空き家の仲介手数料は800万円以下だといくら?上限と切り替え

書類と封筒が置かれた机

仲介に出して1年、問い合わせがほとんどない。800万円以下の空き家の仲介手数料は、原則の計算なら価格に応じた額ですが、令和6年7月からの特例を使うと、一律で33万円まで上げられます。

売れていないのに手数料の話をされても、と思うかもしれません。それでも、安い空き家ほど33万円という額の重みは大きくなります。仲介のまま待つのか、動き方を変えるのかは、この額を知ってから決めても遅くありません。

目次

仲介手数料の上限は、価格を3段階に分けて計算する

仲介手数料(媒介報酬)は、不動産会社が受け取れる額に上限があります。決まっているのは上限で、いくらにするかは売主と不動産会社の合意です。

国土交通省の説明では、売買の上限は価格の段階ごとに決まります。いずれも消費税込みの手数料で、200万円以下の部分は5.5パーセント、200万円を超え400万円以下の部分は4.4パーセント、400万円を超える部分は3.3パーセントです。

計算に使う価格は、消費税を除いた額です(国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」、告示第二、2026年11月時点)。

同じページに計算例があります。1,000万円の物件なら、200万円×5.5パーセント+200万円×4.4パーセント+600万円×3.3パーセントで、上限は39万6,000円(税込)です。

300万円の空き家なら、200万円までが11万円、残りの100万円が4.4万円で、足して15万4,000円になります。

速算式にすると

段階ごとに足し算をする代わりに、一本の式にまとめたものが速算式です。上の率から計算すると、400万円を超える物件なら、価格×3.3パーセント+6.6万円(税込)になります。

この式は、国土交通省の率から当社が計算したものです。実際の請求額は、不動産会社の見積もりと媒介契約書に当たってください。

800万円以下は、原則の額を超えて33万円まで受け取れる

物件の価格が800万円以下の宅地・建物は、告示で低廉な空家等と呼ばれ、特例の対象になります。令和6年7月1日以降の売買で、不動産会社は、媒介に要する費用を勘案して、原則の上限を超えて報酬を受け取ることができます。

上限は、30万円の1.1倍にあたる33万円(税込)までです(国土交通省、同ページと告示第七)。

つまり特例は、売主の負担を軽くする制度ではありません。告示の書き方は「媒介に要する費用を勘案して」で、受け取れる額の天井を引き上げるものです。

安い物件は原則の計算だと手数料が少ないので、その差を埋める仕組みだと当社は見ています。売主から見ると、手数料が上がる側に働きます。

建物の使用の状態は問われません。空き家に限らず、800万円以下の宅地・建物が対象です。

特例の効き方は、価格が低いほど大きくなります。

売買価格原則の上限(税込)低廉な空家等の特例の上限(税込)
100万円5万5,000円33万円
300万円15万4,000円33万円
400万円19万8,000円33万円
800万円33万円33万円

上の金額は、国土交通省の率から当社が計算した例です。800万円では、原則の上限と特例の上限が同じ額になります。

仲介手数料の上限が段階で決まる図
段階ごとに足して、上限が決まる
価格ごとの上限の比べ方
安い家では、特例の上限のほうが原則よりずっと高い

値下げしても、手数料が33万円のままなら

仮に特例の上限である33万円で契約したとします。200万円で売れれば、手数料は売価の16.5パーセントです。100万円まで下がると、売価の3分の1にあたります。売価が下がるほど、手数料は取り分を大きく削ります。

同じ家が原則の計算なら、200万円で11万円、100万円で5万5,000円です。値下げの相談を受ける前に、手数料をいくらで見積もっているかを聞いておくと、受け取る額が読めます。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

上限まで取られるのか、売主が決められるのか

上限は、取ってよい最大の額であって、決まった額ではありません。特例の33万円も、同じです。

国土交通省のページには、売主と不動産会社が事前に条件を合意しておくよう書かれています。媒介契約を結ぶとき、手数料をいくらにするのか、特例を使うのかを、その場で聞いておけば食い違いを防げます。額の説明を受け、納得してから契約を結んでください。

聞いておくとよいのは、次の3つです。

  • 手数料を、原則の計算で出しているのか、33万円の特例で出しているのか
  • 現地確認や広告にかかる費用を、手数料とは別に請求するのか
  • 売れなかったとき、手数料以外に払うものがあるのか

すでに契約している方は、媒介契約書の「約定報酬額」の欄を見てください。標準の契約書では、税抜きの報酬額と消費税額を足した額がここに入ります。

告示第十一は、報酬のほかに受け取れるものとして、依頼者の依頼で出す広告の料金を挙げています。

これとは別に、標準媒介契約約款は、依頼者が特別に頼んだ場合の実費として、広告の料金と遠隔地への出張旅費を依頼者の負担と定めています(専任・専属専任は第10条、一般は第12条)。

頼んでいない作業の費用まで求められたら、根拠を聞いてください。

仲介で売れない空き家は、価格を下げても動かないことがある

800万円以下に下げても、買い手が付かない空き家があります。値段の問題ではなく、家の側に買い手を絞る事情があるためです。

たとえば、雨漏りがある、荷物が残っている、前の道路が狭い、土砂災害の警戒区域にかかっている、などです。広島県江田島市の事例は、築年が分からず雨漏りと残置物があり、土砂災害警戒区域にかかる島の家でした。それでも現況のまま取り扱っています(江田島市の買取事例)。

こうした条件で買い手が絞られている家は、値下げしても問い合わせが増えるとは限りません。33万円で契約していれば、下げた分だけ、売価に占める手数料の割合は重くなります。

売れない理由が値段なのか、家の条件なのかを分けておくと、次の手が見えます。仲介を続ける場合の見方は、1年以上売れない家はどうなるかにまとめました。

切り替えるときに見るのは、約定報酬額と更新の時期

切り替えで手数料に関わるのは、契約書の約定報酬額と、更新の時期の2つです。媒介契約の種類や更新の流れの全体は、上で挙げた記事に書きました。

仲介は、不動産会社が買主を探す売り方です。買取は、不動産会社が買主になる売り方です。違いの整理は、買取と仲介の違いと買取のデメリットに詳しく書いています。

額を見直すなら、更新の前です。標準媒介契約約款の有効期間はどの種類も3か月以内で、更新は依頼者と不動産会社の合意に基づき、満了に際して依頼者から文書等で申し出る形です(専任第15条、専属専任第14条、一般第16条)。

別の合意をしなければ、更新後も前と同じ内容の契約になります。手数料の額を変えたいなら、更新を申し出る前に話してください。

満了を待たずに途中でやめるなら、費用の上限を見ます。専任と専属専任は、不動産会社の責めに帰せない事由で解除したとき、履行に要した費用を請求されることがあります。額は約定報酬額が上限です(専任第14条、専属専任第13条)。

期間内に別の相手と契約したときの扱いは、種類で分かれます。

  • 専属専任:他社へ頼むことも、自分で見つけた相手と契約することもできません。違反して契約を成立させると、約定報酬額に相当する違約金を請求されます(第12条)
  • 専任:他社へ頼んで契約を成立させると、違約金を請求されます(第12条)。自分で見つけた相手と契約するときは不動産会社へ通知が要り、履行に要した費用の請求を受けることがあります。額は約定報酬額が上限です(第13条、第14条)
  • 一般:他社にも頼めますが、明示していない会社の媒介で成立させると、履行に要した費用を求められることがあります。他社の媒介や自分で見つけた相手で成立させたときは、遅滞なく通知する義務があります(第14条、第15条)

満了後2年以内に、前の不動産会社の紹介で知った相手と、その会社を外して直接契約すると、成立に寄与した割合に応じた報酬を求められます(専任・専属専任は第11条、一般は第13条)。

実際の契約には、約款と違う定めが入っている場合があります。自分の契約の種類と約定報酬額を、契約書で見てください。

他で断られた家も、現況のまま相談できる

当社は、買主になる側の会社です。片付けも解体もしないまま、他で断られた物件を引き受けられる場合があります。仲介のまま待つか、現況のまま手放す道に変えるか、決めかねている段階でも構いません。

状況を聞くときは、次の点を見ます。

  • 建物の状態と築年数、家財が残っているか
  • 名義が誰か、相続登記が済んでいるか
  • 前の道路と接し方、土地の条件

条件は物件ごとに違うので、引き受けられるかどうかは個別に判断します。仲介の手数料や契約の細かい扱いは、媒介契約書と不動産会社で確かめてください。

契約書の写しがあれば、連絡できる

媒介契約書の写しと、所在地、建物の写真があれば足ります。ご相談への返事は、翌営業日までにお返しします。

手数料が気になって動けなかった方は、まず契約の種類と期間の欄だけ写真に撮って送ってください。

よくある質問

300万円の空き家を仲介で売ると、手数料はいくらまで取られますか。

国土交通省の率で計算すると、税込で15.4万円です(200万円までが11万円、残り100万円が4.4万円)。ただし、低廉な空家等(800万円以下)の特例が使われると、30万円の1.1倍(33万円)まで上がります。

どちらの額で請求するかは、媒介契約を結ぶときの説明と合意で決まります。

売れなかったら、手数料は払わなくていいですか。

標準媒介契約約款では、報酬を請求できるのは、不動産会社の媒介で売買契約が成立したときです(専任・専属専任は第8条、一般は第10条)。売れなければ報酬の請求はありません。自分の契約書に、約款と違う定めが付いていないかを見てください。

なお、依頼者が特別に頼んだ広告の料金や遠隔地への出張旅費は、実費を依頼者が負担すると約款に書かれています(第10条、一般は第12条)。

仲介に出して1年たちました。別の会社や買取に変えられますか。

変えられます。標準約款の有効期間は3か月以内で、更新は依頼者の申し出と合意が前提なので、満了で区切って動く手があります。

期間内に動くなら契約の種類で扱いが違い、専属専任は他社へ頼むことも自分で見つけた相手と契約することもできず、違反すると約定報酬額に相当する違約金を請求されます。

家の条件によっては買取でも引き受けられないことがあるので、状況を送っていただければ個別に判断します。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

このような物件のご相談は、訳あり不動産の買取相談のページへ。地域ごとの事情は、江田島市の空き家の手放し方のページにまとめています。

訳あり不動産の売却でお困りなら

どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。

相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。

片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。

資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。

お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

目次