事故物件は、買い取ってもらえる場合があります。ただし、買い取れるかどうかは経緯・建物の状態・立地・権利関係で変わり、条件によっては成立しません。買取は、買い手を探さずに手放せるのが利点です。一方で、価格は仲介より下がりやすく、告げるべき事実は買取でも伝える必要があります。この記事では、仲介との違い、国土交通省のガイドラインの要点、買取に出す前に整理する4つのこと、断られやすい型をまとめます。
事故物件の価格がどう下がるか、告知の線引きの詳細は事故物件はいくらで売れる?で整理しているため、ここでは「買取に出す」という選択に絞って書きます。
事故物件は、仲介と買取で何が変わりますか?
| 仲介 | 買取 | |
|---|---|---|
| 買い手 | 一般の買い手を探す | 業者が直接買い取る |
| 時間 | 見つかるまで数か月以上かかることがある | 買い手探しは要らない。実際の期間は、名義(相続登記の有無)・残置物・権利関係がどこまで整っているかで変わる |
| 価格 | 狙えるが、事故の事実で下がる | 仲介より低くなりやすい |
| 内覧・告知の対応 | 買い手ごとに説明が続く | 業者への説明で済むことが多い |
| 引き渡し | 買い手の事情に合わせる | 時期を相談しやすい |
どちらが良いかは、何を優先するかで決まります。価格を優先するなら仲介、早く手放して、管理や説明の負担を止めたいなら買取です。仲介と買取の違い一般は、事故物件はいくらで売れる?にも書いています。
事故物件は、仲介に出しても内覧のたびに説明が続き、買い手も限られます。空き家のまま管理費・固定資産税が出続けるなら、その費用も価格の一部として見てください。
買取でも、伝えなければならないこと
「業者に買い取ってもらうのだから、事故のことは分かっているはず」と考えがちです。ただ、売主が知っていることは、伝える必要があります。
買取では、売主の責任の範囲を契約書で決めることがあります。ただし、民法には次の定めがあります。
売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。
つまり、責任を負わないという特約をしても、知りながら告げなかった事実には効かないということです。買取に出すときも、経緯を隠さないことが、あとで揉めない一番の方法です。
国のガイドラインは、どこまでを告げるとしているか
国土交通省は、令和3年10月8日に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。このガイドラインは不動産会社(宅地建物取引業者)が従う基準で、売買では次のように整理されています。
- 売買の対象不動産での自然死や、日常生活の中での不慮の死(転倒・誤嚥など)は、原則として告げなくてよい
- ただし、そうした死でも、長期間人知れず放置されて特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合は、この扱いに当てはまらない。取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は、告げる必要がある
- 買主から事案の有無を問われた場合や、社会的影響が大きく買主が把握しておくべき特段の事情がある場合は、経過した期間や死因に関わらず告げる必要がある
賃貸には「概ね3年」という目安がありますが、これは賃貸借の話で、売買には期間の目安が示されていません。「3年経ったから言わなくてよい」とは考えないでください。告知の線引きの詳細は事故物件はいくらで売れる?、孤独死の場合は孤独死があった家は事故物件?に整理しています。
出典:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
出す前に整理する、4つのこと
買取の査定を早く、正確にするために、次の4点を整理しておきます。
- 経緯:いつ・どの部屋で・どういう形で亡くなったか。発覚までの期間。分かる範囲でよい
- 特殊清掃・リフォームの有無:行ったか、行っていないか。行ったなら、内容と費用の書類
- 残置物:家財が残っているか。量はどれくらいか
- 名義と権利:所有者は誰か。相続登記が済んでいるか。抵当権が残っていないか
現況査定は「2通りの額」で頼む
特殊清掃を先にやるべきかの一般論は事故物件はいくらで売れる?に譲り、ここでは買取業者への頼み方に絞ります。清掃費を出す前に、次の2つを同じ業者に聞いてください。
- 「現況のまま(特殊清掃前・家財が残ったまま)なら、いくらで買い取れますか」
- 「特殊清掃と片付けを済ませた後なら、いくらになりますか」
2つの額がそろえば、同じ枠で比べられます。
| 現況のまま出す | 清掃・片付けを先に済ませて出す | |
|---|---|---|
| 買取額 | 現況での提示額 | 清掃後の提示額 |
| 差し引くもの | 契約で売主負担とされる費用があれば、その額 | 特殊清掃費+残置物の処分費+作業が終わるまでの管理費・固定資産税など |
| 比べる点 | 上の差し引き | 上の差し引き |
清掃後の提示額が上がっても、上がった分より清掃費・処分費が大きければ、現況のまま進めるほうが負担は小さくなります。「費用をかけずに手放したい」なら、まず現況の額を聞くのが順番です。費用の考え方は特殊清掃の料金と費用は誰が払う?に整理しています。
買取の提示額が、会社ごとにぶれる理由
事故物件の価格は、事故の事実があることで下がりやすくなります。どれだけ下がるかは、事故の内容、経過した年数、特殊清掃やリフォームの有無、立地と建物の状態で変わります(要素ごとの考え方は事故物件はいくらで売れる?にあります)。
買取で見ておきたいのは、提示額が会社ごとに違う可能性があることです。買う側は、買った後にその物件をどう扱うか(住める状態に直して売るのか、貸すのか、建物を解体して土地として扱うのか)を前提に金額を考えます。その見立ては会社ごとに違いうるため、同じ物件でも提示額は同じになるとは限りません。具体的な割合は、物件ごとに違います。「何割下がる」という目安は、個別の査定を見ずには言えません。
業者を比べるとき、実際に聞く3つの質問
金額だけで比べると、あとで条件の違いに気づくことがあります。上の「2通りの額」に加えて、次の3点も相見積りのときに同じ質問で聞き比べてください。
| 聞くこと | 見る理由 |
|---|---|
| 引き渡し後に不具合が見つかったときの売主の責任を、契約でどう扱うか | 引き渡したあとの責任の範囲が、会社ごとの契約で違いうる |
| 費用の負担はあるか(あるなら何についてか) | 提示額だけでなく、負担の総量が変わる |
| 契約から決済までの期間と、現地に行く必要があるか | 遠方の場合や、管理の負担を早く止めたい場合に影響する |
買取を断られやすい型と、複数社に聞く理由
買取は、どの物件でも成立するわけではありません。断られやすいのは、次のような型です。
- 経緯がまったく分からず、説明できない
- 所有者が確定しておらず、相続人の同意が揃わない
- 立地や建物の状態から、再販の見込みが立たない
- 売主の希望額と、査定額に大きな開きがある
事故物件の扱い方は、会社ごとに違います。1社で断られても、条件の見方が違う会社なら成立することがあります。上の3つの質問で、金額だけでなく条件も比べてください。
地方の空き家など、再販や活用の見込みが立てにくい物件では、買取の値段が付かないことがあります。その場合、当社では、買取ではなく、売主様にお引き受けする場合があります。他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。
当社は、事故の経緯を伺い、建物の状態と築年数を確認したうえで、現況のまま引き受けられるかを物件ごとに判断しています。片付けや解体は不要です。遠方にお住まいの方でも、現地にお越しいただかずに契約から決済まで進められます。ご相談への返事は翌営業日までにお送りします。事故物件のご相談は、事故物件の買取相談のページにまとめています。
ただし、条件によっては成立しません。他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。

まとめ:買取に出す前に
- 仲介と買取の違いを理解し、優先することを決める
- 知っている経緯は、分かる範囲で伝える(民法572条)
- 経緯・特殊清掃の有無・残置物・名義を整理する
- 清掃費を出す前に、現況のまま進められるかを聞く
- 業者は金額だけでなく、責任の範囲・費用の負担・期間も聞き比べる
本稿は2026年10月16日時点の法令・ガイドラインにもとづきます。個別の告知の要否は、事案ごとに異なります。法律に関わる点は弁護士へ、税金は税理士へ、登記は司法書士へご確認ください。
よくある質問
事故物件は、仲介と買取のどちらで売るべきですか。
早く手放したいか、価格を優先するかで分かれます。仲介は一般の買い手を探すため価格を狙えますが、見つかるまで時間がかかり、内覧や告知の対応が続きます。買取は買い手を探す手間がなく、引き渡し時期も決めやすい反面、価格は仲介より低くなりやすいです。
買取でも、事故の経緯を伝える必要はありますか。
あります。民法572条は、担保責任を負わない旨の特約をしても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れないと定めています。買取業者が事情に詳しくても、売主が知っている経緯は、分かる範囲で伝えてください。
自宅で亡くなった家は、必ず事故物件として告知が必要ですか。
必ずではありません。国土交通省のガイドラインは、売買の対象不動産で発生した自然死や日常生活の中での不慮の死は、原則として告げなくてよいとしています。この扱いには例外があります。長期間発見されず特殊清掃や大規模リフォームが行われた場合は原則の扱いに当てはまらず、取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼすと考えられるときは告げる必要があります。また、買主から事案の有無を問われた場合や、社会的影響が大きい場合も、告げる必要があります。
事故物件の買取を断られることはありますか。
あります。経緯が分からない、権利関係が整理できていない、立地や建物の状態から再販の見込みが立たないなどの場合は、条件が合わず成立しないことがあります。1社で断られても、条件の見方は会社ごとに違うため、複数に相談する価値があります。
この記事の監修者
小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)
不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。
ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号
告知事項のある物件を、どう手放すか
どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。
相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。
片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
経緯は差し支えない範囲で結構です。告知の扱いは当社が整理します。
お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp
ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

