空き家が売れない理由は、建物の状態・権利・敷地や設備・行政の通知・買主の融資の5つのどれかに分けられます。この記事では、不動産会社に言われた断り文句や手元の書類から、自分の家が何で止まっているのかを切り分ける診断表と、理由ごとの次の一手を整理します。
ただし、そもそも買いたい人がほとんどいない地域にある、売値と相場の開きが大きいなど、価格や立地そのものが原因の場合は、5つの箱を片付けても売れにくいままです。
そのときは、一般の買主を待ち続けるより、隣地の方に声をかける、買取を行う会社に相談する、価格が付かない場合はお引き受けする形を探すといった、売り先そのものを変える手を考えます。
価格や立地の詳しい話は、地方の空き家が売れない理由に書きました。
こちらは、同じ値段・同じ地域でも売れる家と売れない家が分かれる、その「分かれ目」を調べる記事です。
この記事の答え
– 売れるか:理由が書類で特定できれば、打つ手が決まります。価格や立地が原因なら、売り先を変える
– 最初にやること:役所の通知・登記事項証明書・不動産会社の断り文句の3つを手元に集める
– 費用を先に出さずに済む道:修繕や解体の前に、現況のまま相談できる先があります
空き家が売れない理由は5つの箱に分けられる
売れない原因を「古いから」「田舎だから」とひとまとめにすると、打つ手が決まりません。誰が、どの場面で断っているかに注目すると、原因は5つに分かれます。

まずは症状から当たりをつけます。
| 起きていること | 疑う理由 | 確かめる書類・窓口 |
|---|---|---|
| 内見のあと「建物が厳しい」「解体が前提」と言われる | 建物の状態(解体費・残置物を含む) | 現況の写真、点検の結果、解体と片付けの見積もり |
| 買主が決まっても契約や決済の直前で止まる | 権利 | 登記事項証明書(法務局) |
| 「再建築ができない」「境界が」と言われる | 敷地や設備 | 公図、道路の種別(市区町村の建築担当課) |
| 役所から封書が届いた、税額の通知が変わった | 制度や行政の通知 | 通知書、納税通知書(市区町村の担当課) |
| 問い合わせは来るのに、内見後に連絡が途切れる | 買主の融資 | 不動産会社に「買主の資金計画」を聞く |
複数に当てはまることも珍しくありません。それでも、どれが最初の壁かが分かれば、手を付ける順番が決まります。
どれにも当たらない場合は、価格や立地を疑います。目安は2つです。
近くで似た条件の物件が実際にいくらで取引されたか(国土交通省の不動産情報ライブラリで調べられます)と売値の開きが大きい、または掲載していても問い合わせ自体がほとんど来ないなら、価格や立地が原因の可能性が高いと考えます。
反対に、問い合わせや内見はあるのに途中で止まるなら、上の5つのどれかを疑います。
売れない理由ごとの次の一手
5つの理由に、それぞれ「次の一手」を並べると次のとおりです。
| 理由 | 先にやること | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 建物の状態 | 不具合を把握し、現況のまま売る前提で買主に伝える。解体するかは手残りを比べてから決める | 修繕費や解体費を先に出す/不具合を伏せる |
| 権利 | 名義と抵当権を確かめ、動かせる順に手続きする | 名義が親のままで売り出す |
| 敷地や設備 | 道路との接し方と境界の状況を書類で確かめる | 原因が分からないまま値下げする |
| 行政の通知 | 通知書の担当課へ先に連絡する | 封書を開けずに置いておく |
| 買主の融資 | 現金で買える相手に広げる | 融資が前提の買主だけを待つ |
建物の状態——雨漏り・シロアリ・傾き
雨漏りやシロアリ、傾きは、買主が修繕費を見込むため、断られやすい理由の代表です。個別の対処は雨漏りのある家の売却とシロアリ被害のある家の売却に任せ、ここでは切り分けの要点だけ書きます。
注意したいのは、分かっている不具合を伏せないことです。
第五百七十二条 売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。
「現況のまま売る」という特約があっても、知っていて黙っていた不具合の責任は残ります。
直さずに売るなら、伝えたうえで売るのが前提です。現況での引き渡しの考え方は現況渡しとはにまとめました。
建物が古い空き家では、「解体費と家財の片付け費を誰が持つか」で止まることが少なくありません。当社に届く相談でも、解体費が出せずに動けないという声がいちばん多く聞かれます。
解体してから売るか、現況のまま売るかの分かれ目は、解体費と片付け費を払ったあとに、手元にいくら残るかです。更地のほうが買主は見つけやすくなることがありますが、費用を先に出すことになります。
また、固定資産税の住宅用地の特例は、人の住む家屋の敷地に使われている土地が対象で(地方税法第349条の3の2)、税額は毎年1月1日の状態で決まります(同法359条)。
建物を取り壊して1月1日を更地で迎えると、その年度からは特例の対象から外れます。売れるまでに時間がかかれば、その間の税負担が増えます。
費用の決まり方は空き家の解体費用が決まる仕組み、税金は空き家を解体したあとの固定資産税、片付けは残置物の処分費用にまとめました。
権利——名義・抵当権・未登記
買主が見つかったのに契約や決済の直前で止まる場合、建物でなく権利が原因のことがあります。売買の前には登記の内容を確かめるのが通常なので、名義や抵当権の問題はこの段階で表に出やすいのです。
売り出す前に、ご自身で登記事項証明書(法務局で取得できます)の所有者欄と、権利部(乙区)の抵当権を確かめておくと、直前で止まる事態を避けやすくなります。
- 名義が亡くなった親のまま……相続で所有権を取得した人には、取得を知った日から3年以内の相続登記の申請義務があります(不動産登記法第76条の2)。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です(同法164条1項)。詳しくは相続登記の義務化と名義が親のままの家の売却
- 抵当権が残っている……法律で決まっているわけではありませんが、通常は決済と同時に抹消するのが前提で、買主もそれを求めます。抵当権の抹消にかかる費用を先に把握します
- 建物が登記されていない……未登記建物の売却に要点があります
相続人が複数いて話がまとまらない場合も、ここに入ります。売れない理由が「家」ではなく「人」にあるときは、不動産会社を替えても動きません。
敷地や設備——接道・境界・排水
建築基準法43条1項は、建物の敷地が道路に2メートル以上接していなければならないと定めています(e-Gov法令検索)。この条件を満たさない敷地では、原則として建て替えができません。
同条2項の許可や認定を受けて建てられる場合もあるため、可否は特定行政庁(市区町村の建築担当課など)で確認します。建物が古い空き家ほど、売る段階で初めてこの問題が出てきます。
敷地や設備で確かめたいのは、次の3つです。
- 道路に接している幅(2メートル以上あるか)と、道路の種別
- 境界が確定しているか、隣地への越境がないか
- 上下水道がつながっているか(汲み取りや浄化槽のままか)
当社に届く相談でも、宅地の家だけでなく、農地や山林が付いた家が少なくありません。家だけを見て売り出すと、付いている土地の扱いで止まることがあるため、敷地の範囲も登記と公図で確かめておきます。
再建築ができない家は再建築不可の売却、境界は境界が確定していない土地の売却を参照してください。
制度や行政の通知——空家法の指導・勧告
役所から封書が届いたときは、売れない理由が「制度」にあるかもしれません。空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)は、放置された空き家に段階を踏んで対応します。
| 段階 | 対象 | 内容(条文) |
|---|---|---|
| 指導 | 管理不全空家等 | 特定空家等になることを防ぐ措置をとるよう指導(13条1項) |
| 勧告 | 管理不全空家等 | 修繕や立木竹の伐採など具体的な措置を勧告(13条2項) |
| 助言・指導から勧告 | 特定空家等 | 除却、修繕、立木竹の伐採などの措置(22条1項・2項) |
| 命令から代執行 | 特定空家等 | 勧告に従わないとき命令、履行しないときは市町村長が代執行(22条3項・9項) |
出典は空家等対策の推進に関する特別措置法(e-Gov法令検索)です。命令に違反した場合は、50万円以下の過料の対象です(同法30条1項)。
見落とされやすいのが税金への影響です。管理不全空家等や特定空家等で勧告を受けると、その敷地は固定資産税の住宅用地の特例の対象から外れます(地方税法第349条の3の2)。通知を受けた時点で、売却の準備を始める意味があります。
当社に届く相談でも、「高く売りたい」より「持ち続ける負担を止めたい」という声が目立ちます。通知が届いたら、その負担がこれから増えるかどうかを先に確かめてください。
通知の運用は、自治体ごとに違います。
お住まいの市区町村(空き家の所在地の窓口)に、通知書の担当課へ連絡して確認してください。
買主の融資——ローンが通らない
買主の多くは住宅ローンを使います。ローンは物件を担保に審査されるため、築年数が古い、再建築ができない、未登記といった事情があると、審査が通りにくくなることがあります。基準は金融機関ごとに異なります。
見分けのヒントは、問い合わせは来るのに、内見後に連絡が途切れることです。不動産会社に「買主の資金計画はどうだったか」を聞くと、融資が壁だったかが分かります。
この仕組みは前に触れましたので、ここでは次の一手だけを書きます。当社に届く相談でも、「0円でもいいので手放したい」という声が繰り返し聞かれます。
値段より負担を止めることを優先したいなら、融資の付く買主を待つより、売り先を広げるほうが合っています。
- 現金で買える相手に広げる……隣地の方、買取を行う会社
- 融資が付かない物件でも買える先を探す……再建築ができない場合は再建築不可でローンが付かないとき
どの理由から手を付けるか——確認の順番
理由が複数に当たる場合は、期限があるもの、他を止めているものから順に当たります。

- 役所の通知を確認する。期限が付いていれば、売却より先に担当課へ連絡します
- 登記事項証明書を取る。名義と抵当権が、ほかの全部を止めているかもしれません
- 敷地の条件を調べる。接道、境界、上下水道です
- 建物の不具合を把握する。直すかどうかは、ここまで調べてから決めます
- 買主の融資を確かめる。1〜4が片付いたうえで、売り方を選びます
次にやることは、この順番で手を動かすことです。
- 役所からの封書を開け、期限と担当課を書き出す
- 法務局で登記事項証明書を取り、所有者欄と乙区を読む
- 不動産会社に、断られた理由と買主の資金計画を聞く
- 市区町村の建築担当課で、道路の種別を聞く
いきなり値下げしたり、修繕したりする前に、5つのうちどれが壁かを書類で確かめる。ここを飛ばすと、原因が別にあるまま、費用だけが先に出ていきます。
売れない家を、そのまま手放すという選択
原因が分かっても、直すのに費用と手間がかかり、動けないことがあります。当社は訳あり不動産の買取を行っており、このページで挙げた事情があっても、現況のまま相談できます。解体、片付け、測量を先に済ませていただく必要はありません。
名義や抵当権の整理を、当社で手続きできるものもあります。遠方にお住まいで現地に来られない場合も、契約から決済まで進められます。
「うちの家はどの理由で止まっているのか」が自分で切り分けきれないときも、そのまま相談してください。訳あり不動産の買取相談では、所在地と状況を伺い、調べたうえで、できること・できないことをお答えします。
引き受けられるかは物件ごとの判断になり、希望額との開きや、相続人の合意が得られない場合など、成立しない条件もあります。また、価格が付かない物件は、買取ではなく、お引き受けをご提案することもあります。
どちらになるかは、調べたあとに理由を添えてお伝えします。
返事は、翌営業日までにお送りします。
税務・登記・法務の判断は、税理士・司法書士などの専門家へご確認ください。
よくある質問
空き家が売れない理由は、どうやって調べればよいですか。
建物の状態・権利・敷地や設備・役所からの通知・買主の融資の5つに分けて、それぞれ手元の書類で確かめます。登記事項証明書、固定資産税の納税通知書、役所からの郵便、不動産会社から言われた断り文句の4つが材料です。どれか1つに当たれば、次に動く窓口が決まります。
雨漏りやシロアリがあることは、黙って売ってもよいですか。
避けてください。民法572条は、契約不適合責任を負わない特約をしていても、売主が知りながら告げなかった事実については責任を免れないと定めています。分かっている不具合は、現況のままの引き渡しにする場合でも、売買の前に買主へ伝えておく必要があります。
役所から空き家について通知が届きました。放っておくとどうなりますか。
空家法では、管理不全空家等と特定空家等は別の区分で、それぞれに段階があります。管理不全空家等は指導、勧告の順、特定空家等は助言・指導、勧告、命令、代執行の順です。どちらの区分でも、勧告を受けると固定資産税の住宅用地の特例が外れます。
特定空家等への命令に従わないと50万円以下の過料の対象です。届いた時点で、通知書に書かれた担当課へ連絡するのが先です。
買主の住宅ローンが通らないときは、どうすればよいですか。
ローンの審査は金融機関ごとに違います。融資を前提にした買主だけを待つのではなく、現金で買える相手(隣地の方、買取を行う会社など)に広げて探すのが現実的です。問い合わせは来るのに内見後に止まる、という形が続くなら、融資が壁になっている可能性があります。
空き家が売れないとき、値下げと解体のどちらを先にすべきですか。
どちらも、原因を切り分けてからにしてください。名義や抵当権、接道、役所の通知が原因なら、値下げや解体をしても動きません。解体は費用が先に出るうえ、更地にして1月1日を迎えると固定資産税の住宅用地の特例の対象から外れます。
現況のまま相談できる先もあるので、費用を出す前に確かめるのが先です。
この記事の監修者
小笠原 りえ(ごえん株式会社 代表取締役)
不動産業界10年。2010年創業のごえん株式会社で、相続した空き家・ごみ屋敷・再建築不可・市街化調整区域など、他社で断られた不動産の買取を全国で行っています。
ごえん株式会社/茨城県知事免許(4)第0006708号
このような物件のご相談は、相続した空き家の買取相談のページへ。
相続した家を、そのまま手放せるか
どこも引き受けない「訳あり不動産」を現況のまま買い取る、全国対応の買取再販会社です。
相続した空き家、ごみ屋敷、再建築不可、市街化調整区域、共有持分、未登記——他社で断られた物件こそご相談ください。全国対応です。
片付け・解体・測量を、先に済ませていただく必要はありません。建物が建ったまま、家財が残ったままの現況で査定します。役所調査も現地確認も当社が行いますので、遠方にお住まいでも、現地に行かずに手続きを終えられます。
資料が手元になくても、物件の所在地さえ分かればお答えできます。
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お電話はこちら → 029-879-5683 / メール info@goen-fudosan.co.jp
ごえん株式会社(茨城県知事免許(4)第0006708号)/300-0045 茨城県土浦市文京町4-8

