建物が複数の地番にまたがる家の売却|登記のそろえ方と現況での出し方

作業台に広げた土地の測量図と巻尺

建物が複数の地番にまたがる家の売却で、止まるのは「またがること」そのものではありません。筆ごとの名義と、登記と現況のずれで止まります。

登記簿に地番が2つ並んでいる、隣の土地に少し出て建っている、図面を見ると線をまたいでいる。そのどれなのかで、動き方が変わります。またがる筆の名義と担保がそろい、建物の登記が現況と合っていれば、そのまま売り出せます。

名義が違う筆があるなら、先にその筆の名義を動かします。

目次

またがる家は、登記の仕組みが想定している

建物の登記には、その建物が建つ土地の地番が載ります。不動産登記法44条1項1号は、登記事項に「建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番」を挙げています。

(出典:不動産登記法第44条(e-Gov法令検索))

1つの建物が2つ以上の筆の上にあることも、制度は織り込んでいます。不動産登記規則112条は、家屋番号の付け方について、次のように書いています。

家屋番号は、地番区域ごとに建物の敷地の地番と同一の番号をもって定めるものとする。ただし、二個以上の建物が一筆の土地の上に存するとき、一個の建物が二筆以上の土地の上に存するとき、その他特別の事情があるときは、敷地の地番と同一の番号に支号を付す方法その他の方法により、これを定めるものとする。

——不動産登記規則第112条(e-Gov法令検索)

建築のほうも同じです。建築基準法施行令1条1号は、敷地を「一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地」と定めています。筆の数は条件に入っていません。

(出典:建築基準法施行令第1条(e-Gov法令検索))

つまり、またがっていても、登記と現況が合っていれば、制度の上では普通の状態です。

では、売るときに何が止まるのか。実際には、次の3つの型に分かれます。

型起きていること買い手から見ると
筆ごとに名義が違う一方の筆が親名義のまま、他方が自分名義買う土地の一部を、売主が持っていない
筆ごとに担保が違う一方の筆にだけ抵当権が残っている土地と建物を一緒に買っても、一部に権利が付いたまま
登記と現況がずれる建築後に隣の筆へ増築したのに、建物の登記は1筆のまま登記簿を見ても、建物がどこに建つのか分からない
またがる家が止まる3つの型
名義、担保、登記と現況のずれ。どれかで止まる

筆ごとに違うものを、1つずつ探す

自分の家がどの型かは、登記簿を筆ごとに取ると分かります。建物の登記簿の所在欄と、またがる土地それぞれの登記簿を、並べて見ます。

名義が違う場合の問題は、民法561条に出てきます。他人の権利を売買の目的にしたとき、売主はその権利を取得して買主に移す義務を負う、という規定です。権利の一部が他人のものである場合も含まれます。

(出典:民法第561条(e-Gov法令検索))

親名義のままの筆は、売る前に名義を動かす必要があります。

相続人が何人もいる場合の進め方は、相続登記をしていない家の記事が扱っています。

担保が付いた筆は、売買の代金で抹消するのか、先に消すのかを決めることになります。

そして、ずれの型です。建物の所在地番は登記事項なので、変わったら、表題部所有者または所有権の登記名義人が、1か月以内に変更の登記を申請する義務があります(不動産登記法51条)。

(出典:不動産登記法第51条(e-Gov法令検索))

土地を分けたり、くっつけたりしたのに、建物の登記を触っていない。そういう家は、登記簿と現況が合いません。

増築部分の登記が抜けている場合は、増築部分が未登記の家の記事も重なります。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

登記をそろえる道と、そこで当たる壁

自分で動くなら、建物の所在の変更登記か、土地の合筆でそろえるのが筋です。ただ、どちらにも条件があります。

建物の表示に関する登記の調査・測量・申請の代理は、土地家屋調査士の業務です(土地家屋調査士法3条)。

(出典:土地家屋調査士法第3条(e-Gov法令検索))

頼むと、調査士はまず各筆の登記簿と公図で建物の所在地番を確かめ、現地で建物が筆の境のどこに建っているかを測ります。測った結果と登記の所在地番を突き合わせ、ずれていればそれをもとに申請の書類を作ります。

合筆には、法律の制限があります。不動産登記法41条は、所有者が互いに異なる土地や、持分が違う土地、所有権以外の権利の登記がある土地の合筆を、原則としてできないと定めています。

権利の登記のうち、合筆後の土地の登記記録に登記できるものとして法務省令で定めるものは、この制限から除かれています。

(出典:不動産登記法第41条(e-Gov法令検索))

整理すると、次のようになります。

手段使える場面壁
建物の所在変更登記登記の所在地番が現況と違う建物が隣地にはみ出している場合、その部分は登記では直らない
土地の合筆またがる筆を1つにしたい名義や持分が違う、抵当権などが付いた筆は、そのままでは合筆できない
仲介で売り出す名義や担保がそろっている買い手が登記の食い違いを見つけると、話が止まりやすい

建物が隣の土地にはみ出しているときは、登記だけで済まない話になります。越境している土地の記事で、覚書で決めておく点を整理しています。

筆の境目そのものが現地ではっきりしない場合は、境界未確定の土地の記事を先に見ておくと、何から動くか決めやすくなります。

当社が、またがる家で見るところ

当社は、未登記・私道・境界の買取・売却相談の一つとして、建物が筆をまたぐ物件も受け付けています。登記をそろえる手続きの前でも、相談できます。引き受けられるかは、物件ごとに個別に判断します。

鉾田市で、建物が未登記で、固定資産税の台帳では物置のままだった家を取り扱った例があります(買取事例)。

地番をまたぐ家そのものではありません。登記も台帳も現況と合わない点は、同じでした。

このときは、登記が無いこと、台帳上は物置であること、現況は居宅であることを、どれかに寄せずに書き分けました。寄せて書くと、あとで食い違うためです。

またがる家では、次の点を見ます。

  • 建物の登記簿の所在欄と、またがる各筆の登記簿
  • 筆ごとの名義と、抵当権などの有無
  • 現地で、建物が筆の境をどう越えているか。隣地へのはみ出しがあるか

分かる範囲で構いません。登記簿と、建物が写った写真があれば、見立てを早く伝えられます。

登記をそろえる前に見る順番
手続きを頼む前に、登記簿と現地を並べて見る

筆をまたいだまま、渡せるか

登記をそろえるには、土地家屋調査士に頼み、名義や担保の整理を済ませ、場合によっては隣地と話をつける必要があります。順番に進めるほど、売る日が遠のきます。

名義違い、担保、登記と現況のずれのどの型でも、現況のまま相談には乗れます。そのまま渡せるかどうかは、どの型がどこまで重なっているかを見て、物件ごとに判断します。

調査士に連絡を入れる前に、現況のまま聞いてみてください。ご相談への返事は、翌営業日までにお返しします。

登記の手続きや名義の整理は、土地家屋調査士・司法書士にご相談ください。

よくある質問

家が隣の土地にまたがって建っています。このままでは売れませんか。

またがっていること自体が売れない理由になるとは限りません。登記の仕組みは、1つの建物が2筆以上の土地の上に建つ場合を想定しています。止まりやすいのは、またがる筆の名義が違うときや、登記が現況と合っていないときです。

建物の登記を直すのは、誰に頼めばいいですか。

建物の表示に関する登記は、土地家屋調査士の業務です。調査や測量、申請の代理を頼めます。ただし名義や担保権の整理は別の話で、司法書士が受け持つ部分もあります。

登記をそろえないと、現況のままでは出せませんか。

そろえてからでないと相談できない、という決まりはありません。登記と現況が食い違っている点を、そのまま書いて出す道があります。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

このような物件のご相談は、未登記・私道・境界の買取相談のページへ。

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片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。

資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。

測量や登記を先にしていただく必要はありません。現況のまま確認します。

お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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