訳あり不動産とは、法律で決まった呼び方ではなく、通常の売買では買い手が付きにくい事情を抱えた不動産を指す言い方です。事情の中身はさまざまですが、共通しているのは「そのままでは仲介で扱いにくい」という点にあります。この記事では、どんな種類があるのかを整理し、ご自分の不動産が当てはまるかを確かめる方法まで説明します。
「うちは事故物件ではないから訳ありではない」と考えている方が多いのですが、実際に相談が多いのは、もっと地味な理由で止まっている不動産です。
事情は、大きく4つに分かれる

1. 法的な制限がある
建て替えができない、用途が限られる、許可がないと売れないといったものです。再建築不可、市街化調整区域、農地、借地権などが当てはまります。
2. 物理的な状態に問題がある
家財が残っている、建物が傷んでいる、境界がはっきりしないといったものです。ごみ屋敷、老朽化した空き家、未登記建物などが含まれます。
3. 権利関係が整理されていない
名義が複数に分かれている、古い抵当権が残っている、通行の承諾が取れていないといったものです。共有持分、根抵当権、私道の問題などが当てはまります。
4. 心理的な事情がある
過去に事件や事故があった、近隣に嫌悪施設があるといったものです。事故物件と呼ばれるのはこの型です。
相談の中で最も多いのは1と2、次いで3です。4に当たる不動産はごく一部で、多くの方が思っているより件数は少なくなっています。
うちの不動産は当てはまるか
心当たりがあるものにいくつ当てはまるかを見てください。一つでも当てはまれば、通常の仲介では時間がかかる可能性があります。
| 型 | よくある状態 |
|---|---|
| 法的な制限 | 前面の道路が4mない/幅2m以上接していない/市街化調整区域にある/登記の地目が田・畑のまま/借地の上に家が建っている |
| 物理的な状態 | 家財がそのまま残っている/雨漏りや傾きがある/境界標が見当たらない/建物が登記されていない |
| 権利関係 | 名義が親のまま/兄弟の共有になっている/完済したはずの抵当権が残っている/私道の持分がない |
| 心理的な事情 | 室内で亡くなった方がいる/過去に事件があった |
| その他 | 遠方にあって管理できていない/別荘地で管理費だけ払っている/山林や原野で境界も分からない |
どれにも当てはまらないのに売れない場合は、事情ではなく価格か売り方の問題である可能性があります。その場合は、まず売り出し方を見直すほうが早いことがあります。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
仲介で断られる理由は、価格ではなく責任
事情のある不動産を仲介会社が扱いたがらないのは、儲からないからだと思われがちですが、実際には引き渡したあとの責任を避けたいという事情が大きく働いています。
売買では、引き渡した不動産が契約の内容に合っていなかった場合、売主が契約不適合責任を負います。雨漏り、シロアリ、地中の埋設物、境界の食い違いなどが後から出てきたときに、修補や代金の減額を求められる可能性があるということです。
事情のある不動産は、何が出てくるか読み切れません。売主が個人の場合、この責任を負いきれないことがあるため、仲介会社は慎重になります。
「うちでは扱えません」と言われたとき、それは物件に値段が付かないという意味とは限りません。責任の重さと手間の問題で断られているだけ、ということがよくあります。
買取であれば、買主は不動産会社です。状態を確かめたうえで買い取るため、売主の責任を限定する形にできることがあります。事情のある不動産で買取が選ばれるのは、金額だけの理由ではありません。
もっとも、買取なら何でも通るわけではありません。買主も転売や活用の見込みを見て判断するため、進入路がまったくない、権利関係が裁判になっているといった場合は断られることがあります。
仲介と買取のどちらが向いているかは、急ぐ事情があるかどうかでも変わります。時間に余裕があり、片付けや測量の費用を出せるなら、仲介のほうが手残りが多くなることもあります。
事情が重なっているとき、どこから手を付けるか
実際の相談では、事情が一つだけということはあまりありません。相続で名義が複数になっていて、家財も残っていて、前面道路も狭い。こういう状態が普通です。
このとき、片付けや測量から始めてしまうと、費用を出したのに何も動かなかったということが起こります。先に切り分けるべきは「どの事情が取引を止めているのか」です。

たとえば名義が亡くなった方のままであれば、片付けをどれだけ進めても売買はできません。逆に、名義さえ整えば、家財が残ったままでも引き受けられることがあります。順番を間違えると、かけた費用が無駄になります。
切り分けの目安は、その事情が「無いと契約できないもの」か「価格に影響するだけのもの」かです。名義や許可は前者、家財の残置や建物の傷みは後者にあたります。
手元で先に確かめる書類3つ
相談の前に、次の3つを手元に置いておくと話が早く進みます。いずれも自分で取り寄せられます。
- 登記事項証明書(法務局・オンラインでも取得可)名義、抵当権、地目が分かる
- 公図(法務局)土地の形、前面が道路として扱われているかが分かる
- 固定資産税の課税明細書(毎年春に届く)現況の地目と評価額が分かる
このうち課税明細書は、登記と現況がずれていないかを見るのに役立ちます。登記の地目が畑のままでも、課税上は宅地として扱われていることがあり、その場合は農地としての手続きが要らない可能性があります。
公図では、前面の細長い土地に地番が振られているかどうかを見ます。地番があれば私道である可能性が高く、その場合は持分と通行・掘削の承諾を確かめる必要が出てきます。
登記事項証明書では、所有者の住所が現住所と一致しているかも見ておいてください。引っ越しや相続で古い住所のままになっていると、売買の前に住所変更の登記が必要になります。
進め方の順番
- 4つの型のどれに当てはまるかを見る
- 登記事項証明書・公図・課税明細書をそろえる
- 取引を止めている事情を特定する(複数あるなら、一番手前のもの)
- 費用を先に出す必要があるかどうかで、売り方を選ぶ
動かすためのお金を先に出せないとき
事情のある不動産で相談が止まる最大の理由は、動かすためのお金を先に出せないことです。解体費、片付け費、測量費、登記費用。どれも売れる前に出ていきます。
当社は現況のままお引き受けすることを基本にしており、片付け・解体・測量の費用を売主様に先にご負担いただくことはありません。休眠抵当権が付いたまま買い取って取得後に抹消した例のように、本来は売主側で整える書類を、こちらで進める形を取ることがあります。
ただし、すべてをお引き受けできるわけではありません。場所や状態によってはお断りすることもあるため、個別の判断になります。まずは登記事項証明書と課税明細書を手元に置いて、いまの状態のままご相談ください。
登記の手続きについては司法書士へ、相続や譲渡の税金については税理士へご確認ください。当社でも、必要に応じて手続きの窓口をご案内しています。
よくある質問
訳あり不動産とは、どういう不動産のことですか。
法律で決まった呼び方ではなく、通常の売買では買い手が付きにくい事情を抱えた不動産を指す言い方です。建て替えができない、家財が残っている、権利が共有になっている、過去に事件や事故があったなど、事情の種類はさまざまです。共通しているのは、そのままでは仲介で買い手が付きにくいという点です。
うちの家が訳ありかどうか、どこで分かりますか。
登記事項証明書、公図、固定資産税の課税明細書の3つを見ると、多くのことが分かります。名義が複数になっていないか、抵当権が残っていないか、地目が農地のままになっていないか、前面が道路として扱われているか。これらは自分で取り寄せて確認できます。
訳ありだと、なぜ仲介では売りにくいのですか。
価格の問題というより、売主が負う責任の問題です。引き渡し後に契約の内容と違う点が見つかった場合、売主が契約不適合責任を負います。事情のある不動産では何が出てくるか読みにくいため、仲介会社が扱いを避けることがあります。
複数の事情が重なっている場合はどうなりますか。
実際の相談では重なっていることのほうが多いです。相続で名義が複数になっていて、家財も残っていて、前面道路も狭いという具合です。この場合は、片付けや測量から手を付けるより、どの事情が取引を止めているのかを先に切り分けたほうが早く終わります。
片付けや解体をしてからでないと相談できませんか。
その必要はありません。当社は現況のままお引き受けすることを基本にしているため、家財が残ったまま、建物が古いままの状態でご相談いただけます。ただし場所や状態によってはお引き受けできないこともあるため、個別の判断になります。
この記事の監修者
小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)
不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。
ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号
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お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp
ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

