福井県の訳あり不動産|市街化調整区域は2市町だけ

福井の東尋坊、柱状節理の断崖(イメージ)
写真はイメージです(福井の東尋坊、柱状節理の断崖をもとに作成したもので、実際の風景とは異なります)

福井県の訳あり不動産は、再建築不可・共有持分・未登記・相続した空き家のいずれであっても、17ある市町のどこにあるかで打てる手が変わります。市街化調整区域があるのは福井市と永平寺町だけという、他県とかなり違う県です。ここでは県と市町の公式資料をもとに、制度から外れた物件がどうなるのかまで書きます。

結論から書くと、福井県全域に対応しています。現況のまま、片付けも解体もしていただかない形でご相談いただけます。

「空き家バンクに出したが動かない」「補助の予算が終わっていた」という段階でしたら、所在地と地番だけで話が始められます。福井県の物件について相談する

一戸建が全国4位の県で、空き家はどう増えたのか?

家が大きく、しかも持ち家の一戸建に偏っているからです。数字を見てください。

空き家率

15.6%

全国は13.8%。全国27位

令和5年/住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(総務省統計局)

空き家数

5.3万戸

うち賃貸・売却用および二次的住宅を除く空き家(その他の空き家)が2.9万戸

令和5年/住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(総務省統計局)

人口

729,386人

平成12年の828,944人をピークに5回続けて減少

令和7年10月1日/令和7年国勢調査 人口速報集計(福井県統計調査課)

一戸建の割合74.7%は全国4位、持ち家率73.5%は全国7位です。さらに福井県住宅・宅地マスタープランによると、1住宅当たりの延べ面積は136.9平方メートルで全国2位(平成30年)。

大きくて古い持ち家が、そのまま空き家になります。
延べ床が広いということは、壊すときの費用もそのぶん大きいということです。
福井市・小浜市・大野市・敦賀市が「延べ床200平方メートル以上」を補助の加算要件に置いているのは、
広い家の解体費が上限では足りないと分かっているからだと読めます。

人口の動きも急です。令和7年国勢調査で福井県の人口は729,386人となり、5年で37,477人(4.89%)減りました。県の速報によると、人口が増えた市町は17市町のうち1つもありません。

減り方には偏りがあります。市の合計が4.41%減なのに対し、町の合計は8.35%減。高浜町11.52%、大野市11.25%、南越前町10.53%と続き、鯖江市1.58%、越前市1.60%とは桁が違います。

さらに効くのが世帯です。県全体では世帯数が2,870世帯増えているのに、高浜町・美浜町・大野市・小浜市では世帯そのものが減っています。世帯が減る地域では、空いた家の次の借り手も買い手も地域内にいません(地方の空き家が売れない3つの理由)。

物件のある市町を選んでください

ここから先は市町ごとに事情が変わります。空き家バンク、解体費の補助、当社の対応を、分かっている範囲で表示します。

物件のある市町村を地図で押してください。空き家バンク・解体費の補助・当社の対応を、分かっている範囲で表示します。

福井市敦賀市小浜市大野市勝山市鯖江市あわら市越前市坂井市永平寺町池田町南越前町越前町美浜町高浜町おおい町若狭町

濃い緑の市町村にはページがあります。小さな町村は、下の「一覧から選ぶ」からも選べます。

地図か一覧から市町村を選んでください。

一覧から選ぶ
嶺北
嶺南

空き家バンクは福井県の市町村空き家バンク一覧と各市町村の公式ページで確認しています(2026-10-18時点)。制度は変わります。申し込む前に各市町村へご確認ください。

地図は国土交通省「国土数値情報(行政区域データ)」を加工して作成しています。

補助の判定に届かなかった、予算が終わっていた、あるいは自己負担が出せない——そういう段階でしたら、壊さずにそのままお引き受けできる場合があります。物件の状況を伝える

福井県で「市街化調整区域だから」と言われるのは2市町だけ

福井県の土地が線引き区域・非線引き区域・都市計画区域外の3つに分かれることを示した図解
市街化調整区域があるのは福井市と永平寺町だけ

県の福井県の都市計画(令和7年3月31日現在)によると、福井県の都市計画区域は11区域・14市町。そのうち区域区分(線引き)が定められているのは「福井都市計画区域」の1つだけで、対象は福井市と永平寺町です。昭和45年4月1日の当初決定から、平成16年5月14日の第4回見直しを最後に変わっていません。

  • 市街化区域4,874ヘクタール/市街化調整区域14,315ヘクタール(福井市13,115・永平寺町1,200)
  • 残る10の都市計画区域はすべて非線引き(嶺北北部・丹南・織田・大野・勝山・敦賀・小浜上中・三方・美浜・高浜)
  • 池田町・南越前町・おおい町は都市計画区域の外
  • 準都市計画区域は永平寺町に1つだけ。永平寺町は線引き区域・非線引き区域・準都市計画区域を同時に持っています

同じ市の中で扱いが変わります。
福井市と永平寺町は、線引きの「福井都市計画区域」と非線引きの「嶺北北部都市計画区域」の両方にまたがります。
「福井市の土地だから市街化調整区域だろう」という読み方も、
「福井県の田舎だから調整区域だろう」という読み方も、どちらも当たりません。
地番で確かめるしかない、というのが福井県です。

開発許可が要らない規模も区分で変わります(福井県開発許可申請の手引)。市街化区域は0.1ヘクタール未満、非線引きの都市計画区域と準都市計画区域は0.3ヘクタール未満、都市計画区域の外なら1.0ヘクタール未満まで許可が要りません。

34条11号の条例が無いと、何が変わるのか?

「区域指定されているから誰でも建てられる」という近道が使えません。

福井県開発許可申請の手引(令和7年6月)は、都市計画法34条11号・12号のどちらについても「※R7.6現在、条例なし。」と書いています。福井市の市街化調整区域における開発行為の制限が挙げる許可可能な号も、1・2・4・6・7・8・9・10・14号で、11号と12号は入っていません。

他県では、県や市が条例で区域を指定して、その区域内なら属人性のない住宅を建てられるようにしている例があります(都市計画法34条11号とは)。福井県にはそれが無いため、市街化調整区域の建て替えは34条14号として開発審査会の議を経る形が中心になります。

永平寺町は、その運用を分かりやすく公開しています。線引き前から所有している土地、または10年以上所有している土地。適法に宅地化された後10年以上経過した土地であれば、縁のない人でも認められる場合がある——という整理です。線引きの日は昭和45年4月1日(吉野地区の一部は昭和54年5月15日)。

「10年」という数字が出てくる時点で、所有の経緯を証明する話になります。
登記簿の取得日、相続の時期、いつから宅地だったか。
書類がそろわないと、審査会にかける手前で止まります。
売主様に集めていただく必要はありません。登記と経緯の確認は当社で行います。

空き家バンクは県がまとめている。それでも残る物件は?

福井県は県が「ふくい空き家情報バンク」を運営していて、17市町の空き家バンクを1か所から横断で探せます。掲載のない市町はありません。県の建築住宅課が直接運営しているという意味で、市町ごとにばらばらな県とは作りが違います。

形は市町で分かれます。市町直営のページを持つところが多数ですが、越前市は専用サイト「おうちナビ」、越前町は移住サイト「住もっせ!」、小浜市は移住ポータル「おばまで暮らそ」の中に置いています。池田町だけは「空き家バンク」という名前のページを持たず、移住と空き家の総合窓口「いけだ暮LASSEL」が町内空き家情報として扱っています。

横断で探せても、見に来ない物件はある

  • 前面道路の幅が足りず建て替えができない土地。買主側で住宅ローンの審査が通りにくくなります
  • 家財がそのまま残っている家。写真を出せず、見学の申し込みが入りません
  • 名義が共有のまま、あるいは建物が登記されていない状態。買主が現れても決済まで届きません
  • 延べ床が広すぎる家。買主が「住むには広すぎる、壊すには高すぎる」と判断します
  • 冬に敷地へ入れず、内覧そのものが組めない地域があります

県は空き家管理代行サービス事業者登録制度で34社(令和8年7月8日現在)を公表しています。ただしこの登録は複数の市町で管理代行を行う事業者が対象です。地元の1社だけで回っている地域では、一覧に載っている会社が来てくれるとは限りません。

空き家バンクへの登録と、買取の検討は同時に進められます。1シーズン動かなかった段階でのご相談も普通にいただきます。

解体の補助はどこで止まるのか?

福井県の解体補助が評点・業者指定・予算・更地の4か所で止まることを示した図解
上限額が大きい県だが、そこに届く物件は限られる

福井県の解体補助は、上限額が全国的に見ても大きいほうです。

市町補助の形
南越前町特定空家・管理不全空家に認定されれば補助率5分の4・上限550万円(令和9年度まで)。認定されなければ3分の1・上限30万円
高浜町老朽危険空き家は補助率4分の3・上限150万円(県内で最も高い補助率)
越前町令和7〜9年度の時限拡充で解体上限を70万円(加算時120万円)に。家財道具の処分費も別枠で最大20万円
美浜町対象工事費の3分の1以内で、通常上限100万円+加算50万円
若狭町「空き家になってから10年以内」という条件の早期解体除却補助金(上限30万円)

大きい数字が並びますが、そこに届くかどうかが本題です。

  • 評点に届かない……多くの市町が不良度判定を使い、合計評点100点以上で老朽危険、届かなければ準老朽として上限が下がります。あわら市は特定空家等の認定が条件で、認定されていない空き家は対象外です
  • 予算が先に尽きた……越前市は令和8年度分の予算額に達し、受付を止めています(キャンセル待ちと来年度の事前調査のみ)。坂井市・高浜町・越前町・勝山市・敦賀市も予算到達で終了と明記しています
  • 抵当権や差押えがある……福井市・敦賀市・越前町は所有権以外の権利が設定されていないことを明文で求めます。おおい町は同意が得られない場合を対象外としています
  • 市町外の業者に頼んだ……美浜町は町内業者が元請であること、高浜町は町内の解体業者、福井市・大野市・勝山市・若狭町も市町内の事業者を条件にしています。県外の安い見積りで進めると対象から外れます
  • 更地にしない……敷地内の倉庫・小屋・工作物・立木・動産まで全部撤去が条件です。母屋だけ壊して倉庫を残す、は通りません
  • 市町税を滞納している……勝山市・鯖江市・小浜市・越前市・坂井市・永平寺町・南越前町・おおい町が明記しています
  • 先に契約してしまった……福井市・敦賀市・鯖江市は交付決定前の契約を対象外としています

福井市・敦賀市・坂井市は代理受領制度を入れていて、施工業者が補助金を代理で受け取り、所有者は差額だけ払えば済みます。それでも上限150万円が出て解体費が300万円なら、150万円は自分で出すことに変わりはありません(空き家の解体補助金は自治体で条件が違う)。

壊してから売る、という順番が唯一の道ではありません。
当社は建物が建ったままお引き受けしています。解体も片付けも測量も、先に済ませていただく必要はありません。
評点に届かなかった、予算に間に合わなかった、自己負担が出せない——その段階からのご相談で結構です。
この状態でも扱えるか聞いてみる

雪は「建てられる大きさ」まで決めている

福井県は17市町すべてが豪雪地帯で、そのうち大野市・勝山市・池田町の全域と、南越前町の旧今庄町の区域が特別豪雪地帯です(国土交通省)。

ただ、福井県で雪が効いてくるのは管理だけではありません。建築基準法の話になります。

福井県建築基準法施行細則により、福井市を除く県下全域が「多雪区域」とされています。そして垂直積雪量は、市町ごと・合併前の旧市町村ごとに1メートルから3.75メートルまで10段階で定められています。最も軽いのは海岸線から2キロメートル以内、最も重いのは大野市の旧和泉村です。

垂直積雪量が変わると、建物の構造計算の前提が変わります。
同じ市の中でも旧町村の単位で基準が違うため、「建て替えられるか」「いくらかかるか」の答えも変わります。
土地だけを買って建てるつもりの買主は、ここでつまずきます。

県民アンケート(令和3年)では、耐雪改修を「重要」と考える人が66%いるのに、実際に行う予定がある人は7%にとどまりました。福井市の最深積雪は昭和56年の五六豪雪で196センチメートル。その後も平成30年に147センチメートル、平成23年に119センチメートルと、数年おきに1メートルを超えています。

空き家を置いておくと、雪で先に潰れます。そして潰れてからでは、福井市の要件にある「補助金の交付を受ける目的で故意に損壊されていないこと」の確認から始まることになります。勝山市は「積雪の状況により融雪後に現地調査を行う場合もある」と明記していて、冬に思い立っても申請は春までずれます。

県の制度には、所有者が使えないものが混ざっている

福井県には空き家に関する県独自の仕組みが複数あります。ただし個人の所有者が直接使えるものと、そうでないものが混ざっています。申し込む前に、自分が対象かどうかを見てください。

制度対象
ふくい空き家情報バンク所有者も買い手も使えます。「空き家希望者空き家バンク」で買い手側の登録もできます
空き家診断促進事業診断費用を上限35,000円まで補助。受付は各市町
空き家流通アドバイザー派遣制度地域団体等が主体。個人の所有者が単独で呼べる制度ではありません
空き家管理代行サービス事業者登録制度登録は複数市町で営業する事業者に限られます
解体費の補助県の直接補助はありません。すべて市町の窓口です

空き家診断の補助にも、効く範囲があります。
診断結果で既存住宅売買瑕疵保険の現場検査を省略できるのは、昭和56年6月1日以降の建築確認を受けた住宅です。
旧耐震の空き家は、診断しても保険に入りにくい。
診断してから売る、という順番が効かない物件があるということです。

県は福井県空き家対策マニュアルを公開していて、本編のほかに「行政代執行編」と「法人破産における残存建築物への対応について」があります。法人が破産して残った建物の扱いまで県がまとめているのは珍しく、それだけ難しい案件が現実に出ているということでもあります。

県外に住んでいても進められますか

進められます。福井まで出てきていただく必要も、現地に立ち会っていただく必要もありません。固定資産税の課税明細で所在地と地番をお知らせいただければ、登記・都市計画の区域・接道・垂直積雪量の区分は当社で調べます。ここまで費用はいただきません(事業内容に手順をまとめています)。

福井県からのご相談では、次のような形もよくいただきます。

よくある状態進め方
再建築不可(接道が足りない)現況のまま扱います。43条2項2号の可否を当社で確認します
共有持分だけを持っているほかの共有者の同意がなくても、ご自身の持分の話は進められる場合があります
未登記建物が建っている登記を先に済ませていただく必要はありません
山林や農地が付いてくる宅地だけ、という区切り方はしていません

再建築不可であることだけを理由に、査定や取扱いの対象外とすることはありません。共有持分については先に1点。持分の割合をそのまま価格に掛けた額にはならないのが普通です(共有持分の買取価格)。

福井県の対応エリアはどこまで?

福井県全域に対応しています。嶺北・嶺南のどちらか、線引きの内外、雪の重さ——どれも断る理由にしていません。上のセレクタに、県内17市町をすべて並べています。

区分は県自身の呼び方に合わせました。南越前町と敦賀市の間の木ノ芽山地を境に、北が嶺北、南が嶺南です。嶺南は敦賀市・小浜市・美浜町・高浜町・おおい町・若狭町の6市町で、県の出先機関もここで分かれます。

セレクタの一覧は対応している範囲を示したもので、それぞれの市町での取扱実績を示すものではありません。
制度の内容は変わります。申し込む前に各市町へご確認ください。

福井県に関係する記事

相続した空き家の手放し方など、全国で共通の話はコラム一覧にまとめています。

ご相談の前に

福井県の物件では、年度の早い時期に方針を決めておくと選択肢が残ります。解体の補助は先着順で予算が尽きるところが多く、しかも雪の時期は現地調査が止まるためです。

  1. 固定資産税の課税明細(所在地と地番、評価額が分かります。これ1枚がいちばん効きます)
  2. 建物があるかどうかと、ある場合はおおよその築年数・延べ床
  3. 名義(単独か共有か、相続の途中か)
  4. 市町の判定を受けたことがあれば、その結果(老朽危険か準老朽か、評点がいくつだったか)

ただし、すべてをお引き受けできるわけではありません。お引き受けできるかは物件ごとの個別の判断で、条件によっては成立しないこともあります。その場合も、なぜ難しいのかと、ほかにどんな道があるのかはお伝えします。

税務や登記の扱いについては、最終的に税理士・司法書士へご確認ください。

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