるわけではありません。ここが、借地権の買取を難しくしています。

目次

借地権の買取価格は、借地権割合が起点になる

借地権の値段に、法律で決まった計算式はありません。手がかりになるのが、国税庁が相続税・贈与税の評価で使う考え方です。

借地権の価額は、借地権の目的となっている宅地の自用地(他人の権利の目的となっていない場合の土地で、いわゆる更地をいいます。以下同じです。)としての価額に借地権割合を乗じて求めます。

——国税庁 No.4611 借地権の評価

借地権割合は、借地事情が似ている地域ごとに定められ、路線価図や評価倍率表に表示されています(同ページ)。前面道路の路線価と借地権割合を国税庁の財産評価基準書のサイトで引くと、相続税評価での借地権の額の見当がつきます。

ただ、これは相続税を計算するための評価額で、売れる値段ではありません。買取の価格はこの額より下がるのが通常です。賃借権を譲り受けるには地主の承諾が要り(民法612条)、そのとき承諾料が出ることがあります。

承諾が出るまで、または裁判所の手続き(借地借家法19条)が終わるまで、買主は物件を動かせません。古い建物なら修繕や建替えの費用が見込まれ、地代を払い続ける借地権付きの建物は、所有権の物件より次の買主が限られます。

残りの期間が短い、地代が高い、滞納があるといった事情も、権利の値段を下げます。

提示を受けたら、起点の額からこうした項目がいくら引かれているのかを、理由として聞いてください。

買い取ってもらう相手は、3通り

相手地主の承諾手取りの見方気をつける点
地主売り先が地主本人なので、承諾の話にならない承諾料・名義書換料はかからない。建物をそのまま引き渡すか解体するかは地主との取り決め地主に買い取る義務はなく、価格は話し合い
第三者(買取業者など)賃借権なら必要代金から、売主が負担する承諾料・名義書換料を引いた額が手取り。誰が負担するかは売買の条件で決める承諾が出ないと成立しない。建物は現況のまま引き渡せることがある
底地とまとめて売る地主も売り手になるので、承諾ではなく売る条件の合意になる一つの代金を、借地権者と地主で分ける。土地の売買として境界の確認や測量が要ることがある地主と条件を合わせる必要がある
借地権を手放す3つの道と、承諾の要否の図解
相手によって、承諾の要否と手間が変わる

借地権には賃借権と地上権があり、地上権なら地主の承諾なく譲渡できます。見分け方は借地権付きの家の売却と地主の承諾で表にしました。地上権は登記できる権利ですが、登記されていない場合もあるので、契約書と土地の登記事項証明書の両方を見ます。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

借地権を地主に買い取ってもらうときの進め方

地主に売る場合は、承諾の問題が起きません。そのかわり、話すことは価格と建物の扱いに絞られます。

まず、誰に話すかを決めます。地代の払い先が地主本人なのか、管理会社や不動産会社なのかは、領収書や振込先でわかります。管理会社が窓口なら、そこを通すのが通常です。

切り出すときは、売りたい意思、建物の状態、いつまでに決めたいかを一緒に伝えます。「買ってください」だけでは、地主は金額も建物の始末も見当がつかず、返事を保留しやすくなります。

価格は、借地権割合を起点に話します。前面道路の路線価に面積を掛けたおおよその更地の額に借地権割合を掛け、そこから建物の解体費の見込みを引いた額を、こちらの最初の目安として出す、という組み立てです。

地主の側から見ると、借地権を買い戻せば、土地を自分で使うことも、更地で売ることも、新しい借り手に貸すこともできます。建物が古ければ、解体の費用を地主が持つことになるので、その分は価格に響きます。

話がまとまりかけたら、口約束にせず、次の5点を書面に残します。

  • 代金の額と、支払う日
  • 建物を現況のまま渡すのか、解体してから渡すのか、解体するなら費用を誰が持つのか
  • 地代を精算する日(いつまでの分を払うのか)
  • 借地契約をいつ終えるか
  • 建物の登記の扱い(名義を移すのか、取り壊して滅失の登記をするのか)

地主に売る形のほか、借地契約を合意で終えて土地を返す形で話がまとまることもあります。その場合の金銭の名目や額は、話し合いで決まります。

地主が買わないとき、法律でできること

借地借家法13条は、借地権の存続期間が満了して契約の更新がないときに、借地権者が地主に建物を時価で買い取るよう請求できると定めています(e-Gov法令検索)。

建物買取請求権が使えるのは、存続期間が満了し、更新がないときです。契約の途中で「もう要らない」と思っても、地主に買取りを求められる決まりではありません。

13条を当てにできない場面は、ほかにもあります。

場面13条の扱い根拠
地代の滞納などで、契約を解除された条文が「存続期間が満了した場合」と定めているので、解除で終わった場合は当たらないと読める借地借家法13条1項
一般定期借地権(存続期間50年以上)建物の買取りを請求しない旨を、公正証書などの書面(電磁的記録でもよい)で特約できる借地借家法22条
事業用定期借地権(存続期間30年以上50年未満)同じく、買取りを請求しない旨を特約できる借地借家法23条1項
事業用借地権(存続期間10年以上30年未満)13条そのものが適用されない借地借家法23条2項

(借地借家法(e-Gov法令検索))

契約書の題名や条文に「定期借地」「事業用」とあれば、13条を当てにした計画は立てられません。地代の滞納があると、満了の前に契約を解除されて13条の場面に入れないことがあるので、滞納があるときは清算の相談を優先してください。

第三者に売る場合は、地主の承諾が壁になる

借地権が賃借権のとき、賃借人は賃貸人(地主)の承諾を得なければ賃借権を譲り渡せず、承諾なく第三者に使用させれば、賃貸人は契約を解除できます(民法612条)。承諾の際に払う金銭が承諾料で、金額は地主ごとに開きが大きく、相場で押し切れません。

目安の出し方は借地権の譲渡承諾料の相場に書きました。

地主が承諾しないときは、裁判所に承諾に代わる許可を申し立てる道があります(借地借家法19条)。時間と費用がかかるので、進めるなら弁護士へ相談してください。

買取業者に売る場合は、この承諾の取り付けを買主側が地主と話す形で進めることもあります。承諾料や名義書換料をどちらが負担するか、承諾が出なかったときに契約をどう終えるか(停止条件や解除の定め)は、売買契約の前に書面にしておきます。

底地とまとめて売る道

地主も土地を手放したいなら、借地権と底地(地主が持つ土地の権利)をまとめて一人の買主に売る道があります。買主から見ると、土地と建物の権利が一つにそろうので、扱いやすくなります。

この形では承諾の問題が薄れるかわりに、代金を地主とどう分けるかを合わせる必要があります。進め方は借地と底地を一つにまとめて売る|地主と条件を整えた話に書いています。

借地契約書のどこを見るか

借地借家法は、借地権の存続期間を原則30年とし(3条)、更新の後は最初が20年、その後が10年と定めています(4条)。借地権者が更新を請求し、建物があるときは、地主が遅滞なく異議を述べない限り、同じ条件で更新したものとみなされます(5条)。

借地借家法の施行前に設定された借地権には経過措置があるので、契約の時期も契約書で見ておきます(借地借家法)。

借地権の対抗力は、借地権者が登記された建物を土地の上に持っていることで認められます(10条)。買取に出す前に、建物の登記の名義が誰になっているかを見ておく必要があります。

買取に出すときに見られるのは、借地契約書(種類、期間、更新の条件、譲渡の定め)、地代の額と滞納の有無、更新料や名義書換料の取り決め、建物の状態と築年数、登記の名義、地主とのこれまでのやり取りです。

借地権を相続した場合は、借地権を相続したらで承諾の要否を整理しています。

売買で止まりやすいのは、価格よりも地主が動かない場面です。地主の連絡先がわからなければ、地代の領収書や過去の書面から管理会社の窓口をたどります。承諾料がまとまらないときは、19条の許可の道があります。

建物の登記が前の持ち主の名義のままだと、借地権を主張する根拠が弱くなるので、登記事項証明書を取って名義を見てください。契約書が見つからないときは、地代の領収書、固定資産税の通知、地主への問い合わせから契約の内容をたどります。

承諾料・名義書換料・更新料は、まず借地契約書の「譲渡・転貸」と「更新」の条項に、額や計算の定めがあるかを見ます。裁判所の許可を申し立てる費用は事案ごとなので、弁護士に見積りを取ってください。

借地権を買取に出すまでの順番の図解
契約書の確認から、地主への相談の順に進める

次にやること

  • 借地契約書を出して、賃借権か地上権か、期間、更新、譲渡の定めを読む
  • 地代の領収書を並べて、滞納の有無を整理する
  • 建物の登記事項証明書を取り、名義が自分になっているかを見る
  • 地主の意向(買う・承諾する・応じない)を、管理会社経由でもよいので聞く
  • 地主が応じないときは、承諾に代わる許可の道を弁護士に相談する

借地権付きの建物を、現況のまま当社に相談するとき

当社は、借地権付きの建物でも、片付け・解体・修繕を先にしていただく前提では見ていません。借地契約の内容、地主の意向、建物の状態と築年数から、扱えるかを物件ごとに判断します。

調査は当社で行い、遠方にお住まいでも、現地に来ずに契約から決済まで進められます。借地や底地のご相談は、借地・底地の買取相談にまとめています。

当社に届く相談では、「高く売りたい」より「解体費をかけずに手放したい」「持ち続ける負担を止めたい」という声が多く、借地権付きの建物では、そこに毎月の地代が加わります。

借地権の物件も、条件が合えば当社で買い取る場合があります。残りの期間が短い、地代の負担が重い、建物の解体が見込まれるなどで借地権に価値が出ないときは、売主様にお引き受けのご提案になることがあります。

お引き受けできるかは物件ごとの個別の判断で、条件によっては成立しないこともあります。ご相談への返事は、翌営業日までにお送りします。

よくある質問

地主さんに買ってほしいと頼んだら、断られました。もう売れませんか。

売れなくなったわけではありません。地主に買い取る義務はないため、断られること自体はありえます。

その場合は、第三者に売る道(賃借権なら地主の承諾が要り、出ないときは借地借家法19条で裁判所の許可を申し立てられます)と、底地とまとめて売る道が残ります。契約が満了して更新がないときは、13条で建物の買取りを請求できる場合もあります。

借地権を地主に買い取ってもらうとき、何から話せばよいですか。

地主か管理会社に、売りたい意思、建物の状態、決めたい時期を伝えるところからです。そのうえで、代金、建物を現況で渡すか解体するか、地代の精算日、建物の登記の扱いを書面で決めます。

価格は借地権割合を起点に、建物の解体費の見込みを引いて組み立てるのが一つの出し方です。

業者に売ると、地主さんに怒られませんか。

賃借権のまま第三者に売るには、民法612条で地主の承諾が要ります。承諾なしに進めると契約を解除されることがあるので、承諾をどう取るか、承諾料を誰が持つかを売買契約の前に決めます。買取業者が地主と話す形で進めることもあります。地上権であれば承諾は要りません。

借地権付きの建物を、そのまま引き受けてもらえますか。

現況のまま相談できます。片付け・解体・修繕を先にしていただく必要はありません。借地契約の内容、地主の意向、建物の状態、築年数を見て、扱えるかを物件ごとに判断します。地主の承諾が得られない場合など、成立しないこともあります。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

借地・底地を、地主と揉めずに手放せるか

どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。

相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。

片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。

資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。

地主との交渉は当社が間に入ります。先に話を付けていただく必要はありません。

お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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