火事になった家の売却は、焼けた範囲(ぼや・半焼・全焼)と、土地が再建築できるかで、売り方が変わります。どの状態でも売却の道は閉じていません。ただ、順番を間違えると、保険金や選べる売り方を失うことがあります。この記事は、火災後に「売れるのか」「どこに頼むのか」を決めるための整理です。
先に結論を書きます。焼けた家は、修繕して売る・解体して土地で売る・現況のまま売るの3通りがあります。どれが合うかは、状態、立地、費用を先に出せるかで違います。そして、1社だけで決めず、仲介と買取の両方で話を聞くことをおすすめします。
ぼや・半焼・全焼で、売り方はどう違うか
火事になった家と言っても、売り方は焼けた範囲で大きく変わります。

| 状態 | 売却の考え方 | 先に確かめること |
|---|---|---|
| ぼや・一部の焼損 | 修繕して住める状態なら、通常の売却に近い | 修繕の範囲と、火災があった事実の伝え方 |
| 半焼 | 建物が使えるか、直すより壊すほうが現実的かを見極める | 修繕費・解体費の見通し、構造の安全性 |
| 全焼・焼け跡 | 建物の価値は見込みにくく、実質は土地の売却 | 再建築できる土地か、建物の滅失登記 |
価格の下がり方は、状態と立地で大きく違う
火事になった家が、元の価格からどれだけ下がるかは、この記事では数字で書きません。同じ半焼でも、駅に近い整形地と、再建築ができない土地とでは、見方がまったく違うからです。
考え方としては、次の組み合わせです。
- 土地そのものの価値(立地、広さ、形、道路との関係)
- 建物に残る価値(使えるのか、直すのにいくらかかるのか)
- 買主が見込む負担(片付け、解体、調査、火災歴への心理的な抵抗)
建物が使えないなら、土地の価値から買主が見込む負担を引いた額が、判断の軸になります。金額は、実際に査定を受けて初めて見えてきます。
全焼でも「更地にすれば普通に売れる」とは限らない
全焼した土地でも、建物が建てられる土地なら売りやすくなります。一方で、接道の条件を満たさず建て替えができない土地(再建築不可)は、更地にしても建築ができません。
また、建築基準法の規制が強まったあとに、建ぺい率や容積率が基準を超える状態で残っていた建物(既存不適格)は、焼けたあとに建て直すと、今の基準に合わせる必要があるとされています。同じ大きさで建て直せない土地もあります。買主はここを見るため、売る側も先に自治体で確認しておくと話が早く進みます。再建築不可の土地の売却は再建築不可物件の買取・売却相談にまとめています。
売る前に確かめる順番
火災のあとは、決めることが多く、焦りやすい時期です。あとから戻せないものから先に確かめると、選べる道を残せます。

1. 罹災証明と保険会社への連絡
多くの自治体では、火災の罹災証明(罹災届出証明)は消防署が発行すると案内しています。保険の請求や、火災ごみの手数料の扱いで求められることがあります。
火災保険は、契約によって補償の範囲も、片付け費用が出るかどうかも違います。片付けや解体に手を付ける前に、焼けた状態を写真に残し、保険会社へ連絡してください。
保険金を請求する権利は、請求できる時から3年行使しないと、時効で消滅します(保険法95条)。家を売ってから請求しようとして、手続きが滞ることもあります。売却の契約より先に、保険会社へ請求の流れを確認しておいてください。
2. 名義とローンの確認
亡くなった親の名義のまま、まだ相続の手続きをしていない家が焼けた場合は、売る前に相続登記が必要になることがあります。また、相続放棄を考えている間に片付けや解体をすると、単純承認とみなされるおそれがあります(民法921条1号)。迷う場合は、手を付ける前に司法書士や弁護士へ相談してください。
住宅ローンが残っている場合は、抵当権が付いたままです。売却代金で完済して抵当権を抹消するのが一般的な流れで、残債と売却額の関係を先に把握しておく必要があります。金融機関が火災保険に権利を付けていることもあるため、保険金の受け取り方も含めて、金融機関へ確認してください。
3. 建物の登記
建物が焼けてなくなったときは、登記名義人は、滅失の日から1か月以内に建物の滅失の登記を申請しなければならないと定められています(不動産登記法57条)。半焼で一部が残る場合は、滅失にあたるのか、床面積などの変更なのかの判断が必要です。土地家屋調査士や法務局にご確認ください。
焼け跡を放置したときの責任や、火災ごみ・石綿調査・固定資産税など、片付けの側の確認事項は、所有者向けの別記事「焼け跡の処分」で整理しています。こちらは「売る」側の記事です。
ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。
買主に伝えること:告知と契約不適合責任
火事になった家を売るときに、いちばん聞かれるのは「火災があったことを言わなければいけないのか」です。基本は、伝えておくです。理由を3つに分けます。
不動産会社には、告げる義務がある
仲介や買取を行う宅建業者は、宅地建物取引業法47条で、重要な事項について故意に事実を告げない行為を禁じられています。火災歴は、買主の判断に影響し得る事情です。売主が不動産会社に火災の状況を隠せば、あとで話がこじれる原因になります。修繕を終えたあとでも、火災があったこと、どこをどう直したかを、そのまま伝えておくのが安全です。
個人どうしの売買では、民法の契約不適合責任
売主が個人の場合、不動産会社のような宅建業法の義務は直接かかりません。ただ、売った建物が契約の内容と違っていたときは、民法の契約不適合責任が問題になります。買主は修補や代金減額などを求められ、不適合を知った時から1年以内の通知が必要とされます(民法562条・563条・566条)。
契約で責任の範囲や期間を決めておくことはできます。ただし、売主が知っていた事実を告げなかった場合は、責任を免れる特約があっても免れられません(民法572条)。決められる内容は売却先や契約ごとに違うため、契約書の案を、売却の前に確認してください。
火災で亡くなった方がいる場合
火災で人が亡くなった場合は、国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が関係することがあります。このガイドラインが問題になるのは人の死があった場合で、火災があっただけで亡くなった方がいない場合は、別の話です。どう扱うかは、売却を頼む不動産会社と、弁護士などの専門家に確認してください。
解体するか、現況のまま売るか
「解体してから売るべきか」は、焼けた家の相談で最も多い迷いです。結論は、解体を発注する前に、売却先の条件を聞くです。
- 解体費を先に出せる見通しがあり、更地のほうが売りやすい土地
- 保険金や自治体の補助で、解体の費用に見通しが立っている
- 隣地との関係で、焼け残った部分を早く撤去する必要がある
- 解体費を先に出すのが難しい
- 遠方で、何度も現地に行けない
- 再建築できるかがまだ分からない(更地にしても建てられない可能性がある)
解体費用の相場は、地域、建物、道路の幅、火災ごみの処分で大きく変わるため、この記事では金額を書きません。見積もりは必ず複数社から取り、条件(廃材の処分、石綿の事前調査、基礎の撤去範囲)をそろえて比べてください。
また、解体して更地にすると、固定資産税の住宅用地の特例が使えなくなる場合があります。災害による減免の制度が自治体にあることもあるため、税務課で確認してください。解体と税金の関係は空き家を解体すると固定資産税は上がるに書いています。
仲介と買取の違い、どこに頼むか
売却先は、大きく2つです。
| 仲介 | 買取 | |
|---|---|---|
| 買う人 | 一般の買主を探す | 不動産会社が直接買う |
| 価格 | 市場で決まる。高く売れる可能性がある | 仲介より低くなることが多い |
| 期間 | 買主が見つかるまで読めない | 条件が合えば短い |
| 焼けた家との相性 | 買主が火災歴や再建築の可否を気にする | 現況のまま、火災歴を織り込んで判断できる |
火災後の家は、一般の買主が敬遠しやすい一方、買取なら現況のまま判断する会社もあります。どちらが得かは物件で変わるため、両方で話を聞くのが現実的です。違いの詳細は買取と仲介の違いに、会社の選び方は訳あり物件の買取業者の選び方にまとめています。
複数社に相談して比べる
1社だけの査定は、高いのか安いのか判断できません。2〜3社に同じ条件で相談し、金額だけでなく「何を負担してくれるか」「いつ終わるか」を比べてください。
比べるときの質問は、次の4つです。
- 現況のまま(焼け跡のまま)で見てもらえるか
- 解体、片付け、測量を先に自分で用意する必要があるか
- 契約不適合責任の範囲と期間は、どう設定されるか
- 費用や条件が途中で変わらないか(書面で確認できるか)
ごえんで相談できること
ごえん株式会社は、火災で焼けた家も訳あり不動産として現況のまま取り扱っています。焼け跡のままの段階、解体前の段階でも、ご相談いただけます。片付け・解体・測量を先に済ませていただく必要はなく、調査は当社で行います。
引き受けられるかどうかは、物件ごとの判断になります。焼けた状態、土地の条件、名義や相続の状況、ローンの有無、希望額との開きなどを確認したうえでお答えします。条件によっては、ご希望に沿えないこともあります。
敷地に田や畑が含まれる場合、農地のままでは当社は取得できません。ただし、非農地証明が取れる土地や、市街化区域内の農地は、対応できる場合があります。扱えるかは物件ごとに確認しますので、農地の状況は農業委員会での確認事項とあわせてお知らせください。
相続した家が焼けた場合の全体像は相続した空き家の買取相談にまとめています。
判断の順番
- 片付ける前に、写真を残す。罹災証明と保険会社への連絡を先に済ませる
- 保険金の請求と、名義・ローンを確認する。請求には3年の期限がある
- 土地が再建築できるかを自治体で確認する。更地にしても建てられない土地がある
- 火災があった事実は、そのまま不動産会社に伝える。契約の責任の範囲は、契約前に確認する
- 解体を発注する前に、仲介と買取の両方へ現況のまま相談する
- 解体するなら、見積もりを複数社から取り、条件をそろえて比べる
火事になった家は、選べる道が減ったように見えて、実際には「どの順番で決めるか」で結果が変わります。費用と期限の確認を先に済ませ、複数社に現況のまま話を聞くことで、納得できる売り方を選びやすくなります。焼け跡の片付けや放置の責任については、所有者向けの記事「焼け跡の処分」もあわせてご覧ください。税金・法務の判断は、税理士・司法書士・弁護士にご確認ください。
参考にした一次情報
- 宅地建物取引業法 47条(e-Gov法令検索)
- 民法 562条・563条・566条・572条・921条(e-Gov法令検索)
- 保険法 95条(e-Gov法令検索)
- 不動産登記法 57条(e-Gov法令検索)
- 失火ノ責任ニ関スル法律(e-Gov法令検索)
- 火災保険(日本損害保険協会)
よくある質問
火事で半焼した家は、売れますか。
売却自体は可能なことが多く、建物を修繕して売る、解体して土地として売る、現況のまま売る、の3通りから選びます。ただし下がり方は焼けた範囲、立地、土地の条件で大きく違い、一概には言えません。1社で決めず、仲介と買取の両方で話を聞いて比べてください。
火事があったことは、買主に伝えなければいけませんか。
伝えておくのが基本です。仲介や買取を行う不動産会社は、宅地建物取引業法47条で重要な事項について故意に事実を告げないことを禁じられています。個人どうしの売買でも、契約と異なる状態があれば民法の契約不適合責任が問題になり得ます。火災で亡くなった方がいる場合は、国土交通省の告知ガイドラインも関係します。
火災保険金は、家を売る前と後のどちらで請求すべきですか。
売る前に、保険会社へ連絡しておくのが安全です。保険金を請求する権利は、行使できる時から3年で時効にかかります(保険法95条)。住宅ローンがある場合は、金融機関の権利が保険に付いていることもあります。売却の契約を結ぶ前に、保険会社と金融機関へ確認してください。
焼けた家は、解体してから売ったほうがよいですか。
決めつけず、先に売却先の条件を聞くのが順番です。解体費を先に負担しても、希望の条件で売れるとは限りません。現況のまま相談できる会社もあるため、解体を発注する前に複数社へ現況のまま相談し、解体の見積もりも複数社から取って比べてください。
もらい火で焼けた家を売る場合、何か違いはありますか。
売却の手続きそのものは、火元がどこでも変わりません。ただ、失火責任法により、火元の人に重大な過失がなければ損害賠償を求められないとされているため、自分の火災保険が復旧や売却の判断の軸になります。保険の内容を先に確認してください。
この記事の監修者
小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)
不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。
ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号
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片付け・解体・測量の費用を、先にご負担いただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp
ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

