実家の売却を親に切り出すには?帰省の席での話し方

実家の売却を親に切り出した瞬間、母の手が止まる。正月に帰省して「そろそろ売らない?」と言い、空気を冷やした人は少なくありません。

親に実家の売却を切り出す場面では、売る話から入らないことが分かれ目です。話の始め方を変えれば、同じ内容でも聞いてもらえます。

目次

最初の一言で、親が聞くのをやめる

親にとって実家は、住まいである前に、家族の歴史そのものです。そこを「売る」と言われると、家ではなく、自分の暮らしを手放せと言われたように聞こえます。

親が怒るのは、売ることに反対だからとは限りません。突然、決めたことのように言われたことに傷つくからです。

切り出す側にできるのは、決めさせる準備ではなく、親が話しやすいきっかけを作ることです。

切り出し方の順番|売る話は最後に置く

次の順で話すと、親の身構えが少ないまま進みます。

親に切り出す順番
売る話は、親の気持ちを聞いたあとに置く

最初は、家の様子を聞くところからです。「この家、冬は寒くない?」「庭の手入れは大変じゃない?」のように、親の暮らしの具合を尋ねます。

次に、親が将来どうしたいかを聞きます。「ずっとここで暮らしたい?」と、選択肢を狭めずに聞きます。

売る話は、そのあとです。親が家の負担を口にしたときに、「そういう家って、こうやって手放す人もいるみたいだよ」と1つの道として出します。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

場所と時間は、話の中身より先に決まっている

同じ言葉でも、居間でテレビがついているときと、2人で歩いているときでは、通り方が違います。切り出すなら、2人きりか、少人数になれる時間を選びます。

おすすめしないのは、家族が全員そろった食卓です。人前で言われると、親は自分の立場を守ろうとして、強い言葉で返してしまいます。

食事のあと、片付けを手伝いながら、洗い物の横で話す。台所や縁側のような、手を動かしながら話せる場所のほうが、親は構えません。

長く話す必要もありません。10分で切り上げて、「また今度聞かせて」と終えます。

親の言葉ごとの、返し方

切り出すと、親はいくつかの決まった言葉を返してきます。否定せず、言葉の奥の気持ちを受け止めます。

親の言葉奥にある気持ち返し方
「ここで死ぬつもりだ」住み慣れた家を離れたくない住み続ける前提で、困りごとが出たときの備えだけ聞く
「思い出がありすぎる」家そのものが家族の記録写真を撮る、残す物を決めるところから始める
「あなたに迷惑はかけない」子に負担をかけたくない迷惑かどうかは、家の状態を知ってから一緒に判断する
「まだ早い」決めること自体が怖い決めなくていい。調べるだけと伝える

どの返しでも、親の気持ちを「間違い」にしないことが前提です。

実家に住み続けたい親の気持ちは、売る話をどう伝えても消えません。その気持ちを抱えたまま、家の現実を一緒に見るのが、切り出す側の仕事です。

親が判断できるうちに話す理由

親が元気なうちに話すのは、気持ちの整理のためだけではありません。法律の側にも理由があります。

民法は、意思表示をした時に意思能力がなかった場合の法律行為の扱いを、次のように定めています。

法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

——民法第3条の2(e-Gov法令検索)

実家が親の名義なら、売買の契約を結ぶのは親です。判断力が落ちてからでは、親本人の意思で契約を結べない場面が出てきます。

判断力が落ちたあとに家を売るには、成年後見制度を使う道があります。家庭裁判所が成年後見人を選び、その人が親に代わって契約します。親が住んでいる家やその敷地を売るときは、成年後見人がさらに家庭裁判所の許可を得なければなりません(民法第859条の3)。

元気なうちなら、備え方を親自身が選べます。任意後見契約は、判断力が落ちたあとに任せる人と内容を本人が決めておく契約で、公正証書で結びます(法務省「成年後見制度・成年後見登記制度Q&A」、任意後見契約に関する法律第3条)。

家族に財産の管理や処分を託す信託契約(信託法第3条)という形もあります。

どれが合うか、どの段階から意思能力がないと判断されるかは、親の状態と家の事情で変わります。手続きは司法書士や弁護士にご確認ください。

話し合うなら、親が自分で決められる状態のうちが、親にとっても子にとっても選択肢が多くなります。

親名義かどうかを、見ておく

切り出す前に、実家の名義を調べておきます。登記事項証明書は法務局で取れます。

名義で変わる話の筋
名義が誰かで、決める人と話の順番が変わる

名義が親なら、決めるのは親です。名義が祖父母のままなら、相続が済んでいない可能性があり、話の順番が変わります。

兄弟で実家をどうするかを話し合う席との違いは、決める人が誰かです。兄弟の席は共有者との調整、親との席は本人の意思の尊重が軸になります。

再建築不可や荷物の多い家は、先送りで子の負担が増える

実家が再建築不可、市街化調整区域、建物が未登記、室内に荷物が多い。こうした家は、親が元気なうちに売る話を進めておかないと、相続のあとで子が抱える物が増えやすくなります。

当社に届く相談で多いのは、「解体費が出せないから動けない」という声です。「0円でもいいので手放したい」と書かれる方もいます。受け継いだ家の解体費と管理の手間を前に、そこで止まっている形です。

建て替えられない土地や、建てるのに許可の条件が付く土地は、一般の買い手が付きにくくなります。荷物が多いほど、片付けの費用も膨らみます。持ち続ける年数が延びるほど、固定資産税や草刈りの負担も子に回ります。

当社では、再建築不可と言われた家でも、前面道路の幅や敷地への入り方を当社で調べたうえで、どう扱えるかを判断しています。

親に切り出すときは、持ち続けるほど子の負担になる種類の家かどうかを材料にできます。「売りたい」ではなく「この家、建て替えられるのか一度見ておきたい」と言えば、親も責められた気がしません。

「まだいい」と言われたときの、持ち帰り方

一度で話がまとまることは、まずありません。「まだいい」と言われたら、引き下がるのが正解です。

ただし、何も残さずに引き下がると、次の帰省でも同じ場所から始めることになります。1つだけ、持ち帰る物を決めます。

たとえば、鍵の置き場所、権利証と保険証券の場所、かかりつけ医の連絡先。売る話とは無関係に聞けて、親も答えやすい内容です。

これだけでも、親に何かあったときの慌てかたが変わります。

売るかどうかは、親が決めることです。決めるための材料を、子がそろえておく。その役割分担が、一番揉めません。

切り出す役は、いちばん話しやすい子がやる

兄弟のうち、誰が言い出すかで結果が変わります。長男だから、近くに住んでいるから、という理由で決めると、親がいちばん構える相手が切り出すことになりかねません。

親が普段から愚痴をこぼしやすい子、冗談を交えて話せる子が向いています。順番は、年齢や住まいの近さではなく、親との話しやすさで決めます。

他の兄弟は、切り出したあとに「あの時の話、どう思う?」と親に電話で聞く役に回ります。全員が同じ日に同じ話を持ちかけると、親には包囲されたように映ります。

売る話に聞こえない、家の話の言い方

「売る」「処分」「手放す」は、親の耳に強く響きます。代わりに、「この家をこの先どう守るか」「冬の管理が大変じゃないか」といった、暮らしの言葉を使います。

言い換えは、ごまかしではありません。親が実際に困っている点を、先に言葉にしているだけです。

結局は売る道に行き着くとしても、そこに至るまでの話の筋が、親にとって納得できるものになります。納得して決めた売却と、押し切られた売却では、あとで残る気持ちがまるで違います。

話したあとに、親の言葉を書き残す

帰りの電車で、親が言った言葉をそのまま書き留めます。「寒い」「庭は手に負えない」「この部屋だけは残したい」といった、小さな本音です。

次に切り出すとき、その言葉が話の糸口になります。「去年、庭が大変って言ってたよね」と返せば、売る話をしなくても、家の負担の話に戻れます。

親は、自分の言葉を覚えていてくれた子には心を開きます。売る提案より、聞いてくれたという実感のほうが、先に届きます。

当社の扱い|売ると決まっていない家でも聞ける

実家の売却を親に切り出す前から、当社では状態の相談を受けています。親が売ると決めていなくても、聞くことはできます。

再建築不可や市街化調整区域であることだけを理由に、対象外とはしません。片付け・修繕・解体は、事前に済ませる必要はありません。調査は当社で行います。当社が見る点は次のとおりです。

  • 建物の状態と築年数、雨漏りや傾きの有無
  • 室内の荷物の量と、仏壇などの大型の物
  • 名義が誰か、相続登記や抵当権の状況
  • 前面道路の幅と、敷地への入り方

この4点で、前の節で挙げた再建築不可・調整区域・未登記・荷物の多さの状況はおおよそつかめます。他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。希望額との開きなど、条件によって成立しない場合もあり、物件ごとに判断します。

親族に反対されたときの進め方は、実家の売却を親族に反対されたらで整理しています。遠方の実家を現地に行かず進める手順は、遠方の実家を売却する方法にあります。

決めるのは親、材料をそろえるのは子

親に切り出す前に、売るとどうなるかを子が知っておくと、話せる内容が変わります。「売ったら寂しい」と言われたとき、現実の流れを説明できるからです。

聞くことと、売ることは別です。親が決めるまで、契約には進みません。

親が決める前に、売るとどうなるかだけ聞いてみてください。手放す道を考え始めた段階でも、実家の外観と玄関の写真1枚、所在地があれば足ります。返事は翌営業日までにお出しします。

よくある質問

親に「実家を売ろう」と言ったら怒られました。どう話し直せばいいですか。

売る話から入ったのが引っかかったのかもしれません。次は「家のこれから」を一緒に考えたい、という言い方に変えます。数日あけて、親が落ち着いた別の日に話すほうが通じます。

親がまだ元気なうちに、実家の売却の相談だけしても大丈夫ですか。

家の状態を聞くだけなら、契約には進みません。売るかどうかを決める材料を、子が集めておく段階として使えます。

実家の名義が親のままです。子どもだけで売る話を進められますか。

名義が親なら、売るかどうかを決めるのは親です。子どもが先に進められる範囲は、状態を調べる、相談先を探すところまでです。

親が「自分が死んだら好きにしろ」と言うだけで、話になりません。

その言葉の裏に、家の話を始めたくない気持ちがあります。結論を求めず、鍵の置き場所や書類の場所を聞くところから始めると、応じてくれることがあります。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

このような物件のご相談は、相続した空き家の買取相談のページへ。

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相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。

片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。

資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。

相続登記が終わっていなくても、名義が複数でもご相談いただけます。順番は当社でご案内します。

お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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