雨漏りのある家を現状のまま売るとき、決めておきたいのは直してから売るか、どう告げるか、免責特約でどこまで守られるかの3点です。この記事では、雨漏りの状態別の伝え方と、直したあとも残る告知、費用を先に出さずに手放す道を整理します。
「雨漏りを直さないと売れない」とは限りません。ただし、告げずに売ることだけは、後から大きな負担になります。
雨漏りの家で、買主が気にしていること
買主にとって雨漏りは、見えている不具合の奥に見えていない傷みがあるかもしれない、という不安の種です。雨水は屋根や外壁から入り、壁の中や天井裏を伝って、離れた場所に出ることもあります。
放置された雨漏りは、次のように被害が進むことがあります。

この図の順番が、買主の不安の中身です。染みが小さくても、壁の中や床下まで濡れていないかを確かめたいと考えるため、調査や価格交渉が入りやすくなります。
雨漏りの状態で、伝える内容は変わる
「雨漏り」と言っても、状態は3つに分けて考えられます。伝えるべき内容と、買主の見方が違います。
| 状態 | 伝える内容 | 買主が気にすること |
|---|---|---|
| いまも漏れている | 場所・症状・気づいた時期・原因が分かっていればその内容 | 修理費と、内部の傷みの範囲 |
| 直した(止まっている) | 直した時期・場所・工事の内容、保証書や領収書 | 本当に止まっているか、再発しないか |
| 過去にあった(原因は不明) | 過去の時期・場所、その後の様子 | 原因が不明なままで、再発しないか |
とくに3つ目が見落とされがちです。いまは何も起きていなくても、過去に漏れたことを知っているなら、それは告げるべき事実です。
物件状況報告書(告知書)の雨漏りの欄に書くこと
売買のとき、売主は建物の状態を書いた物件状況報告書(告知書)を買主に渡すのが一般的です。様式は仲介会社や団体によって違いますが、雨漏りについては次の4つを分けて書くと、買主に伝わりやすくなります。
| 書くこと | 書き方の例 |
|---|---|
| いまの有無 | 「現在も漏れている」「現在は確認していない」 |
| 過去の有無 | 「○年ごろ、強い雨のときに漏れた」 |
| 修理の有無 | 「○年に屋根の一部を補修。領収書あり」「修理していない」 |
| 場所 | 「2階北側の和室の天井」「1階東側の窓の上」 |
「あり・なし」に丸を付けるだけの欄でも、余白や備考に場所と時期を書き足しておくと、あとで「聞いていない」と言われる余地が小さくなります。分からないことは「不明」と書き、推測で埋めないでください。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
免責特約があっても守られない部分
売った家に契約の内容と合わない不具合があれば、売主は契約不適合責任を負います。買主が不適合を知った時から1年以内に通知しないと請求できなくなりますが、売主が引渡しの時に知っていたとき、または重大な過失によって知らなかったときは、この期間の制限は働きません(民法566条)。
現状のまま売る契約では、この責任を負わない旨の特約を付けることがよくあります。ただし、知りながら告げなかった事実は、特約があっても責任を免れられません(民法572条、e-Gov法令検索)。特約の効き方と限界は現況渡しとは|免責しても消えない売主の責任に詳しく書きました。
「現状渡し」の特約は、雨漏りを隠して売る許可ではありません。
知っている雨漏りは、契約の前に伝える。そのうえで特約を付けると、特約が意味を持ちます。
なお、住宅の品質確保の促進等に関する法律が定める「引き渡しから10年間、屋根や外壁などの雨水の浸入を防ぐ部分の瑕疵の責任」(同法94条、施行令5条)は、新築工事を請け負った会社の責任です。古い家を個人が売る場面の話とは別物です。個別の契約内容は、弁護士や宅地建物取引士にご確認ください。
雨漏りの記録の残し方
雨漏りは、晴れている日に見に来た買主や業者には分かりにくい不具合です。告知の中身を正確にし、修理の見積もりや買取の判断を早めるためにも、漏れたときの記録を残しておきます。
- 写真と動画:染みや水滴の場所を、部屋全体が分かる引きの写真と、近くの写真の両方で撮る。天井裏や押し入れの奥も、見られる範囲で撮る
- 日付:撮影日が分かるように残す。メモに「○月○日 ○時ごろ」と書き添える
- 雨の降り方:強い雨か小雨か、風が強かったか、何時間降ったあとに漏れたか。その日の雨量は、気象庁の「過去の気象データ検索」で近くの観測地点の値を調べられます
- 漏れた量:バケツで受けた量、染みの広がり方(前回の写真と並べると分かりやすい)
- した処置:ブルーシート・防水テープなど応急処置の日付と場所
「強い雨のときだけ、北側の天井から漏れる」のように、雨の条件と場所がそろった記録は、侵入口の見当をつける手がかりになります。過去の記録が残っていなくても、次に漏れたときから始めれば十分です。
直してから売るか、現状で売るか
雨漏りの修理は、侵入口が屋根・外壁・サッシまわり・配管のどこかで、費用も手間も違います。原因の見当がついていないうちは、費用を決められません。買取業者の見方は、空き家の買取業者の比べ方の記事で説明しています。
| 選択肢 | 中身 | 向いているとき | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| 原因を調べて直す | 侵入口を特定して補修する | 原因が一か所に絞れ、費用が売値に収まる | 内部の傷みが見つかると、工事が広がる |
| 部分的に直して売る | 止められる範囲だけ補修する | 買主に見せる資料が欲しい | 完全に止まったかを買主が疑うことがある |
| 現状のまま売る | 状態を告げて、そのまま売る | 先に費用を出したくない・出せない | 価格は修理費を見込んだ水準になる |
応急処置のブルーシートや防水テープは、直したことにはなりません。
買主に見せるときは「応急処置の段階」と正直に書き、工事の記録を残してください。
直す前に、複数の業者から見積もりを取り、「直した場合の売値の見込み」と並べることをおすすめします。直しても買い手がつくとは限らないため、かかった費用を回収できるかを先に確かめておくと、失敗を避けやすくなります。
インスペクション(既存住宅状況調査)で雨水の浸入を調べる
直すか現状で売るかを決める材料として、既存住宅状況調査(インスペクション)があります。国土交通大臣の登録を受けた講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が、建物の構造上主要な部分と、雨水の浸入を防止する部分を調べるものです。
国土交通省の基準では、木造の家の場合、屋根の葺き材の破損やずれ、外壁や軒裏のシーリング材の破断、建具まわりの隙間、そして内壁・天井・小屋組・軒裏天井の雨漏りの跡などを目視で確かめることになっています。結果は、写真やチェックシートを付けた報告書で依頼者に渡されます(国土交通省「既存住宅状況調査方法基準の解説」)。
売るときの効果は、調査の結果を買主に渡せることです。宅地建物取引業者が仲介する売買では、既存の建物について、調査を実施しているかどうかと、実施している場合はその結果の概要が重要事項説明の項目になっています(宅地建物取引業法35条1項6号の2)。対象になるのは、原則として実施から1年以内の調査です(同法施行規則16条の2の2)。売主の言葉だけでなく、第三者の調査結果として雨漏りの状態を示せます。
調査は原則として壊さずに行う目視中心のもので、動かせない家具の裏や点検口のない天井裏などは「調査できない」扱いになります。雨漏りの原因を特定する調査とは別物で、侵入口を突き止めるには、雨漏りの修理業者による調査が別に必要になることがあります。
現状で売るとき、価格はどう決まるか
現状のまま売る場合、買主は「直したらいくらで売れる・住めるか」から、修理にかかりそうな費用と、まだ見えていない傷みの不確実さを差し引いて価格を考えるのが一般的です。たとえば天井に染みがあるだけでも、買主から見ると、屋根の補修で済むのか、天井裏の木材や壁の中まで直す必要があるのかが分かりません。分からない部分が大きいほど、買主は多めに見込んで差し引くため、提示額は低くなりがちです。
逆に言えば、分からない部分を減らすと、差し引かれる幅が小さくなることがあります。漏れる場所と時期の記録、過去の修理の資料、インスペクションの報告書は、そのための材料です。古い家で建物にほとんど価値が見込まれない場合は、解体費や家財の処分費まで差し引いて考えられることもあります。
あわせて、雨漏りの跡がある家は、床下や壁の中の傷みが進んでいることがあります。傷みが大きく、建物を残すか壊すかで迷うときの考え方は、空き家の解体費用は何で決まる?追加費用と、壊さず手放す道にまとめています。
費用を先に出さずに手放す道
修理費も調査費も売主が先に出せないとき、現況のまま引き受けられる買主に相談する道があります。
当社は、雨漏りのある家でも、片付け・解体・修理を先にしていただく前提では見ていません。建物の状態と築年数を確認し、雨漏りの場所や範囲、土地の条件から、扱えるかを物件ごとに判断します。
実際に扱った例として、広島県江田島市の築年が分からず、雨漏りがあり、家財が残ったままの島の家があります。地元では「解体してから」「片付けてから」と言われていた物件で、雨漏りは場所と程度を写真で確認したうえで明記し、修繕せず現況のまま取り扱いました。売主様は遠方にお住まいで、現地の確認は当社が行っています(江田島市の買取事例|築年不明・雨漏りのある島の家)。
他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。物件の種類を問わない全体のご案内は、訳あり物件の買取相談のページにまとめています。
ご相談のとき、次の情報があると話が進みやすくなります。
- 雨漏りに気づいた時期と、漏れる場所(部屋・天井・壁・窓まわり)
- 雨の降り方(強い雨のときだけか、小雨でも漏れるか)
- 過去に直した場合は、その時期と内容、保証書や領収書
- 築年数と、所在地・名義人(相続前の名義のままでも構いません)
条件によっては成立しないこともあります。他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。
検査済証がないなど、ほかにも売りにくい事情が重なる家は、検査済証がない家は売却できる?融資が付かない理由と現況で手放す方法も参考にしてください。

雨漏りのある家を売る順番
- 漏れる場所・時期・雨の降り方を記録する
- 過去の修理の資料を集め、物件状況報告書(告知書)に書く内容を整える
- 直す場合は、複数の業者の見積もりと売値の見込みを並べる(必要に応じてインスペクションも検討する)
- 費用を先に出せなければ、現況のまま相談する
雨漏りは、直す前に決めることが多い不具合です。状態を記録し、告げる内容を整えたうえで、売り方を選んでください。
よくある質問
雨漏りのある家は、直さないと売れませんか。
直さなくても売れます。ただし、雨漏りがあることは買主に告げる必要があります。直してから売るか現状で売るかは、原因の範囲と費用、売値の見込みを並べて決めます。原因が分からないまま工事を契約すると、費用が膨らむことがあるため、先に調査をおすすめします。
雨漏りを直したあとも、買主に伝える必要がありますか。
伝えたほうが安全です。直したと思っていても、完全に止まっているかは買主にとって重要な情報です。過去の雨漏りの時期、場所、直した内容、保証書や工事の記録があれば、あわせて渡します。知っていて告げなかった事実は、免責の特約を付けても責任を免れられません(民法572条)。
雨漏りが「いま起きていない」場合も告知が必要ですか。
過去に雨漏りがあったことを知っているなら、告げるべき事実になります。いま漏れていなくても、雨の量や風向きによって再発することがあるため、買主は過去の履歴を知りたがります。売買のときに売主が書く物件状況報告書(告知書)に雨漏りの欄がある場合は、いまの有無だけでなく、過去の有無・修理の有無・場所まで正確に書いてください。
雨漏りの修理費は、どう見積もればよいですか。
原因によって工事の範囲が大きく変わるため、一般的な金額では決められません。屋根・外壁・サッシまわり・配管など、侵入口を調べたうえで、複数の業者から見積もりを取ります。内部の木材の傷みまで見る場合は、金額がさらに変わります。
雨漏りのある家を、そのまま引き受けてもらえますか。
現況のまま相談できます。片付け・解体・修理を先にしていただく必要はありません。雨漏りの場所や範囲、建物の状態、築年数、土地の条件を見て、扱えるかを物件ごとに判断します。お引き受けできるかは物件ごとの個別の判断で、条件によっては成立しないこともあります。
この記事の監修者
このような物件のご相談は、訳あり不動産の買取相談のページへ。
「売れない」と言われた不動産を、どうするか
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相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。
片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
どこで断られたかを伺うことはしません。断られた理由の方が、判断に必要です。
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