管理会社から届いた封筒を、開けずに引き出しへ入れた。そのまま何か月か過ぎ、滞納額がいくらなのかも分からない。この記事は、自分名義のマンション(区分所有)の管理費を滞納したまま、手放せるのかを考えている人に向けています。
滞納があっても、手放す道を相談できる場合があります。分かれ目は、滞納分を新しい所有者にも請求できることと、その額を誰がどう精算するかです。
親から相続したリゾートマンションの滞納は、リゾートマンションの管理費滞納を相続したら?で別に書いています。
最初の一歩は、滞納額の内訳を書面でもらうこと
額が分からないままでは、払う道も売る道も比べられません。管理会社に、管理費・修繕積立金・遅延損害金・請求の経過の内訳を、書面で出してもらってください。
遅延損害金の利率は、法律で一律に決まっているわけではなく、そのマンションの管理規約で定めるのが通常です。手元の管理規約(なければ管理会社から写しを取り寄せる)で、遅延損害金や滞納時の措置の条項を読んでください。
管理会社には、滞納を認識していて内訳がほしいこと、売却を考えていて精算の進め方を知りたいこと、この二つを伝えれば足ります。売却を考えていると話しても、問題はありません。
ただ、その場で分割払いを約束したり、一部だけ払ったりするのは待ってください。あとで触れる時効の「承認」にあたる場合があります。約束は、内訳を見てからです。
マンションの売買では、買主側に、管理会社の「重要事項調査報告書」などで滞納額が開示されるのが一般的です。隠して売る道は、ないと考えてください。
滞納分は、買主にも請求できる
管理費・修繕積立金の滞納分は、新しい所有者にも請求できる債権です(区分所有法8条)。普通の借金と違い、売ったからといって、請求先が売主だけに限られるわけではありません。
区分所有法7条は、管理組合などが区分所有者に持つ債権に、先取特権(他の債権者より先に支払いを受けられる権利)を認めています。
そして8条が、買主への引き継ぎを定めています。
前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
特定承継人は、売買などで所有権を引き継いだ人のことです。買主が滞納分を請求される可能性があるので、買う前に額を確かめたがります。
買主や仲介会社が見るのは、滞納額の総額、売主が払えるか、管理状況、築年数です。払えないと、決済で精算できず、話が止まります。滞納の多い建物は、修繕の資金も足りなくなりがちで、古い建物ほど、これから修繕積立金が要ります。

別荘地やリゾートマンションで動けなくなったなら、リゾートマンションを手放したいも読んでみてください。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
時効を待てば、消えるのか
滞納が長引くと、時効が気になります。民法166条1項は、債権者が権利を行使できることを知った時から5年間行使しないとき(1号)、権利を行使できる時から10年間行使しないとき(2号)に、債権が時効で消滅すると定めています。
| 時効を止める・延ばす事情 | 条文 |
|---|---|
| 当事者が援用しないと、裁判所は時効で裁判できない | 民法145条 |
| 督促(催告)があると、完成が6か月猶予される | 民法150条 |
| 訴えや支払督促などがあると、その手続きが終わるまで完成しない | 民法147条 |
| 一部の支払い、支払いの約束、分割の申し出は「承認」で、時効が新たに進み始める | 民法152条 |
時効は自動では成立しません。待てば消える、とは考えないほうが安全です。個別の判断は弁護士にご確認ください。
精算の実際と、待つほど減る選択肢
売買の決済では、滞納分を売買代金から差し引いて管理組合へ払う形の精算が多くあります。遅延損害金が付くなら、その分も含めた額を確かめます。売値が滞納額を下回るなら、差額を売主が用意するか、現況のまま引き受けられる先に相談する、という話になります。
住宅ローンも滞っているなら、話が変わる
ここまでは、滞納が管理費・修繕積立金だけの場合です。住宅ローンも滞っていて抵当権が付いているなら、管理組合との精算に加え、抵当権を持つ金融機関との調整が要ります。
売買代金でローンを返しきれないときは、抵当権を外してもらうために金融機関の同意を得て売る形(いわゆる任意売却)になります。売値や配分の決め方にも、金融機関との話し合いが入ります。
管理費だけの滞納とは進め方が違うので、ローンの滞納があるかを最初に分けてください。
滞納が続くと、管理組合は先取特権(区分所有法7条)による競売の申立てなどを検討することがあります。同法59条には、区分所有者の共同の利益に反する行為があったときの競売請求の定めもあります。
どの手段が取られるかは、管理組合の判断と事情しだいです。ただ、待つほど、自分で選べる道は減ります。
払ってから売る道と、仲介で精算する道
滞納を全部払ってから売るなら、手元の資金が要ります。払っても、売れる保証はありません。仲介で、売買代金から精算する道は、売値が滞納額を下回ると成立しません。
買主が見つかるまで、管理費は毎月増え続けます。管理組合と分割を話し合う道もありますが、組合が応じなければ進まず、完済まで売却は動かしにくい。分割の申し出は、時効の承認になる場合があります。
時間がたつほど、滞納額が売値に近づくことがあります。
売り方の違いは買取と仲介の違い、売れない不動産全体の出口はいらない土地の処分方法に書いています。
当社が見る点
当社は、滞納を片付けていない状態の相談を、訳あり物件の買取相談として受けています。ご委任をいただければ、管理会社への滞納額や管理状況の照会は当社で行います。
当社に届く相談には、「0円でもいいので手放したい」という言葉が繰り返し出てきます。毎月のお金が出ていくのを止めたい、というのが、価格より先にある願いです。
- 滞納している費目と、おおよその期間(管理費、修繕積立金、その他)
- 建物の築年数、管理組合の状況、物件の状態
- 名義、抵当権などの権利関係(住宅ローンの返済状況を含む)と、残置物の有無
お引き受けになることもあります。他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。
滞納の額が出る前に、まず渡せるか聞く
全部片付けてから動く、とは限りません。払う前に、売れるかどうかだけ先に知っておく順番があります。現況のままの相談です。

所在地と、滞納の費目と期間の心当たりを送ってください。返事は翌営業日までにお返しします。遠方でも、現地にお越しいただかずに契約から決済まで進められます。
税務や法務の判断は、税理士・司法書士・弁護士にご確認ください。
よくある質問
管理費を滞納したままでも、マンションは売れますか。
売れないと決まったわけではありません。ただ、区分所有法8条で滞納分は新しい所有者にも請求できるので、買主は嫌がります。売買の中で滞納分をどう扱うかを、先に決めておく必要があります。
滞納した管理費は、買主が払うことになるんですか。
区分所有法8条は、7条1項の債権を、債務者である区分所有者の特定承継人に対しても行うことができると定めています。買主が請求を受ける可能性があるため、売買では滞納分の精算を求められやすくなります。個別の扱いは弁護士にご確認ください。
何年かたてば、時効で消えますか。
民法166条は、権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年で時効消滅すると定めています。
時効は当事者が援用しなければ働かず(同145条)、督促や訴えで完成が猶予され、一部の支払いなどの承認で新たに進み始めます(同150条・147条・152条)。待つ前に弁護士へ。
滞納を全部払わないと、動けませんか。
動けます。払う前に、現況のまま相談できる場合があります。
この記事の監修者
小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)
不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。
ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号
このような物件のご相談は、訳あり不動産の買取相談のページへ。
「売れない」と言われた不動産を、どうするか
どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。
相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。
片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。
資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
どこで断られたかを伺うことはしません。断られた理由の方が、判断に必要です。
お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp
ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

