実家は相続放棄と売却のどちらにする?先に決める順番

相続書類と古い家の鍵(イメージ)

実家を相続放棄するか、売るか。決めきれないまま、3か月の期限が近づいていませんか。

実家だけを手放すつもりで放棄すると、預貯金も受け取れなくなります。逆に、売る手続きに進むと、放棄ができなくなる場合があります。

目次

3か月で決めるのは、実家ではなく相続の全体

相続放棄の期限は、民法915条1項が定めています。

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

——民法第915条(e-Gov法令検索)

決める対象は「相続について」です。実家だけを選べる条文ではありません。

放棄をしようとする人は、その旨を家庭裁判所に申し出ます(民法938条)。

まず、放棄と売却で何が変わるかを並べます。

放棄する売る(相続する)
実家相続しない。以後は売主にもなれない自分の名義にしたうえで売る
預貯金・ほかの財産これも相続しない受け取れる
借金などの負債引き継がない引き継ぐ(相続人であるため)
実家の片付け・名義手を付けると放棄に響く場合がある登記も片付けも自分の手続き

実家に価値がなく、ほかに財産もない。このときだけは、放棄の話が早く進みます。

実家のほかに預貯金や自宅外の不動産があるなら、放棄は損な選び方になりやすい、と考えてください。

売ったあとに放棄はできない

民法921条は、次の場合に単純承認をしたものとみなすと定めています。

相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

——民法第921条1号(e-Gov法令検索)

実家を売る、解体する、家財を捨てる。どれが「処分」にあたるかは、事情で判断が分かれます。

「放棄しながら実家も売る」という順番は、通らないと考えてください。先に売れば放棄できず、先に放棄すれば売主になれません。
家に手を付けるのは、放棄の可能性を残すかどうかを決めてからにしてください。

放棄と売却の順番
先に何をしたかで、残る道が決まる

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

期限までに決まらないとき

相続の承認や放棄をする前に、相続財産の調査をすることは認められています(民法915条2項)。

3か月は、通帳や借入の有無を調べるだけでも足りなくなりがちです。特に遠方の実家では、権利証や固定資産税の通知書を探すところから始まります。

期間が足りないときは、家庭裁判所に伸長を請求する道があります。申立ては、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所に、3か月のうちに出します(裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」)。書類の整え方は、司法書士か弁護士に聞くと早く進みます。

放棄も限定承認もしないまま期限が過ぎると、単純承認とみなされます(民法921条2号)。つまり、迷い続けた末に、実家を相続した形になります。

3か月のあいだの順番
手を付ける前に調べ、専門家に聞いてから、放棄か売却かを決める

迷う前に調べる三つのこと

放棄の可否は、実家の価値だけでなく、ほかに何があるかで変わります。遠方で見に行けなくても、手元の紙で分かることがあります。

固定資産税の納税通知書には、実家の所在地と評価額が載っています。通知書が見つからなければ、市区町村の税務課に問い合わせる道もあります。

預貯金と借入は、通帳、郵便物、カードの請求書から探します。放棄を考えるなら、ここがプラスかマイナスかで答えが逆になります。

ほかの不動産も同じです。実家のほかに土地があるなら、放棄するとそれも相続しないことになります。

あなたの状況放棄の向き不向き次にやること
実家のほかに財産がなく、借金がある向きやすい家に手を付けず、専門家に相談
預貯金がある。実家だけ手放したい向きにくい実家を売る・手放す道を探す
名義も財産も、まだ全体が分からない判断できない3か月のうちに調査。足りなければ伸長を相談
兄弟で意見が割れている一人では決まらない放棄は各自の判断。売るなら全員の合意

この表は考え方の整理で、個別の結論は専門家に確かめてください。

放棄したあとも、実家を預かっていたら

放棄をしても、実家を放棄の時に現に占有しているときは、次の人に引き渡すまで、自己の財産と同じ注意で保存しなければなりません(民法940条1項)。

「現に占有」の線引きは、鍵を持っているだけで足りるのかなど、事情で変わります。条文のうえでは、占有していなければこの義務は生じません。

範囲の整理は、相続放棄しても残る管理義務にまとめています。

片付けの手を付ける順番は、相続放棄の前に片付けてしまったときで書いています。ここでは繰り返しません。

自分で売る道と、その限界

相続したあとに手放す道は二つです。仲介で買主を探して売るか、制度で国に引き渡すかです。

仲介は、買主が現況を見て、住めるか、建て直せるかで決めます。地方の古い実家は、内見の予約が入らないまま時間だけが過ぎやすい物件です。理由は地方の空き家が売れない3つの理由で説明しています。

国に引き渡す道は、相続土地国庫帰属制度です。法務省の案内では、建物がある土地、担保権や使用収益権が設定されている土地、境界が明らかでない土地などが、承認申請のできない土地に挙がっています(法務省 相続土地国庫帰属制度)。

実家が建ったままでは申請できず、建物を壊してからの申請になるため、解体費がかかります。

そのうえ、承認されれば、国有地の管理に要する10年分の標準的な費用が負担金になります。制度の詳しい条件は相続土地国庫帰属制度の却下条件にあります。

当社の扱い|片付けも解体もせず、実家を現況のまま

放棄でも国庫帰属でも手が届かない実家で、止まっている方は少なくありません。

当社は、こうした負動産の買取相談を、現況のままお受けしています。片付けや解体、測量を済ませていただく必要はありません。

当社が取り扱った事例には、家財が残り、境界も確かめられていないままの家があります。買主を探す条件には合わない状態でした(取り扱い例)。

引き受けられるかは、物件ごとに個別に判断します。お引き受けになることもあり、条件によっては成立しないこともあります。

当社で見るのは、次の点です。

  • 建物の状態と、築年数の目安
  • 名義が誰か、相続人が何人いるか
  • 敷地が道路に接しているか、境界は分かるか
  • 家の中の物が、どのくらい残っているか

実家の名義が亡くなった親のままでも、相談はできます。売買の前には相続登記が要るため、相続人が複数なら全員の合意が前提になります。

売るときの買取と仲介の違いは買取と仲介の違いにも書きました。売るなら、相続登記や遺産分割など、名義の側の手続きが要ります。

放棄するか売るか迷う段階で、実家の状態だけ先に聞く

放棄を決めた人にも、売ると決めた人にも、実家の状態を知っておくことは役に立ちます。

遠方でも、現地にお越しいただかずに契約から決済まで進められます。ご相談への返事は、翌営業日までにお返しします。

放棄するか売るか迷っている段階で、家の状態だけ聞いてみてください。所在地と、分かる範囲の写真があれば足ります。税務や法務の判断は、税理士・司法書士にご確認ください。訳あり不動産の買取相談から送れます。

よくある質問

実家だけ相続放棄して、預貯金は受け取れますか。

家だけを選んで放棄することは、できない扱いです。放棄は、プラスの財産もマイナスの財産もまとめて相続しないという手続きになります。実家だけ手放したいときは、売る道や、国に引き渡す制度などを比べることになります。

放棄するか売るか決まらないまま、3か月が過ぎそうです。

期間は、利害関係人などの請求で家庭裁判所が延ばせると、民法915条1項のただし書に書かれています。何もせずに期間が過ぎると、単純承認とみなされる定めもあります。延ばしたいときは、亡くなった方の最後の住所地の家庭裁判所に、3か月のうちに申し立てます。

実家を売ったあとで、やっぱり放棄したいと思ったら。

売ることが、相続財産の処分にあたると判断されると、単純承認とみなされて放棄できなくなる定めがあります(民法921条1号)。売る前に、放棄の可能性が残るかを専門家に聞いてください。

放棄するなら、実家の片付けはしなくていいですか。

片付けの内容によっては、処分とみなされる場合があります。鍵を預かっている、庭木が道に出ているなど、放っておけない事情があるときも、動く前に専門家へ。当社には、片付け前の状態で聞いていただいて構いません。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

このような物件のご相談は、相続した空き家の買取相談のページへ。

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どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。

相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。

片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。

資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。

相続登記が終わっていなくても、名義が複数でもご相談いただけます。順番は当社でご案内します。

お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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