傾いた家は売れる?傾きの目安は1000分の6、告げたうえで現況のまま手放す道

傾きを確かめる木床の上の水平器

傾いていても、家は売れます。ただし傾きは買主に告げたうえで売ることになり、価格は修理費を見込んだ分だけ下がる形になりやすいです。

そのうえで、まず知っておきたいのは傾きの目安(6/1000)、告げずに売ったときの責任、そして直す・壊す・現況のまま手放すの比べ方の3点です。この記事では、傾きの測り方から告知の決まり、現況のまま相談できる道までを順に整理します。

「傾いているから売れない」と決めつける前に、何がどの程度傾いているのかを数字で把握すると、打つ手が見えてきます。

目次

傾きは「1mで何mmずれるか」で測る

家の傾きは、壁や柱が垂直からどれだけ外れているかを、1,000分のいくつで表します。6/1000なら、高さ1mで6mm、2mで12mmずれている計算です。

国土交通省の告示(平成12年建設省告示第1653号)は、壁や柱の傾きについて次の3段階で、構造上主要な部分に欠陥がある可能性を示しています。

傾き(勾配)高さ1mあたりのずれ欠陥がある可能性(告示の表現)
3/1000未満3mm未満低い
3/1000以上6/1000未満3〜6mm一定程度存する
6/1000以上6mm以上高い

出典:国土交通省「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年建設省告示第1653号)。

この告示は、新築時に建設住宅性能評価書が交付された住宅の、新築工事の完了から10年以内に起きた事象を、紛争処理機関のあっせん・調停などで扱うときの基準です。告示自身も、レベル1でも欠陥がある場合、レベル3でも欠陥がない場合があるとしています。築年数の経った中古の家の売買で「6/1000を超えたら売れない」と決める線ではありません。売主が傾きを把握する目安として使ってください。

告示は、傾きの測り方も決めています。壁や柱は、「凹凸の少ない仕上げによる壁又は柱の表面と、その面と垂直な鉛直面との交差する線(2m程度以上の長さのものに限る。)の鉛直線に対する角度」です。つまり、壁や柱の面が垂直からどれだけ外れているかを見ます。

床の傾きは、これとは別の項目です。告示では、凹凸の少ない仕上げの床の表面で3m程度以上離れた2点を結ぶ直線の、水平面に対する角度を見ます(排水などのために勾配が付いている床は除かれます)。数値の区分は壁・柱と同じ3/1000と6/1000です。

ビー玉が転がるのは、床が傾いているサインです。壁や柱の傾きと同じとは限りません。床だけが傾く場合と、壁や柱まで傾いている場合では、疑う原因も調べる範囲も変わります。

傾きの原因を調べる手段

目で見て分かる傾きでも、数字にすると印象が変わることがあります。測定や原因の調査は、建築士などの専門家に頼む方法があります。売買の前に使える調査として、建物状況調査(既存住宅状況調査)もあります。宅地建物取引業法は、建物状況調査を、建物の構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分の状況の調査で、国土交通省令で定める者が実施するものと定めています。

調査費用は依頼先や建物の規模で変わるため、ここでは目安の金額を書きません。依頼する前に、調べる範囲と費用を見積もりで確かめてください。調査で分かった内容は、買主に渡す物件状況の書面に書いておくと、告げた内容が契約の内容として扱われやすくなります。

傾きが売却にどう響くか

買主から見た傾いた家は、「直すのにいくらかかるか分からない家」です。そのため、次のどれかが起きやすくなります。

  • 買主が調査を求め、原因が分かるまで話が進まない
  • 修理費を見込んで、価格の交渉が大きくなる
  • 修理費が読めず、契約に進まない

傾きの原因が地盤の沈下なのか、基礎の不具合なのか、床下の腐朽やシロアリなのかで、工事の範囲が変わります。原因が分からないうちは、売主も買主も金額を決められないのが、傾いた家の売りにくさの正体です。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

傾きは告げて売る(契約不適合責任と告知)

売った家に、契約の内容に合わない傾きがあったとき、売主は契約不適合責任を負います(民法562条)。買主が不適合を知った時から1年以内に通知すれば請求でき、売主が引渡しの時に知っていたか重大な過失で知らなかった場合は、この期間の制限も働きません(民法566条)。

「責任を負わない」という特約を付けても、知りながら告げなかった事実は免責されません(民法第572条(e-Gov法令検索))。現況渡しと免責特約の考え方は、現況渡しとは|免責しても消えない売主の責任で詳しく書いています。ここでは、傾きならではの告げ方に絞ります。

傾きの告げ方は「数字・場所・日付」で書く

「少し傾いています」だけでは、買主がどの程度の傾きを承知していたのかが後から分かりません。告げた範囲があいまいだと、引渡しの後に「聞いていた傾きより大きい」という食い違いが起きやすくなります。傾きは、次のように具体的に書いておくと伝わりやすくなります。

書くこと書き方の例
測った値「床の傾き 約○/1000」「壁の傾き 高さ2mで約○mm」
測った場所と方向「1階和室の床、北側に向かって下がる」
測った日と、測った人・方法「○年○月○日、建築士による調査」「水平器での自主測定」
原因について分かっていること「原因は未調査」「調査で基礎のひびを確認」など。分からないことは分からないと書く
これまでの補修「○年に床下を補修」「補修歴なし」

測った日付も一緒に書いておくと、いつの時点の数字なのかが買主に伝わります。調査の報告書があれば、書面に添えて渡すと、告げた内容の裏付けになります。

傾きは「測った値・場所と方向・測った日」をそろえて書面で告げる。
原因など分からないことは「未調査」と書き、推測で書き足さないようにします。

個別の契約の判断は、弁護士や宅地建物取引士にご確認ください。

直す・壊す・現況のまま売る、の比べ方

傾きへの対応は、大きく3つに分かれます。どれが合うかは、原因・費用・売るまでの時間で決まります。

選択肢中身向いているとき気をつける点
直してから売る地盤・基礎の補修や傾きの修正を行い、売り出す原因がはっきりし、費用が売値に収まる見込みがある費用は原因と範囲で大きく変わる。直しても買い手がつくとは限らない
壊して更地で売る解体して土地として売る建物に価値が見込めず、土地に買い手がいる解体費を先に負担する。再建築できない土地では更地の価値が下がることがある
現況のまま売る傾きを告げたうえで、そのまま売る先に費用を出したくない・出せない価格は修理費を見込んだ水準になる。買主を選ぶ

費用の目安は、原因の調査をしてからでないと出せません。先に業者の見積もりを取り、かかる費用と、直した場合の売値の見込みを並べてから決めてください。解体の費用の考え方は空き家の解体費用は何で決まる?追加費用と、壊さず手放す道にまとめています。

  • 原因を調べる前に、補修の工事を契約する
  • 傾きを伝えないまま、免責の特約だけで済ませる
  • 解体を先に済ませてから、再建築できないと知る

再建築できるかどうかは、解体の前に確かめてください。再建築不可の土地では、建物を壊すと新しい家を建てられません。この場合の出口は再建築不可物件が売れない理由|現況のまま手放す5つの出口を参考にしてください。

費用を先に出さずに手放す道

傾きを直す費用も解体費も、売主が先に出せないことは珍しくありません。その場合は、現況のまま引き受けてくれる買主に相談する道があります。

当社は、傾きのある家でも、片付け・解体・測量を先にしていただく前提では見ていません。建物の状態と築年数を確認し、傾きの程度、基礎や地盤の状態、土地の条件から、扱えるかを物件ごとに判断します。物件の種類を問わない全体のご案内は、訳あり物件の買取相談のページにまとめています。

なお、状態によっては、買取ではなく、費用をいただいて引き取る形になることがあります。どちらの形になるかは、建物を確認してからお伝えします。

ご相談のとき、次の情報があると話が早く進みます。

  • 傾きに気づいた時期と、どの部屋・どの方向に傾いているか
  • 床下や基礎のひび、雨漏り、シロアリなど、分かっている不具合
  • 築年数と、過去の修繕・調査の記録(あれば)
  • 所在地と、登記上の名義人(相続前の名義のままでも構いません)

条件によっては成立しないこともあります。他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。その場合も、そのまま持ち続けたときの費用(固定資産税・管理の手間・老朽化が進むリスク)と並べて、次の手を一緒に考えます。

傾いた家を手放す3つの道を、先に出す費用で比べた図解
先に費用を出すか出さないかで、道が分かれる

傾いた家を持ち続けるあいだは、固定資産税と管理の手間がかかります。すぐに売り方を決められなくても、傾きを測って状態を把握するところまで進めておくと、あとの判断がしやすくなります。

傾いた家を手放す順番

  1. 傾きの大きさを測り、症状と原因の見当をつける
  2. 分かっていることを整理して、買主に告げる準備をする
  3. 直す・壊す・現況のまま、の費用を並べる
  4. 費用を先に出せなければ、現況のまま相談する

傾いた家は、直す前に決めることが多い物件です。まず測って、告げる内容を整え、そのうえで売り方を選ぶ。その順番を守ると、売れずに時間だけが過ぎる事態は避けやすくなります。

よくある質問

傾いている家は、そもそも売れますか。

売れます。ただし、傾きを告げずに売ることはできません。傾きは告げるべき事実で、告げたうえで価格や条件を決めることになります。買い手は修理費を見込んで価格を下げるか、傾きの原因を調べてから判断します。直して売るか、現況のまま売るかは、原因と費用を見てから選びます。

どのくらい傾いていたら問題になりますか。

国土交通省の告示(平成12年建設省告示第1653号)は、壁や柱の傾きが3/1000未満なら構造上の欠陥の可能性は低く、6/1000以上なら高いとしています。6/1000は、1mの高さで6mmのずれです。ただしこの基準は、新築から10年以内の住宅の紛争処理で使うもので、中古の家の売買の合否を決める線ではありません。目安として使います。

傾きを黙って売ったらどうなりますか。

「責任を負わない」という特約を付けても、知りながら告げなかった事実については責任を免れられません(民法572条)。分かっている傾きは、契約の前に、測った値・場所と方向・測った日を書面で買主へ伝えておくのが安全です。

傾きを直してから売ったほうが得ですか。

一概には言えません。傾きの原因が地盤・基礎・腐朽・シロアリのどれかで、工事の範囲も費用も大きく変わります。直しても買い手がつくとは限らず、費用を回収できないことがあります。先に建築士などの調査で原因を確かめ、費用と売値の見込みを並べてから決めるのが安全です。

傾いた家を解体せずに引き受けてもらえますか。

現況のまま相談できます。片付け・解体・測量を先にしていただく必要はありません。傾きの程度、基礎や地盤の状態、築年数、土地の条件を見て、扱えるかどうかを物件ごとに判断します。希望額との開きなどで成立しないこともあります。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

「売れない」と言われた不動産を、どうするか

どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。

相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。

片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。

どこで断られたかを伺うことはしません。断られた理由の方が、判断に必要です。

お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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