相続登記のあと不動産会社から手紙が届くのはなぜ?止め方と令和8年10月の変更点

座卓に書類が置かれた和室

相続登記を済ませたあと、見覚えのない不動産会社から「ご所有の不動産について」という手紙が届くことがあります。手紙の多くは、誰でも請求できる登記簿から宛先を把握している可能性がありますが、個々の手紙がどの経路で来たのかは確認できません。一方で、令和8年10月1日以降に出された登記については、不動産登記受付帳の開示で「登記の目的」と「不動産所在事項」が表記されなくなりました。

この記事では、「手紙を止めたいときにできること」「10月から何が変わったのか」「手紙が来たときにどう確かめるか」を、混ぜずに整理します。

この記事の答え
– 止めたいとき: 差出人に「売るつもりはない、今後の勧誘は不要」と伝える。宅地建物取引業者は、断った相手への勧誘を続けることが法令で禁じられている
– 変わったこと: 令和8年10月1日以降の登記は、受付帳の開示で「登記の目的」「不動産所在事項」が出なくなった
– 変わっていないこと: 登記事項証明書は、手数料を納付すれば誰でも請求できる
– 手紙が来たら: 返事は急がなくてよい。差出人と条件を書面で確かめてから考える

目次

手紙を止めたい・断りたいときは、どうすればよいですか?

売るつもりがなく、今後の手紙も要らないときは、差出人に「売却の予定はない」「今後の勧誘は希望しない」と伝えるのがいちばん直接的な方法です。

宅地建物取引業法47条の2第3項は、宅地建物取引業者が、契約の締結の勧誘などに関して、相手方の保護に欠ける行為として省令で定めるものをしてはならないと定めています。これを受けた宅地建物取引業法施行規則16条の11第1号ニは、契約の締結の勧誘をするに際して、次の行為を挙げています。

宅地建物取引業者の相手方等が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続すること。

つまり、宅地建物取引業者からの勧誘であれば、「契約しない」「勧誘はもう要らない」とはっきり伝えた後に勧誘を続けることは、この規定で禁じられた行為にあたります。伝えた日付と相手の会社名は、手元に控えておくと後で確かめやすくなります。

方法やること気をつけること
差出人に断りを伝える「売却予定はない。今後の勧誘は不要」と、電話・メール・書面のいずれかで伝える伝えた日付・相手の会社名・担当者名を控える
郵便の受取拒絶開封前の郵便物に「受取拒絶」と書いた付せんを貼り、印を押すか署名して、配達担当者に渡すか、郵便窓口へ持参するか、ポストに入れる開封したものは拒絶できない。「これは郵便物ではありません」「○○メール便」などと表示された、日本郵便以外が届けたものは、その配送事業者に連絡する

郵便の受取拒絶の手順は、日本郵便の「郵便物等を受取拒絶したい場合」の案内に沿っています。受取拒絶をすると、郵便物は差出人に返還されます。

令和8年10月1日から、何が変わったのですか?

東京法務局の「不動産登記受付帳の様式の変更について(お知らせ)」(令和8年9月)には、次のとおり書かれています。

不動産登記規則の一部を改正する省令(令和7年法務省令第49号)の施行により、令和8年10月1日以降に登記が出された物件については、不動産登記受付帳(行政文書)を開示請求した際に「登記の目的」及び「不動産所在事項」が表記されなくなります。同年9月30日までの受付帳は従来の様式です。

条文でも確かめられます。不動産登記規則56条1項は現在、登記官が受付帳に記録するものを「申請の受付の年月日及び受付番号」としています。

項目内容
何の変更か不動産登記受付帳(行政文書)の様式
いつから令和8年10月1日以降に登記が出された物件
開示で出なくなる項目「登記の目的」と「不動産所在事項」
9月30日までの受付帳従来の様式のまま

不動産登記受付帳=登記の申請を受け付けた順に記録しておく、法務局の帳簿。登記簿(登記記録)とは別のもので、開示を求めるときは、行政文書の開示請求という手続きになります。

この記事では、改正の理由には触れていません。理由について法務省の一次資料を、当社は読めていないためです。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

変わっていないのは、登記簿を誰でも請求できること

ここで混同しやすい点があります。今回の変更は受付帳の様式の話で、登記簿そのものが見られなくなったわけではありません。

不動産登記法119条1項は、「何人も、登記官に対し、手数料を納付して、登記記録に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面(登記事項証明書)の交付を請求することができる」と定めています。同条2項には、記録されている事項の概要を記載した書面についても同じ趣旨の定めがあります。

つまり、相続登記を済ませた不動産でも、所有者以外の人が登記事項証明書を請求することは、今も制度上できます。

資料誰が請求できるか今回の変更
登記事項証明書(登記簿)誰でも(手数料を納付)なし
不動産登記受付帳(行政文書の開示請求)開示請求の手続きによる令和8年10月1日以降の登記は、登記の目的と不動産所在事項が表記されない

手紙が届く原因がどちらの資料にあるのかは、当社も一次資料では確認できていません。「受付帳の開示が原因だった」と断定する資料は、見つけられませんでした。反対に、今回の変更で手紙が止まると示す資料もありません。

手紙が届いたときに、確かめる順番

差出人が誰であっても、順番は同じです。

  1. 手紙の差出人(会社名・所在地・連絡先)を読む
  2. 宅地建物取引業の免許番号が書かれていれば、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、会社名・所在地・免許番号が一致するかを照会する。免許番号の「○○県知事(3)第○号」の括弧内の数字は、新規免許では1で、5年ごとの更新のたびに大きくなるため、業歴の長さのおおよその目安になる(法人は経営陣が変わることもあるので、数字だけで判断しない)
  3. 書かれている内容が、売買の勧誘か、査定の案内か、別の営業かを分ける
  4. 売る予定がなければ、返事をしない
  5. 売ることを考えるなら、電話ではなく書面やメールで条件を出してもらう

このうち大切なのは2と5です。免許番号が書かれていない、会社の所在地が確認できない、といった手紙には、連絡する前に立ち止まったほうがよいでしょう。

  • 手紙に書かれた「期限」の言葉に急かされて、その場で電話をかける
  • 売るかどうか決まっていない段階で、契約書にサインをする
  • 一社だけの査定額を、相場だと思い込む

手紙が来たからといって、売らなければならないわけではありません。

手紙をきっかけに「売る」を考えるときの確かめ方

相続した家を、手紙をきっかけに売ることを考える方もいます。その場合は、手紙の内容と別に、次の3つを確かめてください。

確かめること見るところ注意点
買取か、仲介か書面に「買取」「媒介」のどちらと書かれているか買取は会社が買う。仲介は買主を探す
現況のまま売れるか片付け・解体・測量を誰が負担するか費用の線引きを書面で
名義と登記の状態登記事項証明書の所有者・住所住所や氏名が古いと手続きが止まる
家財が残ったままでよいか残置物の処分を売主・買主のどちらが行うか、その費用はどちらが持つか「現況のまま」と書かれていても、家財の処分が売主負担になっていないかを書面で
再建築不可など訳ありの事情再建築不可・接道・境界などを、提示した条件の前提として説明しているか物件の事情を伝えたうえで出た条件かどうかを確かめる

当社に寄せられるご相談では、「いくらで売れるか」より「解体や家財の処分にいくらかかるか」で動けなくなっている方が多くいらっしゃいます。手紙の業者の条件を見比べるときも、提示額の大きさだけでなく、解体・家財処分・測量を誰が行うかまで含めて比べてください。

名義や住所が古いまま、売る手続きが止まる場合もあります。期限や手続きの流れは、相続登記の義務化は相続登記の義務化と期限、住所の変更は住所変更登記の義務化で整理しています。

相続した家を、現況のまま相談したいとき

ごえん株式会社は、訳あり不動産の買取と、お引き受けを行っています。相続したあとの空き家や土地を、片付け・解体・測量を先に済ませていただく必要はなく、現況のままご相談いただけます。

他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。

希望額と条件の開きがある場合や、相続人どうしの合意が整っていない場合などは、ご希望に沿えないことがあります。個別の判断になります。

ご相談への返事は、翌営業日までにお送りします。登記の手続きは司法書士に、税は税理士にご確認ください。

出典: 東京法務局「不動産登記受付帳の様式の変更について(お知らせ)」(令和8年9月)/不動産登記規則56条1項/不動産登記法119条/宅地建物取引業法47条の2第3項/宅地建物取引業法施行規則16条の11第1号ニ/日本郵便「郵便物等を受取拒絶したい場合」/大阪府「宅地建物取引業者の選び方」

よくある質問

相続登記をしたら、なぜ不動産会社から手紙が届くのですか。

差出人がどの資料をもとに送っているかは、手紙の側から確かめることができず、当社も一次資料では確認していません。事実として言えるのは、不動産登記法119条が、手数料を納付すれば誰でも登記事項証明書の交付を請求できると定めていることです。登記記録には所有者の情報が載るため、そこから宛先を把握する事業者がいる可能性はありますが、個々の手紙の経路は分かりません。

不動産会社からの手紙を止めたいときは、どうすればよいですか。

差出人に「売却の予定はない」「今後の勧誘は希望しない」と伝えてください。宅地建物取引業法施行規則16条の11第1号ニは、相手方が契約しない意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない意思を含む)を示したのに勧誘を続けることを、宅地建物取引業者がしてはならない行為として定めています。開封前の郵便物なら、日本郵便の案内に沿って「受取拒絶」と書いた付せんを貼り、印か署名を添えて配達担当者・郵便窓口・ポストに渡す方法もあります。

令和8年10月から、登記について何が変わりましたか。

不動産登記規則の一部を改正する省令(令和7年法務省令第49号)の施行により、令和8年10月1日以降に登記が出された物件は、不動産登記受付帳を開示請求しても「登記の目的」と「不動産所在事項」が表記されなくなりました。9月30日までの受付帳は従来の様式です。東京法務局のお知らせに記載されています。

この変更で、不動産会社からの手紙は届かなくなりますか。

届かなくなるとも、減るとも言えません。登記簿そのものを誰でも請求できる点は変わっていませんし、今回の変更と手紙の関係を示す一次資料も確認できていません。手紙が来るかどうかは、この変更だけでは判断できないということです。

届いた手紙には返事をしないといけませんか。

返事をする法的な義務はありません。売る予定がなければ、そのままにしておいて問題ありません。売却を考えるときは、差出人が宅地建物取引業の免許を持つ会社かを確かめ、条件を書面で確認してから進めてください。

相続登記が終わっていない家の場合は、どうすればよいですか。

名義が亡くなった方のままだと、売る手続きに進めません。相続登記には義務化された期限があります。登記の手続き自体は司法書士にご相談ください。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

このような物件のご相談は、相続した空き家の買取相談のページへ。

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お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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