袋小路の土地は売れない?行き止まりの道の4種類と、売る前に役所で聞くこと

古い木造住宅へ続く狭い路地

袋小路の奥にある土地が売れにくいのは、行き止まりだからではなく、手前の道が建築基準法上の道路かどうかと、その道を通る・掘る承諾が取れるかで買主の判断が変わるからです。この記事では、行き止まりの道の4つの種類、確認する順番、車が入らない土地の考え方、現況のまま手放す道を整理します。

私道の承諾書の取り方は私道の通行・掘削承諾がないと売れない?で、持分がない場合は私道の持分がなく売れないで書きました。ここでは「行き止まりの道そのもの」を切り口にします。

この記事の答え
– 売れるか:売れないとは限らない。売りやすさを分けるのは、行き止まりかどうかより、手前の道が建築基準法上の道路か、通行・掘削の承諾が取れるか
– 最初にやること:市区町村の建築指導課に、前の道の種類(位置指定道路・2項道路・道路でない通路)を聞く。登記簿では分からない。指定道路図をインターネットで公開している自治体もあるので、先に「(市区町村名) 指定道路図」で検索し、地図で自分の土地の前の道に色や番号が付いているかを見ておくと、窓口での話が早い
– 費用:道の種類の確認は費用がかからない。承諾書の取り付けや測量は、進めると決めてからで足りる

目次

袋小路の道は、4つの種類に分かれる

袋小路とは、一端だけが他の道につながり、反対の端が行き止まりになっている道のことです。建築基準法では「袋路状道路」といい、その一端のみが他の道路に接続したものをいう、と43条3項で定義されています。

ただ、同じ行き止まりでも、道の性質は4つに分かれます。ここを取り違えると、売る手順も相手もまるで変わります。

道の種類持ち主建築基準法上の道路か売るときに買主が気にすること
公道の行き止まり市区町村など道路に当たることが多い道路としての管理は自治体。承諾の問題は小さい
位置指定道路多くは私人(共有)道路に当たる(42条1項5号)持分があるか、通行・掘削の承諾の有無
2項道路(みなし道路)公道・私道とも道路とみなされる(42条2項)道の中心線から2mの後退が必要
道路でない通路私人道路ではない接道義務を満たせず、再建築が難しい

この4つのどれかは、登記簿では分かりません。登記簿に出るのは土地の所有者であって、建築基準法上の扱いではないためです。確かめられるのは役所の窓口です。

袋小路の道の種類を、役所で確かめる4つの分かれ目
道の種類で、再建築できるか・誰の承諾がいるかが決まる

建築指導課で聞くのは、3つだけ

道の種類は、市区町村の建築指導課(名称は自治体で違います)に問い合わせると教えてもらえます。次の3つを聞けば足ります。

  • 土地の前の道は、建築基準法上の道路か。何の道路か(位置指定道路、2項道路など)
  • 道路として認められているなら、幅員と、指定された位置(指定道路図で確認)
  • 道路でないなら、建築するために必要な手続き(43条2項の許可の見込みなど)

閲覧の方法は、窓口で図面を見る、電話で回答を得る、一部は自治体のサイトで公開するなど、自治体で違います。

前の道が建築基準法上の道路でない場合は、接道義務を満たさない土地に当たります。建築基準法43条1項は敷地が道路に2m以上接することを求め、その道路は42条1項で原則幅員4m以上と定められています。満たさなければ再建築が原則できません。その場合の売り方は43条2項の記事で書いた認定・許可の話に進みます。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

行き止まりの長さと「転回広場」は、新しく道を造るときの基準

袋小路について、道の長さの話を聞くことがあります。行き止まりの道が35mを超えると良くないという話です。

出どころは建築基準法施行令144条の4です。同条は、位置の指定を受けて新しく築造する道の基準を定めており、原則は両端が他の道路に接続していることです。ただし例外として、次のいずれかに当たれば袋路状道路にできます。

  • 延長が35m以下
  • 終端が公園や広場など、自動車の転回に支障がないものに接続している
  • 延長が35mを超えるが、終端と35m以内ごとに自動車の転回広場がある
  • 幅員が6m以上
  • 上記に準ずるもので、特定行政庁が避難・通行の安全上支障がないと認めた

一 両端が他の道路に接続したものであること。ただし、次のイからホまでのいずれかに該当する場合においては、袋路状道路(法第四十三条第三項第五号に規定する袋路状道路をいう。以下この条において同じ。)とすることができる。

——建築基準法施行令第144条の4第1項(e-Gov法令検索)

つまり、これはこれから道を造って指定を受けるときの基準です。すでにある袋小路が「35mを超えているから道路ではない」という意味ではありません。既存の道がどう扱われるかは、指定を受けた時期や自治体の運用で変わるため、窓口で確かめる必要があります。

建築基準法43条3項は、袋路状道路にのみ接する建築物で延べ面積が150平方メートルを超えるもの(一戸建ての住宅を除く)などについて、地方公共団体が条例で接道の制限を付け加えられるとしています。
一般の一戸建て住宅の売却では対象外ですが、アパートや事業用に売る場合は、自治体の条例を確認する必要があります。

奥の土地が持つ「通る権利」と「掘る権利」

袋小路の奥の土地は、手前の私道を使えないと、通行も水道・ガスの引き込みもできません。民法には通行の権利(210条)と、水道・ガスなどの設備を他の土地に設置する権利(213条の2。事前の通知と償金が前提)の定めがあります(民法(e-Gov法令検索))。ただ、売買の場面で買主や金融機関が見るのは、条文よりも道の所有者の承諾書が手元にあるかです。このあたりは私道の通行・掘削承諾の記事と私道の持分がない場合の記事にまとめています。

ここでは、袋小路ならではの点を2つ挙げます。

行き止まりの奥ほど、承諾が要る相手が増えやすい。袋小路の私道は、道に面した区画ごとに道の部分を分けて持っていたり、全員で共有していたりします。入口近くの家は自分の持ち分の上だけを通れば済むこともありますが、いちばん奥の土地から公道に出るには、手前にある区画の道の部分をすべて通ることになります。水道管を公道の本管からつなぐ場合も同じで、掘る範囲が長くなるほど、承諾をもらう所有者の数が増えます。まず登記事項証明書と公図で、自分の土地から公道までの間に、道の所有者が何人いるかを数えてみてください。

位置指定の範囲が、奥の土地まで届いているかを確かめる。位置指定道路は、指定を受けた範囲だけが建築基準法上の道路です。道の形が奥まで続いていても、指定は途中まで、という場合がありえます。指定道路図で、指定の範囲が自分の土地の前まで及んでいるか、自分の土地がその道に2m以上接しているかを見てください。図だけで判断しにくいときは、建築指導課で位置指定の図面(指定時の申請図など)を閲覧できるか尋ねると判断しやすくなります。

実際に詰まりやすい点

袋小路の奥の土地では、次のような点で話が止まることが多くあります。

詰まる点起きること先にできること
前の道に持分がない通行・掘削のたびに道の所有者の承諾が要る登記事項証明書で道の所有者を確かめ、承諾書がすでにあるか探す
道の所有者が多数、または不明全員の承諾が集まらず、買主の判断が止まる所有者の範囲を調べ、取れる範囲の承諾から整理する
前の道が建築基準法上の道路でない接道義務を満たせず、再建築が難しい建築指導課で、43条2項の許可の見込みを聞く
水道管・ガス管の引き込みの承諾がない買主が新しく引き込めず、建て替えの計画が立たない掘削の承諾書の有無を確かめる。民法213条の2の定めも知っておく

車が入らない土地は、建て替えとは別の問題

袋小路の奥には、幅が4m未満で車が入らない土地も多くあります。ここで分けて考えたいのは、車が入るかどうかと、建て替えられるかどうかは別だということです。

建て替えの可否を決めるのは、前の道が建築基準法上の道路かどうかです。幅4m未満の道でも、昔から建物が立ち並んでいて特定行政庁が指定したものは、2項道路として道路とみなされます。この場合、道の中心線から水平距離2mの線を道路の境界線とみなします。

2 (前略)幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートル(中略)の線をその道路の境界線とみなす。

——建築基準法第42条第2項(e-Gov法令検索)

つまり、建て替えるときは、道の中心から2mの線まで敷地を後退させる必要があります。なお、特定行政庁が42条1項で幅員6m以上を道路とする区域に指定した場所では、この距離が原則3mになります(42条2項のかっこ書き)。自分の土地がその区域に当たるかも、建築指導課で確かめてください。後退した部分(セットバック)は、建築基準法施行令2条1項1号により、敷地面積に算入しません。土地の面積が登記簿より小さく扱われるため、建てられる家の大きさが変わります。

車が入らない点は、建て替えの可否とは別に、買主が限られる原因になります。駐車場が必要な家族層には向かず、車を持たない方や、敷地の外に駐車場を借りられる方が中心になります。売る側は、近くに月極駐車場を借りられるかを調べておくと、買主への説明が具体的になります。

手放す道を、先に出す負担で比べる

出口売主が先にやること先に出る費用向く場面
仲介で買主を探す道の種類の確認、承諾書の取得承諾書の取り付けにかかる労力・費用道路として認められ、承諾も取れる
隣地の人に売る隣地所有者へ打診ほとんどなし隣が駐車場や庭に使いたい
道を公道にする(市への寄付)自治体の条件を確かめ、共有者の同意を取る条件次第で測量・登記などの費用道の共有者が多く、全員が前向き
現況のまま買い取り・お引き受けできる先に出す所在地と、わかる範囲の道の情報を伝える調査は当社で行います費用と手間を先に出せない

どの出口も、どれが現実的かは道の種類で決まるので、先に前の章の確認をしておくと選びやすくなります。袋小路の奥ではなく、旗竿地のように路地状の敷地の考え方は旗竿地は売れない?に書いています。

袋小路の土地を手放す4つの出口と、売主の負担
出口は4つ。先に出す費用が違う

次にやること|動く前に、手元で確かめる順番

  • 登記事項証明書と公図で、前の道の所有者と、自分の持分の有無を見る
  • 建築指導課で、前の道が建築基準法上の道路か、何の道路かを聞く
  • 道の所有者が誰か、承諾書がすでにあるかを確かめる(過去の売買契約書や、近所への聞き取り)
  • 車が入るか、近くに駐車場が借りられるかを現地で確かめる
  • 承諾が取れそうなら、書面で取る。難しければ、現況のまま引き受けられる先に所在地を伝える

最初の4つは、費用をかけずにできます。行き止まりだからと諦める前に、道の種類と承諾の状況だけは確かめておいてください。それだけで、売れる土地なのか、手続きが要る土地なのかの見当がつきます。

袋小路の土地を、そのまま手放すという選択

当社は訳あり不動産を現況のまま買い取る会社です。袋小路であることだけで可否は決めず、物件ごとに判断します。他で断られた物件も、お引き受けできる場合があります。未登記や私道、境界に関わるご相談は、未登記・私道・境界の相談のページにまとめています。

見るのは、前の道の種類(建築基準法上の道路か)、通行・掘削の承諾の状況、建物の状態と築年数です。調査は当社で行い、売主様に承諾書の取り付けや測量を先にしていただく必要はありません。

袋小路の奥の土地は、道の承諾書を取ったり、測量をしたりする手間と費用が先に見えて、そのまま置かれることが少なくありません。費用をかけずに手放したいというご相談も多くあります。遠方にお住まいでも、現地に来ずに契約から決済まで進められます。

ただし、どの土地でも引き受けられるわけではありません。お引き受けできるかは物件ごとの個別の判断で、条件によっては成立しないこともあります。他社と比べて検討される場合も、まず道の種類だけは確かめておくと、どこに相談しても話が早く進みます。ご相談への返事は、翌営業日までにお送りします。

よくある質問

袋小路の奥の土地は、本当に売れないのですか。

売れないとは限りません。売りやすさを分けるのは行き止まりかどうかではなく、手前の道が建築基準法上の道路か、通行や水道管の掘削に承諾が取れるかです。道路として認められていれば再建築ができ、承諾書が揃えば買主も金融機関も判断しやすくなります。まず役所で道の種類を確かめてください。

行き止まりの私道は、通行する権利がありますか。

民法210条は、他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者に、囲んでいる土地を通行する権利を認めています。ただしこれは通れる権利であって、通行の場所や方法は損害が最も少ないものを選ぶ必要があります。売買の場面では、権利があることよりも、道の所有者の承諾書が手元にあるかどうかが重視されます。

袋小路で車が入らない土地でも建て替えられますか。

車が入るかどうかと、建て替えられるかどうかは別の問題です。建て替えの可否は、敷地が建築基準法上の道路に2m以上接しているかで決まります。道幅が4m未満の道でも、2項道路として扱われていれば、道の中心線から2mまで後退(セットバック)したうえで建築できます。ただし車が入らない土地は、買主が限られることがあります。

袋小路の道を市に管理してもらうことはできますか。

できるかどうかは自治体の運用によります。道が公道になれば通行や掘削の問題が小さくなる可能性はありますが、寄付を受け入れる条件は自治体ごとに定められています。まず市区町村の道路管理の窓口に、私道の寄付の基準を問い合わせてください。

袋小路の土地を、現況のまま買い取ってもらえますか。

袋小路であることだけで可否は決めません。道の種類、通行・掘削の承諾の状況、建物の状態を確認したうえで、現況のまま引き受けられるかを個別に判断します。測量や承諾書の取り付けを先にしていただく必要はありません。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

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測量や登記を先にしていただく必要はありません。現況のまま確認します。

お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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