お盆も正月も、兄弟が揃うのは年に1度か2度。その席で「実家、どうする?」と口に出しても、誰も答えを持っていません。
結論は、その席で出さなくて構いません。何を話して持ち帰るかを決めておけば、次に集まる日までに話が進みます。
結論を出す席ではなく、材料をそろえる席にする
実家の話がこじれるのは、意見が違うからだけではありません。兄は実家の状態を知らず、妹は固定資産税の額を知らず、弟は誰が鍵を持っているかも知らない。見ている材料が違うまま、気持ちだけをぶつけ合うからです。
材料がそろえば、意見が割れても言い合いにはなりにくくなります。
そこで、正月の席の目的を変えます。決める場ではなく、全員が同じ事実を見る場にします。
話す順番は「事実、住む人、お金」の3段
順番を間違えると、最初の一言で空気が固まります。次の3段で進めます。

1段目は事実です。建物の状態、鍵の所在、近所からの連絡の有無、名義が誰になっているか。ここは意見ではなく、誰かが見た・調べたという話です。
名義は、登記簿を取れば亡くなった親のままかどうかが分かります。親の名義のままなら、売る前に相続人全員で遺産分割をまとめ、相続登記を済ませる流れになります。
相続登記は2024年(令和6年)4月1日から義務になり、相続で取得したことを知った日から3年以内に申請することとされ、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。
2024年4月より前の相続でも、登記していなければ義務の対象です。期限は原則2027年(令和9年)3月31日までで、取得を知ったのが2024年4月以降ならその日から3年以内です(法務省)。
2段目は、この先に誰か住むのかです。住む人がいるのか、いないのか。1人でも「住む」と手を挙げるなら、話の中身は大きく変わります。
3段目がお金です。誰も住まないなら、持ち続ける費用を一人ずつ見える形にします。
気持ちの話、たとえば「あの家を売るなんて」という感情は、否定せず聞きます。ただ順番は最後に回すと、事実とお金の話が済んでいるので、落ち着いて受け止められます。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
住む・貸す・売る・そのまま、4つを並べる
実家の行き先は、この4つに収まります。どれが正しいかではなく、最初に出ていく費用と、続けるのに要る人手で比べます。
| 行き先 | 最初に出ていく費用 | 要る人手 |
|---|---|---|
| 住む | 住める状態に整える費用 | 住む本人 |
| 貸す | 貸せる状態に直す費用 | 管理する人、入居者とのやり取り |
| 売る | 条件による。片付けや解体を事前に求められる売り方もある | 立ち会い・手続きの窓口役 |
| そのまま持つ | 固定資産税、保険、草木の手入れ、見回り | 毎年の見回り役 |

「そのまま持つ」は、先延ばしに見えて、実は毎年の費用と人手が止まりません。この行を、表の中でいちばん長く見てください。
表を見たら、行ごとに兄弟の名前を書き込んでみます。「貸す」なら修繕費を誰が立て替え、入居者の連絡を誰が受けるのか。「そのまま持つ」なら、税金を払う人と見回りに行く人は同じなのか。
名前が入らない行は、その家族では続かない行です。
貸す道の落とし穴は、直す費用が最初に出ることです。修繕を済ませないと入居者が付かない家は少なくありません。誰がその費用を持つかが決まらないうちは、貸す行に名前は入りません。
遠方から管理を続ける難しさは、遠方の実家を管理できない?でも書いています。
売る道を選んだ場合の限界も、席で共有しておきます。仲介で売り出すなら、買い手が付くまで固定資産税と管理の人手は続きます。買い手の融資や内覧の都合で、片付けや修繕を求められる流れも珍しくありません。
再建築不可、前面の道が細い、農地が付いているといった家は、仲介で買い手が付く道がもともと細くなります。そうした事情を知っている兄弟がいるなら、行き先を比べる前に、その事実を席で出しておきます。
違いは買取と仲介の違いにまとめています。買取は、現況のまま渡す前提で話が進みます。現況渡しで売主の責任がどこまで残るかは、現況渡しとはで扱っています。
持ち続ける費用を、一人ずつ見える形にする
誰かが全部払っている状態が長く続くと、その人だけが「自分が管理している」と感じ、他の兄弟は「払ってもらっている」としか見えません。同じ家なのに、負担の重さが共有されていません。
話し合う前に、1年間にかかった費用を紙に書き出します。固定資産税、火災保険、水道や電気の基本料金、草刈りや見回りの交通費です。
これは、誰かを責めるための一覧ではありません。払い続けるのか、やめるのかを決めるための材料です。
費用の表を見た途端、売る話に傾く兄弟もいれば、「だったら自分が使う」と言い出す兄弟もいます。どちらに動いても、話が前に進みます。
席で出やすい3つの一言と、返し方
実際の席では、整理された議題より先に、感情のこもった一言が飛んできます。よく出る3つを、返し方と一緒に並べます。
「長男なんだから、あなたが決めて」と言われたら、決める役ではなく調べる役を引き受けると返します。決める権限まで背負わずに済みます。
「売るなんてかわいそう」と言われたら、否定せず、「今は売る話ではなく、状態を知る話」と置き直します。
「どうせ誰も住まないんだから、さっさと処分して」と言われたら、処分の前に費用の紙を出します。急ぐ理由が数字で見えれば、急かす側も落ち着きます。
一言を受け止めて、すぐ議題に戻す。これを繰り返すだけで、席の空気は荒れにくくなります。
集まる2週間前に、家族のグループへ送る一通
席に着いてから材料を出すと、読む時間で議論が止まります。集まる2週間前までに、短い連絡を送っておきます。
書く内容は3行です。「今年は実家のことを話したい」「去年1年にかかった費用を添付する」「住む・貸す・売る・そのままの4つで考えたい」。
最初に結論を求めない旨も添えます。「決めるのは今回でなくてよい」と書いてあれば、身構えて来る兄弟が減ります。
この連絡を送る人は、長男でも次女でも構いません。最初に言い出した人が、そのまま進行役になります。
「自分が住むかも」という一言が出たとき
兄弟の誰かが「定年したら実家に戻るかも」と言い出すことがあります。この一言で、話は一度止まります。
否定も賛成もせず、いつ頃戻るのか、戻る前に修繕が要る箇所はどこかを聞きます。時期がかなり先なら、それまでの管理費を誰が払うかが次の議題です。
戻る気持ちが本物でも、実家に住める状態に整えるには費用がかかります。その見積もりを取るまで、売る・貸すの結論を出さずに待つ形が、揉めません。
意見が割れた席は、どこで切り上げるか
正月の席で全員が納得することは、まれです。割れたまま切り上げるのは、失敗ではありません。
切り上げるときは、3つだけ決めて席を立ちます。
- 次に集まる日(オンラインでも構いません)
- それまでに誰が何を調べるか
- 調べた結果を、誰が全員に送るか
調べる役は、住所が近い人に偏りがちです。遠方の兄弟にも、登記簿を取る、見積もりを聞くなど、距離に関係なく頼める役を渡します。
名義が兄弟で分かれていて同意が取れない場合の進め方は、共同相続した不動産の売却に譲ります。実家全体の進め方は、実家じまいは何から始める?にあります。
当社の扱い|実家をどうするか迷っている段階でも、相談できる
相談の入り口は、「売ると決めました」でなくて構いません。実家をどうするかで家族の意見が割れている段階でも、家の状態だけ聞くことができます。
当社に届く相談で多いのは、持ち続ける負担を止めたいという声です。兄弟で意見が割れていても、この一点なら話が合うことがあります。
片付け・修繕・解体は、売主様が事前に済ませる必要はありません。次の点を、物件ごとに見ます。
建物の状態と築年数、室内の荷物、名義の状況、前面道路の幅と敷地への入り方です。
他で断られた物件も、引き受けられる場合があります。条件によっては成立しないこともあり、引き受けは物件ごとの判断です。
売るかどうかは、聞いた内容を兄弟で共有してから決めてください。
兄弟の意見がそろう前に、次の席の材料を1つ増やす
兄弟のうち一人でも「売る道を見てみたい」と思っているなら、当社に一度聞いておくと、次の席で出す材料が増えます。聞くことと、契約することは別です。
売買を進めるときは、相続人・共有者全員の意思がそろわなければなりません。それでも、「いまの状態のまま引き受けてもらえそうか」が分かると、話の現実味が変わります。
返事は翌営業日までにお出しします。
兄弟の意見がまとまる前で構いません。所在地と、玄関から撮った写真1枚をお送りください。
よくある質問
兄弟で実家の話をしたら、意見がばらばらでした。どうすればいいですか。
その場で多数決にせず、家の状態と持ち続ける費用を全員が同じ資料で見られる形にして持ち帰ります。意見の違いは、見ている材料の違いから生まれていることがよくあります。
兄弟のうち一人だけ、売りたがっています。状態だけ聞いてもいいですか。
はい、全員の同意がそろう前でも聞けます。ただし家全体を売る契約は、相続人・共有者全員の意思がそろわないと進みません。ご自分の持分だけを売る道は別にあり、共同相続した不動産の売却の記事で扱っています。聞いた内容は、兄弟全員に共有してください。
誰も住まない実家でも、兄弟で費用を出し合って持っていていいですか。
出し合う約束は、期限と金額を紙に書いておかないと続きません。数年後に払う人と払わない人が分かれ、揉める元になります。
この記事の監修者
小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)
不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。
ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号
このような物件のご相談は、相続した空き家の買取相談のページへ。
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どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。
相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。
片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。
資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
相続登記が終わっていなくても、名義が複数でもご相談いただけます。順番は当社でご案内します。
お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp
ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

