大阪府寝屋川市で、空き家の所有者に独自の税を課す条例が、令和8年7月9日の市議会本会議で全会一致で可決されました。「空き家流通促進税」で、税率は35%です。市の公式ページは、市内全域を対象に空き家の流通促進を目的とする法定外税を導入するのは全国初だと説明しています。
大阪府内の空き家を持っている方、あるいはこれから相続する方にとって気になるのは、「自分の家は対象になるのか」「売る準備をしていれば課税されないのか」という点でしょう。
この記事では、市の公式ページと、市が公開している条例の本文だけをもとに整理します。課税が始まるのはまだ先で、細かい要件は市が今後出す案内に委ねられている部分があります。
この記事の答え
– 可決: 令和8年7月9日、寝屋川市議会。税率は100分の35
– 対象: 寝屋川市の空き家すべてではない。居住の実態がなく、市場に流通していない空き家のうち条例の要件に当たるもの
– 税額: 固定資産税の35%増しではない。家屋割と家屋立地割(土地を住宅用地とみなした単価×延べ面積)の合計に35%をかける
– 課税開始: 令和11年度(2029年度)を目指す段階。総務大臣との協議と同意などの手続が先に要る
– 免除の条文: 事業に使うもの/賃借人の募集または販売を始めて1年以内/所有者の死亡で空き家になったもの(3年度分)など
– 今できること: 売却・賃貸・活用のどれかを早めに決める。課税の細かい扱いは、市が出す案内で確かめる
寝屋川市の空き家税は、どんな税ですか?
市のページには、次のように書かれています。市場に流通していない空き家の売却や賃貸などを促進し、子育て世代をはじめとした新たな住民の居住につなげるために条例を定めた。
市場に流通していない空き家を持ち続けることに一定の負担を求め、所有者に空き家の今後を改めて考えてもらい、売却や賃貸などの具体的な行動につなげる仕組み、という位置づけです。
| 項目 | 内容(市の公式ページ・条例の本文による) |
|---|---|
| 税の名前 | 空き家流通促進税(法定外普通税) |
| 可決日 | 令和8年7月9日(全会一致) |
| 対象 | 居住の実態がなく、売却や賃貸など市場に流通していない空き家のうち、条例の要件に当たるもの |
| 税率 | 家屋・土地それぞれの算定額の100分の35 |
| 課税開始 | 令和11年度(2029年度)を目指す。総務大臣の同意を得るなど必要な手続を経たうえで |
| 賦課期日 | 毎年1月1日 |
条例の本文では、「空き家」を「住宅のうち、現に人が居住していない状態にあると認められるもの」と定めています。納税するのは、その空き家の固定資産税で所有者とされる人です。
税額は、どう計算するのですか?
条例では、税額を「家屋割」と「家屋立地割」の合計で課すとしています。
- 家屋割: 空き家の固定資産税額に35%をかける
- 家屋立地割: 敷地の土地を住宅用地とみなして計算した固定資産税額を面積で割った単価に、家屋の延べ面積をかけ、その額に35%をかける。市の試算モデルでは、35%をかける前の額の千円未満を切り捨てています
市が公開している試算モデルでは、木造2階建て・延べ面積100平方メートル・地積100平方メートルの戸建てで、固定資産税・都市計画税が合計12万円のとき、空き家流通促進税は31,500円です。
内訳は、家屋割が21,000円、家屋立地割が10,500円となっています。
| 市の試算モデル | 金額 |
|---|---|
| 家屋の固定資産税額 | 60,000円 |
| 家屋割(35%) | 21,000円 |
| 家屋立地割(30,000円の35%) | 10,500円 |
| 空き家流通促進税の合計 | 31,500円 |
これは市がモデルとして示した数字で、実際の額は家屋や土地の評価、面積で変わります。ご自身の家の額は、課税の準備が進んだ段階で市の案内を確認してください。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
課税されない場合は、条文でどう決まっていますか?
市は「すべての空き家が課税されるわけではない」と明記しています。条例の第4条には、課税免除として次のものが書かれています。
| 免除の区分 | 条文の内容 |
|---|---|
| 事業に使っているもの | 事業の用に供しているもの、または課税年度の賦課期日から1年以内に事業に使う予定のもの(前年度の賦課期日から引き続き空き家の状態にあるものを除く) |
| 売却・賃貸の準備 | 賃借人の募集または販売を開始した日から1年を経過していないもの |
| 相続で空き家になったもの | 所有者の死亡で空き家になったもの。死亡した日の属する年の翌年の1月1日を賦課期日とする年度から3年度分 |
| そのほか | 公益上その他の事由により課税が不適当と市長が認めるもの |
事業用の免除の括弧書きは読み落としやすい点です。前の年の1月1日から空き家のままになっている家は、「これから事業に使う予定」というだけでは、この号の免除に当たらないと条文に書かれています。
免除を受けるには、当該年度の初日の属する年の1月31日までに、申告書に事由を示す書類を添えて市長に出す必要があると条例に書かれています(市長が不要と認める場合を除く)。
また第13条には、災害や盗難にあった場合、生活保護を受けている場合、一時的に居住していない場合などの減免も定められています。
「売っていれば大丈夫」とは書かれていない点
売却に関する免除は、販売を開始した日から1年を経過していないものです。しかも、空き家の状態が続く間に2回以上募集や販売をするときは、最初に始めた日から数えると条文にあります。
つまり条文だけを読むと、売り出しが長引いても免除が続く、とは読めません。この点が運用でどう扱われるかは、市が制度開始までに出すとしている案内で確かめる必要があります。この記事では推測で補いません。
訳あり不動産を扱っている立場からお伝えすると、再建築不可、建物が未登記、家財が残ったまま、といった事情のある家は、一般の仲介で売り出しても買い手が見つかるまでに時間がかかることがあります。条文どおりなら、売り出しから1年で免除から外れます。
こうした事情がある家は、売り出す前に、その条件で買い手がつく見込みがあるか、仲介以外の方法も含めて確かめておくと判断しやすくなります。
法定外普通税=国が決めた税(固定資産税など)とは別に、自治体が条例で独自に決める税。導入には、総務大臣との協議と同意が要ります。寝屋川市も、この手続を経てから課税開始を目指す段階です。
京都市の空き家税とは、何が違いますか?
空き家への独自課税では、京都市が先に条例を定めています。市のページ(令和8年8月21日更新)の内容と並べると、違いが見えます。
| 寝屋川市 | 京都市 | |
|---|---|---|
| 税の名前 | 空き家流通促進税 | 非居住住宅利活用促進税 |
| 課税開始 | 令和11年度(2029年度)を目指す | 令和12年度から課税開始予定(システム開発の影響で1年延期) |
| 対象の範囲 | 市内全域 | 市街化区域内の非居住住宅 |
| 税率の構造 | 家屋割・家屋立地割それぞれ35% | 家屋価値割0.7%、立地床面積割は0.15〜0.6% |
| 売却・賃貸の免除 | 販売開始から1年を経過していないもの | 賃貸または売却を予定しているもので所有者から申告があったもの。ただし1年を経過しても契約に至らなかったものは除く |
同じ「空き家税」でも、対象の範囲も税率の考え方も違います。一方、売却・賃貸の予定による免除に「1年」の区切りがある点は、両市で共通しています。他の自治体でも似た動きが出るかどうかは、今の時点では分かりません。
自分の家がある市町村が条例を作ったかどうかは、市町村の公式ページで確かめてください。
空き家を持つ人は、いま何を考えておけばよいですか?
課税開始はまだ先ですが、条文の組み立てから、考える順番は見えてきます。
- 住むか、貸すか、売るか、壊すかのどれにするかを決める
- 売るなら、相続登記や荷物の片付けなど、売る前に要るものを洗い出す
- 売り出すなら、売り出しを始めた日と媒介契約を結んだ日を、契約書や広告の控えなどの書面で残しておく(免除の1年は最初に売り出した日から数えるため)
- 相続したばかりなら、免除の3年度分が何年度までかを数えておく。例えば令和9年中に亡くなった場合、翌年の令和10年1月1日を賦課期日とする令和10年度から、令和12年度までの3年度分です
- 免除を受けるときは、当該年度の1月31日までに、申告書に事由を示す書類を添えて出す(条例第4条第2項。市長が不要と認める場合を除く)
- 市が出す案内(課税対象・減免・手続)が出たら、自分の家に当てはめる
相続した空き家の売却では、譲渡所得の3,000万円特別控除の使える条件も確かめておくとよいでしょう。条件と外れやすい点は空き家の3000万円控除の記事で整理しています。空き家の固定資産税の名義や申告の話は空き家の固定資産税を止めるにはにまとめています。
- 「まだ先だから」と、空き家の使い道を決めないまま放置する
- 売り出しの開始日を記録せず、1年の数え方が分からなくなる
- 税額を、固定資産税の35%増しだと思い込む
売るのが難しい空き家を、現況のまま相談したいとき
ごえん株式会社は、訳あり不動産の買取と、お引き受けを行っています。片付け・解体・測量を先に済ませていただく必要はなく、現況のままご相談いただけます。
再建築不可、相続登記が済んでいない、共有名義といった事情がある空き家でも、まずは状況をお聞かせください。
他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。
希望額と条件の開きがある場合や、相続人どうしの合意が整っていない場合などは、ご希望に沿えないことがあります。個別の判断になります。
ご相談への返事は、翌営業日までにお送りします。税の扱いは税理士に、登記の手続きは司法書士にご確認ください。
出典: 寝屋川市「寝屋川市空き家流通促進税条例」(令和8年9月7日更新)と同ページ掲載の条例本文・試算モデル/京都市「非居住住宅利活用促進税について」(令和8年8月21日更新)
よくある質問
寝屋川市の空き家税は、いつから課税されますか。
市のページ(令和8年9月7日更新)には、総務大臣との協議と同意などの手続を経たうえで、令和11年度(2029年度)の課税開始を目指すと書かれています。条例の施行日は「規則で定める日」とされており、今の時点で課税が始まっているわけではありません。
寝屋川市に空き家があると、すべて課税されますか。
市は「空き家を所有していれば、すべて課税される」という制度ではないと説明しています。居住の実態がなく、売却や賃貸など市場に流通していない空き家のうち、条例が定める要件に当たるものが対象です。
条例には、事業に使っているもの、賃借人の募集または販売を始めてから1年が経っていないもの、所有者が亡くなって空き家になったものなどを課税免除とする条文があります。
税率35%とは、固定資産税が35%上がるということですか。
固定資産税の35%がそのまま上乗せされる、という単純な話ではありません。
条例では「家屋割」と「家屋立地割」の合計で課税し、家屋は家屋の固定資産税額に、土地は住宅用地とみなして計算した単位面積あたりの税額に延べ面積を乗じた額に、それぞれ35%をかけます。
市の試算モデルでは、固定資産税・都市計画税が12万円の戸建てで、空き家流通促進税は31,500円です。実際の額は家屋と土地の評価で変わります。
相続で空き家になった家も課税されますか。
条例の第4条は、所有者が亡くなったことで空き家になったものを課税免除の対象にしています。ただし期間があり、亡くなった日の属する年の翌年の1月1日を賦課期日とする年度から3年度分に限られます。
この相続による免除は3年度分で終わり、その後は、ほかの免除や減免に当たるかどうかで決まります。
売りに出していれば、ずっと課税されませんか。
条例の文言では、賃借人の募集または販売を開始した日から1年を経過していないものが免除の対象です。空き家の状態が続く間に2回以上募集や販売をする場合は、最初に始めた日から数えると書かれています。
売り出しを続けても免除が続くとは書かれていないため、詳しい扱いは、市が制度開始までに出すとしている案内で確かめてください。
寝屋川市以外にも空き家への独自の税はありますか。
京都市が「非居住住宅利活用促進税」を条例で定めています。市のページ(令和8年8月21日更新)では、システム開発の影響で課税開始の予定を1年延期し、令和12年度から課税開始予定とされています。
寝屋川市は市内全域が対象で、京都市は市街化区域内の非居住住宅が対象です。
この記事の監修者
小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)
不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。
ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号
このような物件のご相談は、相続した空き家の買取相談のページへ。地域ごとの事情は、京都市の空き家の手放し方のページにまとめています。
相続した家を、そのまま手放せるか
どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。
相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。
片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。
資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
相続登記が終わっていなくても、名義が複数でもご相談いただけます。順番は当社でご案内します。
お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp
ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

