「兄弟と共有になっているが、話し合いがまとまらない」「自分は関わりたくないのに、固定資産税の請求だけ届く」。共有の不動産で行き詰まったとき、持分だけなら、他の共有者の同意がなくても売却できます。
全員の同意が要るのは、不動産をまるごと売る場合です。この違いが分からないと、そこで止まってしまいます。

何をするのに、誰の同意が要るのか
| やりたいこと | 必要な同意 |
|---|---|
| 自分の持分だけを売る | 不要(単独でできる) |
| 自分の持分を担保に入れる | 不要 |
| 第三者へ短期の賃貸をする、使い方を決める | 持分の過半数 |
| 不動産をまるごと売る | 共有者全員 |
| 建物を取り壊す、大規模な増改築 | 共有者全員 |
過半数は人数ではなく、持分の割合で数えます。2人が2分の1ずつなら、どちらも過半数になりません。
賃貸を過半数で決められるのは、期間に上限があります。民法252条4項は、建物は3年、樹木の栽植・伐採を目的とする山林は10年、それ以外の土地は5年、動産は6か月を超えない賃貸を、管理として認めています。
これを超える賃貸は、共有者全員の同意が要る行為として扱われます。

共有不動産でいちばん避けたいのは、放置して共有者が増えることです。共有者が亡くなると、その持分は相続され、関係者が増えていきます。10人、20人と増えてから全員の同意を取るのは、現実的にきわめて難しくなります。
持分を手放す3つのルート
一つ目は、他の共有者に買ってもらう方法です。買う側にとっては、持分を集めて単独所有に近づく利点があります。ただ、相手に資金と意思が要ります。関係がこじれているときは、持ちかけること自体が難しいでしょう。
二つ目は、第三者に持分を売る方法です。他の共有者と交渉できない、話し合いが進まない、というときの選択肢で、持分を扱う買取会社などが買主になります。持分の売却に、他の共有者の同意も通知も法律上は要りません。
ただし登記が変われば、いずれ知られます。関係を悪化させたくないときは、先に他の共有者へ持ちかけ、断られてから第三者に売る順序もあります。
三つ目は、共有物分割請求です。話し合いで解決しないとき、裁判所に分け方を決めてもらう手続きで、2023年4月1日施行の改正民法で、裁判所が命じる分け方が整理されました(民法258条2項・3項)。
裁判所が命じられるのは、土地を分筆するなどして分ける現物分割と、一方が代償金を払って持分を取得する賠償分割です。この2つで分けられないとき、または分けると価格を著しく下げるおそれがあるときは、競売にかけて代金を分けます。
裁判になれば時間と費用がかかり、親族関係にも響きます。詳しくは共有物分割請求とはにまとめました。
相続で共有になった持分は、原則として遺産分割の手続きで扱い、共有物分割請求の対象になりません。
相続開始から10年を経過すると、共有者の持分の一部が相続されて、他の共有者との共有と遺産共有が併存している場合に限り、その相続財産の持分も共有物分割の手続きで扱えるようになります。
ただし、遺産分割の請求があり、相続人が異議を申し出たときは、この限りではありません(民法258条の2第2項)。親の単独名義だった実家を相続人だけで共有している場合は、10年を経過しても遺産分割で扱います。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
持分の価格が、割合どおりにならない理由
持分だけを買っても、単独では自由に使えません。建て替えにも大規模なリフォームにも全員の同意が要りますし、売るにも他の共有者との交渉が要ります。他の共有者が住んでいれば、自分は使えません。
固定資産税の負担割合でもめることもあります。こうした制約があるため、持分の価格は、不動産全体の評価額に持分割合を掛けた金額と同じにはなりません。他の共有者との話がつく見込みがあるかどうかで、動ける範囲が変わります。
くわしくは共有持分の買取価格を見てください。
持分だけでは断られた、売れなかったとき
自分の持分だけを売ることは、他の共有者の同意がなくてもできます。それでも断られやすいのは、持分だけを買った人が、その不動産を自由に使えないからです。どこで止まっているかで、動かせる手が変わります。
買い手が付かないなら、ほかの共有者に買う気があるかを聞きます。全員の同意が取れるなら、全員でまるごと売る道もあります。
共有者の一人の所在が分からないときは、戸籍の附票で現住所をたどり、たどれなければ下で説明する裁判(民法262条の2)を考えます。話し合いが進まないときは、共有物分割請求です(民法256条・258条)。
不動産そのものが売りにくいなら、持分のまま手放す道が残ります。
他の共有者の同意が取れていない段階でも、持分だけの相談はできます。他で断られた場合も、状況をお知らせください。お引き受けできるかは、物件ごとに確認します。
兵庫県川西市では、長屋の1戸に付く土地が共有持分で、相続登記も済んでいない物件を、現況のまま取り扱いました。相談の段階では未了のまま進め、登記は売主様側で引き渡しまでに済ませる段取りにした例です(川西市の買取事例)。
兄弟で1軒の家を共有する形とは権利の形が違いますが、持分だけでも相談できる一例です。
行方不明の共有者がいるときの手続き
2023年4月1日に施行された改正民法で、連絡の取れない共有者がいても手続きを進める道が新しくできました。以前は不在者財産管理人の選任など、迂回した方法しかありませんでした。

管理のことだけ決めたいときは、共有者が他の共有者を知ることができない、または所在が分からないとき、裁判所の裁判により、その人を除いた共有者の持分の過半数で管理を決められます(民法252条2項1号)。
連絡はつくのに賛否を答えてくれない共有者がいる場合にも、相当の期間を定めて催告し、それでも返事がなければ使えます(同項2号)。
持分そのものを整理したいときは、二つの方法があります。行方不明の共有者の持分を自分が取得する方法(民法262条の2)と、裁判所から譲渡の権限を付与してもらい、不動産をまるごと第三者に売る方法(民法262条の3)です。
後者は、行方不明の人以外の共有者全員が、同じ相手に持分の全部を譲渡することが停止条件になっていて、1人でも売らない共有者がいると成立しません。どちらも、後から本人が現れれば、時価相当額の支払いを請求される点は同じです。
使いやすい制度とは言えません。対象は不動産に限られ、裁判所が定める額の金銭を供託する必要があり、公告で定める届出などの期間は、3か月を下回ってはならないとされています(非訟事件手続法87条2項。
88条2項で、持分を譲渡する権限の付与の裁判にも準用)。詳しくは所在等不明共有者の持分取得にまとめています。
相続で共有になった持分について、共同相続人間で遺産の分割をすべき場合は、相続開始から10年を経過していないと、この2つの裁判はできません(民法262条の2第3項・262条の3第2項)。「親が亡くなって数年、兄弟の1人と連絡が取れない」という段階では、まだ使えないことになります。
この条件を踏まえると、裁判に進めるか、時間と費用を出せるかが分かれ目になります。出せないときは、自分の持分だけを手放す道もあります。
持分を売る前に見ておきたいこと
持分の話に入る前に、その不動産が単独名義でも売りやすい物件かどうかを知っておくと、判断が変わります。たとえば建物が再建築不可なら、共有を解消して単独所有になっても、買い手が限られます。
その場合は、持分をまとめる労力に見合うか、持分のまま手放すほうが筋が通るか、考えどころです(再建築不可物件の売却)。
見るのは、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接しているか、市街化調整区域ではないか、建物が未登記になっていないか、誰かが住んでいるか空き家か、固定資産税を誰が払っているか、の5点です。
これらは共有者間の交渉材料にもなります。「自分が全部買うから安くしてくれ」と言われたときに、その物件の実際の状況を知らないまま応じてしまうのは避けたいところです。
遠方の実家を兄弟で相続して、誰も現地に行けないまま話が止まっていても、相談はできます。当社との売買に進む場合は、現地にお越しいただかずに契約から決済まで進められます。
持分を売ったときの税金
持分だけの売却でも、税金の扱いは不動産を売ったときと同じです。売って利益(譲渡所得)が出たときに課税され、利益が出なければ課税されません。
譲渡した年の1月1日時点の所有期間が5年を超える長期は、所得税15%と住民税5%、5年以下の短期は、所得税30%と住民税9%です(国税庁タックスアンサー No.3208・3211)。
これに令和8年分までは復興特別所得税として所得税額の2.1%が加算されます。令和9年分からは復興特別所得税が1.1%(令和29年分まで)に下がり、かわりに防衛特別所得税1%が加わるため、加算の合計は2.1%のままです。
相続で取得した持分は、原則として、亡くなった方が取得した日から所有期間を数えます(国税庁タックスアンサー No.3270)。
売買契約書に貼る印紙税は、軽減措置が適用される間は、1,000万円超5,000万円以下で1万円、500万円超1,000万円以下で5,000円です(令和9年3月31日までに作成される契約書が対象)。個別の計算は税理士に聞いてください。
書類がそろっていなくても、持分の相談はできる
持分の売却でも、売買に進めば通常の不動産売却と同様の書類が要ります。相談の段階では、揃っていなくて構いません。相談から引き渡しまでの流れは、共有持分の買取相談のページにまとめています。
共有物分割請求や遺産分割の具体的な進め方は、弁護士・司法書士に聞いてください。当社がお答えするのは、持分の売却の面です。
相続で共有になった不動産は、名義が亡くなった方のままだと、売却の手続きに進めません。2024年4月1日から相続登記の申請は義務になり、所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象とされています(不動産登記法76条の2・164条1項)。施行日より前に相続した不動産も対象です。その場合の期限は、取得を知った日と施行日のいずれか遅い日から3年以内で、施行日より前に知っていたなら2027年3月31日までとなります。
共有者の連絡先が分からなくても、登記簿が手元になくても、ご相談いただけます。登記の内容や持分割合、他の共有者が誰かは、当社が調べます。
伝えていただくのは、物件の所在地とお名前の2つです。その持分のご相談への最初のお返事を、翌営業日までにお送りします。
よくある質問
兄が「売らない」と言っています。自分の持分だけ売れますか?
売れます。持分は各共有者が単独で処分できる財産だからです。全員の同意が要るのは、不動産をまるごと売る場合です。
同意も通知も法律上は要りませんが、登記が変われば他の共有者にも分かります。関係を壊したくなければ、先に他の共有者へ買ってもらえないか持ちかける順序もあります。
共有者の一人が行方不明です。どうにもなりませんか?
2023年4月に施行された改正民法で、裁判所に申し立てて所在の分からない共有者の持分を取得する方法(民法262条の2)と、その持分も含めて不動産全体を第三者へ譲渡する権限をもらう方法(同262条の3)ができました。
供託と3か月以上の公告が必要です。相続で共有になった持分は、共同相続人間で遺産の分割をすべき場合、相続開始から10年を経過していないと使えません。
共有物分割請求をすると、どうなりますか?
話し合いがつかないとき、裁判所に分け方を決めてもらう手続きです。裁判所が命じるのは、現物で分けるか、代償金を払って持分を取得するかの形です。それで分けられないときや、分けると価格を著しく下げるおそれがあるときは、競売にかけて代金を分けます。
これとは別に、自分の持分だけを手放す道もあります。
固定資産税だけ払い続けています。持分を手放せますか?
手放せる場合があります。物件の所在地とお名前をお知らせください。持分の割合は当社が登記簿で調べます。
この記事の監修者
小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)
不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。
ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号
地域ごとの事情は、川西市の空き家の手放し方のページにまとめています。
共有者と話がまとまらなくても、動かせるか
どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。
相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。
片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。
資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
他の共有者の同意が取れていない段階で構いません。持分だけの取り扱いもご案内できます。
お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp
ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

