河川保全区域とは?河川区域の土地は売れるか|制限と手放し方

雪に埋もれた山あいの建物と門扉

河川区域や河川保全区域にかかる土地は売れるのか。結論から言うと、売買そのものに制限はなく、制限されるのは「その土地で何ができるか」です。

河川区域内は工作物の設置や占用に、保全区域内は掘削や建築に河川管理者の許可が要るため、買い手が限られます。出口は、隣地の所有者・河川管理者・国庫帰属・現況のままの取り扱いのどれかになります。

この記事では、2つの区域の違い、何に許可が要るか、自分の土地が区域内かを調べる方法、買い手が付きにくい理由、出口の比べ方を整理します。

河川区域や河川保全区域にかかる土地を売れずにいるなら、現況のまま手放す方法を相談できます。区域内かどうかが分からない段階でも、所在地と地番を教えてください。

区域にかかる土地を相談する

目次

河川区域と河川保全区域の違い

どちらも河川法で定められた区域ですが、範囲と制限の重さが違います。

区域範囲根拠
河川区域川の水が流れている土地、堤防など河川管理施設の敷地、堤外地のうち河川管理者が指定した区域河川法6条
河川保全区域堤防や河岸を守るため、河川区域に隣接して指定する区域。河川区域の境界から50メートル以内が上限で、実際の幅は川ごとに決まる河川法54条

河川区域は「川そのものと、川と一体で管理する土地」です。河川法6条1項は、次の3つを河川区域としています。

  1. 川の水が継続して流れている土地と、それに類する状況の土地(河岸を含む)
  2. 堤防など河川管理施設の敷地
  3. 堤防の川側の土地(堤外地)のうち、1と一体で管理する必要があるとして河川管理者が指定した区域

堤防の川側にある畑や空き地が私有地のまま3に入っていることがあり、これが売却の相談で出てくる典型です。

河川保全区域は「堤防の陸側で、掘ると堤防に影響する範囲」で、住宅地に指定がかかっていることもあります(国土交通省関東地方整備局荒川上流河川事務所 河川区域・河川保全区域について、宮城県 「河川区域」・「河川保全区域」とは)。

河川管理者=その河川を管理する行政。一級河川の国管理区間は国土交通大臣(実務は河川事務所)、都道府県管理の区間と二級河川は都道府県知事、準用河川は市町村長です。許可の窓口も照会の窓口もここです。

河川区域・河川保全区域・区域外の3層で、何に許可が要るかを分けた図解
川に近いほど、できることが減る。売買そのものは制限されない

河川保全区域の範囲は、川ごとに違う

50メートルは上限で、一律の幅ではありません。河川法54条3項は、保全区域を「必要な最小限度の区域」に限り、河川区域の境界から50メートルを超えて指定してはならないとしています(地形・地質の状況でやむを得ない場合は例外あり)。

実際の幅は河川管理者が川ごとに決めており、たとえば国の富山河川国道事務所の管理区間は河川区域から20メートル以内、東京都第六建設事務所の管内では河川区域の境界または堤防敷地から10メートル・20メートルと、区間ごとに分かれています(北陸地方整備局富山河川国道事務所 河川保全区域について、東京都建設局 河川保全区域の申請手続について)。

自分の土地にかかる幅は、その川の河川管理者に聞かないと分かりません。一筆の一部だけが保全区域に入っていることもあります。

それぞれで、何に許可が要るか

売買に許可は要りません。制限は土地の使い方にかかります(河川法)。

行為河川区域内河川保全区域内
土地の占用(継続して使うこと)許可(24条)不要
工作物の新築・改築・除却許可(26条)新築・改築は許可(55条)
土地の掘削・盛土・切土許可(27条)許可(55条)
竹木の植栽・伐採許可(27条。軽易な行為を除く)不要
土地の売買不要不要

河川区域内の工作物は、河川の管理に支障を及ぼすものは許可されません。住宅の敷地として使うのは難しい土地で、実際には畑・駐車場・資材置場のような使い方が中心です。

河川保全区域は建築自体は可能ですが、基礎の掘削や擁壁の新築に許可が要るため、買主に手間と時間の負担が生じます。

河川保全区域で許可が要らない行為

保全区域内でも、軽い行為は許可が要りません(河川法施行令34条)。

  • 耕うん(場所を問わず不要)
  • 堤防など河川管理施設の敷地から5メートルを超える堤内の土地で、次の行為
  • 地表から高さ3メートル以内の盛土(堤防に沿う部分の長さが20メートル以上のものを除く)
  • 地表から深さ1メートル以内の掘削・切土
  • 堅固でない工作物の新築・改築(コンクリート造・石造・れんが造などの堅固なものと、井戸・水槽・水路など水が浸透するおそれのあるものを除く)

5メートルの距離は、河川管理者が施設の構造や地形に応じて別の距離を指定していることがあります。杭や深い基礎を打つ住宅の新築は、この例外に収まらないことが多いため、保全区域にかかる宅地を買う人は許可の申請を前提に計画を立てることになります。

東京都第六建設事務所の案内では、許可を受けずに行為をしようとした場合は建築確認も認められないとされ、申請から許可まで約20日(営業日)を目安としています。審査の期間や扱いは河川管理者ごとに違います(北陸地方整備局富山河川国道事務所、東京都建設局)。

許可を受けた工作物や土地は、相続人や譲受人に引き継がれます(河川法55条2項・33条)。既に許可を受けた工作物があるなら、その許可書は土地と一緒に買主へ渡す大事な書類です。手元にないときは、河川管理者に照会すると許可の記録が残っていることがあります。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

自分の土地が区域内かを調べる

区域の指定は公示されていますが、登記簿には書かれていません。調べる順番は次のとおりです。

  • 河川管理者に地番で照会する。 河川事務所または都道府県の土木事務所。河川区域・河川保全区域の図面で確かめられる
  • 公示図面を見る。 指定・変更のたびに公示されており、閲覧できる
  • 過去の売買の重要事項説明書を見る。 河川法は法令上の制限として記載される項目。親が買ったときの書類が残っていれば手がかりになる
  • 固定資産税の課税明細書を見る。 現況地目や評価額の低さが、区域内であることの手がかりになることがある

市町村の都市計画図やハザードマップでは、河川区域の境界は分かりません。ハザードマップは「浸水の想定」、河川区域は「河川法の管理の範囲」で別の線です。区域の内外は、河川管理者に地番で聞くのが唯一確実な方法です。

買い手が付きにくい理由

「制限があっても安くすれば売れる」と考えて仲介に出しても動かない土地があります。理由は価格ではなく、買った人ができることの少なさにあります。

買い手から見た壁河川区域内河川保全区域内
建物住宅は事実上難しい建てられるが許可の手間
資金建物が建たない土地は住宅ローンの対象になりにくい通常の宅地に近い
用途畑・駐車場・資材置場などに限られる通常の宅地に近いが、擁壁や基礎の工事で許可
災害川側の土地で、増水時に冠水しうる堤防の陸側
手続き占用・工作物の許可を買主が取り直すことがある工事のたびに許可

河川区域内の土地は、使える人が「隣で農業や事業をしている人」にほぼ絞られるため、一般の買主を待つ仲介と噛み合いません。売れない土地の考え方は売れない土地の処分に整理しています。農地として使われている場合は農地法の許可も重なります(農地の売却)。

出口の比べ方

相手ごとに、進め方とつまずく点を並べます。

河川区域にかかる土地の出口を、確かめる順に並べた図解
河川管理者への照会で、工事の予定と区域の範囲を先に押さえる
出口進め方つまずく点
隣地の所有者に譲る畑・駐車場として使っている隣の人に打診する使う人がいれば最も早い。いなければ動かない
河川管理者に申し出る工事や用地取得の予定を照会する工事の計画がある土地は用地として取得されることがある。計画がなければ取得するかは管理者の判断
相続土地国庫帰属制度法務局に申請する。審査手数料1筆14,000円と、承認後に負担金相続した土地のみ。境界が明らかでない土地は却下、崖がある土地や他人の使用が予定されている土地は通らない
仲介で売る不動産会社に媒介を頼む用途が限られ、買主が現れにくい
現況のまま取り扱う会社区域の照会や調査を会社側で進める区域の範囲と状態によっては引き受けられない

河川管理者への申出は、「申し出れば受け取ってもらえる制度」ではありません。ただし、その土地を含む河川工事や用地取得の予定があるかは聞いておく価値があります。予定があれば、売却の相手が河川管理者になる可能性があるためです。

河川予定地=河川工事で新たに河川区域になる土地として、河川管理者が指定する土地(河川法56条)。工事の実施が計画上確実になってから指定され、公示されます。指定されると掘削・盛土や工作物の新築・改築に許可が要り、この制限で損失を受けた人には河川管理者が通常生ずべき損失を補償します(同法57条)。照会のときは、河川予定地の指定があるかも併せて聞いてください。
:::国庫帰属の要件は相続土地国庫帰属制度に、自治体への寄付が受け取られにくい理由は自治体への土地の寄付に書いています。

:::bad
– 許可を取らずに盛土や小屋を作ってから売ろうとする — 河川法違反として除却や原状回復を命じられることがあります。買主にも引き継がれる問題になります
– 「河川区域内だから固定資産税はかからない」と思い込む — 課税の扱いは土地の現況と市町村の判断によります。納税通知書で確かめてください
– 区域の内外を確かめずに仲介に出す — 重要事項説明で判明して契約が流れることがあります

隣地の所有者、河川管理者、国庫帰属、現況のままの取り扱い。どれが合うかは土地の条件で変わります。比べる材料として、所在地と地番、区域の指定の有無を添えて送ってください。

出口を一緒に比べてもらう

当社が確かめていること

河川区域や河川保全区域にかかる土地のご相談で、当社が先に確かめている点です。

確認の順番

  1. 河川管理者への照会。区域の範囲、一筆の全部か一部か、工事や用地取得の予定
  2. 許可を受けている工作物や占用の有無と、許可書の所在
  3. 隣地の利用。畑・駐車場・事業所など、使う人がいるか
  4. 現況。冠水の跡、竹木の状態、車で入れるか
  5. 権利関係。名義、共有、農地かどうか

これらは当社で調べており、売主に河川事務所を回っていただくことはありません。==河川区域にかかること自体は、取り扱いの対象外にする理由ではありません。

==ただし、区域の範囲と状態によってはお引き受けできないことがあり、相続人の間で合意ができていない場合も同じです。

登記は司法書士へ、税務は税理士へご確認ください。所在地と地番、手元の書類の有無を教えていただければ、河川管理者への照会から当社で進めます。

境界が分からない土地は境界未確定の土地の売却、山林と一緒に手放す場合は山林・原野・別荘地の買取・売却相談を、農地(田・畑)の手放し方は農地の手放し方・相談先をご覧ください(農地のまま取得することはできませんが、非農地証明が取れる土地や市街化区域内の農地は対応できる場合があります)。

よくある質問

河川区域と河川保全区域は何が違うのですか。

河川区域は、川の水が流れている土地、堤防など河川管理施設の敷地、堤外地のうち河川管理者が指定した区域で、河川法6条で定められています。

河川保全区域は、堤防や河岸を守るために河川区域に隣接して指定される区域で、河川区域の境界から50メートル以内が上限で、実際の幅は河川ごとに指定されています(同法54条)。

河川区域内は占用や工作物の設置に、保全区域内は掘削・盛土や工作物の新築・改築に、それぞれ河川管理者の許可が要ります。

自分の土地が河川区域内かどうかは、どこで調べられますか。

河川を管理している河川管理者に地番を伝えて照会します。一級河川の国管理区間は国土交通省の河川事務所、都道府県管理の河川は都道府県の土木事務所などが窓口です。河川区域と河川保全区域は指定のときに公示され、図面で確かめられます。

市町村の都市計画図では分からないことがあるため、河川管理者に直接聞くのが確実です。

河川区域内の土地に家は建てられますか。

河川区域内で工作物を新築・改築・除却するには河川法26条の許可が要り、河川の管理に支障を及ぼすものは許可されません。住宅の敷地として使うのは難しい土地です。

河川保全区域なら建築自体は可能ですが、掘削や工作物の新築に55条の許可が要るため、買主に手間と時間の負担が生じます。

河川区域内の土地は、河川管理者が買い取ってくれますか。

河川工事の計画がある土地は、河川管理者が用地として取得することがあります。ただし計画がない土地を取得するかどうかは河川管理者の判断で、申し出れば受け取られるという制度ではありません。まず河川管理者に、その土地を含む工事や用地取得の予定があるかを聞くのが先です。

河川区域にかかる土地を現況のまま引き受けてもらえますか。

当社は河川区域や河川保全区域にかかることだけを理由に取り扱いの対象外とはしていません。区域の範囲、許可を受けている工作物の有無、隣地の利用、権利関係を確かめたうえで、お引き受けできるかを判断します。

所在地と地番が分かれば、河川管理者への照会を含めて当社で調べます。個別の判断になる点はご了承ください。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

使っていない山林・原野・別荘地を、手放せるか

どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。

相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。

片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。

資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。

現地に行ったことがなくても、地番か所在地が分かれば当社で調べます。

お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

目次