共有物分割請求とは|裁判になったら3つの結末しかない

外壁一面が蔦に覆われた空き家

共有物分割請求は、共有状態を終わらせるための手続きです。兄弟で相続した実家が何年も動かない、共有者の一人が売りたいのに他が応じない——そうしたときに使われます。ただし裁判まで行くと、結末は3つしかありません。そして3つ目は誰にとっても得になりません。この記事では、その仕組みと、手前で決着させる道を整理します。

目次

いつでも請求できる

第二百五十六条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。

——民法第256条第1項(e-Gov法令検索)

持分の割合が小さくても請求できます。10分の1しか持っていない共有者でも、分割を求めることができます。

まずは共有者間の話し合いです。まとまらなければ、裁判所に請求することになります。

第二百五十八条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。

——民法第258条第1項

裁判所が選ぶのは、この3つ

共有物分割の3つの形と、裁判所が選ぶ順番を示した図解
裁判所が選ぶ順番は決まっている

条文はこう定めています。

2 裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。

一 共有物の現物を分割する方法

二 共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法

3 前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。

——民法第258条第2項・第3項

内容現実的か
① 現物分割土地を分けて、それぞれの単独所有にする建物があると使えません。土地でも狭くなると価値が落ちます
② 賠償分割誰か一人が全部取得し、他にお金を払う取得する人に資金があれば最も現実的
③ 競売売った代金を持分に応じて分ける最後の手段。市場価格より下がります

③の競売は、誰にとっても得になりません。
競売は市場での売却より価格が下がるのが通常で、全員が本来より少ない金額を受け取ることになります。
それでも①②が難しければ、裁判所はこれを命じます。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

争っている間も、負担は続く

裁判には時間がかかります。その間、固定資産税は課され、建物があれば傷み続けます。争いが長引くほど、分ける原資そのものが減っていきます。

さらに、共有者の誰かが亡くなれば相続が起きて人数が増えます。相続人が後から出てきたときと同じ構図で、関わる人が増えるほど合意は難しくなります。

分割請求と、持分の売却は別のもの

よく混同されますが、目的が違います。

  • 持分の売却……自分の持分だけを第三者に譲る。他の共有者の同意は要らない。共有関係は残る
  • 共有物分割請求……共有関係そのものを終わらせる。話がつかなければ裁判になる

急いで自分だけ抜けたいなら持分の売却、根本的に片付けたいなら分割請求という使い分けになります。持分売却については共有持分の売却にまとめました。

請求された側になったとき

無視しないでください。応じなければ裁判に進み、最終的に競売になれば全員が損をします。

まず確かめることは3つです。

  1. 相手は何を望んでいるのか(お金が要るのか、関係を切りたいのか、その土地を使いたいのか)
  2. 自分は取得したいのか、手放したいのか
  3. 取得するなら、資金を用意できるか(賠償分割はここで決まります)

「相手が本当に望んでいること」を確かめると、裁判以外の道が見えることがあります。お金が必要なだけなら、一緒に売って分けるほうが、競売より双方の手取りが増えます。

手前で決着させる道

  • 共有者の誰かが買い取る(賠償分割を、裁判ではなく話し合いで実現する)
  • 全員で一緒に売る……単独所有の土地として売れるので、価格がいちばん高くなります
  • 自分の持分だけを売る……相手と話がつかないときの現実的な出口

当社は共有持分や、共有者間で話がまとまらない不動産のご相談を受けています。相手方と直接やり取りしていただく必要はありません。ただし、すべてをお引き受けできるわけではなく、持分の割合や相手方のご意向によって変わります。

全体像は共有持分・借地・底地の買取相談に、相続で共有になった場合の進め方は共同相続した不動産の売却にまとめています。

よくある質問

共有物分割請求は誰でもできますか。

共有者であれば誰でも、いつでもできます(民法256条1項)。持分の割合が小さくても可能です。ただし5年を超えない範囲で分割しない旨の契約をすることは認められており、その契約があれば期間中は請求できません。

裁判になると、どうなりますか。

民法258条2項により、裁判所は現物分割か賠償分割(誰かが取得して他の共有者にお金を払う)を命じます。どちらも難しい場合、または分割で価格が著しく下がる場合は、同条3項により競売が命じられます。競売は市場価格より下がることが多く、誰にとっても得になりません。

自分の持分だけを売ることと、分割請求はどう違いますか。

持分の売却は共有関係を維持したまま、自分の立場を第三者に譲るものです。他の共有者の同意は要りません。分割請求は共有関係そのものを終わらせる手続きで、話がつかなければ裁判になります。急ぐなら持分売却、根本的に解決したいなら分割請求、という使い分けになります。

他の共有者から分割請求されました。どうすればいいですか。

無視しないでください。応じなければ裁判になり、最終的に競売になれば全員が市場価格より低い金額を受け取ることになります。まず相手が何を望んでいるのかを確かめ、賠償分割で自分が取得する道や、一緒に売って分ける道を検討してください。

費用はどれくらいかかりますか。

裁判所に納める手数料は訴額に応じて決まり、加えて鑑定が必要になれば鑑定費用がかかります。弁護士に依頼すればその費用も要ります。期間も含めて負担が大きいため、話し合いで決着させるほうが結果的に手元に残る金額は大きくなります。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

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