大阪市の解体補助金は、大きく2つあります。道路が狭く古い木造住宅が並ぶ「密集住宅市街地」向けと、市内全域で使える「耐震除却」です。
このうち密集市街地の補助は、令和8年度から重点対策地区で補助率4/5、戸建住宅で1戸あたり170万円までに増額されました。対象は市が指定した地区の中だけで、申請の締切は12月28日(月)、事前申請が必要です。
生野区や東成区の路地の奥に親の木造家屋が残っていて、解体の見積もりを取ったら補助の上限を超えていた。そこで手が止まっている方は少なくないと思います。
大阪市の解体補助金は、どの家が対象ですか
市内のどの空き家でも使える制度ではありません。大阪市が「密集住宅市街地」として指定した地区のうち、道路が狭く古い木造住宅が並んでいる場所が対象で、地区は2段階に分かれています。
| 重点対策地区 | 対策地区 | |
|---|---|---|
| 建物 | 木造住宅のみ | 木造住宅のみ |
| 面している道路 | 幅員6m未満 | 幅員4m未満 |
| 建築時期 | 昭和56年5月31日以前 | 昭和25年以前 |
| 補助率 | 4/5以内 | 1/2以内 |
| 限度額(戸建住宅) | 1戸あたり170万円 | 1戸あたり105万円 |
| 限度額(集合住宅) | 1戸あたり125万円 | 1戸あたり80万円 |
重点対策地区のほうが、道路の条件も建築時期の条件もゆるく、補助も厚くなっています。令和8年度から限度額が増額されました(出典は生野区の広報紙・令和8年8月号)。
地区の中でも、一部は補助率や限度額が異なります。市のパンフレットでは、地区の一覧に網掛けや記号が付いた町丁があり、補助率が2/3以内になる、限度額が変わる、といった別扱いが注記されています。
接道の条件によって、対象になる建物の要件が変わる場合もあるとされています。表の数字は目安として読み、自分の住所がどの扱いになるかは受付窓口で聞いてください。

補助率4/5は、他の自治体と比べてどれくらい手厚いのですか
平時の空き家の解体補助としては、かなり高い水準です。当サイトで取り上げた他市の制度では、補助率は2分の1、上限は50万円前後というものが見られます。大阪市の重点対策地区は、費用の5分の4まで、上限が170万円です。
道路が狭く古い木造が並ぶ地区の建物を減らしていくための手厚さと読めます。
ただ、補助率が高いことと、自分の家が使えることは別の話です。この制度は「空き家だから」ではなく「場所と建物」で決まります。同じ大阪市内でも、地区の中か外か、面している道路の幅、建てた年のどれかが外れると対象になりません。
自治体ごとに条件の組み立てが違う点は、空き家の解体補助金は自治体で条件が違う|対象外になる5つの型にまとめています。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
大阪市の解体補助金の申請締切と、順番の落とし穴
生野区の広報紙には、解体補助の申請締切が12月28日(月)と載っています。あわせて、事前申請が必要と明記されています。
動き方の目安は、11月までに、住所が対象地区か、道路の幅員と建築年が条件に合うかを受付窓口で聞き、11月から12月前半に解体業者の見積もりを集めて書類を整え、12月28日までに事前申請を出す、という順です。工事の契約は、交付申請を出したあとにします。
市のパンフレットの注意事項には、補助金の交付申請前に補助対象となる設計や工事等の契約をした場合は、原則として補助金を申請できないとあります。交付申請前に契約(設計契約を除く)をしていても、工事着手までに十分な期間があれば申請できる場合があるので相談してほしい、とも書かれています。業者から「早く壊したほうが安い」と急かされても、交付決定の通知を受け取るまでは契約書への押印を控えるほうが安全です。
細かい書類や、年度の予算の残りは、広報紙には載っていません。受付状況は、大阪市都市整備局の耐震・密集市街地整備受付窓口(06-6882-7053)に電話で聞けます。
生野区南部地区(生野東1〜4丁目、勝山南3〜4丁目、舎利寺1〜3丁目、林寺2丁目の一部、林寺3丁目、林寺5丁目)の解体補助は、都市整備局 生野南部事務所(06-6717-8266)が窓口です。
生野区の広報紙には、重点対策地区の一部の町丁が、令和9年度から「対策地区」に位置づけが変わる予定だとも書かれています。補助の内容や上限が変わる可能性があるため、来年度に回す前提で待つのは慎重にしたほうがよい地区があります。
地区の外・築年が合わない家は、ほかの補助を探せますか
市内全域で使える別の補助があります。平成12年5月31日以前に建てられ、所定の耐震性がない戸建住宅等は、「耐震除却」の補助の対象です。対象エリアは市内全域で、事前に耐震診断が要り、補助率は1/3以内、限度額は戸数・棟数で決まります(1戸あたり70万円が基準)。
密集市街地の補助より厚くはありませんが、地区の外の家でも検討できます。解体の前に耐震診断が要る点が、手間と日数に響きます。
耐震診断とは、建物が地震に耐えられるかを専門家が調べることで、診断の結果、所定の耐震性を満たさないと判断された家が対象になります。診断そのものにも補助があります。
補助が使えないとき、壊さずに手放す道があります
要件を読んで、自分の家は当てはまらないと感じた方もいると思います。
外れるのは、住所が対象地区の外、面している道路の幅が6m以上(対策地区なら4m以上)、建築時期が昭和56年6月以降(対策地区なら昭和25年より後)、締切の12月28日に間に合わない、相続人の間で壊すかどうかの合意が取れていない、のどれかであることが多いです。
当社に届く相談でも、いちばん多い止まり方は「解体費が出せないから動けない」というものです。補助が使えないと分かった時点で、その次の一手が出ないまま時間がたつ方が多くいます。
このとき選択肢は「自費で壊す」だけではありません。狭い道に面した古い家は、壊すと建て直せない土地になることがあります。接道の決まり(敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していなければならない)を満たしていない場合です。
仕組みはカミソリ地とは?再建築不可になる理由と売却の方法で説明しています。
当社は、再建築不可であることだけを理由に、査定や取り扱いの対象外とはしていません。再建築不可の買取相談では、建物の状態と築年数を見て、建築基準法43条2項2号の許可の可否もあわせて調べたうえで、現況のままお引き受けできるかを判断します。
調査は当社で行いますので、売主様に調べていただくことはありません。片付け・解体・測量も不要です。お引き受けできるかは物件ごとの個別の判断で、条件によっては成立しないこともあります。
順番だけ、間違えないでください。壊してしまうと、補助金も、建物ごと手放す道も、どちらも消えます。壊すかどうかを決める前に、補助の対象か、現況のままで話が進むかを聞いておくほうが、戻れる選択肢が多く残ります。

補助が受付終了になった場合の考え方は、解体補助金が受付終了になったときにまとめています。大阪府全体の空き家の状況は、大阪府の空き家と解体補助金の状況のページで見られます。
申し込む前に、手元でしておくこと
まず受付窓口(大阪市都市整備局 耐震・密集市街地整備受付窓口 06-6882-7053)へ電話して、住所が対象地区か、今年度の受付状況はどうかを聞きます。生野区南部地区の住所なら、生野南部事務所(06-6717-8266)が窓口です。
道路の幅員と建築年は、登記事項証明書や固定資産税の課税明細書でわかります。名義が亡くなった方のままなら、相続人の間で壊すかどうかを話しておきます。解体業者には複数から見積もりを取り、補助の対象になる範囲を聞いておくと、比べやすくなります。
解体の補助金の話が出る時期には、訪問営業も増えます。その場で契約せず、書面を持ち帰って比べてください。対象かどうかを決めるのは市であって、業者ではありません。
出典:大阪市「住まいの安全・安心と防災のための補助制度のご案内」令和8年度版(都市整備局) /広報IKUNO 令和8年8月号 8面「空き家に関する補助制度の限度額が増額されました」(生野区) /大阪市 密集住宅市街地の整備と補助金制度
本稿は2026年10月17日時点の公表内容にもとづきます。金額・期限・要件・地区の指定は変わります。申請の前に、市の最新の案内をご確認ください。相続登記など登記に関わる手続きは司法書士へ、税金の取り扱いは税理士へご確認ください。
よくある質問
大阪市の解体補助金は、どの家でも使えますか。
使えません。補助率4/5・戸建170万円の制度は、市が指定した「重点対策地区」と「対策地区」にある木造住宅が対象です。地区の外の家は、この制度の対象になりません。
ただし、平成12年5月31日以前に建てられ所定の耐震性がない戸建住宅は、別の「耐震除却」の補助が市内全域で用意されています。補助率は1/3以内で、事前に耐震診断が必要です。
申請の締切はいつですか。
生野区の広報紙(令和8年8月号)には、解体補助の申請締切が12月28日(月)と載っています。事前申請が必要で、市のパンフレットでは、交付申請の前に工事の契約をすると原則として補助を申請できないとされています。
他の区の扱いは、大阪市都市整備局の受付窓口(06-6882-7053)で聞けます。生野区南部地区は生野南部事務所(06-6717-8266)が窓口です。
相続登記が済んでいない空き家でも申請できますか。
生野区の広報紙に載っている範囲では、解体補助について相続人や共有に関する要件は載っていませんでした。実際に申請できるかどうかや必要な書類は、受付窓口で聞けます。相続登記の手続きそのものは司法書士にご相談ください。
補助が使えない家は、壊さないと手放せませんか。
そうとは限りません。地区の外にある家、建物の条件に合わない家、締切に間に合わない家は、解体費を自分で出す前に、現況のまま手放せるかを相談できます。狭い道に面した家は、壊すと建て直せない土地になることもあるため、壊す前に聞いておくほうが選択肢が残ります。
この記事の監修者
小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)
不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。
ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号
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ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

