施設入所で空いた実家は、誰がいつまでに売る?3,000万円控除の3年

古い玄関に飾るしめ飾り(イメージ)

施設入所で実家が空いて半年。誰も住まない家の庭は草が伸び、郵便受けにはチラシがたまっていく。売るのか残すのか決められないまま、固定資産税の通知だけが毎年届く。

この状況で最初に知っておきたいのは2つです。売主は親本人であること。そして、期限があるのは税のほうで、数え始めは「住まなくなった日」だということです。

目次

名義が親のままなら、売主は親

親が施設に入っても、家の名義は親のままです。名義人でない子が、署名だけ代わって売ることはできません。代わりに契約できるのは、親から委任を受けた人、任意後見人、成年後見人のように、法律上の権限を持つ人です。

親の判断力がどこまで残っているかで道が分かれる話は、親が認知症になった実家は売れる?に詳しく書きました。

親の判断力で、進め方が分かれる3つの場面
売主は親本人。判断力の状態で、進め方が変わる

成年後見人が付いている場合に、見落としやすい点があります。裁判所の案内では、本人の居住用不動産を後見人が処分するには家庭裁判所の許可が要り、許可なしの処分は無効になります。

この「居住用不動産」には、いま住んでいる家だけでなく、施設や病院に入所していて今は住んでいないが将来住む可能性がある家、入所前に住んでいた家も含まれます。

処分の中身も売却だけではなく、賃貸借契約の締結や解除、建物の取り壊しまで入ります(裁判所:居住用不動産の処分の許可)。

つまり、施設に入った親の家は「もう住んでいないから自由に動かせる」家ではありません。申立手数料は収入印紙800円分で、郵便料は別にかかり、額は裁判所ごとに違います。売却なら不動産業者の査定書、評価証明書、契約書の写し、登記事項証明書などを添えます。

3,000万円控除の3年は、住まなくなった日から

売った利益にかかる税金は、親が売主なら親の側に出ます。自宅を売ったときの3,000万円特別控除では、以前に住んでいた家を売る場合、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが要件の一つです(国税庁 No.3302)。

数え始めは、売ろうと決めた日でも、親が亡くなった日でもありません。たとえば2026年6月に入所して家に住まなくなったなら、期限は2029年12月31日です。入所と退去が同じ日とは限らないので、住まなくなった日がいつかは手元の記録で確かめておきます。

売り方期限の考え方
家のまま売る住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
取り壊して敷地を売る取り壊した日から1年以内に契約し、かつ上の期限まで。取り壊してから契約まで、貸駐車場などに使っていないこと

売る相手が親子や夫婦など特別の関係がある人だと、この特例は使えません。ほかにも要件があるので、この期限に間に合うだけで使えるとは限りません。使うには、一定の書類を添えて確定申告をすることも必要です(同じくNo.3302)。

施設入所から売却までの順番
期限があるのは税のほう。順番は、住まなくなった日を控えることから

親が亡くなったあとに売るなら、別の特例の話になります。

老人ホーム等に入所していた人の家は、要介護認定などを受けて入所していたこと、入所から相続開始までの間に事業や貸付け、被相続人以外の人の居住に使われていないこと、昭和56年5月31日以前の建築で区分所有でないこと、といった要件が示されています(国税庁 No.3307)。

さらに、相続の時から売る時まで事業や貸付け、居住に使っていないことも要件なので、子が住んでしまうと外れます(国税庁 No.3306)。詳しい条件は空き家の3000万円控除に書いています。

親が元気なうちに売る道と、亡くなってから売る道は、使える特例も数え方も違います。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

空いたままの家は、毎年お金と手間が出ていく

固定資産税は、1月1日の名義人にその年度の1年分がかかります(地方税法 第343条・第359条)。年の途中で売っても、市町村から見た納税義務者は変わりません。日割りで精算するかどうかは、売主と買主の約束です。

使っていない家でも、火災保険、水道や電気の基本料金、草木の手入れは続きます。止め方は空き家の固定資産税を止めるにはで整理しています。

親の施設の費用と、空き家の維持費を紙に並べてみてください。この家にいつまで払い続けるかを、家族で話す材料になります。

遠方に住んでいて通えないなら、通う交通費と時間もかかります。遠方の実家を管理できないときと、現地に行かずに売る手順も合わせて読んでみてください。

売る前に詰まるのは、名義と住所と荷物

話が止まりやすいのは3か所です。

  • 登記簿の名義が親ではない。祖父母の名義のままなど、相続登記が済んでいない家は、親が売主になれません。登記事項証明書で名義人を見ます。
  • 登記簿の住所が、いまの住所と違う。売る前に住所変更の登記が要ることが多いので、司法書士に頼みます(住所変更登記をしないまま)。
  • 家財が残っている。親の持ち物は、本人の意向がわからないと動かしにくいものです。持ち出したい物の希望を受けてから、残りを片付けます(残置物の処分費用)。

三つ目は気持ちの問題でもあります。元気なうちは、まだ処分してほしくない物が多いのが普通なので、親の話を聞く時間も手放す順番の一部と考えてください。

売り出しても買い手が付かないときは、値下げを重ねる前に、理由が価格にあるのか物件の条件にあるのかを分けて見ます(地方の空き家が売れない3つの理由)。

問い合わせが増えないまま媒介契約の更新が続くなら、買取など仲介以外の道も並べて比べる時期です(1年以上売れない家のその後)。

通えないまま、決められないままでも相談できます

当社に届く相談では、片付けや解体の費用が出せなくて止まっているという話が目立ちます。

他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。片付け・解体・測量を済ませる前の、現況のままで相談できます。遠方にお住まいでも、契約から決済まで現地に来ていただかずに進められます。ご相談への返事は翌営業日までにお送りします。

成年後見人が付いている場合は、家庭裁判所の許可が必要になるため、その段取りを含めて個別にお話しします。引き受けられるかどうかは物件ごとの判断です。税の特例が使えるかは、税務署か税理士に聞いてください。

よくある質問

母が施設に入って1年になります。実家は、いつまでに売ればいいでしょうか。

売らなければならない法律上の期限はありません。期限があるのは税のほうで、3,000万円の特別控除を使うなら、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが要件の一つです(国税庁タックスアンサーNo.3302)。

ほかの要件もあるので、使えるかどうかは税務署か税理士に相談してください。

父が認知症で施設にいます。名義は父のままですが、私が代わりに売れますか。

子というだけでは売れません。代わりに契約できるのは、成年後見人など法律上の権限を持つ人です。判断力の見方や後見の使い方は、親が認知症になった実家の売却の記事にまとめています。

施設にいる間、私が実家に住んでもかまいませんか。

住むこと自体は問題ありません。国税庁のNo.3302では、以前に住んでいた家屋は、住まなくなった日以後どのような用途に使ってもかまわないとされています。ただ、売る相手が親子や夫婦などの特別の関係がある人だと特例の対象外になります。

亡くなってから売る場合の特例は別の要件で、そちらは子が住むと外れます。

家財がそのままで、片付ける時間も取れません。それでも相談できますか。

片付けや解体の前でも、現況のまま相談できます。引き受けられるかは物件ごとに見ますので、所在地と分かる範囲の状況から教えてください。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

このような物件のご相談は、相続した空き家の買取相談のページへ。

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相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。

片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。

資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。

相続登記が終わっていなくても、名義が複数でもご相談いただけます。順番は当社でご案内します。

お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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