再建築不可の土地は、隣の人にとってだけ価値が上がることがあります。市場では買い手がつかなくても、隣地の所有者にとっては、合わせることで建てられる建物が大きくなったり、接道の条件を満たせるようになったりする。この記事では、なぜそうなるのか、どう声をかけるのか、断られたときにどうするかを整理します。
隣の人にとってだけ、価値が変わる

理由は主に3つあります。
| 隣の人に起きること | |
|---|---|
| 敷地が広くなる | 建ぺい率・容積率は敷地面積にかかるため、建てられる建物が大きくなる |
| 接道が足りるようになる | 自分の土地だけでは2mに満たない場合でも、合わせれば足りることがある |
| 境界の懸案が消える | 買ってしまえば、その境界そのものが無くなる |
2つ目が起きる場合、価値の上がり方が大きくなります。再建築不可だった隣地が、合筆によって建て替えられる土地に変わるからです。
不動産の評価では、こうしたその相手にだけ生じる価値を「限定価格」と呼びます。
市場に出しても買い手がつかない土地が、隣の人にとっては別の値段になる、ということです。
声のかけ方が、いちばん大事
ここで失敗する方が多いので、丁寧に書きます。
- いきなり金額を出す……交渉の話になり、断りにくくなって関係が悪くなります
- 「買わないなら第三者に売る」と匂わせる……脅しに聞こえます。その後の付き合いが続きません
- 接している全員に同時に声をかける……競わせる形になり、不信を招きます
- まず「手放すことを考えている」とだけ伝え、関心があるかを聞く
- 相手が興味を示したら、そこで初めて条件の話に入る
- 書面にする場合も、最初は挨拶程度の内容にとどめる
- 引き際を先に決めておく(断られたら一度引く、と決めておく)
断られた後も隣人であり続けます。そこを忘れないでください。一度断られても、相続や建て替えのタイミングで事情が変わることがあります。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
誰に声をかけるかを見極める
接している土地が複数あるなら、買うことで最も価値が上がる相手から当たります。
- 接道が足りるようになる人……最も価値が上がります
- 間口が広がる人……車を停められるようになる、など
- 旗竿地の竿の部分が広がる人
- 単に面積が増えるだけの人……価値の上がり方は小さい
現地の図面(公図)を見れば、おおよその見当がつきます。法務局で取れます。
価格の考え方
再建築不可のままの市場価格と、一体になった後の価値の中間で決まるのが一般的です。相手にとっての価値が上がるぶん、市場価格より高く売れる可能性があります。
相手にその認識がないことも多いです。
「隣が売りたいらしいから、安く買えるだろう」と考えられることは普通にあります。
なぜ相手にとって価値が上がるのかを説明できる材料を用意しておいてください。
建てられる建物がどう変わるか、接道がどうなるかを具体的に示せると話が進みます。
進まなかったときの道
隣地への売却は、うまくいけば最も条件がよく、うまくいかないことも多い方法です。並行して次も考えておいてください。
- 私道の持分や通行の承諾を整える……私道の持分がない土地の売却
- 43条但し書きの許可を検討する……43条但し書きの許可
- セットバックで接道を確保する……セットバックとは
- 現況のまま買い取れる先を探す
進め方の順番
- 公図を取り、接している土地と所有者を確かめる
- 誰にとって最も価値が上がるかを見極める
- 引き際を決めてから、その1人に声をかける(金額は出さない)
- 関心があれば条件の話へ。無ければ一度引く
- 並行して、他の道も検討しておく
当社は再建築不可の物件を現況のまま扱っています。隣地との交渉を先に済ませていただく必要はありません。隣地への売却が現実的かどうかも含めて、状況を伺ったうえでお答えします。まず所在地と、接している土地の状況をお知らせください。
再建築不可の全体像は再建築不可物件の買取相談に、売れない理由の整理は再建築不可物件が売れない理由にまとめています。
よくある質問
なぜ隣の人なら買う理由があるのですか。
土地を合わせると敷地が広くなり、建ぺい率・容積率は敷地面積にかかるため、建てられる建物が大きくなります。さらに接道が2mに足りない土地でも、合わせれば足りるようになることがあります。隣地の所有者にとってだけ生じるこの価値を、不動産の評価では限定価格と呼びます。
どう声をかければいいですか。
いきなり金額を出さないことです。まず「手放すことを考えている」と伝え、関心があるかを聞くだけにとどめます。金額から入ると交渉の話になり、断りにくくなって関係が悪くなります。書面で残したい場合も、最初は挨拶程度の内容にしてください。
断られたらどうなりますか。
断られることは普通にあります。資金がない、相続の予定がある、その土地を使う見込みがないなど、相手にも事情があります。大事なのは断られた後も隣人であり続けることなので、引き際を決めてから声をかけてください。一度断られても、数年後に事情が変わることもあります。
価格はどう決めればいいですか。
再建築不可のままの市場価格と、隣地と一体になった後の価値の中間で決まるのが一般的です。相手にとっての価値が上がるぶん、市場価格より高く売れる可能性があります。ただし相手にその認識がないことも多いので、なぜ価値が上がるのかを説明できる材料を用意しておくとよいでしょう。
隣地の人が複数いる場合はどうしますか。
接している全員に同時に声をかけるのは避けてください。競わせる形になると不信を招きます。まず、買うことで最も価値が上がる人を見極めて順番に当たるのが基本です。接道が足りるようになる人、間口が広がる人が候補になります。
この記事の監修者
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