富山市は、令和8年4月1日以降に、相続した空き家などを低い価格で売った人に奨励金を出しています。1戸10万円、市の対象区域内なら30万円で、譲渡価格は800万円以下が条件です。
「実家の空き家を、値段がつかなくても手放したい」という方にとって、奨励金は金額としては大きくありません。それでも、空き家の3,000万円特別控除で使う確認書とつながっていて、確認書の発行日から3か月を過ぎると、奨励金は申請できません。この記事では、市の案内ページ(令和8年7月23日更新)と要綱だけをもとに、対象・申請の期限・分かっていないことを整理します。
この記事の答え
– 金額: 1戸10万円。「まちなか」または「公共交通沿線居住推進事業補助対象区域」なら30万円。1戸1回限り
– 対象: 令和8年4月1日以降に譲渡した住宅等で、譲渡価格が800万円以下。市が発行する被相続人居住用家屋等確認書が要る
– 期限: 確認書の発行日から3か月以内に申請
– 分かっていないこと: 予算の残りと、受付を締め切る日は市のページに載っていない(要綱は令和9年12月31日に廃止)
奨励金の対象は、どんな売り方ですか?
市の案内ページには、交付の要件が次のとおり書かれています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象地域 | 富山市全域 |
| 対象者 | 富山市長が確認を行った被相続人居住用家屋等確認書の発行を受けた方 |
| 奨励金の額 | 10万円(「まちなか」または「公共交通沿線居住推進事業補助対象区域」は30万円) |
| 譲渡の時期 | 令和8年4月1日以降に譲渡した住宅等 |
| 譲渡価格 | 800万円以下(要綱では消費税相当額を除く) |
| 回数 | 住宅等1戸につき1回限り |
| 申請期間 | 被相続人居住用家屋等確認書の発行日から3か月以内 |
対象になるかどうかを分けるのは、譲渡価格が800万円以下かどうかと、確認書の発行を受けているかどうかの2つです。市の案内ページは、この制度を「低廉な空き家等」を売却した場合の奨励金と説明しています。
「まちなか」などの区域に当たるかどうかは、市が案内している「インフォマップとやま」の補助対象区域図で確かめます。この記事では、個々の住所が区域内かどうかは判断できません。
確認書が出る家かどうかの目安
奨励金は、3,000万円特別控除のための確認書が出ていることが前提です。そのため、控除の主な条件に当てはまらない家は、奨励金も受けられません。国税庁の案内(タックスアンサーNo.3306、令和8年4月1日現在法令等)に書かれている主な条件は、次のとおりです。
| 主な条件 | 国税庁の案内の内容 |
|---|---|
| 建てた時期 | 昭和56年5月31日以前に建築された家屋 |
| 建物の種類 | 区分所有建物登記がされている建物(マンションなど)ではない |
| 住んでいた人 | 相続開始の直前に、被相続人以外に住んでいた人がいなかった(老人ホーム等に入所していた場合は一定の要件あり) |
| 相続後の使い方 | 相続の時から譲渡の時まで、事業・貸付・居住に使われていない |
| 売る時期 | 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(特例自体は令和9年12月31日までの譲渡が対象) |
| 売却代金 | 1億円以下 |
このほか、親子や夫婦など特別の関係がある人に売った場合は対象になりません。令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋と敷地を取得した相続人が3人以上の場合、控除額は2,000万円までです。細かい条件と外れやすい点は空き家の3000万円控除の記事で整理しています。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
被相続人居住用家屋等確認書とは何ですか?
確認書は、被相続人(亡くなった方)が住んでいた家が、空き家になっていたことを確認するための書類です。市の案内ページによると、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除を確定申告で使うときに必要な書類で、富山市が交付しています。
| 確認書について | 市の案内ページの内容 |
|---|---|
| 窓口 | 富山市役所東館6階 住宅政策課 空き家対策推進班 |
| 手数料 | かからない |
| 郵送 | 可能(返信用に110円切手を貼った長形3号の封筒が要る) |
| 発行までの期間 | 書類を不備なく受理してから1週間程度 |
| 注意 | 控除の適用を確約するものではない |
確認書の申請書は、売り方によって様式が分かれています(市の確認書ページ、令和8年7月22日更新)。
| 様式 | 売り方 |
|---|---|
| 様式1-1 | 譲渡の時点で耐震基準に適合している家屋を売る |
| 様式1-2 | 家屋を解体してから、土地のみを売る |
| 様式1-3 | 売った後、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに、耐震基準に適合させるか解体する |
必要書類の一覧は様式ごとに別になっています。
訳ありの空き家では、どの様式に当たるかを先に決める
譲渡価格800万円以下という条件に近いのは、再建築不可の家や、家財が多く残ったままの家など、そのままでは買い手が見つかりにくい空き家だと考えられます。こうした家では、どの様式で確認書を申請するかによって、売る前の準備が変わります。
- 様式1-2(解体してから土地を売る): 売る前に解体を済ませる必要があります。再建築不可の土地は、解体すると建て直せない更地になるため、解体の前に売り方を決めておくことが大切です
- 様式1-3(売った後に耐震改修か解体をする): 現況のまま売り、譲渡の翌年2月15日までに耐震基準への適合か解体を済ませる形です。誰がいつ工事をするかを、売買の条件として決めておく必要があります
- 様式1-1(耐震基準に適合した家屋のまま売る): 昭和56年5月31日以前の家屋が対象なので、譲渡の時点で耐震基準に適合していることを示す必要があります
どの様式に当たるかで必要書類も変わるため、売り方が決まった段階で住宅政策課に確かめてください。
被相続人居住用家屋等確認書=亡くなった方の居住用家屋が空き家であったことを、市が確認する書類。奨励金の要綱は、租税特別措置法第35条第3項または第5項に該当することを確認した家屋と敷地を対象としています。確認書が出たからといって、控除や奨励金が決まるわけではありません。
申請の流れと、先に押さえる点
要綱の第5条は、対象を「被相続人居住用家屋等確認書に記載された住宅等の譲渡価格」が800万円以下のものとしています。確認書は売った後に申請して発行される書類なので、順番は次のようになります。
- 令和8年4月1日以降に、住宅等を800万円以下(消費税相当額を除く)で売る
- 売り方に合った様式で、確認書の申請書を住宅政策課に出す
- 確認書が発行される(書類が不備なく受理されてから1週間程度)
- 確認書の発行日から3か月以内に、奨励金の交付申請書(様式第1号)を、売買契約書の写しなどを添えて出す
交付申請の添付書類は、要綱の別表に次のものが挙がっています。
| 添付書類 | 内容 |
|---|---|
| 被相続人居住用家屋等確認書の写し(全体) | 令和8年4月1日以降に譲渡したもの |
| 売買契約書の写し等 | 譲渡価格が分かるもの |
| 納税証明書(原本) | 申請者に富山市税の滞納がないことが分かるもの |
| 相続人全員の同意書 | 相続人が複数人の場合 |
申請者には、市税を滞納していないことなどの条件があります。相続人が複数いる場合の扱いは、案内ページは「代表者が申請する」、要綱の別表は「相続人全員の同意書」を求めており、両方を満たす形になると読めます。実際の書き方は、窓口で確かめてください。
- 確認書が発行されたあと、確定申告の準備だけ進めて、奨励金の申請を忘れたまま3か月を過ぎる
- 確認書の発行日から3か月の申請期限を、売却日から数えてしまう
- 譲渡価格が800万円を少し超えるのに、対象になると思い込む
分かっていないこと
市の案内ページに載っていないのは、次の2点です。
- 予算の残り: 要綱の第2条は「予算の範囲内において」交付すると定めていますが、令和8年度の予算額や残りは公表されていません
- 受付を締め切る日: 要綱の附則には、令和9年12月31日をもって廃止するとあります。予算の都合で、それより前に受付が止まるかどうかは分かりません
この記事を書いた時点で、案内ページに「受付終了」の表示はありません。ただし、申請を考える方は、売る前に住宅政策課(076-443-2112)へ現況を確かめてください。
売値が800万円に届かない空き家を、現況のまま相談したいとき
ごえん株式会社は、訳あり不動産の買取と、お引き受けを行っています。片付け・解体・測量を先に済ませていただく必要はなく、現況のままご相談いただけます。
再建築不可、相続登記が済んでいない、共有名義といった事情がある空き家でも、まずは状況をお聞かせください。
他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。
希望額と条件の開きがある場合や、相続人どうしの合意が整っていない場合などは、ご希望に沿えないことがあります。個別の判断になります。富山市の奨励金は、売り方や価格によっては対象外になります。
ご相談への返事は、翌営業日までにお送りします。税の扱いは税理士に、登記の手続きは司法書士にご確認ください。
出典: 富山市「相続した空き家を一定期間内に除却等して、その敷地を低廉な価格で売却した場合」(令和8年7月23日更新)/富山市「相続した空き家を一定期間内に除却等して、その敷地を売却した時の譲渡所得に関する控除について」(令和8年7月22日更新)/富山市空き家等流通促進奨励金交付要綱(令和8年4月1日施行)/国税庁 タックスアンサーNo.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(令和8年4月1日現在法令等)
よくある質問
富山市の空き家等流通促進奨励金は、いくら出ますか。
市の案内ページ(令和8年7月23日更新)では、10万円です。対象の空き家等が「まちなか」または「公共交通沿線居住推進事業補助対象区域」に当たる場合は30万円です。1戸につき1回限りです。
どんな売り方が対象になりますか。
令和8年4月1日以降に譲渡した住宅等で、譲渡価格が800万円以下(要綱では消費税相当額を除く)のものです。富山市長の確認を受けた被相続人居住用家屋等確認書の発行を受けていることも条件です。
申請はいつまでにすればよいですか。
被相続人居住用家屋等確認書の発行日から3か月以内です。要綱の第7条にも同じ定めがあります。確認書の発行は、書類が不備なく受理されてから1週間程度かかると市が案内しています。
相続人が何人かいる場合はどうなりますか。
市の案内ページでは、相続人が複数いる場合は代表者が申請するとされています。要綱の別表には、相続人が複数人の場合の「相続人全員の同意書」が添付書類として挙がっています。
予算がなくなったら、受付は終わりますか。
要綱の第2条は、奨励金を「予算の範囲内において」交付すると定めています。予算の残りや、受付を締め切る日は、市の案内ページには載っていません。要綱は令和9年12月31日で廃止されると附則に書かれています。
申請を考えるときは、住宅政策課(076-443-2112)に確かめてください。
3,000万円特別控除とは別の制度ですか。
別の制度ですが、つながっています。奨励金の条件になっている被相続人居住用家屋等確認書は、空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除の確定申告に使う書類として、市が発行するものだからです。
控除を使えるかどうかは、この奨励金とは別に、国税庁の案内や税務署で確かめる必要があります。
この記事の監修者
小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)
不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。
ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号
このような物件のご相談は、相続した空き家の買取相談のページへ。
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ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

