山林・原野・別荘地を手放したい|買い手がつかない土地の出口

手入れされていない杉林と枯れ枝の積もった斜面

山林や原野、使わなくなった別荘地を手放したいときは、価格の交渉より先に「引き受けられる相手がいる土地かどうか」を確かめるほうが早く片づきます。この記事では、買い手がつかない理由、持っている間に出ていく費用、国に引き取ってもらう制度が使えるかどうかの見分け方、そして費用を先に負担せずに手放す進め方を順に整理します。

「タダでいいと言っても誰も要らないと言われた」「不動産会社に持ち込んだら断られた」。こうした土地は珍しくありません。ただし断られた理由は土地の値打ちそのものではなく、仲介という売り方と噛み合っていないことのほうが多い、というのが実務での実感です。

山林・原野・別荘地に買い手がつきにくい4つの理由を並べた図
値下げでは解決しない理由が先に立つ
目次

山林・原野・別荘地に買い手がつきにくい理由

同じ「売れない」でも、宅地と山林では詰まっている場所が違います。宅地は値段を下げれば動くことがありますが、山林・原野・別荘地は値段を下げても解消しない理由が先に立ちます。

範囲が確定していない。 登記簿に地番と面積は載っていても、現地のどこからどこまでが自分の土地なのかが分からない。境界標が土に埋もれ、隣の所有者も代替わりして連絡がつかない、という状態です。

買主の立場からすると、範囲が決まらない土地は買えません。買った後に隣と揉めても、頼れる資料が何もないためです。

使い道が限られる。 建物が建てられない、道路から車で入れない、木を伐るのに許可が要る。地域によっては保安林・農用地区域・自然公園といった指定がいくつも重なっています。

持っているだけで費用が出ていく。 これは次の章で詳しく書きますが、買主から見れば「買った日から支出が始まる資産」です。値段が0円でも、買主はその先の支出を引き受けることになります。

仲介は「買主を探して待つ」仕組みです。探す相手がそもそも少ない土地では、売り出しても反応が返ってきません。

一方で買取は、不動産会社自身が買主になります。仲介で反応がなかったことと、その土地に値打ちがないことは、まったく別の話です。売れない土地のうち相当数は、売り方が合っていないだけです。

なお、数十年前に「将来値上がりする」と勧められて買った原野が、そのまま残っているという相談もよくあります。いわゆる原野商法で取得した土地です。この場合、そもそも現地に行ったことがない、という方も少なくありません。

持ち続けている間に出ていくもの

税金の額だけを見て「これくらいなら放っておける」と判断してしまうと、実際の負担を見誤ります。山林・原野・別荘地の場合、税金以外の支出のほうが大きくなることがあります。

出ていくもの見込み補足
固定資産税山林・原野は評価が低く、少額にとどまることが多い同じ市町村内で持つ土地の課税標準額の合計が30万円未満なら課税されない(地方税法351条)
別荘地の管理費・組合費管理会社や別荘地組合との取り決めによる使っていなくても、所有している限り請求が続く
草刈り・見回り業者に頼めば1回あたり数万円になることも。地域差があります遠方なら交通費と移動の日数も加わる
水道・浄化槽の維持費別荘地では基本料金だけかかり続けることがある使わないなら休止できるかを管理会社に確認する
相続が起きるたびの手続き登記費用と、相続人全員での話し合い世代が変わるほど関係者が増えて話がまとまらなくなる

「税金が来ていない=もう自分のものではない」ではありません。 課税されていないのは免税点を下回っているからで、所有者であることも、管理する責任も変わりません。

逆に、同じ市町村に別の土地も持っていると合算で免税点を超え、これまで来ていなかった通知が届くこともあります。

別荘地では、税金の面でもう一つ知っておきたいことがあります。住宅の敷地は固定資産税の課税標準が軽くなる住宅用地の特例がありますが、保養のために使う別荘の敷地は、この特例の対象から外されています。住まいとしての家ではない、という整理です。

保安林に指定されている山林は、固定資産税がかかりません(地方税法348条2項)。ただし伐採や開発には都道府県知事の許可が必要で、指定の解除も簡単ではありません。税の負担がない代わりに、使い道と売り先はさらに狭くなります。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

相続で引き継いだら、期限のある手続きが2つある

山林を相続した方が見落としやすいのが、この2つです。どちらも過料の定めがあり、しかも別々の窓口に出します。

  1. 相続登記 — 相続で取得したことを知った日から3年以内。2024年4月1日から義務になりました。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。提出先は法務局です。
  2. 森林の土地の所有者届出 — 所有者になった日から90日以内に、土地のある市町村長へ届け出ます(森林法第10条の7の2)。こちらも10万円以下の過料の対象です。提出先は市町村の林務担当窓口です。

森林の届出のほうは、存在自体を知られていません。対象になるのは都道府県の地域森林計画にかかっている森林で、登記簿の地目が「山林」でなくても、現に森林の状態であれば対象になることがあります

遺産分割の話し合いがまとまっていなくても、相続開始から90日以内に、法定相続人の共有として届け出る必要があります。「誰が相続するか決まってから」と待っていると期限を過ぎます。

自分の土地が対象かどうかは、市町村の林務担当課に地番を伝えれば確認できます。

出典:林野庁 森林の土地の所有者届出制度

登記簿の住所が古いままになっていないか

2026年4月1日から、住所や氏名が変わったときの変更登記も義務になりました。不動産の所有者は、変更があった日から2年以内に変更の登記を申請する必要があり、正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象です。

山林・原野・別荘地では、ここが特に抜けやすいところです。ふだん使わない土地なので、引っ越しても登記の住所を直そうという発想になりません。結果として、市町村からの通知が届かない、いざ手放す段になって住所のつながりを示す書類を集め直すことになる、といったことが起きます。

施行日より前に住所が変わっていた場合も対象です。 その場合は2028年3月31日までに変更登記をする必要があるとされています。何十年も前に買った原野や別荘地は、当時の住所のままになっている可能性が高いので、権利証や名寄帳で登記上の住所を一度確かめてください。

法務局にあらかじめ検索用の情報を申し出ておけば、以後は法務局の側で変更登記をする仕組み(スマート変更登記)も用意されています。住所が変わるたびに自分で申請しなくても、義務違反に問われることがなくなる扱いです。

出典:法務省 住所等変更登記の義務化について

相続土地国庫帰属制度は使えるか

2023年4月27日に始まった制度で、相続または相続人への遺贈で取得した土地を、国に引き取ってもらえます。ただし要件が細かく、山林・原野では入口で止まることが多い制度です。

相続土地国庫帰属制度の4段階と、途中で止まりやすいところを示した図
申請できる土地かどうかの判断が最初の関門になる

とくに引っかかりやすいのは次の2点です。建物が残っている土地は申請できません。別荘や山小屋、作業小屋が建っていれば、先に解体するしかありません。そして境界が明らかでない土地も申請できません

費用の面も確かめておく必要があります。審査手数料は土地一筆あたり14,000円で、承認されなくても戻りません。承認された場合は、さらに負担金を納めます。

土地の種目負担金
宅地面積にかかわらず20万円(市街化区域などにある場合は面積に応じて算定)
田・畑面積にかかわらず20万円(市街化区域や農用地区域などにある場合は面積に応じて算定)
森林面積に応じて算定される
その他(原野・雑種地など)面積にかかわらず20万円

つまり山林は面積が広いほど負担金が増える一方、地目が原野や雑種地であれば20万円で収まる、という違いがあります。手放したい土地の登記上の地目を、まず確認してみてください。

出典:法務省 相続土地国庫帰属制度の負担金

隣り合う2筆以上を1つの土地とみなして負担金を計算するよう申し出る仕組みもあります。同じ種目の土地が隣接しているなら、法務局に相談する価値があります。

時間の見通しも先に持っておいてください。承認申請の標準処理期間は8か月とされています。申請内容や天候等の理由により、これを超える場合があるとも案内されています。

つまり、申請してから結論が出るまで年単位で待つ覚悟が要る一方、その間も固定資産税と管理の負担は続きます。急いで手放したい事情がある場合は、この制度だけを頼りにしないほうが安全です。

出典:東京法務局 相続土地国庫帰属制度(標準処理期間)

寄付・相続放棄では手放せないことが多い

「引き取ってもらえないか」というご相談で最も多いのが、この2つです。どちらも思ったようには進みません。

  • 自治体への寄付 — 道路用地や公園用地など、具体的な使い道がなければ受け取ってもらえないのが通例です。受け取れば固定資産税が入らなくなり、管理費用だけが発生するためです
  • 相続放棄 — その土地だけを選んで放棄することはできません。預貯金も他の不動産も含め、すべての遺産を受け取れなくなります
  • 相続放棄した後の管理義務 — 現に占有していた場合、次に管理する人へ引き渡すまで保存義務が残ります。相続財産清算人の選任には裁判所への予納金が必要で、数十万円以上になることもあります
  • 「引き取ります」と先に費用を求める勧誘 — 測量費や広告費の名目で費用だけを取られる二次被害が、原野商法で買った土地を中心に起きています

打診すること自体に費用はかからないので、寄付を聞いてみるのは自由です。ただし待っている間も税金と管理の負担は続くので、それだけを頼りにする期間は区切ったほうがよいと考えています。

相続放棄には期限があります。自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申述します。申述にかかる費用は、申述人1人につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手です。

山林で困るのは、遺産の中に含まれていることに気づくのが遅れる点です。免税点を下回って課税されていない土地は、通知が届かないため遺産の一覧から漏れます。市町村で名寄帳(その人が持つ土地の一覧)を取り寄せるときは、窓口で「免税点未満の土地も含めて」と伝えておくと確実です。

出典:裁判所 相続の放棄の申述

相続放棄の可否や期限の判断は、個別の事情で結論が変わります。実際に進める前に、弁護士・司法書士へご確認ください。

手放すことはできませんが、手入れの負担だけを手離せる場合があります。 森林経営管理法にもとづく森林経営管理制度では、経営管理が行われていない森林について、市町村が森林所有者から経営管理の委託を受けることがあります。林業経営に適さない森林は市町村が公的に管理し、その費用は市町村が負担する仕組みです。

ただし移るのは経営管理権であって、所有権は自分に残ります。固定資産税も、次の代への相続も、これまでどおり所有者側の話です。「手放したい」の答えにはなりませんが、出口が決まるまでの間の選択肢にはなり得ます。対象になるかどうかは市町村の判断なので、林務担当課に地番を伝えて聞いてみてください。

出典:林野庁 森林経営管理制度(森林経営管理法)について

別荘地は「管理費が付いてくる土地」として見られる

同じ手放したい土地でも、別荘地は山林・原野と詰まる場所が違います。値段の問題ではなく、持った日から毎年の支払いが始まる点が敬遠される理由だからです。

多くの別荘地では、管理会社や別荘地組合との管理契約が区画に結び付いていて、名義が変わっても支払いは次の所有者へ続いていきます。受け取る側から見れば「0円でもらっても毎年お金が出ていく土地」になるため、無償で譲ろうとしても相手が見つからない、ということが起こります。

木立に挟まれた山あいの細い舗装路とガードレール
別荘地は道路や水道が管理会社の負担で維持されていることが多い
  • 管理規約と直近の請求書 — 年額がいくらか、値上げの予定が出ていないか
  • 管理費の滞納額 — 決済時に清算するのか、買主が引き継ぐ扱いなのか
  • 名義変更の条件 — 管理会社の承諾が要るか、名義変更料がかかるか
  • 水道・温泉・道路の権利 — 土地とは別の権利として整理されていて、別に手続きが要ることがあります
  • 管理会社が今も存在するか — 解散していると、承諾を取る相手がいないという別の問題になります
  • 引き取りの取り決めがあるか — 分譲元や管理会社が区画を引き取る仕組みを持っている別荘地もあります。費用を求められる形が通例なので、金額を聞いたうえで他の出口と比べてください

いずれも聞けば分かることですが、書面が手元にないまま話を進めると、決済の直前になって条件が変わることがあります。管理会社へ先に一報を入れておくと、その後が早く進みます。

安く手放したときの税金

金額が小さくても、知っておいたほうがよい点が2つあります。

譲渡損失は、給与などほかの所得と通算できません。 土地建物等を譲渡して損失が出ても、事業所得や給与所得と損益通算することはできないのが原則です。通算が認められるのは一定の要件を満たす居住用財産の場合に限られ、保養のために持っている別荘や山林はここに当てはまりません。「安く手放せば税金が戻る」という理解は成り立たない、ということです。

取得費が分からないときは、売った金額の5%を取得費にできます。 何十年も前に買った原野や別荘地では、契約書が残っていないことがよくあります。この場合、売った金額の5%相当額を取得費とすることができるとされています。売却代金の大半が譲渡所得として計算される形にはなりますが、そもそもの金額が小さければ税額も小さくとどまります。

出典:国税庁 No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合国税庁 No.3258 取得費が分からないとき

取得の経緯や相続を挟んだかどうかで結論が変わります。実際の計算と申告の要否は、税理士へご確認ください。

査定でどこを見ているか

ここは他の記事ではあまり書かれない部分だと思うので、当社が山林・原野・別荘地を見るときに実際に確かめている点を挙げます。ご自身で見当をつけるときの参考になるはずです。

山に囲まれた川と船着き場
現地に近づけるかどうかが、値がつくかどうかを大きく左右する
  • 現地まで車で入れるか。 公道から接しているかだけでなく、実際に通れる道が残っているかを見ます
  • 登記の地目と現況が合っているか。 登記は山林でも、実際は竹藪や原野になっていることがよくあります
  • 境界の手がかりがあるか。 杭が残っている、公図と地形が合う、といった材料があれば進めやすくなります
  • 法令の指定がかかっていないか。 保安林、農用地区域、自然公園、砂防指定地などを役所で確認します
  • 権利関係が整理できるか。 共有になっていないか、相続登記が済んでいるか、古い抵当権が残っていないか
  • 別荘地なら管理会社が今も存在するか。 管理費の滞納額と、名義変更の条件を確認します

このうち、売主側で先に費用をかけて直す必要があるものは一つもありません。調べるのは買う側の仕事だと考えています。資料が手元になくても、所在地と地番が分かれば調査は進みます。

逆に言えば、これらを調べた結果として引き受けられないと判断することもあります。値がつかない土地は実際にありますし、その場合は理由をそのままお伝えします。

費用を先に負担せずに手放すには

ご相談を受けていて多いのは、「高く売りたい」ではなく「これ以上お金と手間をかけずに終わらせたい」という声です。山林・原野・別荘地では、この傾向がとくにはっきりしています。

当社が現況のまま引き受けている状態の例

伐採も草刈りもしていない山林/境界標が見つからない土地/別荘地の管理費に滞納がある物件/山小屋や作業小屋が建ったままの土地/共有持分になっている山林/原野商法で取得した使い道のない土地

いずれも、測量・伐採・解体の費用を先にご負担いただく必要はありません。

手続きは郵送とオンラインで進められるため、遠方の実家と同じように、現地へ行かずに終えられる場合がほとんどです。売却にかかる期間は、権利関係が整理されていれば数週間から1か月程度が目安です。

ただし、すべてを買い取れるわけではありません。状態によっては、当社が費用をいただいて引き取る形をご提案することもあります。その場合も金額を先にお伝えしてから判断していただくので、話を聞いた時点で費用が発生することはありません。

ご相談は東北・九州・北陸・北海道といった地方からのものが多く、全国対応で伺っています。地域ごとに林務の窓口の運用や別荘地の管理形態は違いますが、そこは調べる側で吸収します。所在地と地番、手元にある書類の有無だけ教えていただければ、そこから先は当社で進められます。

よくある質問

山林は0円でも引き取ってもらえますか?

場所と状態によります。車で入れる道があるか、境界の手がかりが残っているか、保安林などの指定がかかっていないかで判断が変わります。すべてを引き受けられるわけではありませんが、所在地と地番が分かれば調べてお答えします。値がつかない場合も、どの出口が現実的かはお伝えします。

境界が分からない山林でも売れますか?

「測量してから」という条件を付けない買主であれば、可能性があります。当社は現況のまま査定するため、境界が確定していない土地のご相談も受けています。ただし範囲がまったく特定できない場合は、公図や航空写真で見当がつくかどうかを先に確認します。

別荘地の管理費を滞納しています。それでも手放せますか?

滞納があること自体で手放せなくなるわけではありませんが、滞納分をどう精算するかを管理会社と決める必要があります。買主が引き継ぐ扱いになるのか、決済時に清算するのかは、その別荘地の取り決めによって違います。まず管理規約と直近の請求書をご用意ください。

相続土地国庫帰属制度と買取は、どちらを選ぶべきですか?

更地で境界が明らかな土地なら国庫帰属も選択肢になりますが、審査手数料と負担金を自分で払う制度です。建物が残っていると申請自体ができません。手元から費用を出さずに終えたい場合は、買取や引取りのほうが向いています。税務上の取り扱いは税理士へご確認ください。

原野商法で買った土地です。いまから何ができますか?

まず、手放すために先にお金を求めてくる勧誘には応じないでください。測量費・広告費・引き取り費用といった名目で費用だけを取られる二次被害が起きています。所在地が分かれば当社で調べます。引き受けられない場合もありますが、調査の段階で費用を請求することはありません。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

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片付け・解体・測量の費用を、先にご負担いただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。

お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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