他人に勝手に使われている土地は、占拠が片付いていなくても、そのまま手放せるかを相談できます。借りた覚えのない人が駐車場にしていたり、隣の塀が出てきていたり。そういう土地を前に「どう売るのか」と止まっている方に向けて書きます。
売りにくくなるのは、占拠そのものより、占拠している人の権利が分からないことです。買主は、買った日から使いたい。そこが崩れます。
なぜ、他人に使われている土地は普通に売れないのか
占拠といっても、中身は四つに分かれます。どれなのかで、動き方が違います。
| 占拠の型 | 売りにくい理由 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 隣地の建物・塀・庭が越境している | 越境の扱いが決まらないと、境界も売値も決まらない | 測量で範囲を確かめ、隣地の方と扱いを書面にする |
| 駐車場・資材置き場・畑として使われている | 貸した覚えがなくても、貸借の主張が出ることがある | 使い始めの時期と使い方を記録する |
| 親族や知人が、口約束で使っている | 貸したのか、黙認なのかを書面で示せない | 約束の中身を書き出す |
| 境界があいまいで、結果として使われている | 占拠なのか思い違いなのかが分からない | 測量や筆界特定で境界線をはっきりさせる |
最後の型は、占拠と呼ぶ前に境界を疑います。土地家屋調査士に測量を頼み、隣地の方と立ち会うのが一般的です。話がまとまらないときは、法務局の筆界特定制度があります。土地の登記名義人などが筆界特定登記官に申請し、手数料が要ります(不動産登記法131条)。

越境が絡むなら越境している土地は売れる、境界があいまいなら境界未確定でも土地は売れるも読んでみてください。
20年使われると、時効取得の話になる
長く使われている土地で、いちばん気になるのが時効取得でしょう。民法162条はこう定めています。
二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
所有の意思、平穏、公然は、占有者がそのように占有していると推定されます(186条1項)。成立すれば、効力は起算日にさかのぼります(144条)。ただ、当事者が援用しなければ、裁判所は時効で裁判できません(145条)。
借りて使っている人には、所有の意思がありません。時効取得は成立しにくいと考えられます。それでも、成立するかどうかは、使い始めのいきさつや期間で変わります。
放っておくほどこじれる、というのは確かです。気づいた日に、経緯と期間を書いておくだけでも違います。
ただ、書いておくだけでは時効は止まりません。民法147条は、裁判上の請求などがあれば、その手続きが終わるまで時効は完成しないと定めています。確定判決などで権利が確定すれば、時効はそこから新たに進み始めます(同条2項)。
内容証明郵便での「催告」は、そこから6か月、完成を猶予するだけです。猶予中にもう一度催告しても、延びません(150条)。完成が近いかもしれないなら、催告のあとに訴えるかどうかも含めて、早めに弁護士に相談してください。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
自分で動く道は、話し合い・調停・訴訟
軽い順に、話し合い、調停、訴訟です。どれも「占拠を解いてから売る」前提の道になります。
話し合いは、相手が応じなければ止まります。親族や近所だと、関係も絡みます。調停は裁判所での話し合いで、合意できなければ終わりです。訴訟は、時間と弁護士費用がかかり、結論が出るまで売却は動かしにくい。費用の額は事案で大きく変わるので、ここには書きません。
待ちきれず、相手の物を撤去したり、鍵を替えたりするのは避けてください。自力救済は原則として認められないと考えられています。壊した、処分したと言われて、損害賠償を求められるおそれもあります。
弁護士が使う手には、明け渡しの訴訟のほか、占拠者が別の人に入れ替わるのを防ぐ「占有移転禁止の仮処分」があります。執行されると、その後に占有した人にも、判決にもとづいて明け渡しを求められます(民事保全法62条)。
どの手を使うかは、弁護士に相談して決めることになります。
「解決してから売る」と決めて、固定資産税を払いながら何年も待つ人もいます。

売り方の違いは買取と仲介の違い、売れない土地の出口全体はいらない土地の処分方法にまとめています。
占拠のことを、買主にどう伝えるか
知っているなら、現況のまま売る場合でも伝えるのが前提です。売主が知りながら告げなかった事実は、責任を負わない特約をしても免れません(民法572条。e-Gov法令検索)。
引き渡した土地が契約の内容に適合しないとき、買主は追完などを請求できます(562条)。占拠者が賃借権などを主張する場合は、権利の不適合として同じ定めが準用されます(565条)。
不適合を知った時から1年以内の通知という期限(566条)は、種類・品質の不適合の話で、権利の不適合には掛かりません。伏せずに伝えておくのが、後のもめごとを防ぐ近道です。
伝える中身は、四つにメモしておくと整理できます。いつから使われているか。誰が、何に使っているか。貸借の契約書や覚書があるか。全景と境界付近の写真。現況渡しの考え方は現況渡しとはで説明しています。
当社が見る点
当社は、占拠が片付いていない土地の相談を、境界・越境の相談と同じ窓口で受けています。売主様に代わって占拠者と交渉することはしません。当社が取得したあとは、所有者として当社が対応します。売却の前に立ち退き交渉を済ませていただく必要はありません。
当社に届く相談の言葉は、「高く売りたい」より「これ以上、お金も手間もかけたくない」が目立ちます。「測量してから」と言われて止まっていた境界の家を、測量を条件にせず現況のまま引き受けた例もあります(取り扱い例)。
- 占拠の内容(建物・越境・駐車・畑など)と、始まった時期の心当たり
- 貸借の書面の有無、境界標や測量図の有無、名義の状態
- 接道・地目などの土地の条件と、占拠者に連絡が取れるか
他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。どちらかは、見てからお伝えします。他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。
占拠されたままの土地は、今のまま渡せるか
占拠を解いてから売るのが、唯一の順番ではありません。立ち退き交渉や訴訟を始める前の状態で、相談だけ先にしておけます。
必要なのは、所在地と、占拠の様子が分かる写真くらいです。返事は翌営業日までにお返しします。現地にお越しいただかなくても、契約から決済まで進められます。
税務や法務の判断は、税理士・司法書士・弁護士にご確認ください。
よくある質問
うちの土地を勝手に使っている人がいます。このままでも売れますか。
売れないと決まったわけではありませんが、普通の買主は付きにくくなります。占拠している人にどんな権利があるのかが、外から見えないからです。経緯と期間、書面の有無を書き出すところから始めてください。
20年使われたら、土地は取られますか。
民法162条は、所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を20年占有した者に所有権を認めています。占有の開始時に善意で過失がなければ10年です。ただ、借りて使っている人には所有の意思がなく、成立しにくいと考えられます。
実際に成立するかは、使い始めのいきさつと期間で変わります。
鍵を替えるのはだめですか。
やめてください。裁判所を通さずに取り戻す自力救済は、原則として認められないと考えられています。
追い出す前に、売る相談だけしてもいいですか。
できます。ただし条件によっては成立しません。占拠の内容、境界、名義、土地の条件を伺ったうえで個別に判断し、立ち退き交渉や訴訟を済ませていただく必要はありません。
この記事の監修者
小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)
不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。
ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号
このような物件のご相談は、未登記・私道・境界の買取相談のページへ。
登記や境界が整っていなくても、売れるか
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相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。
片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。
資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
測量や登記を先にしていただく必要はありません。現況のまま確認します。
お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp
ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

