再建築不可物件が売れない最大の理由は、建て替えができないために住宅ローンが使いにくく、買い手が現金で買える人に限られることです。売り方と買い手の層を変えれば、売却できないわけではありません。この記事では、再建築不可物件が売れない仕組みと、片付けや解体をせずに手放すための5つの出口を整理します。
「建て替えができない土地だから、もう売れないと言われた」。そう言われて止まってしまった方に向けて、訳あり不動産の買取再販を行うごえん株式会社が、実務でどう扱っているかをお伝えします。価格を上げる話ではなく、費用と手間をかけずに終わらせるための整理です。
再建築不可物件とは何か
再建築不可物件とは、今建っている建物を取り壊すと、同じ場所に新しい建物を建てられない土地のことです。
建築基準法では、建物を建てる敷地は「幅員4m以上の道路に、2m以上接していなければならない」と定められています。これを接道義務といいます。この条件を満たさない土地には、原則として建築確認が下りません。

接道義務を満たさなくなる典型的なパターンは、次のとおりです。
- 敷地が道路にまったく接していない(旗竿地の奥や、袋地)
- 接している道路の幅が4m未満で、後退しても要件を満たせない
- 接している部分の幅が2m未満しかない
- 接しているのが建築基準法上の「道路」ではない通路や水路
なぜこうした土地が存在するのかというと、建築基準法が施行されたのが1950年で、それ以前に建てられた建物や区画された土地がそのまま残っているためです。建てた当時は適法でも、現在の基準では建て替えられない。これが再建築不可物件の正体です。
再建築不可物件が「売れない」と言われる3つの理由
理由1:住宅ローンが使いにくい
金融機関は、担保となる不動産の資産価値を重視します。建て替えができない土地は担保評価が低く出るため、多くの金融機関で住宅ローンの審査が通りません。
これは売主にとって深刻な問題です。日本の中古住宅の買主の大半はローンを利用します。そのため、買い手候補が「現金で買える人」だけに絞られてしまうのです。
理由2:仲介では買主が見つかりにくい
不動産仲介は、広く買主を募って最も条件の良い相手と契約する仕組みです。ところが再建築不可物件は買い手の母数が小さいため、募集をかけても反応が乏しく、販売期間が長引きます。
半年から1年以上売れ残り、値下げを繰り返した末に取り下げになる、というケースは珍しくありません。
理由3:時間が経つほど選択肢が減る
建物が使える状態なら「賃貸に出す」「リフォームして再販する」という出口が残ります。
しかし朽廃が進んで解体しかない状態になると、解体後は更地に建物を建てられないため、土地の使い道が極端に限られてしまいます。
再建築不可物件は、放置している間に出口が減っていくタイプの不動産です。固定資産税や火災保険、草刈りや近隣対応の負担は、売れない間もかかり続けます。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
再建築不可物件を手放す5つの出口
売却できないわけではありません。取り得る手段を、価格が付きやすい順に整理します。
出口1:隣地の所有者に売る
最も価格が付きやすい方法です。隣地の所有者が買い取って自分の土地と一体化すれば、接道義務を満たす一つの敷地になり、再建築が可能になることがあります。
隣地所有者にとっては土地が広がり資産価値が上がるメリットがあるため、市場価格に近い水準で成立する可能性があります。ただし相手にも資金と意思が必要で、関係が良好でない場合は交渉自体が難しくなります。
出口2:セットバックして接道要件を満たす
前面道路が幅員4m未満の「2項道路(みなし道路)」である場合、道路の中心線から2m後退(セットバック)することで、建築可能になるケースがあります。
後退した部分は道路扱いとなり、敷地面積が減ります。建ぺい率・容積率の計算からも外れるため、建てられる建物が小さくなる点は理解しておく必要があります。
出口3:43条但し書き(43条2項2号)の許可を取る
接道義務を満たさなくても、周囲に広い空地があるなど一定の条件下で、特定行政庁の許可を受けて建築できる制度です。
許可基準は自治体ごとに異なり、事前相談から許可まで数か月かかることもあります。許可の見込みが立てば売却価格は大きく変わるため、市区町村の建築指導課に確認する価値はあります。
出口4:現況のまま投資家に売る
建物が使える状態なら、リフォームして賃貸に出す前提の投資家が買い手になります。利回りで判断されるため、立地と賃料相場次第では十分に成立します。
一方で、残置物の撤去や境界の確定を売主側に求められることが多く、手離れが良いとは限りません。
出口5:訳あり物件専門の買取会社に売る
確実性とスピードを優先するならこの方法です。買取会社が自ら買主になるため、買い手を探す期間が不要で、契約から決済までが短く済みます。
| 仲介で売る | 買取会社に売る | |
|---|---|---|
| 価格の目安 | 市場価格に近いが成立しにくい | 市場価格より低い |
| 期間 | 半年〜1年以上、売れ残りも多い | 数週間〜1か月程度 |
| 片付け・解体 | 求められることが多い | 現況のままで可 |
| 契約不適合責任 | 売主が負う | 免責とすることが多い |
| 買い手が見つからないリスク | ある | ない |
価格だけを見れば仲介が有利です。ただし再建築不可物件では、「売れないまま時間だけが過ぎる」ことが最大の損失になりがちです。手元にいくら残るかは、価格だけでなく「いつ終わるか」でも決まります。
2025年4月の法改正で、リフォームという逃げ道が狭まった
再建築不可物件は建て替えができないため、リフォームで建物を延命させるというのが従来の主な対処法でした。この前提が2025年4月に変わっています。
建築基準法の改正により、それまで審査が省略されていた範囲(いわゆる4号特例)が縮小されました。国土交通省は「木造戸建の大規模なリフォームは建築確認手続きが必要になります」と明示しています。
| 2025年3月まで | 2025年4月以降 | |
|---|---|---|
| 審査が省略される範囲 | 木造2階建て等も広く対象 | 平屋かつ延べ面積200㎡以下に縮小 |
| 木造2階建ての大規模リフォーム | 建築確認が不要な場合が多かった | 建築確認の手続きが必要 |
再建築不可物件にとって、これは単なる手続きの増加ではありません。
建築確認は接道義務を満たしていることが前提になります。再建築不可=接道義務を満たしていない物件では、確認が下りない可能性があるということです。つまり、大規模なリフォームという選択肢そのものが狭まりました。
対象になるのは「大規模の修繕・大規模の模様替」に当たる工事です。壁・柱・床・はり・屋根・階段のいずれかについて、その過半を変更する工事が該当します。内装の張り替えや設備交換といった通常のリフォームは対象外です。
どこからが「大規模」に当たるかは工事内容によって変わります。具体的な判断は、施工会社と管轄の建築主事・指定確認検査機関にご確認ください。
この改正は、建物が使えるうちに動くことの価値を高めました。大規模な改修で延命させてから考える、という道が細くなったためです。
相場はどのくらいになるのか
再建築不可物件の価格は、同じ地域の再建築可能な物件と比べて低くなるのが一般的です。一般には5〜7割程度が目安として語られますが、これは幅のある話です。
実際には次の要素で大きく変わります。
- 接道の状況(まったく接していないのか、幅が足りないだけなのか)
- 隣地を買い増して再建築可能にできる余地があるか
- 建物が今も使える状態か、賃貸に出せるか
- その地域に賃貸需要があるか
「相場の何割」という数字だけで判断すると実態から外れます。同じ再建築不可でも、隣地との関係次第で結論が変わるためです。当社では所在地と接道状況をうかがった時点で、おおよその見立てをお伝えしています。
査定で見られているポイント

当社が再建築不可物件を査定する際、実際に確認している点をお伝えします。
- 前面道路の種別(2項道路か、通路か、道路ではないか)と幅員
- 接道している幅が何mあるか
- セットバックや43条但し書きの余地があるか
- 隣地の所有者と一体化できる可能性があるか
- 建物が賃貸に出せる状態か、解体前提か
- 上下水道・ガスの引込状況(私道内の配管であれば掘削承諾の有無)
- 境界標の有無、越境の状況
これらを売主側で調べてから相談する必要はありません。役所調査も現地確認も、買い取る側の仕事です。資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
売買として成立させるときに詰まりやすい点
再建築不可物件は、買い手が決まってからつまずくことも少なくありません。売買の段階で問題になりやすいのは、次の3つです。
1つ目は、重要事項説明での扱いです。 宅地建物取引業法35条により、宅建業者は法令上の制限や私道に関する負担を買主へ説明する義務があります。接道の状況は隠して進められるものではなく、早い段階で明らかにしたほうが結果的に話が早いというのが実務上の感覚です。
2つ目は、契約不適合責任です。 引き渡した物件が契約の内容に合っていなかった場合、売主が責任を負うのが原則です。古い建物では雨漏りやシロアリなど、売主自身が把握していない不具合が残っていることもあります。個人が買主のときほど、この負担は重くなります。
3つ目は、インフラの引込です。 上下水道やガスの配管が他人の私道を通っている場合、工事のたびに掘削の承諾が必要になります。承諾が取れるかどうかで、買主側の計画が変わります。
これらは、いずれも買主が事業者か個人かで重さが変わる論点です。買取会社が買主になる場合、契約不適合責任を免責とすることが多く、調査も買う側が行います。逆に個人の買主に売るときは、売主側の負担と説明責任が大きくなりやすいと考えておいてください。
判断を先延ばしにするほど不利になる
再建築不可物件で最も避けたいのは、「どうせ売れない」と決めつけて放置してしまうことです。
建物が朽廃すれば賃貸という出口が消えます。老朽化が進んで倒壊の危険が生じれば特定空家に指定され、固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が上がる可能性もあります。近隣からの苦情や、行政指導の対象になることもあります。
逆に、建物が使えるうちであれば、投資家への売却も買取も選択肢に残っています。判断は早いほど、選べる出口が多いというのが実務上の実感です。
税金の取り扱いや相続登記の要否については、個別事情によって結論が変わります。具体的な判断は税理士・司法書士などの専門家にもご確認ください。
再建築不可物件の取り扱いについては、再建築不可物件の買取・売却相談にまとめています。
よくある質問
再建築不可物件でも本当に買い手はつきますか?
つきます。現金で購入できる投資家、隣地の所有者、訳あり物件を扱う買取会社が主な買い手です。ただし住宅ローンが使いにくいため、一般の実需の買主が中心となる通常の売却とは買い手の層が変わります。
リフォームはしてから売ったほうがいいですか?
多くの場合は不要です。再建築不可物件を買うのはリフォーム前提の事業者や投資家が中心で、内装をきれいにしても査定額が工事費ほど上がらないことが少なくありません。まずは現況のまま査定を取り、比較してから判断することをおすすめします。
固定資産税だけ払い続けています。手放せますか?
手放せる可能性は十分にあります。建物の老朽化が進むと選択肢が狭まっていくため、判断は早いほど有利です。まずは現況で値がつくかどうかだけでも確認しておくことをおすすめします。
測量や境界確定をしてからでないと相談できませんか?
いいえ。境界が未確定でも、建物が未登記でも、残置物が残っていてもご相談いただけます。当社は現況のまま引き受けることを前提に査定しています。
この記事の監修者
小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)
不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。
ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号
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片付け・解体・測量の費用を、先にご負担いただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
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ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

