市のウェブサイトに11号区域の見直し案やパブリックコメントが出ていて、図面を開いたら自分の地番が外れる側に入っていた。
11号区域が廃止・縮小されて土地が区域から外れても、今建っている家が違法になったり住めなくなったりすることはありません。変わるのは、これから建て替えるときの根拠と、買主から見た土地の価値です。
11号区域とは何か、自分の土地が区域内かの調べ方は、親記事の34条11号の区域指定で書きました。ここでは、そこから一歩進んで「区域が変わったとき、持っている人はどうすればよいか」に絞ります。
11号区域は条例で決まり、変えられる
11号区域は、都市計画法34条11号に基づいて、開発許可の権限を持つ自治体が条例で指定する区域です。法律で固定された線ではなく、自治体が都市計画基礎調査の結果などをもとに、変更や廃止ができる仕組みになっています。
一度「区域内」と聞いた土地が、何年か後には区域外になっていることもあり得ます。
区域が変わるきっかけは、大きく3つです。1つは法改正で、令和4年4月1日施行の改正により、災害レッドゾーンや浸水ハザードエリアを原則として区域に含めないことになりました。
2つ目は、おおむね5年ごとの都市計画基礎調査の結果をもとにした定期的な見直し。3つ目は、市街地の拡散を抑えて既存市街地に居住を誘導する方針から、区域そのものを縮小・廃止する方針転換です。
法改正の内容は、埼玉県の案内が分かりやすくまとまっています。
災害レッドゾーン:災害危険区域、地すべり防止区域、土砂災害特別警戒区域、急傾斜地崩壊危険区域
これに加えて、浸水した場合に生命・身体に著しい危害が生じるおそれがある区域や、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)も除外の対象に入っています。根拠は都市計画法施行令29条の9です。
11号区域=市街化調整区域のうち、市街化区域に隣接・近接し、おおむね50以上の建築物が連たんしている区域として、自治体が条例で指定した区域。区域内では、条例で定める用途の建物が開発許可を受けて建てられます。
廃止・縮小=その条例区域を無くす、または範囲を狭めること。告示や条例改正で行われます。
実際に、東近江市は都市計画法34条11号・12号の指定区域を見直し、令和5年9月29日から変更後の区域を適用しています(東近江市「都市計画法第34条第11号および12号の規定に基づく指定区域を見直しました」)。
見直しの内容や時期は自治体ごとに違うので、自分の土地がある自治体の公表を見る必要があります。
外れると変わること、変わらないこと
区域から外れたと聞くと「もう何もできない」と受け取る方が多いのですが、変わるものと変わらないものを分けて考えると、そこまでではありません。

変わらないのは、今の建物と、それを使う権利です。適法に建てられた建物が区域の変更で違法になることはなく、住み続けることも貸すこともできます。登記上の所有権も区域指定の有無では動きません。
34条の他の号や12号条例、既存建築物の建て替えの基準は、区域から外れた後も残ることが多いです。ただし東近江市のように11号と12号の区域を同時に見直す例もあるので、12号条例が残るかどうかも合わせて確かめる必要があります。
変わるのは、11号区域を根拠にした新築・建て替えができなくなることと、それに引きずられる買主の見え方です。
金融機関は「建て替えられるか」を担保評価で見るので、建て替え前提の買主は住宅ローンが通りにくくなり、更地としての値段の付き方も変わります。いちばん売りにくいのは、見直しの公表から施行までの、区域の内外がはっきりしない期間です。
神戸市の案内では、既存建築物が都市計画法上適法であり、敷地設定や用途を変更しないなど一定の要件を満たす場合は、許可不要で建替や増改築ができるとされています。
ただし許可が不要な場合でも、建築確認の申請には都市計画法に適合していることを示す「事前確認書」の交付手続きが要るとされています(神戸市「市街化調整区域での開発(建築)許可に関するよくある質問」)。
要件は自治体ごとに運用が異なりますが、区域から外れても、既存の建物を同じ用途・規模で建て替える道は別に残っていることが多い、という点は押さえておいてください。
区域から外れた土地でも、線引き前から建物があった土地や、分家住宅として建てられた家には、それぞれ別の基準が適用されます。
「11号区域から外れた=建て替え不可」と決めつけず、他に該当する号や類型が無いかを窓口で尋ねてください。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
外れる前に売るか、外れた後に売るか
見直しの予定を知った方が最初に考えるのは「外れる前に売ったほうがいいのか」です。答えは、誰に売るかで変わります。
| 外れる前に売る | 外れた後に売る | |
|---|---|---|
| 建て替え前提の買主(一般の方) | 区域内として売れる。住宅ローンも通りやすい | 建て替えの根拠が他に見つからなければ、付きにくい |
| 今の建物を使う買主 | 区域の内外は大きく影響しない | 同じ。建物の状態で決まる |
| 事業用・資材置場などで使う買主 | 用途が合えば | 同じ |
| 現況のまま取り扱う買主 | 区域内である分、条件は良い | 区域外でも個別に判断される |
| 時間の余裕 | 公表から施行まで短いことが多い | 急ぐ必要は無い |
外れる前に売る利点があるのは、建て替え前提の一般の買主に仲介で売る場合だけです。見直しは条例改正案の公表からパブリックコメント、議決、告示、施行と進み、公表から施行までの期間は短いことがあります。
その間に仲介で買主を見つけ、契約と決済まで終えるのは、現実には容易ではありません。

「外れる前に急いで売る」よりも、外れた後にどの根拠が残るかを押さえるほうが、結果として損をしにくいです。
見直しの予定を知った時点で、担当課には①施行予定日 ②経過措置の有無 ③外れた後に自分の土地で使える号や類型、の3つを確かめておきます。
なお、区域から外れることで市街化調整区域の相場の見方も変わります。建て替えられる土地と、今の建物を使うしかない土地では、価格の付き方がまったく違うからです。
経過措置は、担当課に確かめるまで分からない
見直しの告示や条例改正の附則には、経過措置が置かれることがあります。典型的なのは「施行日前に開発許可や建築許可を申請していたものは従前の例による」という形ですが、経過措置の有無と内容は自治体ごとに異なり、無い場合もあります。
窓口で確かめるのは3つです。
| 確かめること | 尋ね方 | なぜ要るか |
|---|---|---|
| 施行日 | 「変更後の区域はいつから適用されますか」 | 前後で使える根拠が切り替わる |
| 経過措置の有無と期限 | 「施行日前に申請していれば従前の扱いになりますか。期限はいつまでですか」 | 建て替えの予定があるなら、間に合うかが決まる |
| 外れた後の根拠 | 「外れた後、この土地で使える号や類型はありますか」 | 12号条例や既存建築物の基準が残ることがある |
照会先は市町村の都市計画課・開発指導課で、町村では都道府県が窓口のことがあります。地番を伝え、担当者名と日付を記録してください。図面だけで判断しないことは、親記事で書いたとおりです。
経過措置の内容が分からない、担当課の回答があいまい、という場合は、経過措置が無い前提で考えるほうが安全です。「間に合うはず」で建て替えの計画を進め、施行後に許可が下りなかった、という事態がいちばん避けたいものだからです。
区域から外れた土地の出口
外れてしまった土地、あるいは外れることが決まっている土地を、どう手放すか。道は4つです。
今の建物を使う人に売る。建て替えを前提としない買主であれば、区域の内外は決め手になりません。倉庫や作業場として使いたい人、現況のまま貸したい人が候補になります。建物の状態と築年数が価格を決めます。
他の根拠で建てられると分かってから売る。12号条例の類型や既存建築物の建て替えの基準に当てはまれば、建て替え前提の買主にも売れます。分家住宅の属人性のように、買主を限定する条件が付く場合もあります。
隣地の方に譲る。区域外で建てられない土地でも、隣地の方が庭や駐車場として使うなら価値があります。隣地に売る進め方は再建築不可の記事と同じです。
現況のまま取り扱う買主に売る。建て替えの根拠がはっきりしない、建物が古い、という状態でも、その前提で取り扱う買主であれば引き受けられることもあります。
当社に届く相談でも、「0円でもいいので手放したい」「解体費がかかるので動けない」という声が多くあります。区域から外れた古家付きの土地は、解体して更地にしても建て替え前提の買主が付くとは限りません。
解体費を出す前に、建物を残した現況のまま相談先に当たるほうが、出ていくお金を抑えられます。
当社は、市街化調整区域であることだけを理由に査定や取扱いの対象外とはしていません。都市計画法34条の許可の可否、線引き前から宅地だったか、分家住宅の属人性を調べたうえで、建物の状態と築年数を見て、引き受けられるかどうかを個別に判断します。
11号区域から外れた土地、外れる予定の土地についても同じで、条件によっては成立しないこともあります。査定で見ているのは、次の4点です。
- 区域の内外と、見直しの施行日・経過措置
- 外れた後に使える号や類型が残るか(線引き前から宅地だったか・分家住宅など)
- 建物の状態と築年数、今のまま使えるか
- 災害ハザードエリアに掛かっているか(外れた理由がこれなら、買主の見え方も変わる)
所在地と登記事項証明書があれば、当社で調べます。売主様が窓口へ行ってからでなくて構いません。
実務で困りやすい点
昔の回答のまま売り出す。何年か前に「11号区域内で建てられる」と聞いたまま、見直しで外れていることに気づかず売り出し、買主の側の調査で判明する。契約の前なら条件の見直しで済みますが、契約後だと市街化調整区域で買取を断られたときと同じ行き止まりになります。
外れた理由が災害ハザードエリアだった。この場合、区域の問題だけでなく、土砂災害警戒区域や浸水想定区域であること自体が買主の判断に影響します。区域の見直しをきっかけに、ハザードマップも見てください。
相続した直後に見直しが来た。市街化調整区域の土地を相続したがいらないという状態で見直しが重なると、相続登記と区域の照会を同時に進めることになります。相続登記は売却の前提なので、早めに済ませておくほうが動きやすくなります。
空き家のまま放置して、建物の価値も無くなる。
区域から外れた土地は、建物が使える状態であることが価値の中心になります。市街化調整区域の空き家を放置して建物が傷むと、残る出口が減っていきます。
判断の順番
- 担当課に地番を伝えて照会する(区域内か外か、見直しの予定があるか)
- 見直しがあるなら、施行日・経過措置・外れた後の根拠の3つを確かめる
- 建て替え前提で売るなら、経過措置に間に合うかを見て、間に合わなければ他の根拠を探す
- 今の建物を使う前提で売るなら、区域の内外にかかわらず、建物の状態を見て売り出す
- どちらも難しいなら、隣地か、現況のまま取り扱う買主に相談する
市街化調整区域の売却の全体像と、調整区域で断られたときに確かめることもあわせて読んでください。手元に登記事項証明書と見直し案の図面があれば、それを持って相談に進めます。
よくある質問
市から区域が変わると聞きました。うちの家は建て替えられなくなるんですか。
今の家が違法になることはなく、住み続けることも貸すこともできます。変わるのは建て替えの根拠で、11号区域の条例が使えなくなる代わりに、34条の他の号や12号条例、既存建築物の建て替えの基準に当てはまるかで決まります。
神戸市のように、適法な既存建築物を敷地や用途を変えずに建て替えるなら、一定の要件のもとで許可不要とする自治体もあります(その場合も建築確認には都市計画法に適合している旨の事前確認書が要るとされています)。
12号条例の区域も同時に見直されることがあり、扱いは自治体ごとに違います。
外れるかどうかは、どこに聞けばいいですか。
市町村の都市計画課か開発指導課です(町村では県が窓口のこともあります)。地番を伝えて照会してください。
パブコメが出ている段階で売りに出しても、間に合いますか。
建て替え前提の買主に仲介で売るなら、公表から施行までの間に契約と決済まで終えるのは容易ではありません。区域の内外がはっきりしない時期は、買主が判断できず見送られやすいからです。今の建物を使う人や、現況のまま取り扱う買主に売るなら、外れた後でも話は進みます。
施行前に建て替えの申請を出せば、前の扱いになりますか。
経過措置としてそう定める自治体はありますが、一律ではなく、無い自治体もあります。条例改正の附則か告示に書かれるので、担当課に有無と期限を確かめ、答えがあいまいなら経過措置は無いものとして計画を立てるほうが安全です。
この記事の監修者
小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)
不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。
ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号
このような物件のご相談は、市街化調整区域の買取相談のページへ。
建て替えできるか分からないまま、決めないでください
どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。
相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。
片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。
資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
所在地さえ分かればお答えできます。登記簿も公図もご用意いただく必要はありません。
お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp
ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

