いらない土地の処分方法は7つあります。ただしお金が入るのは一部で、費用を払って手放す選択肢も含まれます。売れない土地について、7つそれぞれにいくらかかり、どれが現実的なのかを、訳あり不動産を買い取る立場から率直に整理します。
「不動産会社に持ち込んだら断られた」「タダでもいいと言っても誰も要らないと言う」。こうした土地は、俗に負動産と呼ばれます。
ご相談をいただく方の多くが最初に口にするのは「いくらで売れますか」ではなく、「これ以上お金をかけずに手放せますか」です。この記事もその順番で書いています。

なぜ売れないのかを先に切り分ける
処分方法を選ぶ前に、売れない原因がどれに当たるかを知っておくと、選択肢が絞れます。
| 原因 | 見込み |
|---|---|
| 立地に需要がない(過疎地・別荘地・山林) | 隣地か買取。仲介は厳しい |
| 建て替えができない(再建築不可・調整区域) | 条件次第で変わる。まず役所で確認 |
| 建物が朽廃している | 土地としての評価になる |
| 権利が複雑(共有・借地・未登記) | 整理すれば売れることが多い |
| 境界が不明・越境がある | 買取なら現況のまま可 |
重要なのは、「仲介で売れない」と「価値がゼロ」はまったく別だということです。仲介は買い手を探して待つ仕組みなので、買い手の母数が小さい物件には向きません。買取なら業者自身が買主になるため、仲介で断られた物件でも成立します。
出口1:隣地の所有者に売る
最も価格が付きやすい方法です。隣地の人にとっては、土地が広がる、出入り口が確保できる、駐車場が作れるといった具体的な利点があります。
再建築不可の土地でも、隣地と一体化すれば接道義務を満たして建築可能になることがあります。この場合は市場価格に近い金額で成立する可能性もあります。
交渉には注意が必要です。「売りたがっている」と伝わると足元を見られやすく、また断られた後に関係が悪くなることもあります。不動産会社を間に入れるほうが、感情的な対立を避けられます。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
出口2:訳あり物件の買取会社に売る
確実性を優先するならこの方法です。買取会社が自ら買主になるため、買い手を探す期間が要りません。
- 片付け・解体・測量・登記を済ませる必要がない
- 契約不適合責任を免責にできることが多い
- 契約から決済まで数週間〜1か月程度
- 境界未確定、未登記、共有持分でも相談できる
価格は市場価格より低くなりますが、「売れないまま持ち続けるコスト」と比べて判断するのが実務的です。
出口3:仲介で売りに出す
立地がよく、時間に余裕があるなら選択肢になります。ただし負動産と呼ばれる土地の場合、売り出しても反応がなく、値下げを繰り返して結局取り下げという結果になりがちです。
その間も固定資産税と管理の手間はかかり続けます。半年〜1年やってみて動かなければ、他の方法に切り替える判断が必要です。
出口4:空き家バンクに登録する
自治体が運営する制度で、移住希望者などとつなぐ仕組みです。登録は無料のことが多く、費用面のリスクはありません。
ただし掲載しても問い合わせが来るとは限りません。移住需要がある地域かどうかで結果が大きく分かれます。仲介や買取と並行して登録しておく、という使い方が現実的です。
出口5:相続土地国庫帰属制度を使う
2023年4月27日に始まった制度で、相続または相続人への遺贈で取得した土地を国に引き取ってもらえます。ただし要件が厳しく、誰でも使えるわけではありません。
- 建物がある土地は申請できない(解体が前提になる)
- 担保権や使用収益権が設定されている土地
- 他人の利用が予定されている土地、土壌汚染がある土地
- 境界が明らかでない土地、所有権に争いがある土地
- 一定の勾配・高さの崖がある土地
- 除去が必要な地下埋設物がある土地
費用もかかります。審査手数料は土地1筆あたり14,000円、承認された場合の負担金は原則20万円です。ただし市街化区域等にある宅地・農地と、森林については面積に応じて算定され、20万円を超えることがあります。
農地や山林も申請できます。また、制度が始まる前(2023年4月27日より前)に相続した土地も対象で、申請の期限は設けられていません。ただし審査の標準処理期間は8か月とされており、事案によってはこれを超えます。「年内に手放したい」といった事情には向かない制度です。
つまり、建物を解体し、境界を確定させ、そのうえで数十万円を払って引き取ってもらう制度です。解体費用まで含めると数百万円になることもあり、「無料で手放せる制度」ではありません。更地で境界が明確な土地に限って検討する価値があります。
出典:法務省 相続土地国庫帰属制度の概要/法務省 相続土地国庫帰属制度に関するQ&A
出口6:自治体に寄付を打診する
「引き取ってもらえないか」という相談は多いのですが、多くの場合は断られます。
自治体にとっては、寄付を受けると固定資産税が入らなくなるうえ、管理費用が発生します。道路用地や公園用地など、公共の具体的な使い道がある土地でなければ受け取る理由がありません。
打診自体は無料なので試す価値はありますが、期待して待つべき選択肢ではありません。断られる理由と代わりの手段は、自治体への土地の寄付を扱った記事で詳しくまとめています。
出口7:相続放棄する
自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内であれば、相続放棄という選択肢があります。被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申述する手続きで、申述にかかる費用自体は収入印紙800円(申述人1人につき)と郵便料だけです。ただし影響は大きいものです。
相続放棄をすると、その土地だけでなく預貯金や他の不動産を含めたすべての遺産を受け取れなくなります。「いらない土地だけ放棄する」ことはできません。
また、放棄しても管理義務がすぐに消えるとは限りません。現に占有している場合は、次に管理する人(相続財産清算人など)に引き渡すまで保存義務が残ります。清算人の選任には裁判所への予納金が必要で、数十万円以上かかることがあります。
相続放棄と国庫帰属は、どちらを先に検討するか
出口5と出口7は、どちらも「国の側に土地を戻す」方向の手段ですが、性質はかなり違います。
| 相続放棄 | 相続土地国庫帰属制度 | |
|---|---|---|
| 期限 | 相続を知った時から3か月以内 | 期限なし。過去の相続も対象 |
| 手放す範囲 | 遺産のすべて。土地だけは選べない | その土地だけを選べる |
| 建物があるとき | 建物があっても申述できる | 申請できない |
| かかるお金 | 収入印紙800円と郵便料。清算人の予納金が必要になれば数十万円以上 | 審査手数料14,000円(1筆)と負担金20万円〜 |
| 結論が出るまで | 家庭裁判所の判断による | 標準処理期間は8か月 |
預貯金や自宅など、受け取りたい財産が一つでもあるなら相続放棄は選べません。その場合に残るのは、いったん相続したうえで、隣地・買取・国庫帰属のどれかに出す道です。国庫帰属は3か月の期限に縛られないため、あわてて放棄を決める前に、他の出口を試す時間はあります。
「0円でいいから」と譲るときに起きること
売れない土地の相談で最も多いのが「タダでもいいので誰かに引き取ってほしい」という言い方です。ただし無償で譲る場合、税金がかかるのは渡す側ではなく、もらう側になります。
個人から個人への無償の譲渡は贈与にあたり、贈与税はもらった人に課税されます。暦年課税の基礎控除は年間110万円で、その年に受け取った財産の合計がこれを超えると、翌年の2月1日から3月15日までに申告と納税が必要になります。
贈与税を計算するときの土地の価額は、実際の取引価格ではなく路線価方式(道路ごとに定められた1平方メートルあたりの価額をもとに計算する方法)か、路線価が定められていない地域では倍率方式(固定資産税評価額に一定の倍率を掛ける方法)で評価します。売れない土地は評価額自体が低いことも多く、基礎控除の範囲に収まる場合もありますが、筆数が多いときや他の贈与と重なるときは超えることがあります。
「タダ同然の値段で売る」形にしても、贈与とみなされることがあります。 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたときは、時価(土地の場合は通常の取引価額)と支払った対価との差額を、贈与により取得したものとみなす扱いがあります(相続税法第7条)。何が「著しく低い」に当たるかは個々の事情で判断されるため、金額を決める前に税理士へご確認ください。
隣地の方や親族が「タダなら」と言っていたのに、税金と登記費用の話が出た時点で止まってしまう、というのは実際によくある行き詰まり方です。誰がいくら負担するのかを先に整理してから話を持ちかけるほうが、結果的に早くまとまります。
出典:国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合/国税庁 No.4423 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき/国税庁 No.4602 土地家屋の評価
古い家が建ったままの土地は、解体してから手放すか
7つの出口を検討する前に、建物を壊すかどうかを先に決めてしまわないほうがうまくいきます。順番が逆だと、出せたはずの相手に出せなくなることがあるからです。

解体を先にすると、費用を自分で立て替えることになります。工事が終わるまで数か月かかることもあり、その間に売却の話が動くわけでもありません。
もうひとつ見落とされやすいのが固定資産税です。住宅が建っている土地には住宅用地の特例があり、200平方メートル以下の部分は課税標準(税額の計算のもとになる金額)が6分の1、それを超える部分は3分の1になります。
建物を解体して更地にすると、この特例が外れます。土地そのものの固定資産税は、更地にした翌年から上がるのが原則です。「片付けてから売ろう」と考えて解体し、そのまま買い手が見つからないと、税負担だけが重くなります。
出典:総務省 固定資産税の概要
それでも解体が必要になる場面
- 相続土地国庫帰属制度に出す(建物があると申請できない)
- 更地でしか買わないと決めている買主に売る
- 倒壊のおそれがあり、近隣に危険が及んでいる
逆に言えば、それ以外では建物を残したまま出せる相手を先に探すほうが、費用の順番として無理がありません。解体費用が払えない空き家についても別の記事で整理しています。
売れたときにかかる税金と、100万円の控除
安く売れば税金はかからない、と思われがちですが、そうとは限りません。買ったときの金額が分からない土地は、税金の計算上、売った金額のほとんどが利益として扱われるためです。
先祖代々の土地や、購入時の契約書が残っていない土地では、取得費が不明になります。この場合は売った金額の5%を取得費とみなして計算することが認められています(概算取得費)。裏を返せば、残りの95%が課税の対象になり得るということです。
相続で受け継いだ土地は、亡くなった方が取得した時期をそのまま引き継ぎます。そのため相続してすぐ売っても、所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」として扱われることが多くなります。税率は所得税15%・住民税5%(ほかに復興特別所得税がかかり、合わせて20.315%)です。
ただし、こうした土地のために設けられた控除があります。低未利用土地等を譲渡した場合の100万円特別控除です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除額 | 長期譲渡所得から最大100万円 |
| 対象の土地 | 都市計画区域内にある空き地・空き家等の土地 |
| 所有期間 | 売った年の1月1日時点で5年超 |
| 売却価格の上限 | 500万円以下(市街化区域内などは800万円以下) |
| 適用期限 | 2028年(令和10年)12月31日までの譲渡 |
| 必要な手続き | 市区町村が交付する「低未利用土地等確認書」を添えて確定申告 |
譲渡所得が100万円に満たなければ、その金額までが控除されます。数百万円以下で手放す土地では、この控除だけで税額がゼロになることも珍しくありません。
確認書は市区町村の窓口で申請しますが、交付を受けても特例の適用が確約されるわけではありません。売った後にその土地が利用されることなど、ほかにも要件があります。適用の可否は税務署または税理士にご確認ください。
出典:国税庁 No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除
放置した場合に起きること

固定資産税 — 金額は小さくても払い続ける管理の手間 — 草刈り、近隣からの苦情対応。遠方なら交通費も建物の倒壊リスク — 損害が出れば所有者の責任管理不全空家・特定空家の指定 — 勧告を受けると住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が上がる相続人の増加 — 世代が変わるたびに関係者が増え、話し合いが成立しなくなる
最後の点が最も深刻です。共有者が10人、20人に膨らんだ状態から全員の同意を取るのは、現実的にきわめて困難になります。
出ていくお金は固定資産税だけではありません。何がいつまで続くのかを並べると、判断がしやすくなります。
| 出ていくもの | 誰に・何に | いつ止まるか |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 毎年1月1日時点の所有者に課税される | 名義が移った年の翌年から |
| 草刈り・剪定・ごみの撤去 | 自分で行くか、業者に頼むか | 引き渡した日から |
| 交通費・宿泊費 | 遠方なら現地に行くたびに発生 | 引き渡した日から |
| 火災保険・共済 | 建物を残している間 | 引き渡した日から |
| 管理費・組合費 | 別荘地や分譲地の管理会社へ毎年 | 名義が移るまで続くことが多い |
金額は物件によって大きく違うため、ここでは項目だけを挙げています。重要なのは1年あたりの金額よりも、「あと何年続くのか」です。10年、20年と続く前提で足すと、多くの場合は土地の評価額を上回ります。遠方で管理している場合は、遠方の実家の売却の記事もあわせてご覧ください。
なお、2023年12月13日に施行された改正空家法により、倒壊のおそれがある「特定空家」になる手前の段階でも「管理不全空家」として指導・勧告の対象になりました。以前より早い段階で税負担が変わり得るということです(国土交通省 空き家対策特設サイト)。
売れなくても、相続登記だけは3年以内
見落とされやすいのがこれです。土地が売れるかどうかとは関係なく、相続で不動産を取得したら登記の申請が義務になりました。2024年(令和6年)4月1日に始まった制度です。
| いつ相続したか | 申請の期限 |
|---|---|
| 2024年4月1日以降 | 取得したことを知った日から3年以内 |
| 2024年3月31日以前(過去の相続も対象) | 2027年(令和9年)3月31日まで |
| 遺産分割が成立した場合 | 成立した日から3年以内に、その内容の登記 |
正当な理由がないのに申請を怠ると、10万円以下の過料の対象になります。
「話し合いがまとまらない」「売れないので放っている」という土地ほど、この期限に引っかかりやすいところです。遺産分割が決まらない場合は、「相続人申告登記」という簡易な手続きで申請義務を果たせます(法定相続人であることを法務局に申し出るもの)。ただし遺産分割成立後の登記義務までは免れません。
登記が古い名義のままだと、いざ売れる話が出たときにも手続きが進みません。処分の方針が決まっていなくても、登記だけは先に整えておくほうが、結果的に選べる出口が増えます。
まず確認すべき2つ
7つのうち、まず確認すべきは「1. 隣地への売却」と「2. 買取会社への売却」です。この2つはお金が入る側で、実現の見込みも比較的立てやすいためです。
6(寄付)と7(相続放棄)は、一見すると楽に見えて実際にはほとんど通らないか、失うものが大きい選択肢です。
調べてから相談する必要はありません。境界も、登記の状態も、建て替えの可否も、当社が調べます。山林・原野・農地・別荘地・共有持分のご相談も受けています。物件の所在地さえ分かれば、値がつくかどうかをお答えできます。
すべてを買い取れるとお約束はできませんが、買い取れない場合も、どの出口が現実的かはお伝えします。
相続放棄の可否や税務上の取り扱いは、個別事情によって結論が変わります。具体的な判断は弁護士・司法書士・税理士にご確認ください。
よくある質問
いらない土地は、結局どこに持ち込めばいいですか?
まず隣地の所有者、次に訳あり物件を扱う買取会社の順に当たるのが現実的です。この2つはお金が入る側で、見込みも立てやすいためです。寄付や相続放棄は一見すると楽に見えますが、通らないか、失うものが大きい選択肢です。
古い家が建ったままでも土地を処分できますか?
解体せずに手放せる場合があります。建物を残したまま引き渡せれば解体費を先に出さずに済み、引き渡しの日まで住宅用地の特例(土地の固定資産税を下げる仕組み)も続きます。ただし買い手が現況のまま引き受けられるかどうかによります。相続土地国庫帰属制度を使う場合は、建物があると申請できません。
本当にタダでも引き取り手がない土地はありますか?
あります。管理費用や固定資産税の負担が土地の価値を上回ると、無償でも引き取り手がつきません。ただし「不動産会社に断られた」=「価値がゼロ」ではありません。仲介では扱いにくいだけで、買取なら成立するケースは多くあります。
固定資産税が数千円なので、放置してもいいのでは?
税額だけを見ればそうですが、実際には草刈りや近隣対応の手間、建物があれば倒壊リスク、相続が発生するたびに相続人が増えていくという問題があります。次の世代に持ち越すほど解決が難しくなります。
山林や原野でも相談できますか?
できます。山林・原野・農地・別荘地のご相談も受けています。すべてを買い取れるとは限りませんが、まずは所在地をお知らせいただければ調べてお答えします。
この記事の監修者
小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)
不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。
ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号
訳あり不動産の売却でお困りなら
どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。
相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。
片付け・解体・測量の費用を、先にご負担いただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp
ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8
