所在等不明共有者——連絡先も居場所も分からない共有者がいるために、売ることも、直すことも、貸すこともできない。相続を重ねて共有者が増えた不動産では、よくある行き詰まりです。2021年の民法改正で、裁判所にその人の持分を取得させてもらう道ができました。この記事では、要件と手続き、使えない場合を整理します。
まず、探すところから
制度を使う前に確かめてください。住所が分からないだけなら、戸籍の附票をたどれば現住所が判明することが多くあります。
- 共有者の戸籍の附票を取り寄せる(利害関係を示せば取得できることがあります)
- 相続で共有になった場合は、被相続人の戸籍から相続人をたどる
- 登記の住所が古いままなら、そこから追う(住所変更登記の義務化)
ここで見つかれば、以下の手続きは要りません。話し合いに戻れます。

裁判所に持分を取得させてもらう
第二百六十二条の二 不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者(以下この条において「所在等不明共有者」という。)の持分を取得させる旨の裁判をすることができる。
共有者が減るので、その後の売却や活用に進めるようになります。
無償で取り上げる制度ではありません。
裁判所が定めた時価相当額を法務局に供託する必要があります。
所在が分からない共有者は、後から現れれば供託金の返還を請求できます。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
複数の共有者が申し立てた場合
同条1項の後段が、こう定めています。
この場合において、請求をした共有者が二人以上あるときは、請求をした各共有者の持分の割合で按分してそれぞれ取得させる。
裁判所は3か月以上の期間を定めて公告するため、その間に他の共有者も申し立てれば、全員で分けることになります。一人が独占する仕組みではありません。
使えない場合があります
2 前項の請求があった持分に係る不動産について第二百五十八条第一項の規定による請求又は遺産の分割の請求があり、かつ、所在等不明共有者以外の共有者が(中略)異議がある旨の届出をしたときは、裁判所は、同項の裁判をすることができない。
共有物分割請求や遺産分割の請求がされていて、他の共有者が異議を出せば使えません。すでに争いが起きている場合には向かない、ということです。共有物分割については共有物分割請求とはにまとめました。
また、相続財産に属する持分については別の制限があります(同条3項)。相続が絡む場合は、先に相続の整理が要ることがあります。
持分を取得しなくても、できることがある
目的が「売りたい」ではなく「直したい」「貸したい」なら、もっと軽い道があります。
| やりたいこと | 使える規定 |
|---|---|
| 変更を加えたい(大規模な改修など) | 民法251条2項……所在不明の共有者以外の同意で変更できる裁判 |
| 管理を決めたい(貸す、修繕する) | 民法252条2項……所在不明の共有者を除いた持分の過半数で決められる裁判 |
| 持分ごと取得したい(売却に進みたい) | 民法262条の2……本記事の制度 |
目的に合わせて選んでください。持分の取得は供託が必要になるぶん、負担が大きくなります。
進め方の順番
- 登記事項証明書で、共有者と持分を確認する(相続で増えていないか)
- 戸籍の附票をたどって、所在を探す(ここで見つかることが多い)
- 見つからなければ、何をしたいのかを決める(売る/直す/貸す)
- 目的に応じて、251条2項・252条2項・262条の2のどれを使うかを選ぶ
- 弁護士に相談し、申立ての準備をする(供託金の見込みも確認)
2を飛ばさないでください。制度を使うより、見つけて話をするほうが早く終わります。
当社は共有持分のご相談を受けています。共有者と直接やり取りしていただく必要はありません。ただし所在が分からない共有者がいる場合、手続きに時間がかかるためすぐに進められないことがあります。まず所在地、持分の割合、共有者の人数と状況をお知らせください。
全体像は共有持分・借地・底地の買取相談、価格の考え方は共有持分の買取価格もご覧ください。
よくある質問
共有者の一人と連絡が取れません。何ができますか。
まず戸籍の附票をたどってください。住所が分からないだけなら、それで現住所が判明することが多くあります。それでも所在が分からない場合、民法262条の2により、裁判所に請求してその共有者の持分を自分が取得する裁判を求める道があります。2021年の民法改正でできた制度です。
お金は払わなくていいのですか。
払います。裁判所が定めた時価相当額を法務局に供託する必要があります。所在が分からない共有者は、後から現れれば供託された金額の返還を請求できます。無償で持分を取り上げる制度ではありません。
共有者が複数で申し立てた場合はどうなりますか。
民法262条の2第1項後段により、請求をした各共有者の持分の割合で按分して取得することになります。裁判所が定める期間(3か月以上)内に他の共有者も申し立てれば、その全員で分けることになります。
使えない場合はありますか。
同条2項により、その不動産について共有物分割請求や遺産分割の請求がされていて、他の共有者が異議を届け出た場合、裁判所はこの裁判をすることができません。また相続財産に属する持分については、別の制限があります。争いが起きている場合には使えないことがある、という理解でよいでしょう。
売却や修繕だけしたい場合はどうすればいいですか。
持分を取得するところまでしなくても、民法251条2項により所在不明の共有者以外の同意で変更を加えられる裁判、252条2項により所在不明の共有者を除いた過半数で管理を決められる裁判があります。目的に応じて使い分けてください。
この記事の監修者
訳あり不動産の売却でお困りなら
どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。
相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。
片付け・解体・測量の費用を、先にご負担いただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp
ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

