不動産会社に持ち込んだところ「市街化調整区域なので、うちでは扱えません」と言われた。市街化調整区域の土地や家をお持ちの方から、よくお聞きする話です。
断られたからといって、その物件が売れないと決まったわけではありません。この記事では、市街化調整区域が断られやすくなる制度上の理由と、断られたあとに確認しておきたい3つのことを整理します。
「断られた」には3つのパターンがある
同じ「断られた」でも、中身は違います。まずご自身がどれに当たるかを確かめてください。
| パターン | 何が起きたか | 次にすること |
|---|---|---|
| 媒介契約を断られた | 仲介として預かってもらえなかった | 買取を扱う会社に相談する |
| 買取価格が出なかった | 査定はされたが金額が付かなかった | 何を調べたうえでの結論かを聞く |
| 査定そのものを断られた | 区域名を伝えた時点で終わった | 調査をする会社に改めて相談する |
3つ目がいちばん多く、そしていちばん結論が変わりやすいパターンです。物件を見ていない以上、それは物件の評価ではないからです。
なぜ市街化調整区域は断られやすいのか
理由は、担当者の好き嫌いではなく、制度の側にあります。
都市計画法は、市街化調整区域を「市街化を抑制すべき区域」と定めています(同法7条3項)。この区域では建築の自由度が大きく制限され、開発行為には都道府県知事の許可が必要です(同法29条)。
市街化調整区域での開発許可は、法律に定められた要件のいずれかに当てはまる場合でなければ下りません(同法34条)。開発許可を受けた区域以外で建物を新築・改築したり用途を変えたりする場合にも、知事の許可が要ります(同法43条)。
ここから、次のことが起こります。
建てられるかどうかが、その場では分からない。
市街化区域の土地なら、用途地域と建ぺい率・容積率を見れば見当が付きます。市街化調整区域は、線引きの時期、既存宅地の扱い、条例で指定された区域に入っているかなどを、役所で個別に確認しないと判断できません。
そして、建て替えができるかどうかがはっきりしない土地には、買主に住宅ローンが付きにくくなります。買える方が現金購入できる層に限られ、買い手の数そのものが減ります。
仲介では、買い手が見つかるまでの期間が読めず、成約価格も市街化区域より低くなるのが一般的です。調べる手間が大きいわりに、成約までが遠い。これが、区域名を聞いた時点で話が止まりやすい構造的な理由です。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
断られたあとに確認したい3つのこと

断られたときに聞いておきたいのは「なぜ断るのか」ではなく、「何を調べたうえでの結論か」です。次の3点が確認されているかどうかで、意味がまったく変わります。
1. 都市計画法34条の許可が下りる可能性があるか
市街化調整区域での開発許可は、法律の定める要件に当てはまる場合に限られます。裏を返せば、当てはまれば許可の可能性があります。物件がどの要件に該当しうるかは、市区町村の都市計画課で確認できます。
2. 既存宅地にあたるか
市街化調整区域に指定される前から宅地だった土地は、扱いが変わることがあります。線引きがいつ行われたか、その時点で宅地だったかは、役所で確認できます。
「既存宅地」という制度は、すでにありません。線引き前から宅地だった土地を都道府県知事が確認する既存宅地確認制度は、2001年(平成13年)5月18日に廃止されました。福岡市の案内では、確認を受けていた土地に認められた5年間の経過措置も、2006年(平成18年)5月17日に終了しています。
そのため「既存宅地だから建てられる」という説明は、今はそのままでは通用しません。線引き前から宅地だったことは役所で確認できますが、今その土地で建物を建て替えるために何の許可が要るかは、都市計画法43条の許可として市区町村に確認する必要があります。
3. 分家住宅などの属人性があるか
建てた方やその家族であることを前提に許可された建物があります。この場合、そのままでは第三者に引き継げないことがあります。逆に言えば、属人性の有無が分からないまま「売れない」と判断されていることがあります。
この3点が調べられないまま断られている場合、それは物件の評価ではなく、調査をしていないという事実を示しているだけかもしれません。もう一度確認する価値があります。
買取に出すとき、何を見られるのか
買取は、不動産会社が自ら買主になる方法です。買ったあとの使い道と、手元に残るリスクを自社で引き受けるため、買取を検討する側は、価格の前に「引き受けられる土地かどうか」を確認することが多くなります。市街化調整区域で見られる主な点は次のとおりです。
| 見られる点 | なぜ見るのか | 確認先・根拠 |
|---|---|---|
| 建築の可否 | 建物を建てられるかで、買い手の範囲と使い道が変わる | 市区町村の都市計画課。都市計画法34条・43条 |
| 属人性の有無 | 分家住宅など、建てた方やその家族であることを前提とした許可は、第三者に引き継げないことがある | 市区町村の都市計画課 |
| 道路への接し方 | 建築物の敷地は、道路に2メートル以上接する必要がある | 市区町村の建築指導課。建築基準法43条 |
| 地目と現況 | 農地が含まれると、農地法の許可が別に要る(農地のまま売るなら3条、転用して売るなら5条) | 農業委員会、法務局の登記事項証明書 |
| 建物の状態・築年数 | 残っている建物をどう扱うかで、必要な費用が変わる | 現地の確認 |
| 上下水道・浄化槽 | 引込の有無で、買主の維持費が変わる | 市区町村、現地の確認 |
| 権利関係 | 名義が故人のまま、共有、担保権が残っているなどは、そのままでは売買できない | 法務局の登記事項証明書 |
建築基準法43条の接道の定めは、市街化調整区域の許可とは別に、建物を建てるときには必ず問われる条件です。調整区域の許可が下りる見込みがあっても、道路に接していなければ建築はできません。
当社が市街化調整区域の物件で確認しているのは、このうち都市計画法34条の許可が下りるか、既存宅地にあたるか(前述のとおり制度は廃止されているため、今の扱いを含めて確認します)、分家住宅などの属人性があるか、建物が残っている場合のその状態と築年数です。
買取後の進め方は物件の条件によって変わるため、この確認が出口の選び方に直結します。
手元にあると話が早い資料
次の資料があれば、役所への確認や買取の相談が早く進みます。なくても相談は始められます。
- 登記事項証明書(名義、地目、面積、担保権の有無が分かります)
- 固定資産税の納税通知書または課税明細書(地番と地目が分かります)
- 公図、測量図(境界の手がかりになります)
- 建物の図面や建築時の書類(あれば)
出典:e-Gov法令検索 都市計画法/e-Gov法令検索 建築基準法/e-Gov法令検索 農地法/福岡市 既存宅地制度について
役所で自分で確認する場合の手順
ご自身で確認することもできます。費用はほとんどかかりません。
① 窓口を調べる市区町村の「都市計画課」が基本です。自治体によって建築指導課、まちづくり課などの名称になっています。電話で「市街化調整区域の土地の建築の可否について聞きたい」と伝えれば、担当につないでもらえます。
② 持っていくもの物件の所在地が分かるもの(登記事項証明書、固定資産税の納税通知書、公図など)。手元になければ地番だけでも相談は始められます。
③ 聞くこと
- 線引き(市街化区域と市街化調整区域を分けた日)はいつか
- その時点でこの土地は宅地だったか(既存宅地にあたるか)
- 都市計画法34条のどの要件に該当する可能性があるか
- 条例で指定された区域に入っているか
- この土地の建物に属人性(分家住宅など)が付いていないか
窓口では「建てられます」「建てられません」と断言してもらえないこともあります。許可の判断は申請に対して行われるためです。それでも、どの要件を検討する余地があるかまでは教えてもらえます。その情報があるだけで、次に相談する会社の判断材料が変わります。
建て替えができないと分かった場合
調べた結果、建て替えができないと判明することもあります。その場合でも、選択肢がなくなるわけではありません。
- 隣地の所有者に買っていただく
- 資材置場や駐車場など、建物を建てない用途で使っていただく
- 現況のまま買い取る会社に相談する
いずれも、建物を新たに建てることを前提にしない使い道です。「建てられない=価値がない」ではありません。
仲介で売るか、買取に出すか

断られた後の進め方は、大きく2つです。
仲介は、買主を探して売る方法です。うまくいけば価格は高くなりますが、市街化調整区域では買主に住宅ローンが付きにくく、現金で購入できる方に相手が限られます。期間が読めないのが難しいところです。
買取は、不動産会社が直接買う方法です。価格は仲介より低くなるのが一般的ですが、買主を探す期間がなく、現況のまま引き渡せることが多くなります。
固定資産税を払い続けている期間が長くなるほど、保有にかかった費用は積み上がります。価格だけでなく、いつ終わるかも含めて比べるのが現実的です。
買取以外の出口や、売れない理由も知りたいとき
この記事は、買取を断られたとき・買取に出すときに見られる点を扱っています。ほかの知りたいことは、次の記事にまとめています。
| 知りたいこと | 読む記事 |
|---|---|
| 相続した土地を手放す方法(放棄・国庫帰属・寄付・売却)を比べたい | 相続した市街化調整区域の不動産を手放したい |
| なぜ売れにくいのか、売れる条件は何か | 市街化調整区域は売れない?売れる条件と費用をかけない出口 |
| 価格の目安の考え方 | 市街化調整区域の土地の価格・相場 |
ごえん株式会社の取り扱い
当社では、市街化調整区域であることだけを理由に、査定や取扱いの対象外とすることはありません。
ご相談いただいた物件については、上に挙げた都市計画法34条の許可の可能性、既存宅地かどうか、分家住宅などの属人性の有無を確認します。あわせて、建物が残っている場合はその状態と築年数も確認します。
この調査は当社で行いますので、売主様に調べていただく必要はありません。
これらを確認したうえで、当社でお取り扱いできるかどうかと、その条件をご提示します。なお、すべてのご相談が成立するわけではありません。ご希望額との開きや、相続人の方々の間で合意ができていない場合など、条件がまとまらないこともあります。
その場合はその旨をお伝えします。
現況のままで結構です。荷物が残っていても、測量ができていなくても、そのままご相談いただけます。
市街化調整区域の取り扱いについては、市街化調整区域の不動産買取・売却相談にまとめています。
よくある質問
一社に断られたら、他社でも同じ結果になりますか?
そうとは限りません。市街化調整区域の物件は、建築許可の可能性をどこまで調べるかで判断が変わります。調査をしたうえで判断する会社と、区域名だけで判断する会社では結論が異なることがあります。
断られた理由を教えてもらえませんでした。何を調べればよいですか?
まず、都市計画法34条の許可が下りる可能性、既存宅地にあたるか、分家住宅などの属人性があるかの3点です。市区町村の都市計画課や建築指導課で確認できます。
「既存宅地なので建てられる」と言われました。そのまま信じてよいですか?
既存宅地という確認制度は、2001年(平成13年)5月18日に廃止されています。福岡市の案内では、経過措置も2006年5月17日に終了したとされています。
今は制度として存在しないため、「既存宅地だから」という説明だけで建築できると決まるわけではありません。その土地について今どの許可が必要かを、市区町村の都市計画課で確認してください。
建築の可否が分からないままでも、買取の相談はできますか?
できます。当社は、市街化調整区域であることだけを理由に査定や取扱いの対象外とはしません。都市計画法34条の許可の可能性、既存宅地かどうか、分家住宅などの属人性、建物が残っていればその状態と築年数を当社で確認し、お取り扱いできるかどうかと条件をお伝えします。
調べるのに費用はかかりますか?
窓口での相談自体は通常かかりません。登記事項証明書や公図を取る場合に手数料がかかります。当社にご相談いただいた場合、この調査は当社で行います。
建て替えができないと分かったら、もう売れませんか?
建て替えができない場合でも、資材置場や駐車場としての利用、隣地の方への売却など、建物を建てない使い道が残ることがあります。売れないと決まるわけではありません。
農地が混ざっていると断られやすいですか?
農地が含まれると、農地法の許可が別に必要で、手続きが宅地と異なります。農地のまま売買するなら3条の許可(農業委員会)、住宅などに転用するために売買するなら5条の許可(都道府県知事等。申請は農業委員会を経由します)が要り、市街化区域内の農地は5条の許可に代えて農業委員会への事前の届出になります。そのぶん手間がかかるため敬遠されることがあります。当社は、農地(田・畑)を農地のまま取得することはできません。
ただし、農業委員会の非農地証明が取れる土地や、市街化区域内の農地(転用の届出で済むもの)は、対応できる場合があります。宅地や建物と一緒に田畑がある物件も含め、扱えるかは物件ごとに確認します。
不動産会社に買取を断られたら、次に何を確かめますか?
断った会社に、物件の地番まで調べたうえでの判断か、区域名を聞いた時点での判断かを聞き返してください。区域名だけだったなら、物件の評価ではないので、調べる会社に出し直せます。
調べたうえで理由が示されたなら、その理由を持って役所の窓口で聞けます。当社は、他で断られた市街化調整区域の物件も、お取り扱いできる場合があります。現況のままご相談いただけます。
お取り扱いできるかは物件ごとの判断です。
この記事の監修者
建て替えできるか分からないまま、決めないでください
どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。
相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。
片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。
資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
所在地さえ分かればお答えできます。登記簿も公図もご用意いただく必要はありません。
お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp
ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

