予告登記が残ったままの土地は売れる?廃止後の扱い

蔦が入り込み荒れ果てた台所

登記事項証明書に予告登記が残っていても、その不動産を売ること自体が禁じられているわけではありません。予告登記は2005年に廃止された古い制度で、所有権を制限する効力を持たないからです。ただ、見慣れない記載があるというだけで買主や金融機関が警戒し、話が止まってしまうことは実際にあります。

この記事では、予告登記が何のための登記だったのか、なぜ廃止されたのか、いま残っているものをどう扱えばよいのか、そして記載が消えるのを待たずに手放す道があるのかを順に整理します。

目次

予告登記とは、何のための登記だったのか

予告登記は、旧不動産登記法の3条に定めがあった登記です。登記の原因が無効だった、あるいは取り消されたとして、登記の抹消や回復を求める裁判が起こされたときに、裁判所の嘱託によって登記簿に記録されました。

目的は一つで、登記簿を見た第三者への警告です。「この不動産の登記をめぐって裁判が進行中なので、結果によっては権利関係が変わるかもしれません」と知らせるための記載でした。

嘱託(しょくたく)=裁判所などの官公署が、当事者に代わって登記所へ登記を依頼すること。所有者が申請したわけではないので、所有者の知らないうちに記録されていることもあります

ここが誤解されやすいところですが、予告登記そのものに、売却や担保設定を止める力はありません。似た見た目の登記と並べると違いがはっきりします。

登記簿で見かける「気になる登記」の違い
名前は似ているが、効き方はまったく別

なぜ廃止されたのか

現在の不動産登記法(平成16年法律第123号)が2005年3月7日に施行され、そのときに予告登記の制度は廃止されました。

理由として挙げられているのは、大きく二つです。

中身
実益が乏しかった警告の役割は果たしても、権利関係を確定させるわけではない。取引の安全は別の仕組みで守れる
悪用された不動産の取引や強制執行を妨害する目的で、訴えを起こして予告登記を付けさせる例があった

訴えを起こしさえすれば登記簿に記載が入るため、内容の当否とは関係なく、相手の売却を事実上止められてしまうという問題がありました。廃止はこの点への対応でもあります。

2005年3月より後に、新しく予告登記がされることはありません。
つまり、いま登記簿に載っている予告登記は少なくとも20年以上前のものです。
当時の当事者が亡くなっていたり、相続で代が替わっていたりするのが普通です。

ご自身の物件が当てはまるか判断が難しい場合は、個別にお答えします。
物件の所在地さえ分かれば、現況のまま買い取れるかをお伝えできます。

残っているものは、自分で消せない

「邪魔なら抹消しよう」と考えるのが自然ですが、予告登記はそういう種類の登記ではありません。

抵当権であれば、金融機関から抹消書類をもらって所有者が申請します。ところが予告登記は、もともと裁判所の嘱託で入ったものです。所有者が書類を揃えて申請する手続きは用意されていません。廃止後に残っているものは、登記官の職権で抹消される扱いとされています。

「消えていないから何か問題がある」とは限りません。
登記官が職権で処理する扱いのため、その不動産に長く登記の動きがないと、記載だけが残り続けることがあります
何十年も動かしていない相続物件で見つかりやすいのは、そのためです。

では何をすればよいのか。消す手続きを探すより、中身を知るほうが先です。

予告登記が載っていたら、確かめる順番
消す手続きより先に、中身を知るほうが早い

登記の記載には、受付の年月日と、嘱託した裁判所が残っていることが多くあります。そこから当時の訴訟をたどれる場合があります。なお、法務局の運用に関する通達は法務省のページにまとまっていますが、個別の登記をどう扱うかは管轄の法務局に直接聞くのが確実です。司法書士に相談すれば、証明書の読み取りから一緒に進められます。

実務では、どこで止まるか

法律上は売れる。それでも話が進まないことがあります。止まる場所は、だいたい決まっています。

相手起きること
買主(個人)見慣れない記載に不安を感じ、購入を見送る
金融機関権利関係が確定していないと見なされ、住宅ローンの審査が通りにくい
仲介会社説明責任を負いきれないとして、媒介を断る

買主に融資が付かなければ、仲介での売却は現実的に難しくなります。これは仮登記が残ったままの不動産休眠抵当権で起きることとまったく同じ構図です。古い登記が残っている物件は、権利の中身より「説明できないこと」が理由で断られます。

  • 記載を消すために、当時の訴訟の相手方を探し出して交渉する
  • とりあえず訴訟を起こして決着させてから売ろうとする
  • 記載が消えるまで、固定資産税だけ払って待ち続ける

どれも時間と費用がかかるわりに、手元に残るものが増えません。特に相続した土地で、そもそも売れる見込みが薄い場合はなおさらです。

相続が絡むと、もう一段ややこしくなる

予告登記が残っている不動産は、長く動いていない不動産です。当然、相続のほうが先に問題になっていることが多いです。

  • 登記の名義人が、何代も前に亡くなった方のままになっている
  • 相続人が枝分かれして、全員の連絡先が分からない
  • 登記上の住所が古いまま更新されていない

名義が故人のままなら、まず相続登記が要ります。相続人が確定していない段階なら数次相続で未分割の不動産の手順が、連絡が取れない相続人がいるなら相続人が後から出てきたときの進め方が参考になります。住所が古いだけの場合も、住所変更登記が2026年4月1日から義務になっています。

順番としては、予告登記より相続のほうが先です。予告登記は所有権を制限しませんが、名義が整っていなければそもそも売買契約が結べません。

記載が残ったままでも、手放せることがある

ここが、士業の解説記事ではあまり触れられない部分です。

訳あり不動産を扱う買取会社の中には、古い登記の記載が残った状態のまま買い取り、取得後に自社の側で整理を進めるところがあります。当社もその一つです。実際、休眠抵当権が付いたまま買い取り、取得後にこちらで抹消まで進めた例があります。

当社が確認しているのは、次のようなところです。

  • 建物の状態と築年数
  • 登記の内容(何が、いつ、どういう理由で入っているか)
  • 相続の状況(名義人が誰で、相続人が確定しているか)

調査は当社で行います。売主の方に法務局へ行っていただく必要はありません。現況のままで構いませんので、片付け・解体・測量も不要です。

ただし、必ず成立するわけではありません。
ご希望の金額との開きが大きいとき、相続人の間で合意ができていないときなどは、
お話が進まないこともあります。個別の判断になります。

先に確かめること

  1. 登記事項証明書を取る。予告登記のほか、仮登記・差押え・古い抵当権が一緒に残っていることも多い
  2. 名義人が誰かを確認する。故人のままなら、相続の整理が先
  3. 受付の年月日と裁判所名を読む。当時の訴訟をたどる手がかりになる
  4. 管轄の法務局に扱いを聞く。廃止された登記なので、一般的な抹消手続きとは違う
  5. 消えるのを待たずに、現況で引き受ける相手を並行して探す

登記の中身を読み解く部分は司法書士の領域です。税金の扱いについては税理士へご確認ください。そのうえで、「調べ切ってから売る」以外の道もあるということを、選択肢に入れておいてください。売れないまま持ち続けている土地の整理については、いらない土地の処分方法にも書いています。

古い登記が残っているという理由だけで、話を諦める必要はありません。何が残っているのかが分かれば、たいていは次の一手が決まります。

よくある質問

予告登記が残っていると、その不動産は売れないのですか。

売ること自体が禁じられているわけではありません。予告登記は、登記の無効や取消しを求める裁判が起こされたことを知らせるためのもので、差押えや処分禁止の仮処分と違い、売却や担保設定そのものを止める効力はありません。ただし記載を見た買主や金融機関が警戒し、事実上話が進まなくなることはあります。

予告登記はいつ廃止されたのですか。

2005年3月7日に施行された現在の不動産登記法(平成16年法律第123号)によって廃止されました。制度としての実益が乏しかったことに加えて、取引や強制執行を妨害する目的で使われる例があったことが理由として挙げられています。そのため、2005年3月より後に新しく予告登記がされることはありません。

残っている予告登記は、自分で抹消を申請できますか。

抵当権の抹消のように、所有者が書類を揃えて申請する形にはなっていません。予告登記はもともと裁判所の嘱託で入るもので、廃止後に残っているものは登記官の職権で抹消される扱いとされています。実際にどう処理されるかは登記の内容によって変わるため、管轄の法務局か司法書士に確認してください。

予告登記の原因になった裁判の結果が分かりません。どうすればよいですか。

受付の年月日と、嘱託した裁判所の名前が登記簿に残っていることが多いので、そこが出発点になります。相続で引き継いだ書類や、当時の関係者の記憶が手がかりになることもあります。何十年も前の訴訟で、判決や和解で決着したまま登記だけが残っているケースも実際にあります。分からないままでも取引が成立することはあるので、まず司法書士に相談してください。

記載が消えるまで待たないと手放せませんか。

必ずしもそうではありません。訳あり不動産を扱う会社の中には、古い登記の記載が残ったままの状態で買い取り、取得後に自社の側で整理を進めるところがあります。当社もそうした相談をお受けしています。ただし登記の内容や権利関係によっては成立しないこともあるため、個別の判断になります。

この記事の監修者

小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)

不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷再建築不可市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。

ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号

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お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp

ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

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